残る二体の番人をサクッと倒した二人はヴァレリカの居る砦に戻って来た。
障壁は無くなっていた為、セラーナとヴァレリカは感動のハグをしていた。
シャルティアはそれを見て元の世界に残した両親の事を思いもにょったが、深くは考えないことにした。
「さぁ、ついて来て。星霜の書まで案内するわ」
ハグを終えたヴァレリカがそう言い、二人はヴァレリカに着いて行く。
扉を開けた先は広場だ。四角い広場であり、どこか闘技場内を思わせた。
そして、空から竜の叫びが聞こえて来た。
「ダーネヴィールよ!」
ヴァレリカが叫んだ。
空を見ればそこにはドラゴンが居た。
ただし、他のドラゴンとはだいぶ違う。
体が腐ったような肉の色をしている。というか実際腐っているのか肉がぼとぼとと落ちている。
瘴気を身にまとう姿はアンデッドドラゴンとでも言った方が正しい気がするが、シャルティアの<不死の祝福>には反応が無いのでアンデッドではないらしい。
ダーネヴィールは空から地面に向かってシャウトを放った。
「ディール クォス ザーム!」
使われたのは死霊術系のシャウトだ。
地面からアンデッドたちが湧いて出てくる。
ボーンマン、ラスマン、ミストマンが各種四体ずつ召喚された。
シャルティアが背中から翼を生やし飛翔した。
ダーネヴィールはそれに驚くことなく飛翔で回避しようとする。
速度で言えば同等と言ったところだった。シャルティアは飛行特化のビルドという訳ではないし、フル装備の鎧の翼も無いので速度は
シャルティアが魔法を唱える。
「
三十の魔法の矢がダーネヴィールに向かって飛んで行く。
ダーネヴィールは飛行で回避しようとするが
全て胴体に命中しダメージを与えるが、大ダメージとはいかない。
シャルティアはHPの減り具合を見て強敵と判断する。ミルムルニルとは比べ物にならない強者だ。
なので最初から本気の魔法を放つ。
「
単体最強──超位魔法を除く──の魔法を放った。
ダーネヴィールがものすごい勢いで燃えていく。
ダーネヴィールは冷気系のドラゴン。炎に対しては逆に脆弱性を持つ。その分冷気には五十パーセントの耐性を持つが。
しかしそれでも高位のドラゴン。一撃死はしなかった。
シャルティアに噛みつく。
シャルティアは噛みつかれる直前に<ミストフォーム>の
そのままダーネヴィールの頭上に位置し、全力でかかと落としを見舞いした。
ダーネヴィールが地面に落下する。巨大なクーレターを残した。
そのまま頭が陥没し潰れたダーネヴィールは燃え盛り、灰も残らず消えた。
シャルティアが地上に降りる。
そこではダーネヴィールが召喚したドラゴンを掃討し終えた二人が居た。
「ダーネヴィールを倒すとは、やるわね。ただ……あれの死を見るとは思わなかったわ」
「どういう事でありんすか?」
「ダーネヴィールが書かれた書にはあのドラゴンは不死と書かれていたの。もしくは……ドラゴンの魂はその鱗や肉と同じように回復に優れていると聞くわ。一時肉体の形状を失っただけで復活出来るのかもしれない」
「となると警戒が必要でありんすね。その復活にはどれくらいかかるでありんすか?」
「ごめんなさい、わからないわ。五分後か数百年後か……兎も角すぐ動いた方がいいわ。こっちに来て」
「わかりんした」
ヴァレリカ案内の下二人は小部屋に入る。
そこには錬金術の材料が所狭しと置いてあった。
そして奥の長い箱をヴァレリカが開け、中から星霜の書が出て来た。
「はい、どうぞ……どうかハルコンの野望を阻止して頂戴ね」
「えぇ。必ずやして見せるでありんす」
こうしてシャルティアは星霜の書を手に入れた。
「それじゃあ、ハルコンを倒したら迎えに来るでありんす」
「えぇ……その日を待っているわ」
そうして二人はヴァレリカと別れた。
そして扉を開け、砦の外に出る。
そこにはダーネヴィールが居た。
シャルティアが再度魔法で攻撃しようとする。
それに待ったをかけた。
「待つが良い、戦う訳ではない」
「あら、死んだと思っていたでありんす」
「死ではなく、ラースとディノク……生と死の狭間に閉じ込められているのだ」
「ふぅん。それで話すことがあるでありんすか?」
「お互いに古強者として礼節は守るべきだ。其方の耳は我が言葉を聞かせるに値する……我が爪は新鮮な肉を数多斬り裂いてきたが戦場で倒されたことは一度も無かった。故に其方にクァーナーリンの称号を授けよう」
「そのクァーナーリンというのは?」
「ドラゴンの言葉で征服者を意味する。其方に相応しい称号だ」
「そうでありんすか……それで、何の用でありんす?」
「戦いの果てに、言葉を交わしたいと思ったのだよ、クァーナーリン……それで、本題だ。其方らはここに縛られていないだろう? タムリエルに戻ったら、我の名を叫んで欲しいのだ」
「叫ぶ? 何のために?」
「我はこのソウル・ケルンに縛られている。この地から脱出しようとすればそれだけで存在を維持できなくなるだろう……だが一時外に出るぐらいならば出来るはずだ。故に名を呼ぶ事で我をムンダスに召喚してほしいのだ」
「ですがわたしはドラゴンボーンではない。シャウトは使えないでありんすよ」
「問題ない。単なる魔法の一種であるからシャウトとは関係ないはずだ」
「そうでありんすか……でしたら外に出たら呼ぶでありんすね。勿論、呼んだらこっちの事を手伝ってもらうでありんすが」
「無論構わないとも。
シャルティアは内心やったぜドラゴンゲットと喜んでいた。
「それでは、また会おう。クァーナーリン」
そういうとダーネヴィールは飛んで行った。
「それじゃあ、ソリチュードに戻るでありんすか」
「えぇ、行きましょう」
■
外に出たら夜だったのでシャルティアとセラーナはドール城に戻り、セラーナは眠った。
この世界の吸血鬼の本質は病にかかった人間なので眠ることが可能だ。
だがシャルティアは眠れないので溜まった書類仕事を片付けていた。疲労無効睡眠無効のいいところである。
そうして翌日。二人はデキソンに会いに行った。
デキソンは今ドール城の客室に居る。
二人そろって客室に入るとソファにデキソンが座っていた。
しかしデキソンには変わったところがあった。目隠しを付けているのだ。
「その目隠しは……まさか」
セラーナが言った。
「あぁ。書を早く読みたくて準備を怠ったつけだね……多くの聖蚕の僧侶のように、盲目になってしまった。もう何も見えないよ」
セラーナが少し絶望したような表情を浮かべた。
「つまり、もう星霜の書は読めないでありんすか?」
「あぁ。残念ながらね……だが書の読み方は説明できる」
「いや読んだら盲目になるから読みたくないでありんすが」
シャルティアの本音だ。
いかにシャルティアが視界封じに耐性を持っていると言っても星霜の書という超級のアーティファクトの副作用となれば自分にも影響が出そうなので読みたくない。
素直にシロディールに行って他の聖蚕の僧侶に頼んだ方が良いのではとシャルティアは考えた。
「大丈夫だ。盲目にならず書を読む方法がある。先人の湿地という場所があってね。そこで聖蚕の儀式をすることで書を読むことが出来る」
「? そんな方法があるなら何故僧侶たちはその儀式を使わないでありんす?」
シャルティアの問いにデキソンは苦笑した。
「それには訳が二つあってね。一つは先人の湿地は聖地だから出来る限り行くべきではないというのが一つ。もう一つは人を選ぶんだ。選ばれた者にしかこの儀式は出来ない」
「わたしが選ばれた者だと?」
「そうだ。君は書を手に入れた。通常発見することも難しい書を手に入れたのだ。その資格は充分にある……書の読み方だったね。湿地にはドローナイフという道具がある。それを使って湿地に生えているカンティクルの木の樹皮を剥がすんだ。蚕たちの好物でね……その樹皮が一つあれば蚕たちが集まるんだ。充分に集まったら光が差す場所で書を開くんだ。それで読めるはずだよ」
「なるほど、わかりんした……ありがとう。その湿地はどこに?」
「スカイリムだとファルクリースから南東に行ったところにあるはずだ」
「わかりんした。ではすぐに向かうとするでありんす」
「あぁ……敵も追っているはずだから、気を付けて」
「忠告、感謝しんす」
そう言って二人はドール城を出て、ソリチュードを出た。
シャルティアはファルクリースに行った事がない。元から帝国領であり、安定していたので派兵することも無かったのだ。
だから行くにはシャルティアが空を飛んで先に行く必要があるだろう。
だがシャルティアはそれを少し面倒に思った。
「では……ダー ネ ヴィル!」
シャルティアがシャウトを行使するとダーネヴィールが召喚された。
「あぁ! 数十世紀ぶりのゲイザールの空! わが身に力が戻るのを感じる!」
そう召喚されたダーネヴィールは歓喜に震えながら、シャルティアの方を見た。
「それでクァーナーリン。ただ我を呼び出したわけじゃないだろう? 敵がいるのか?」
「いえ……単にぬしを久しぶりにスカイリムの空を飛ばせたいと思ったのが一つと、目的地までわたしたちを運んでほしいでありんす。目的地は南東でありんす」
「そうか! なら喜んで運ばせてもらおう。さぁ、我が背に乗るといい」
シャルティアとセラーナは少し興奮しながらダーネヴィールに乗り込んだ。
自力での飛行をシャルティアは出来るが、ドラゴンに乗って飛ぶなど男のロマンである。
「では行くぞ!」
そうしてダーネヴィールは飛んで行った。
■
飛行する事二時間。目的地に着いた。
ダーネヴィールは送還され、ソウル・ケルンに戻っていった。
そして二人は湿地に入っていった。
「まぁ、なんて綺麗……!」
その空間を見てセラーナが感動の声を上げた。
実際シャルティアもこれは綺麗だ、と謎の感動をしていた。
「ご覧になって。何世紀もの間誰も来なかったからこその美しさ……自然の調和ですわ。素晴らしい……」
「えぇ……今が非常事態でなければゆっくりと見て回りたいところでありんすね」
シャルティアのその言葉に来た目的を思い出したセラーナがわざとらしく咳払いをした。
「では……あの木がカンティクルの木で、ドローナイフはどこかしら」
「探すとするでありんすかね」
そうして二人は階段を降り、中央に進んでいった。
中央の少し奥には上から一筋の光が差している場所があった。
そしてその左手側にドローナイフが鎮座していた。
「
シャルティアがドローナイフに鑑定魔法をかけた。
これ自体が年代物のマジックアイテムであった。
「これを使うでありんすか」
これは戦闘に使える物ではないのでシャルティアの呪いは発動しない。
近くにあった木の皮を軽く切り取り、皮を持つ。
「まぁ……ご覧になって。すっかりあなたの虜になったようですわ」
その言葉通りシャルティアの周りを蚕が飛んでいた。
シャルティアは内心近くで見ると虫こえぇな、と思っていたが表情と口に出すことはしなかった。
「もう少し集めるでありんすか」
「えぇ。多すぎても困らないと思いますわ」
そうして暫く周囲を歩いて蚕を百に届かない程度集め、光の指すところにシャルティアは立った。
「では、書を読むでありんす」
そう言いながらアイテムボックスから書を取り出し、開いた。
瞬間シャルティアの脳内に情報が入ってくる。
アーリエルの弓の在処。それに至るまでの風景。
一分ほどで書を閉じた。
「どうでした?」
セラーナが少し心配そうに声をかけた。
「問題ないでありんす。場所がわかりんした。ダークフォール洞窟の奥地に弓があるでありんす」
「あぁ、ようやく……ありがとうございます。必ずや弓を手に入れ、父の野望を阻止しましょう」
そこで複数の足音がした。
入口の方を見る。そこには吸血鬼が四人、ガーゴイルが二体居た、
距離はまだある。二人は遠距離攻撃の魔法で攻撃し、すぐに殲滅した。
「こちらの動きはバレているようですわね……すぐに動きましょう」
「えぇ。一番近いのはドラゴンブリッジでありんす。そこまで転移するでありんす
転移魔法で二人はドラゴンブリッジに転移するのだった。