スカイリムをシャルティアで遊ぶ   作:Revak

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第5話

 

 ドラゴンの死体は後で運ぼう、という事で話が決まりシャルティアとイナルは一旦ドラゴンズリーチに戻ることになった。

 衛兵隊とイリレスは何かあった時の為に待機だ。

 二人は街道を歩きホワイトランへ戻っていった。

 行きと違い急ぐ必要は無いので徒歩だ。

 

「しかしおんしがドラゴンボーン? とやらだったとは。驚きでありんす」

「俺もだ。かのタロスと同じ存在だという事に、内心興奮している」

 

 そうイナルは苦笑した。

 

 瞬間雷鳴のような声が響いた。

 

「ドヴァ────キン!」

 

 その声に二人は思わず足を止める。

 

「……ドヴァーキン?」

「……ドラゴンボーンの換言の事だ。しかしこの声はどこから……?」

「今は気にしてもしょうがなさそうでありんすから、ホワイトランへ急ぐでありんす」

「……それもそうだな」

 

 イナルは気にしてもしょうがない、とホワイトランへ向かった。

 

 

 

 ■

 

 

 二十分ほど歩く事でホワイトランに戻り、そしてドラゴンズリーチに戻った。

 奥に進むと玉座があり、その傍には執政と首長の弟であり戦士のフロンガルが居る。

 

 玉座に座るのは当然首長バルグルーフだ。

 

「戻ったか! あの監視塔で何があったんだ?」

 

 代表としてイナルが答える。

 

「ドラゴンが襲ってきたが、倒すことが出来た」

「そうか! よくやってくれた! ……それで、それだけじゃないだろう?」

「……何やらドラゴンから何か力を吸収出来た。どうも自分はドラゴンボーンとやららしい」

「ドラゴンボーンについて何を知っているんだ?」

「タロスや聖アレッシアがドラゴンボーンだったとか……確か逸話でタロスがドラゴンを使役していた、と言うのも聞いたことがるが……それもドラゴンボーンの力の一種。なのか? よくわからないが」

 

「あの雷鳴を聞かなかったのか? 首長はハイフロスガーについて聞いているんだ」

「ハイフロスガー?」

 

 何も知らないシャルティアが問いかけた。

 

「ハイフロスガーはノルドの寺院だ。この世界のてっぺん、世界の喉の山頂付近で暮らしている賢者たちの住まいだ。その賢者たちの事をグレイビアードというんだ」

「ふぅん。世捨て人のような物ね……その人たちがなんだというんでありんす?」

 

 その言葉に一瞬剣呑な雰囲気になる。

 

「グレイビアードは我らノルドにとってとても──とても大切で神聖な物なんだ。そういう言い方はよしてくれ」

「……謝罪しんす。申し訳ありません」

「他種族から見たら仕方がない。それで──イナル。君はドラゴンボーンとしてグレイビアードに召喚されているんだ」

 

「グレイビアード……」

 

 イナルは本来只人がいけない場所に召喚されているという事に興奮する。

 ハイフロスガーに行けるのはグレイビアードと将来グレイビアードになる才能ある若人のみ。

 ノルドとしてそこに行けることに興奮を隠せない。

 

「しかしそれはノルドの伝説では? それほどの威厳ある存在なのでしょうか?」

 

 そこにプロベンタスが疑問を呈した。

 

「ノルドの戯言だと? 由緒ある伝統を馬鹿にするのか!」

「そう暑くなるな、フロンガル。プロベンタスもそういう意味で言った訳じゃないだろう」

「……失礼しました」

 

「それで、だ。イナル。君にはハイフロスガーに行って貰いたい。ドラゴンも倒された今、問題なのは内乱だが……これは君のような冒険者が関わる事じゃないからな」

「? ドラゴンは他にはいないでありんすか?」

 

 気になったシャルティアが問いかけた。

 

「あぁ。この数百年か数千年、ドラゴンの姿はなかった。と言ってもその死体や墓自体はあったんだが」

 

 そうバルグルーフは目線を上に向けた。

 玉座の上にはドラゴンの頭があった。骨の頭だ。恐らくはヌーミネックスの頭だろう。

 だからドラゴンの実在を疑う事はなくとも、既に絶滅した種族だと認識していたのだ。

 

(ドラゴン居ないのか。素材の収集はむずそうだな)

 

 シャルティアはドラゴンが居ないことに若干がっかりした。

 

「いや。ドラゴンはまだいる。あと一匹、ヘルゲンを襲った黒いドラゴンが居るはずだ」

 

 その言葉でぴたりと時が止まったように静寂が訪れた。

 

「ま、まだいるのか? ドラゴンが?」

 

 バルグルーフが冗談だろう? とでも言いそうな感じで尋ねた。

 

「あぁ。監視塔を襲ったドラゴンとヘルゲンを襲ったドラゴンは別だ。まだもう一匹……下手したら数匹はドラゴンが居るはずだ」

「……勘弁してくれ。それほどのドラゴンに襲われれば……ホワイトランどころか、このスカイリム事態どうなる事か……」

「仮に撃退できたとしても、こんな襲撃が続けばサルモールが何をしてくるかわからないぞ」

 

 どうすんべ……という空気が流れる。

 今回はシャルティアとイナルが居たからどうにかなかった。だが他の要塞──それこそソリチュードなどをドラゴンが襲えば対空手段に乏しい帝国軍などはなすすべもなくやられるだろう。

 弓はあるが鱗の前には意味ないし投石機は見てから回避余裕だろう。射線も早々変えれない事だし。

 

「まぁ、先の事は気にしてもしょうがないでありんすから、まずは報酬を貰いたいでありんす」

 

 シャルティアがそういう事で一応空気が変わる。

 為政者として対ドラゴンについて考えなければならないが、相応のは働きをした者に相応の報酬を渡さなければならないだろう。

 

「あぁ、そうだったな。イナル。君にはこのホワイトランの従士の地位と私兵を一人つけよう。これが従士である証だ」

 

 そう言うとフロンガルが一つの斧をイナルに手渡した。

 頑強な作りの斧だ。装飾も凝っている。

 

「ありがとうございます」

 

 そうイナルは礼を言いながら斧を受け取った。

 

「それで……そちらの彼女の方は報酬はどうする? 地位を与えたりするのは無理だが……」

「それなら──帝国軍への紹介状が欲しいでありんす。わたしは帝国軍に所属し、とっとと戦争を終わらせるでありんすから」

 

 その台詞に全員ぽかーんと口を開け呆けた。

 あれ、自分何かまずい事言ったかなとシャルティアは冷や汗を流──せなかった。アンデッドなので。

 

「帝国軍か……確かに、ドラゴンが現れた今。そちらに着くべきかもしれいな」

「しかし首長。グレイ・メーンの者たちはどうしますか?」

「……干渉することは出来ないな。それに、彼らは同胞団に所属している。仮らがストームクロークを支持しているのだとしても、ホワイトランで騒ぎを起こすほど短慮じゃないはずだ」

「わかりました」

「それじゃあ、君には帝国軍のテュリウス将軍への紹介状を渡そう。それを持って報酬とする」

「感謝しんす」

 

 

 

 

 

 ■

 

「ふぅ……」

 

 夜。シャルティアはドラゴンズリーチの客室の寝室に居た。

 ベッドに腰掛ける。着ているのは寝間着だ。

 シャルティアの衣装の大半は自室である死蝋玄室にあるので変えの服と言うのは殆どない。

 そのためこの簡素な作りの寝間着は首長が用意した物だ。

 

「いろいろありんしたね……」

 

 ぽすっとベッドに横になり、天井を見る。

 

 本当にこの数日色々ありすぎた。ありすぎて疲労を感じないはずのアンデッドなのに疲労を感じている気がする。

 

 シャルティアという美少女にTSし、この訳の分からない世界に単独で転移している。

 

「モモンガ様……ペロロンチーノ様……」

 

 もしかしたらモモンガ様やナザリックが転移しているかもしれない。そのわずかな望みをかけて行動するしかないとわかっていても、心の持ちようは変わらない。

 あるいは、自分一人この世界に捨てられたのでは──なんて考えさえ浮かんでくる。

 

 だが原作知識でそれはありえないと言いたいが、そもそも原作の転移は竜帝が起こした事で、この訳の分からない世界への転移は原因が不明だ。

 

(とりあえず暫くは帝国軍に所属して、情報の収集と名声を高めることに使おう。それでどうにかなると良いけど……)

 

 シャルティアははぁ、とため息を吐いた。

 

 

 

 

 ■

 

 

 翌日の朝。ホワイトランの門の前で。

 

「それじゃあ、ここでお別れだな、シャルティア」

 

 そうイナルが言った。

 

「えぇ。ここでお別れでありんす……達者で、イナル」

「あぁ。君こそ帝国軍での活躍を祈ってるよ──それじゃあな!」

「えぇ──また!」

 

 そうして二人は別れた。

 

 

 シャルティアは徒歩で帝国軍の本拠地、ソリチュードに向かう。

 ソリチュードはホワイトランから西北に向かったところにある。

 ソリチュードは今のスカイリムの首都でもある大都市だ。このスカイリム最大の港もある。

 

 徒歩でてくてくとシャルティアは歩いて向かう。

 正直空飛んで行った方が圧倒的に速いし楽だが、こうして徒歩で向かうのには二つ理由がある。

 一つは道中で山賊などの野盗相手にフル装備スペックで戦闘実験をしたい、と言うのが一つ。

 今のシャルティアは原作のシャルティアの戦闘技能を持っていない。ステータスと特殊技術(スキル)、魔法こそ同一だが戦闘経験や技術という点では圧倒的に劣る。

 だからそれらを補うために適当に戦って経験を積みたいのだ。

 

 そしてもう一つは地形の把握兼、転移魔法のポイント設置だ。

 第七位階以上の転移魔法の場合一度見た場所、あるいは行った場所ならばマーキングなどをする必要なく転移できる。

 そのためホワイトランからソリチュードまでの道中を覚え、いざという時は大軍を転移させることを出来るようにしているのだ。

 

 

 暫く歩く。

 道中、特に面白い事は無い。

 瘴気に満ちている訳でも空をドラゴンが闊歩していることも無い。

 一見すると平和な道のりであった。

 

 あまりに退屈過ぎて空飛ぼうかと思ってしまうぐらいには平和だった。

 

 そうして暫く進むと焼け落ちた家を通り過ぎ、砦を見つけた。

 聞いていた話にあった砦、グレイムーア砦だ。

 スカイリムにはこういった砦が多い。そのほとんどは古代ノルドの時代──四千年ほど前に作られた物が多い。

 作られた理由は二つある。一つは対エルフとしての砦で、もう一つは神話の時代の竜戦争のときに創られた砦だ。

 竜戦争とは竜から人間が奴隷として扱われていた時期にカイネ──キナレスの事──から言葉の力を授かった人間たちが反乱を起こした戦争の事だ。

 それらの戦争の舞台がスカイリムだったためこのスカイリムには太古から砦が多いのである。

 

 ただその砦の殆どは山賊などの野盗の拠点として扱われてしまっているが。

 

 このグレイムーア砦も山賊の拠点にされている砦の一つである。

 石の壁に囲まれた砦で塔が一つある。

 壁の上には通路があり、山賊たちが見張りをしている。

 入口は一つで入り口前にはバリケードが四つほど設置されており、侵入を阻害する作りになっている。

 

「丁度いいでありんすね……」

 

 シャルティアはそう呟くと特殊技術(スキル)で装備を最強装備一式──真紅の全身鎧とスポイトランスを装備する。

 

「では、蹂躙を開始しんす」

 

 シャルティアはそういうと装備の力で飛翔する。

 この伝説級の真紅の鎧の翼は飾りではない。飛行能力を補助することが可能で通常の<飛行>(フライ)の魔法より圧倒的に速く飛行を可能にする。

 

 そのまま壁の上を歩いていたカジートの山賊の胸を貫いた。

 

 カジートとは獣人の一種だ。

 生まれた時の月齢によって姿が変わり、完全な猫の者から人に近い者たちも居る。

 このスカイリムに居るカジートの殆どはシュセイ・ラートといい猫を二足歩行にしたような者たちである。

 

 胸に風穴が空き、カジートの山賊は絶命した。

 

「んなっ?! どこから来やがった?!」

 

 そう近くに居たノルドの山賊が叫びつつ両手斧を取り出した。

 

「死になさい」

 

 シャルティアはそう返し、スポイトランスを横薙ぎに振るった。

 ノルドの山賊は情藩士がはじけ飛び、死んだ。

 

 そしてはじけるとなると当然、血が舞い散る。

 

(あっやっべ)

 

 そう思った時にはもう遅い。飛び散った血を被ってしまった。

 

 シャルティアのクラスのデメリット特殊技術(スキル)に<血の狂乱>がある。

 この特殊技術(スキル)は血を被ってしまうと発動し、発動すると攻撃力やステータスが増すが制御が難しくなってしまう。

 

 それが発動した。

 

 

「アハハハハハ!」

 

 シャルティアは狂乱し、優れた嗅覚と聴覚を持って外に居る山賊たちを見つけ出す。

 ジャンプで跳び、着地点に居た山賊を縦にスポイトランスで斬り裂いた。

 

 そのまま外に居る山賊たちが「化け物を殺せ!」などと叫ぶ。その声を頼りにシャルティアは更に山賊に襲い掛かる。

 今シャルティアは顔が醜く歪み、口は円形上に広がり、行内には無数の牙が生えている。ヤツメウナギに似た形状だ。

 

 そのままと外の山賊を殺し終えたシャルティアは砦の入り口の木製の扉を突撃してぶち壊し、中に侵入した。

 当然そんなことをすれば音が鳴り響く。

 音を聞いた山賊たちがやってくる。

 

「敵襲か──うわ化け物だ?!」

「殺せ! デイドラをぶち殺してオブリビオンに送り返せ!」

 

 山賊たちがやってくる。

 それを見てシャルティアはニタリと笑みを浮かべた。

 餌が大量に居る、と。

 

 シャルティアは近くの山賊に突撃し、押し倒した。

 そのまま頭を捕食し、吸血する。

 

 そのままばくりと喰らい、血も飲み込み捕食し殺した。

 

「ば、ばけもの!」

 

 山賊の一人が両手斧でシャルティアを攻撃する。

 だが、ダメージは通らない。

 真紅の鎧の防御力が高いというのもあるが、それ以前だ。

 この世界──タムリエルの吸血鬼は銀武器に対し脆弱性を持つが、それはそれ以外に対し耐性を持っている、という訳ではない。

 普通の武器でもダメージが通る。だがユグドラシルから来たシャルティアにはその法則が通じない。

 

 真祖の吸血鬼であるシャルティアは銀製の武器で魔化──この世界では付呪──されている物か強力な魔力が込められている武器でしかダメージを受けない。

 そのために山賊の一撃はシャルティアに何の痛痒も与えなかった。

 

「アハハハハハ!」

 

 相手が己より格段に下と判断しシャルティアは左手で殴った。

 それだけで上半身が消し飛び、肉片と血が舞った。

 

「まだまだタリナァァァァイ!」

 

 シャルティアは本能のままに暴れ続けた。

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