コルバンヤンドの中は薄暗かった。
大きな広間になっており、そこの壁の左右には松明が付いてるが、それでも充分な灯りとは言えない。
ただアンデッドであるシャルティアは闇視の
「奥にストームクロークの兵士が見えるわ。隠密状態で近づいて、ある程度近づいたら弓を撃って」
リッケの言葉にシャルティア以外了解した。
シャルティアは弓を使えない。そのために遠距離攻撃手段は魔法しかない。
一応遺跡の中に入ったのでシャルティアは
急に装備したことに軍人たちはぎょっとしたが叫ぶわけにもいかないので黙って置いた。
スニークしたまま兵士たちに近づく。
「撃て!」
そしてリッケの言葉に従い矢が放たれる。
総勢十一の矢だ。
対するストームクローク側は五人程。
全ての矢が命中した訳ではないが、それでも半分以上は当たった。
だが矢は鎧である程度威力を殺され、致命傷には至らない。
ストームクロークたちが何かしらのアクションを見せる──その前にシャルティアが突撃した。
そのまま一番近くに居た兵士の胸をスポイトランスで貫き殺した。
「敵襲だ!」
ストームクロークたちがそう叫ぶがもう遅い。
シャルティアはスポイトランスを抜き、そのままもう一人の頭を貫き弾き飛ばし殺した。
更に追撃し、横薙ぎに振るう事でもう一人を上下真っ二つにした。
三人殺した時点でリッケたちが突撃し、残る二人は混乱したまま殺された。
「あなた、結構強いのね……見直したわ」
「ふふん。わたしは最強でありんすからね」
「そう……それじゃあ、部隊を別けるわ。四人はここに残って貰い、ストームクロークが逃げないか、そして援軍が来ないか見張ってもらうわ」
「畏まりました。それなら私たちが残ります」
そう言ったのは荷物持ちを兼任していた軍人だ。
「それなら頼むわ。残る八人は私についてきなさい」
「了解です!」
そして一行は更に進む。
通路を進むと其処はまた広間に近い。長方形の部屋だ。
「敵襲だ!」
「帝国軍に死を!」
ストームクロークたちが武器を手に抵抗を始めようとするが──それよりも早くシャルティアが殲滅した。
レベル百にとってはレベル七十にも満たぬ雑魚など瞬きする間に殺せるのである。
「強すぎないか?」
ハドバルが苦笑いしながら呟いた。
「この先、何かあるわね」
通路の前でリッケが呟いた。
「経験上こういった道の先には待ち伏せがあるものよ……どうしたものかしら」
「しかし進みしかないのでは?」
軍人の一人がそう返した。
「いえ……ここは。シャルティア。あなた先行して暴れてきてくれるかしら」
「畏まりんした。軽く暴れるでありんす」
シャルティアはそういうと経験値ヨコセとばかりひゃっはーと突撃していった。
そして帝国軍が援軍に来る間もなく殲滅を完了した。
「殲滅が終わりんした」
「つ、強いわね……」
転移魔法や飛行魔法が使える時点でただものではないとわかっていたが、それでも強者に程があるとリッケは頭を抱えたくなった。
だがここで抱えている暇はない、と先へと進んでいくのだった。
更に先に進んでいき、ストームクロークたちを殺していった。
そしてストームクロークの気配がないところまで進むと、そこにはドラウグルの死体があった。
ドラウグル──というよりはこの世界のアンデッドは死んでも死体が残る。
そしてドラウグルは特殊なアンデッドであり偽りの生命力が一時無くなったとしても時間経過で復活することが可能だ。
と言っても破損が大きすぎる場合は復活できないが。例えば頭を完全に潰されていたり、関節を完全に破壊されている場合などだ。
「この先にストームクロークは居ないようね。ドラウグルに注意しながら進むわよ」
「わかったでありんす」
そうして更に奥に進む。
予想通りドラウグルが出て来たのでシャルティアが突撃する。
体感だが、ここのドラウグルはブリーク・フォール墓地よりも強く感じた。だがシャルティアにとって見れば一撃で倒せる雑魚なのであまり変わりはなかった。
すると行き止まりの広間に辿り着いた。
「……何もないわね」
だが、通路は見える。しかし鉄の柵があり通れなくなっていた。
しかし地面の穴から出ている形なので何かしらの機構があるのは明らかだ。
「周囲を探索するわ。こういったノルドの遺跡にはレバーか何かあるはずだから、それで道が開くはずよ」
リッケの言葉に従い軍人たちは周囲を探索する。
シャルティアも探索するがシャルティアに探索技能は無い。だが中の人が違う影響か軽く調べるぐらいはできる。
そこそこの広さを持つ広間だ。周囲には棺がある。
シャルティアは
そうして探索していると二階のロフトに上がったハドバルがレバーを見つけた。
「これじゃないか?」
ハドバルは隣にいる同僚の軍人に話しかけた。
「引いてみよう」
「だな」
そしてレバーを引っ張ると道の鉄の柵が降りた。
「よくやったわ!」
しかし次の瞬間棺が開き、ドラウグルたちが出て来た。
「邪魔でありんす──ターンアンデッド!」
シャルティアが手を叩くと周囲のドラウグルたちは浄化され、昇天した。
「対アンデッドの魔法で、ここまでとは……」
リッケは仕事柄魔法を知っている為対アンデッドの魔法と言うのに戦慄する。
この世界の対アンデッドの魔法はアンデッドを恐慌状態にし、逃走させるという物がほとんどだ。アンデッドにだけダメージを与える魔法と言うのはまずない。
それこそアンデッドに対し専門的に研究している者や回復魔法について研究している専門家ぐらいしか使えないだろう。
「さ、行くでありんすよ」
シャルティアがそう言い、先へと進んでいった。
■
道中の罠を避け、アンデッドを倒していく事で最奥に近づいた。
しかし一行は止まった。
「これは物語の間ね。この先に行くにはどうするのか……」
「確か似たようなところに行った事があるでありんす。ただその時は金の爪……竜の爪を模した装飾品を使って開いたでありんすが……」
「なるほど。ならそれを探すわ。みんな、探索して」
リッケの言葉に従い探索を開始する。
周囲にはストームクロークの死体が一つあった。
そうして二分ほど探索しそろそろ他の場所も見に行こうか、と言う時にハドバルが見つけた。
「なぁ、これじゃないか?」
ハドバルの手に黒檀で出来た竜の爪があった。
黒檀はこの世界では木材では無く高位の金属だ。黒くつやのある鉱石である。
「あ、それでありんす。その裏に絵があるから、それに扉の絵を合わせて嵌めれば開くでありんすよ」
「なるほど、やってみよう」
そうしてハドバルが扉の絵を回し揃える。
「よくやったわ! さぁ、先に進みましょう」
そうしてリッケを先頭にし一行は進んでいく。
奥の広間に着いた。奥の壁には言葉の壁と言う竜言語が書かれた壁がある。
その前には玉座があり、ドラウグルが座っている。
他のドラウグルとは雰囲気が違う。更に竜の骨の牙で出来た王冠を被っている。
「あれが王冠じゃないか?」
ハドバルがそう呟くとそれに反応したのかそのドラウグルが立ち上がった。
更に左右の縦の棺が開きドラウグルが出てくる。
「はいはい、ターンアンデッド」
シャルティアがそう手を叩きアンデッド退散の
残ったのは尖った王冠のみだ。
「よくやってくれたわ、シャルティア。これが尖った王冠で間違いないはずよ」
そうリッケが王冠を拾った。
「それじゃあ、転移魔法でソリチュードに帰還するわよ」
「わかりんした。それじゃあ、表に残してきた人たちを回収して戻りんすか」
そうして一行はコルバンヤンドを攻略した。