「あなたは『そこ』にいますか」   作:歩くコジマ兵器

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001 失敗作の定義

人はわかりあうことを知らなかった

滅ぼすか、あるいは滅びるか

分かり合おうと、一つになろうと願う彼ら

消えることを恐れ、消滅させようと願う人類

お互いの願いはすれ違うことすらなく、人は絶望的な戦いに足を踏み入れた

 

 

 

 

 

 

朦朧とした記憶。むせ返るような暑さの夏の日、パソコンをいじる少年はモニターを覗く

突然現れた広告、広告にはこう描かれていた

「あなたは、そこにいますか? Do you have there?」

それは子供の字のような字だった

 

 

 

 

鳴り響く警報、飛来する金色の生命体

「俺たち、ここで死ぬのかな」

「フェストゥムなんて、こなかったらよかったのに…」

「なんだよ、あれ…」

男の声に、皆が上を見上げる

 

「黒い…フェストゥム?」

「もうだめだ!おしまいだ!」

 

初めて見る漆黒のフェストゥムに皆が恐怖する

「アナタハ…ソコニイマスカ?」

どこか無機質な澄んだ声

「ひぃっ!」

「逃げるぞ!」

皆が叫んで逃げる中、僕は足が竦み、膝をつく」

「アナタハ…ソコニイマスカ?」

震える唇から息が漏れる

「僕…は」

「アナタハ…ソコニイマスカ?」

 

「逃げろ!」

男が叫ぶ

同時に、周りのビルが破壊される

「きゃぁぁぁぁぁ!」

「うわあああああああああああ!!」

皆が叫ぶ中、僕はビルの残骸を見て、歩けない中、死を見つめていた

 

唐突に、フェストゥムが僕に覆いかぶさる

 

――――同化される

それは、消えるということ

フェストゥムの中にはいり、自分という存在と自我が消失するということ

 

それは、どんなに悲しいことだろう

死体すらも残らずに、僕は消えるのだ

 

 

 

 

 

「アナタハ…ソコニイマスカ?」

 

眼を開ける

僕は消えていない

・・・同化されていない?

「なんで…?」

「アナタハ…ソコニイマスカ?」

漆黒の体に光る赤いラインがほのかに周りを照らしている

「アナタハ…ソコニイマスカ?」

怖くはない

震える足はもうない

「君は、どうなんだ」

「ワタシ…ハ、ココにイマスカ?」

学校で教えられたのは、ソコにいるかと聞かれることだけ

「君は、そこにいるの?」

 

 

 

 

 

「アナタハ…ソコニイマスカ?」

 

「ああ、僕はここにいるよ」

 

伸びてくる黒い腕

 

 

不思議と、恐怖は感じなかった

闇に包まれて、僕は消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コンニチハ…カズト」

 

 

 

 

 

 

 

目が開けると、幻想のような黒い空間に、赤い光があふれていた

「ここは…」

「オハヨウ、カズト」

転がってくる球体

「なに、これ」

「ワタシハ、ココ、ニイマス」

突然しゃべりだした球体に驚き、放り投げてしまう

飛んでいった球体は壁らしきものにぶつかると、同じく喋る

「イタイ」

「なんだよ、お前…」

 

「ワタシ、アナタ、ドウカ、セイコウ」

「同化・・・って、あのフェストゥム?」

無感情な声に質問を投げかけると、球体はまた転がってくる

「デモ、ワタシ、シッパイサク ヒトリ、ト、シカ、ドウカ、デキナイ」

しかも、僕はいまここにいる

「ワタシ、ドクリツ、スル キョウゾン、デキル」

フェストゥムと、人類が?

「ダカラ、ヨロシク、カズト」

球体から細い腕が伸びる

 

 

僕はその手を包む

「よろしく、フェストゥム」

 

それが、僕と黒いフェストゥムとの、最初の出会いだった

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