「それで、なんで俺は生きてるわけ?」
交わした手を話しながら、空間の隅に腰掛けて、いままで考えていたことを問う
「ニンゲントシテノカズト ハ シンダ」
「は?なんだよそれ、それじゃあまるで」
「ソウ、ワタシトアナタハドウカシタ、アルイミシッパイデアリセイコウダナ、ダガカズトノジンカクハドウカデキナカッタ、キミノチシキデイウナラバ、ヒトツノキーボードヲフタリデドウジニツカッテイルヨウナモノダ」
「お前突然饒舌になってないか?」
「カズとトドウカシタ、エイキョウ、私ハ、カズトノチしキカラ、コトバヲ習得シツツあル」
「なんだそれ、もう何にも驚かないくらいの気持ちになったぞ」
「強いて言ウなら、もうわたしは殆どのコとばを理解シタ、これも同化のオンケいかもしれない」
「…まあいい、何個か聞きたいことがある」
「ナニ?」
「お前達は・・・人類の敵なのか?」
ずっと疑問に思っていた
なぜ彼らは問いかけるのか、なぜ、彼らは同化するのか
「…?チガウナ、認識の違いともイえるかもしれん、私達は君たちと一つになり、次の次元へ行こうとしてるだけだ、その過程が同化、私は失敗作だ、違う生命体と同化が一度しかできない」
「なんだよ、それ」
まるで、いままで戦ってきた者達が無駄だったみたいないいかたじゃないか
「帰ってくることも不可能だ、もう彼らは「そこ」にいない」
じゃあ
「じゃあ、俺はなんなんだよ、俺はここにいるぞ、お前の目の前に、同化されたはずなのに」
「それはワタシが特殊だからであって、他のものもそうとは限らないな、他の特異型がある程度出て来れば変わるかもしれんが」
なんだよ、それ
いままで戦った人も、今まで笑ってた人も
今まで泣いてた人も、今まで怒ってた人も
父さんも、母さんも
あいつだって、生きていたんだ
生きていたのに、笑っていたのに
『そこ』に、いたのに
そんなの、おかしいじゃないか
あの人達は、ちゃんとそこにいたんだ
生きていたんだ
なのに…
「なぜそんなに疑問に思う?私達は善意で…」
「ふざけるなッ!!」
「…?」
「あのひとたちはいたんだ、『そこ』にいたんだ!笑ってたり、泣いてたり、生きていたんだ!!、お前たちが奪ったんだ、お前たちがいなければ、あの人達は生きていたんだ!!」
「…カズト」
「彼らを奪ったのはお前たちだ!お前たちさえ、お前たちさえ居なければ」
あのとき、目の前で失うこともなかった
「父さんも、母さんも…」
「これが…『悲しみ』」
「お前たちさえ、いなかったら…」
「カズト、一つだけ方法がないわけじゃない」
「ないっていったのは、お前たちだ」
「可能性は0に近い、やる意味もない」
「教えろ」
「…どれだけ時間がかかるかはわからない、私と君がどれだけ理解できるか、同化できるか」
「同化なら、もうしてるだろ」
「そうだな」
「父さんも、母さんも帰ってこない」
「可能性はほぼ0だといったはずだ」
「できるのか?」
「時間をかければ確率は上がると思うがな」
「…どうすればいい」
「私はフェストゥムとして欠陥品だ、君と共存し、君の意見を優先する、そういう失敗作だ」
「どういうことだ?」
「私達は同化した時点で取り込んだ存在をそこから消してしまう、私のタイプは言うまでもないだろう、時間をかければ、どれだけかかるかは計算する気もないが、ミールを支配下に置けばいい」
「ミールを…支配下に置く?」
「立場を逆転させる、それで中にいる者たちを再構成する」
「どれくらいかかる」
「計算する気もない、だが私達は分かり合う必要がある、ひとつの目的のために動けば、分かり合えるかもしれない」
その時から、僕と、おかしいフェストゥムとの共存関係が始まった
心も、感情も知らない、黒いフェストゥム
そいつは、悲しみを理解して、悲しみの先を知ろうとした
その先に、僕はいるのだろうか