希望ヶ峰学園に一人の天才が入学するお話。   作:Mr,嶺上開花

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明日模試なのにノリで書いた。後悔はしている。


二つ目の入学案内

僕の名前は夜神月。月と書いて【ライト】と読む、…自分で言うのも変だけど少し変わった名前だと思う。

中学は歩いて15分くらいの普通の公立校だ。高校受験が終わった今となっては殆ど登校していないけれどそれなりに良いところではあったと思う。教師は優しく指導してくれ、周りも目立った不良などは一人もいない。皆が皆…と言うわけではないけれど、学校としてはかなり最適な環境にいたのだと思う。

 

それに僕は中学では部活もしていた。テニス部だ。やってみたら結構面白かったし、真面目にやっていたら遂には全国制覇を二度成し遂げることが出来た。残念ながらダブルスでは全国に行くことはできなかったけど、それなりに満足出来たし何より楽しかった。中学生活を謳歌出来たと言っていい。

 

だが、僕は高校でテニスをする気は無い。遊びは中学まで、高校からは学業に専念する。これは前々から決めていたことでもある。

高校からはより一層勉学の難易度が上がるとも聞いているし、それに僕は日本最難関の東応大学へ入りたいと思っている。その心は単純で、ゆくゆくは警視庁の重役に就きたいと思っているからだ。その為には大学のレベル箔をつけておかないといけないだろう。そうして警視庁に就職し、世の中から歪みを取り除くのが僕の夢でもある。

今の警察は捜査も推理も余りに杜撰…とまでは言わなくとも、もう少し何とかなるはずだ。いや、何とかしてみせる。そしてもっと平和な世の中を形成したい。

 

それにあたっての学部選択は未だ決め兼ねているけど、個人的には社会学部や法学部にしようと思い至っている。全部を決めているわけではないが、ある程度は決めておかないと後々に響いてしまう。取り敢えず、今のところだと文系方面なのは確定事項だろう。

 

その為にまずは高校で努力する。先んじての目標は全国模試一位である。

 

 

 

 

 

 

「月ー!何か高校から郵便が来てたわよー!」

 

朝、僕が自分の部屋から出て階段で降りているとそんな母の声が聞こえてくる。高校から郵便…と言っても実のところ、僕には全く身に覚えがない。なぜなら既に僕の進学先の高校からは必要資料と各種要項、学費に関する用紙なども合わせて全て貰っているからだ。それに学校のホームページでも確認し、学校からの資料はこれだけとしっかり認識している。

 

…つまりこれには2つほど可能性が存在する。一つは学校から受け取った資料に不備が存在する可能性。もう一つは学校側の住所管理ミスで僕の家に重複して同じ資料が届いた可能性。どちらもあまり事例のある話ではないが、可能性として存在する程度には信じるに値する話でもある。

 

 

「うん、今行くよ」

 

母にそう言って僕は階段を下りスピードを気持ち半ば早める。階段を降り切ってリビングへ行くと、朝ごはん共に分厚い封筒が添えてあった。この封筒から前者の可能性は消えたと見ていいだろう。訂正の為に全ての資料を送り直すなんてことは流石にしないと思う。

 

 

その封筒を先に朝ごはんを食べていた小学生の妹、粧裕が反対側のテーブル席から手を伸ばして封筒の表面を確認する。

 

「何これ?…希望ヶ峰学園?お兄ちゃんが志望した高校って確か私立大国…なんとかって高校だったよね?」

 

「惜しい、フルで言うと私立大国学園高等学校だな。確かにそれが僕が受験して受かった高校だ」

 

私立大国学園高等学校。偏差値はそれなりに高く東応大学への合格者数も多い名の知れた進学校、それが僕の行くであろう高校だ。手続きはまだ終えていないが、後3日もすれば全て終わって僕は大国学園の新入生としてどこかのクラスの名簿に名前を書かれるだろう。

 

 

そう、だからである。僕は希望ヶ峰学園なんて高校は知らない。第二志望でもなければ併願もしてない、本当に僕にとっては知らない高校。

 

だが、知識としては知っている。全てのソースはネットからだが、多数確認したので間違いは無いだろう。

 

希望ヶ峰学園、あらゆる分野で卓越した才能を持つ生徒のみをスカウトで入学させ、ここを卒業すれば人生の成功は間違いなしと言われる。謂わば【希望】の象徴。

 

…まさかと思うが、そんな学園が僕へと入学案内を持ってきたというのか?

そう考え、頭の中で弁論を繰り返すが幾らやっても出るのは肯定のみ。封筒を手に取り持ち上げてた重さからも、資料が全て詰まっているのなら納得が行く。第一入学とは無関係な人間にこんな大層な物は来ないだろう。

 

 

「ねえお兄ちゃん、これ開けても良い?」

 

「いや時間が…今日は日曜か。別に良いぞ」

 

少し自分でも動揺したのか、間違えて今日を平日だと思ってしまう。しかし今日は日曜、入試の結果は一昨日の金曜届いたばかりの日曜日だ。時間は受験が終わった僕、小学生の粧裕の共にたっぷりある。

 

…何を焦ってるんだ僕は、これが届いたからといって何も無いだろうに。

 

 

「粧裕、月の封筒は良いから早く朝ごはん食べちゃいなさい」

 

「あ、そうだった。じゃあお兄ちゃん、先に開けていいから後で中身見せてね!」

 

「…何で粧裕が上から目線なんだよ」

 

そう思いながら僕は希望ヶ峰学園からの封筒を朝ごはんの邪魔にならないよう脇へと置いて、ご飯を食べ始める。

 

 

 

 

朝ごはんを食べ終わった僕は、直ぐに部屋に戻って封筒の中身を確認することにした。丁寧封筒のノリの部分を破り、中身を慎重に取り出す。

一番上に入っていたのは薄い一枚のコピー用紙だった。

僕はその用紙を思わず読み上げる。

 

 

「我が希望ヶ峰学園は夜神月殿を【超一流のテニスプレイヤー】として迎いたく存じ上げます…だって?」

 

「殿」敬称に少し違和感があったのもあったが、僕の気持ちの大部分が、これは巫山戯ていると感じていた。しかも少しどころじゃない、大いに巫山戯ている。

確かに僕は中学テニスで一線級の活躍をしたと思うし、それを自負してもいる。

だからと言って僕の中で培われた夢や思想は消え去ることは出来ない。

 

仮に僕は希望ヶ峰学園に入学したとしよう。すると、向こうは僕の事を凄腕テニスプレイヤーとしか見ないだろう。

つまり、東応大学に入ることは疎か、ましてや警視庁に入庁する事も出来なくなる可能性が出てくる。希望ヶ峰学園は僕のことをテニスプレイヤーとして育成しようと干渉してくるからだ。そんなのは僕自身が受け入れられないし、蹴るしかない。

 

 

僕は丁寧に破った封筒を机の上に放置し、部屋を出た。

 

 

 

 

 

リビングには先程は寝ていた父も起きてきて、今僕も来たので家族全員揃う形となった。粧裕はテレビを見ていたが、リビングに入ってきた僕に気づくとこっちに走ってきた。…走るのは危ないだろうに。

 

「お兄ちゃん、あの封筒どうだったの?」

 

駆け寄ってくると、僕を見上げる感じで純粋にその事を聞いてきた。さっきも後で良いから教えてくれと言ってたし、まあいいか。

 

「実は凄腕のテニスプレイヤーとして希望ヶ峰学園にスカウトされたんだよ」

 

要点をかなり要約して説明すると粧裕は、そうなの?と納得したように目をパチクリさせる。しかしその反応とは真逆に父さんと母さんは物凄く驚いたような表情を浮かべてこちらを見てきた。正直怖い。

 

 

「月!それ本当なの⁉︎」

 

「うん、本当だよ。というか母さんはさっき封筒受け取ってくれから知ってると思ったんだけど…」

 

朝に封筒のことを僕に伝えたのは母だと覚えている。受け取ったなら宛先と差出人くらいは見るはずだけどな普通…。

 

今度は重い口を開くように、警察庁刑事局室長である僕の父、夜神総一郎がこう言う。

 

「…それで月、お前はどうするんだ?」

 

「僕はこの提案、蹴ろうと思ってる」

 

「お兄ちゃんこれ蹴るの⁉︎この高校、そういや前テレビでかなり凄いってこと聞いたことあるのに」

 

僕は父さんの質問に答えると、粧裕が驚いたような声を上げる。まあ当然かもしれない、何せ卒業すれば人生成功は待った無しとも言われる希望ヶ峰学園にスカウトされたのを蹴るんだ。僕だって夢も希望もなく生きていたなら惰性でたどり着いたかもしれないが、実際はそうじゃない。ここに入っても僕は何一つ得ることができず、代わりに夢を失うのだから。

 

 

「良いのか、月。俺の同僚にも希望ヶ峰学園の卒業生が居るが、そいつも初めにスカウトされたのは凄腕のゲーマーとしてだそうだ」

 

「…父さん、それは本当の話なのか?」

 

凄腕のゲーマー?全く刑事とは関係無いじゃないか。それはつまり、才能と関係なくとも希望ヶ峰学園は進学者の道をサポートしてくれるということなのか?

 

「ああ、それにかなりの変わりもんだった。今じゃ警視庁のサイバー犯罪対策課の所長をしているらしいがな。何でも、オンラインゲームでのチートや乗っ取り行為が許せない、だそうだ」

 

そんな奴が所長で良いのか。

…まあ恐らく、その発言を帳消しにしてお釣りが来るくらいの事をしているんだろう。確かに分野は違えど超一流になれる才能を持っているから不可能ではない。

 

 

「…じゃあ僕は希望ヶ峰学園に入ってもテニスプレイヤーになる必要は無いんだな?」

 

「ああ、そうだと言っている。それにそいつの話だと、担任が助けてくれてどうにかなった部分も結構多かったとも聞いている。…正直私も、月には希望ヶ峰学園に入って欲しいと思っている」

 

「父さん…」

 

本来なら渋るはずの分野での手厚い学校からのサポート。つまりは才能の垣根を越えた教育を希望ヶ峰学園は行っていることを意味しているのだろう。

 

 

 

「………決めたよ、僕は希望ヶ峰学園に行く」

 

「……後悔はないか?」

 

父さんはそう僕に再確認する。確かに、未練がないと言えば嘘になる。中学はテニスに時間を割いていた分あまり勉強には回せず、地域のトップ校に入ることは断念したと言ってもそれなりに努力して掴み取った入学案内だ。だが、希望ヶ峰学園の方が設備教師など全ての箇所で優れているのならそちらへ進学変更するのも吝かではない。

 

 

「うん、後悔はないよ父さん」

 

そう、後悔はない。絶対に東応大学に入学する、そしてその後警視庁へ就職する。

僕にあるのはその気持ちだけだった。




原作との相違点

大前提:夜神月はデスノートを拾わない。また、Lやニアなどの他のデスノートキャラは基本出てこない。出て来たらLも超高校級の探偵とかで入学しちゃいそうだし。当然ミサミサとかいうメルヘンな人も出てこないよ。

詳細な変更点
・夜神粧裕はまだ小学生。月もまだ高校一年なので。
・夜神月総一郎は局長ではなく室長。これは年齢的に考えて。それでも十分偉いけど。

さて、次の更新はいつかな〜(参考書をめくりながら)

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