偽・虚狩り   作:初楼

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ホロウレイダー(4)

「あづいぃぃ〜……。」

「ほれ、保冷剤だ。脇とか内腿の太い血管があるところに挟んどけ。」

「なんで、そんなに回復早いの…?」

「まぁ、身体が資本な仕事に就いていたからな。」

 

フローリングの床にうつ伏せで寝そべるメリュジーヌに保冷剤を渡した後、冷蔵庫で冷やしていたペットボトルの水を飲みながらそっと視線を逸らす。

現在お互いにパンイチの状態だ。

風呂場でメリュジーヌが意識を失いかけたので、すぐに風呂場から担いで出たんだが、その際にせめてもと思いパンツだけ履かせたのだ。

履かせることになった下着は、まさかの白色のレース下着だった。

手触りも良く、刺繍も凝ったデザインのもので、所謂勝負下着と言うやつだろうか?

いつの間に買ったのかとか、これ履いた状態で誘惑されたらとか悶々と思考を巡らせながら介抱する羽目になった。

白磁のような肌が赤くなり、深呼吸を繰り返すメリュジーヌは非常に目のやり場に困る。

風呂場での出来事が脳裏に過ぎる……流石に2時間はやり過ぎたかもしれない。

ある程度の放熱が終わったのか、身体を起こして胡座をかいたメリュジーヌが

 

「そう言えば後ろ髪伸ばしてるよね?なんで伸ばしてるの?」

 

と言ってきた。

 

「これか?まぁ、ある人から伸ばすよう言われてな。特に断る理由も無かったもんで、今まで伸ばしてたんだ。」

 

雅はなんで後ろ髪を伸ばすように言ったんだろうな?

良く毛繕いの修行とか言ってお互いに髪を梳かし合ってたし、それが理由か。

 

「ほら、髪の毛乾かすからドライヤーと櫛持ってこい。」

「はーい。」

 

胡座をかいてその上にドライヤーと櫛を持ってきたメリュジーヌを座らせ、長い銀糸のような髪を乾かしていく。

 

「僕ははじめてだから分からないけど、髪の毛乾かすの上手なんじゃない?」

「それなりに、長い髪を乾かす経験は有るからな。下手では無いと思いたいね。」

「…えっ?」

「ん?どした?」

「ううん、なんでも無いよ。引き続き宜しくね。」

 

何か一瞬固まった気がしたが、気のせいだな。

…それよりもメリュジーヌの小振りながらも弾力に富んだ臀部によってある一部が圧迫されている…。

本人にその自覚は無さそうだが、何とかならないかね。

 

「さっき洗面所で着けてた仮面はさ、変装用なの?」

「そんな感じだな。ホロウ内で顔を隠す為のやつさ。」

「黒鐵に良く似合ってたけど、後ろ髪が長いとそこだけ浮いちゃうね。いっそ切っちゃえば?」

「ふーむ、それも有り…か。」

 

変装の基本は眼鏡と髪型を変えることって、治安局でも随一の尾行技術を持つ捜査官が講習で言ってたな。

万全を期すなら髪型も変えるべきか。

 

「それなら近くの理容室でも探そうかねぇ。」

「僕が切ろうか?お金掛からないし、ちょっと整える位ならできると思う。」

 

ドライヤーと櫛で乾かし終わった髪をゴムで一つ縛りにしたメリュジーヌがそう言ってくれたが、なんだかやけに真剣な声色だ。

家計を圧迫しないようにと提案してくれた事だし、お願いするか。

 

「それならお願いするよ。」

「うん、任せて。善は急げとも言うし、早速切っちゃおう!」

 

メリュジーヌに手を引かれて風呂場に戻ってきた。

少しばかり気まずい…。

 

「じゃ、じゃあ切っちゃうね…。」

 

メリュジーヌも頬を赤くしているのが鏡越しに見て取れる。

 

「別に風呂場じゃなくても良かったんじゃないか?」

「いいの!後片付けとか、楽な方が良いでしょ?」

 

何やら拘りが有るみたいだが、まぁいいか。

 

「それじゃあ切るね。」

 

チョキチョキとハサミで髪の毛が少しずつ切られていく。

…良かった。メリュジーヌの事だから、もしかしたら一気バッサリ切ってお終いってなる可能性もあったからな。

後日改めて理容室に行く必要は無さそうだ。

暫くの間、風呂場にはハサミの音と彼女の鼻歌が響いていた。

 

──────────────────────

 

「良し、これで終わりだよ。」

「おう、ありがとうな。」

 

落ちた髪の毛をシャワーで流し、排水溝に溜まった髪の毛を回収して風呂場を出た。

ここまで髪の毛を短くしたのは久々だな。

首後ろがスースーするが、直に慣れるだろう。

 

「流石に色々やって疲れたな…。」

「そうだねぇ…あふ…。」

 

メリュジーヌも疲労がピークみたいだな。

欠伸をした顔を見ると寝落ち寸前って感じだ。

 

「そろそろ寝るか。」

「うん…寝るぅ…。」

 

メリュジーヌからの熱い要望により、ベットはクイーンサイズ1つとなっている。

爬虫類(ドラゴン)のシリオンだからなのか、夜になると人肌が恋しくなるらしい。

ベットに着いた途端、布団に潜り込んで丸くなる様子はいつもより幼く見えて微笑ましい。

俺も布団に入ると途端に睡魔が襲ってきた。

 

『マスター。明日にはノックノックで依頼を受けましょう。』

「そうだな…。てかやけに静かだったな?」

『勿論超優秀なAIはマスターのプライベートに立ち入らずサイレントモードになるものです。』

 

あっ…(素で忘れてた)

 

 

 

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