偽・虚狩り〜ホロウレイダー堕ちをかました元治安官〜   作:初楼

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暴走ホロウ(2)

『解除(アンロック)起動(アクティベート)』

『マスター認証を開始。遺伝子情報の登録をお願いします。』

父が研究していた遺物が、何故TOPS傘下企業の倉庫にあったのか疑問は尽きない。

今まで使っていた直刀がその遺物の鍵となっていたのは、間違いなく父の仕業だろう。

直刀の銘も開門・護摩(開けゴマ)なのも、父独特のセンスが輝き過ぎてる。

遺伝子情報ってことは、血で良いんだろう。幸いなことに血なら有り余る程出てるしな。

制服に滲んでいる血を右手の親指で拭き取り、柩の中央部分にタッチすると、

『遺伝子情報確認、マスター登録完了。対ホロウ武装制御システム「ハイペリオン」起動。』

と音声がしたので、無事に登録完了したみたいだ。

『マスターの左腕の欠損を確認。応急処置を強く推奨します。』

「済まないが、今はそれどころじゃないんだ。今ここは突如発生した暴走ホロウ内で、近くの瓦礫の山で巨大なエーテリアスが暴れてる。対ホロウ兵装って言ったな?力を貸してくれ。」

『周囲の状況を確認。つまり我々は象がタップダンスを踊っている足元にいる蟻ということですね?』

「なんでその例えにしたか分からないが、そういうことだ。しかもその象はこっちを的確に狙ってくる。」

そう言って折れた直刀を見せる。

「さらに言うとこっちの武装も破損して使い物にならない。俺も左腕がお釈迦になってる。」

『了解しました。それでは欠損した左腕の代わりに戦闘用の義手の生成及び対エーテリアス用の武装を構築します。』

そう言って柩…ハイペリオンはカシャカシャと音を立てながら変形していく。

そうして出来上がったのは黒色の義手だった。所々に金色のデザインが施されている。

『まずはこちらを装着してください。』

「分かった。なるべく痛くしないでくれよ?」

ベルトで簡易的な止血しかしていない左腕を差し出すと、

『前向きに検討して、善処したいと思います。』

と言った。

こいつAIの癖に曖昧なこと言うじゃん…。

装着は痛みを感じる事なく済んだ。言動はどうであれ、こちらの要望にはしっかりと答えてくれるらしい。

『装着完了。マスターの肉体の応急処置も合わせて完了しました。これより武装構築のため、マスターの記憶領域を検索します。』

「ちょ、まっ、おいこらプライバシーの侵害だぞおい!さっきの直刀的な感じで良いから!」

『先の武装では、超級エーテリアスに対して火力、耐久力共に不足しています。先の武装の再現では太刀打ちできない可能性が極めて高いため、より高性能の武装の構築のため必要と判断します。』

このポンコツAIめ!それはライン超えだぞ!?

誰にだって知られたくない過去ってものがあるもんだ。それを出会って数分でほじくり返されるとは……。

『……マスターの記憶領域に虚狩る戎具「骸討ち・無尾」を確認。疑問、マスターに使用経験があるのですか?』

「……ある。1度だけ…な。」

色々と言いたいこともあるが、時間がない。

『それでは、骸討ち・無尾の再現構築を開始します。』

「できるのか?あれは星見家代々の使い手の怨念が宿っているから、使い手を選ぶって話だが?」

『あくまで再現です。当武装の性能を再現するのみなので、マスターに対する精神汚染、侵食等の不利益は一切ありません。』

かの妖刀をデメリット無しで振るえるなら、あの超巨大エーテリアスに対しても勝ち目はある…か?

だが、俺は……、あの刀を…振るえるだろうか…?

『再現構築完了。マスター、手に取ってください。』

俺が悩んでいるうちに無尾の再現構築が終わったらしい。

ハイペリオンによって構築された無尾は記憶にある物よりも暗く、漆黒の鞘に納められていた。

『マスターに使用上の注意を説明します。本機が再現した骸討ち・無尾はデメリットを削除した代わりに、刀身から活性化したエーテルを取り込む事で最大限の性能を発揮する仕様となっています。これは本機に搭載された擬似エーテル炉の可動によって成り立つため常に』

「常にエーテリアスを切り続けないといけないってことだな。」

『……その通りですマスター。』

性能を発揮し続けるためにエーテリアスの血を求めるって感じか。どう足掻いても妖刀ってことだな、この刀は。

「よし、やるか。」

『了解しました。本機も臨戦モードに移行。戦闘をサポートします。補足、当武装の命名をお願いします。』

刀の命名か、そういえば無尾の銘の由来って知らないな。

ふーむ。

「とりあえず無尾で良くない?」

『拒否。ちゃんと命名してください。』

変なところに拘るのねこいつ。

鞘から刀身を引き抜くと、その刀身は黒と言うよりも玄(くろ)だった。元の刀の特性を考えると……。

「銘は玄冬(げんとう)。玄武の玄に冬だ。」

『銘を登録。マスターのセンスは厨二病なのですね。』

「人のセンスを貶めるの良くない。」

『では行きましょう、マスター。サポートはお任せください。』

ハイペリオンによる応急処置のお陰で身体は動かせる。

武装も高火力の物を用意出来た。

倉庫のひしゃげたシャッターから出ると、巨大な触手をうねらせたエーテリアスはその威容を衰えさせる事なく存在していた。

だが、こっちもやられてばかりじゃないぞ。その触手をブツ切りにしてたこ焼きにしてやろうかと息巻いていると、

『報告。当エーテリアス直近に生体反応あり。バイタルの低下も見られます。』

「……そういう時はな?ハイペリオン。要救(助者)発見って言うんだよおお!!!」

身体に残る鈍い痛みを無視して、全速力で走り出した。

 




ハイペリオンのCVは石川由依さんが良いなって思います。
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