『これより依頼の説明をさせて頂きます。今回の依頼はヴィジョン・コーポレーションからの依頼となります。依頼内容については旧都地下鉄の生き残っている路線を走行させる無人貨物列車の護衛です。今後計画されている民生プロジェクトの一環である旧都地下鉄の再開発、その前段階となります。同路線は共生ホロウ「デットエンドホロウ」内を通過する路線であり、エーテリアスからの襲撃に備えて欲しいのです。報酬は全額前払い。……TOPSの懐刀と言われる貴方の力を是非とも貸して頂きたいのです。色良い返事を期待しています。』
TOPSの懐刀ねぇ……?
確かにそう受け取られても仕方の無いか。
タイムフィールド家、カールミンロート家、クランプスの黒枝等のTOPSの中核を担うところの縁があるのは事実だし。
ヴィジョン・コーポレーションと言えば、最近TOPS入りを目指している大手建設会社か。
今回の依頼も民生プロジェクトの旧都地下鉄再開発の前段階って言ってたな。
まだ工事の落札は一年位先と言われているが、先に唾を着けておこうって腹積もりだな。
結構でかい事業だし、白祇重工も落札に動くかも。
今度ジーク総長に聞いてみるか。
「ねぇねぇ、この依頼受けるの?」
「受けるつもりだが、どうした?」
後ろからメヌが抱き着きながら声を掛けてきた。
首筋に密着する柔らかい感触を感じながら、依頼受諾のメールを送信する。
……最近メヌの胸が大きくなってる気がする。
この前も新しい下着を身に付けていたし、可能性はある…か?
「なら、私も一緒に行きたいなぁって。」
「別に構わんが、どういう風の吹き回しだ?」
振り返るとメヌは白色のタンクトップと短パンというラフな格好で立っていた。
立ったまま胸を強調するように両腕を組み、
「最近また下着のサイズが合わなくなってきてるんだよねぇ。誰かさんがしつこく、ねちっこく揉むから、大きくなったのかも。だから新しく下着を買う為の軍資金を稼ごうと思って。」
「なん...だと…?揉まれたら大きくなるって都市伝説じゃなかったのか?」
「エデにも確認してもらったから間違いないと思う。」
メヌは不思議そうに自分の胸を両手でモミモミしている…。
…ふむ、出会った頃に比べると歴然の差だな!
「ちょっと、エッチな目で見ないでよ?」
「目の前で胸を揉みしだくお前が悪い。」
出会う前は栄養状態がかなり悪かったみたいだし、本来の健康な身体に戻ろうとしているなら良いことだ。
…ちょっと病的に痩せていた身体も、こう、滾るものがあったことは否めないが。
…言ってて自分の性癖が分からなくなってくるな…。
「まぁ、お金が欲しい事情は了解した。一緒に行こうか。」
「わーい!ありがと!…買った下着は着て見せてあげるからね…。」
少し顔を赤らめさせて耳元で囁いたメヌは、自室に戻って行った。
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「なんでエデもいるのさぁ!?裁定官の仕事はどうしたの!?」
「此方の方が面白そうだったので、あちらの仕事は後輩に任せてきましたわ。」
現在俺達は路線を走行する貨物列車の屋根の上に居る。
そこそこの速度で走っているので風が強く、メヌや髪の毛やエデのロングスカートを激しくはためかせている。
「あぁ、あれか。デットエンドホロウ内で噂されている大型エーテリアスのことか?」
「そうよ。何でもかなりの怪力を誇るそうじゃない?そのエーテリアスがどれ程のものなのか、確かめてみたくなったわ。」
「うわぁー、出たよ脳筋バトルジャンキー的思考。」
「依頼の内容にもエーテリアスの襲撃が予想されるってあったし、護衛対象がそこそこでかいから人手が欲しくてエデにも声をかけたんだ。」
雑談しているうちにホロウ内へ入ったな。
ここからはエーテリアスの襲撃に警戒しないと。
「ほら、雑談もそこまでだ。………お客さんも来たみたいだし。」
後ろの方に音を殺して屋根に着地した人物がいるな。
微かな金属音と音の響き方からすると……義足か、それも戦闘用のやつ。
振り返ると長身の狼のシリオンだった。
白い毛並みと執事服という身なりは場違い感があるが、強いぞ。
「こんなところに何用だ?帰ってご主人様に散歩でもして貰った方がいいんじゃないか?」
「お気遣い痛み入ります。ですが、私もご主人様からご依頼を受けておりまして。」
メヌとエデも既に戦闘態勢に入っている中でも戦意がまるで衰えない。
一人で三人を相手するつもりか?
「貨物列車の襲撃者を排除するように仰せつかっております故、何卒ご容赦頂ければと思います。」
「…はぁ?襲撃者?」
「私達襲撃者だって。」ヒソヒソ
「嵌められたかしら。」ヒソヒソ
相手の勘違いか、依頼のブッキングか、或いは……
「一応聞いておくが、どこのどいつが依頼主だ?こっちも依頼を受けているんでね。」
「クライアントについては一切情報を開示致しません。ご主人様のプライバシーを守る事も務めでありますので。」
「まぁ、だろうな。」
「では、狩らせて頂きます。」
相手も構えたな。
戦闘用の義足を使うあたり、蹴り主体の戦法か。
「リナ!エレン!カリン!今です!」
「な!?」
右側面から一人、左側面から二人、メイド服を着た奴らが飛び出してメヌとエデを後方に弾き飛ばしている。
くそつ!車両の側面に伏兵を待機させていたか!
メヌの相手はサメ?のシリオン一人。エデの相手は浮いているメイドとエンジンカッター?を持ったメイドだ。
この布陣……事前に策を練ってきたな。
つまりこれは相手の勘違いでもなく、依頼のブッキングでもなく……騙して悪いが(俺達を誘い込むための罠)ってやつか!!