「くそっ騙された!…止めろメヌ!エデ!それ以上は凶器準備集合罪だぞ……!」
凶器準備集合罪とは、2人以上の人が、他人の生命・身体・財産に害を加える共同加害目的で集まり、凶器を準備して集合する罪である。
「凶器だなんてそんな物騒な物じゃないよ?♡」
「まぁ、ある意味貴方にとっては凶器になり得るのかもしれないわね♡」
この二人は現在……俺を女性用下着専門店に連れ込もうとしている!!!女性用下着専門店とか男が入っちゃ行けない聖域でしょ!?そこに連れ込むってことは社会的な処刑と何も変わらない!このお店は最早凶器にも等しい……!
しかも両腕をガッチリホールドされる不覚を取るとは…!
いつにも増して二人から腕を絡めてくるなぁ、とか肘に当たる柔らかい感触を密かに楽しんでいたのが裏目にでたか!
「俺を…!社会的に…!殺す気か…!」
周りの視線が突き刺さって痛い。
特に独り身の男性からは般若の形相で睨まれているし、女性客からは汚物を見るような目で見られている。
「いい加減観念なさいな♡」
「そうだよ、我儘言わない♡」
ダメだ、エデが本気を出したら力比べじゃ勝てん!
「ヤメッ!ヤメロォー!」
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「あら、このデザイン良いわね。」
「へぇー新作は着け心地の良い素材を使ってるんだ?」
「……………………………。」
右を向けば可愛らしいフリルが付いていながらも、大胆に布をカットして露出度を底上げしてる白い下着を持つメヌ。
左を向けば赤色の透明感抜群のネグリジェを持って鏡を見ているエデ。
「ねぇ、貴方はどちらがお好みかしら?」
そう言って見せられたのは、赤色のネグリジェと黒色のベビードール、どちらも透け透けである。
「そうだなぁ。色的には黒が好きだけど、エデには赤が似合うし、甲乙付け難い…。」
「じゃあ私は?どっちが似合う?」
メヌが手に持っていたのは、白色のフリル付き下着と水色のレース下着、どちらも露出度高である。
「髪の毛の色に合わせるか、翼と尻尾の色に合わせるかで悩ましいところだ…。」
はぁ……なんでこんな事に…。
…そう言えば雅にも下着を選ばされた覚えがあるなぁ…。
羞恥心に負けない修行だのなんだの言って、雅が初めて身に付けるブラジャーを選ばされたっけ。当時の俺はまぁ修行だしと、深く考えていなかったが、あれって結構際どい行為だったのでは?雅の考えることはよく分からん。
しばらくの間、二人の下着選びにしぶしぶ付き合っていると、見覚えのある人物が店に近づいてきた……これはピンチはチャンスと言うやつでは!?
「やばい、前の職場の同僚が近づいてる!すぐにここから出るぞ!」
「え?そうなの?…じゃあこっちにおいで。」
「ゑ?」
店から出る大義名分を得たので、ここぞとばかりに退店しようとしたら、メヌとエデが俺の腕を引っ張って試着室に連れ込んだ。………うん?試着室?
「メ、メヌ?エデ?」
「これなら見つからないよね。」
「えぇ、大丈夫だわ。」
2人は手に持っていた購入予定の下着をフックに掛けるとおもむろに服を脱ぎ始めた!
「何してんの!?」
「あら、小さな大声を出すなんて器用ね。だって試着室よ?折角なのだし試着してみないと。」
「俺いるんだけど……?」
「でもノワールは外に出れないよね?じゃあ仕方ないよね。ちゃんと見ててね♡」
目の前で繰り広げられる二人のストリップから目が離せなくなる。こいつら…わざとゆっくりと見せつけるように服を脱いでやがる…!メヌは最近さらに肉付きが良くなった胸と臀部を包み込む白色の下着を晒している。エデはその豊満な肢体を飾り立てるような精緻なレースが施された黒色の下着だ。密室に三人、うち二人はあられもない下着姿。流石の二人も恥ずかしいのだろう、頬を紅潮させているが意を決したのか、遂に下着に手を掛け始めた…!
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試着室から出れたのは一時間後だった。今二人は購入する下着の微調整をしているので、やっと店から出ることができた。さっき店の近くを通ったのは、朱鳶だったな。あの生真面目優等生に見られていたら即逮捕されていたかもしれん…。店の近くにあった自販機でスポドリを買い、水分補給をしていると2人が店から出てきた。
「良い買い物ができたね、エデ。あ、お口直しにちょーだい。」
メヌに飲みかけのスポドリを渡すとゴクゴク飲み始めた。
おいおい全部飲む気か?
「そうねメヌ、私も後で一口貰うわ。…ノワールに良く効きそうな良いものが買えたわ。」
「お前達…後で覚えてろよ…?」
「「きゃーこわーい♪」」
こいつらぁ……後でマジで泣かせてやるからな…?
「で、後は何を買うんだ?」
「そうね…前に貴方の知り合いのシリオンに匂いで正体がばれたじゃない?匂い対策に香水なんてどうかしら?」
「香水ぃ?男なのにそれはどうかと…。」
「何言ってるの?男性でも香水を使う人って意外と居るんだよ!だからノワールを香水使ってみようよ!」
メヌがめっちゃ力説してくるが、本当かぁ?
「制汗スプレーじゃ駄目なのか?」
「駄目ね。制汗スプレーはあくまで汗の匂い対策だし、持続時間も短いわ。貴方はシリオンじゃないから理解しづらいかもしれないけど、体臭という物は言わば個人を特定できるものなの。指紋やDNA程では無いにせよ、気を付けるべきね。」
「うんうん!」
ふーむ、そういうものなのか?エデが言うからには本当なんだろうけど……。
実際ライカンには匂いでバレたしなぁ…香水、買うか。
「分かったよ、けど香水の事はよく分からんから任せるぞ?」
「えぇ、勿論よ。」「まっかせて!」
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二人に連れてこられたのは、同じ商業ビル内にある高級化粧品店だった。…確かに男性用の香水コーナーがある。そしてその種類も思いのほか豊富だ。
「ふむふむ…時間経過で匂いが変わる…?そんなものも有るのか!」
「ね?色々有るでしょ?」
メヌが自慢げに話してくるが、どうせエデから聞いた話だろうに…。
香りについては……石鹸系、フルーツ系、樹木…?お茶……?火鍋……?ホロウ内の空気を再現……???
「あ、見て見てエデ。ノワールが宇宙猫みたいな顔してるw」
「あらあら、お可愛いこと。初心者の貴方が何となくで選んでも良い香りにならなくてよ。そもそも香水とは、人それぞれの身体から発せられる匂いと合わさることでその効果を何倍にも跳ね上げることができるの。だ、か、ら、私に任せなさいな♡」
「お、おぅ…。」
めっちゃ早口で解説するじゃん…。
二人がどんな香りの香水にするか、店員も交えて議論しているので、店の外で一息つくことにしよう。
通路に設置された長椅子に座って残り少ないスポドリをチビチビ飲んでいると、
「あ、あの!」
「ん?」
金髪の女の子(ウサギのシリオン)を連れた赤毛の女の子に声を掛けられた。
「ち、ちょっとそこで、お茶でもしませんか!」
え?もしかしてナンパされてる?