「それで、見目麗しいお嬢さん方からお茶に誘われて光栄なのだけれど、一体何の要件かな?」
ウサギの子はアリス・タイムフィールドだったか。黄色と赤色のオッドアイが印象的で覚えていたよ。って事は赤毛の子は柚葉か。2人とも大きくなったなぁ。ライオネル氏から二人がセレスティア女学院に入学したと聞いている。
しかしこの二人とはあれ以降会ってないし、素顔も見られていないので、ノワールとバレた訳では無いと思いたい。
…最近正体がバレることが多いし、何とかしたいところだ。
現在近くのカフェに入店し、通路側の席に向かい合うように座っている。
柚葉は前髪を整えているし、アリスは此方をそれとなく凝視している。
「実はですね、ある人を探していまして…。」
「別に敬語じゃなくていいよ、普通に話してくれていい。」
「じゃあ敬語辞めさせて貰うね!堅苦しくて話しづらいのよねぇ、敬語って。」
「柚葉?タイムフィールド家たる者、礼儀は尽くすべきですわ!」
「アリス、その相手が良いって言ってるんだから良いでしょ?」
「ふふっ、仲が良いんだな。」
お互いに気の置けない仲なのが伝わってきて安心したよ。
柚葉はアリスと仲良くやれているようで何よりだ。
「あっ、し、失礼しましたわ!もう〜柚葉!笑われてしまったのだわ!」
「う〜ん?でも馬鹿にしたりとか、揶揄ったりって感じじゃないよね?」
「そうだな、むしろ微笑ましいものを見せてもらえたって感じだ。飲み物は何を飲む?注文すると良い、お代はこちらで持つから。」
「じゃあ、コーラで!」「わ、私は紅茶にするのだわ。」
タッチパネルで飲み物を注文したので、いざ本題に入るとしよう。
「それで、人を探しているんだっけ?何故それで俺に声を掛けたのかな?」
「昔、ある人に命を助けて貰ったの。私達の父親もその人がいなかったら命を落としていたかもしれない。だからそのお礼をどうしてもしたくて探しているのよ。」
おぅ…俺の事かーい。
「な、なら、お父様に聞いて見れば良いんじゃないかな?」
「それがお父様ったら教えてくれないのだわ!いずれ期が来れば教えると言うけれど待てないのだわ。…その人はホロウレイダーと聞いているし、危険な仕事だから何時命を落とすかも分からないし…せめてお礼くらいは言いたいのだわ。」
う〜ん、ライオネル氏が期を見て教えるって言ってるなら俺から正体をばらすのも筋が違うよなぁ。
「それでね、私を助けてくれた人はマスクをしていたから素顔は分からなかったのだけど、抱えられている時に左腕が義手だったのを思い出したのよ!そして貴方…その左腕は義手よね?」
「よく分かったね、確かに義手だよ。昔職場で腕を切断してしまってね。」
あれ…もしかしなくてもバレてる?
「だから、貴方の義手を作った人を紹介して欲しいの!義手を作った人なら私達が探してる人を知ってるかもしれない!」
あっぶねぇセーフ!
「貴方の義手はオーダーメイドですわね?業界で販売されている義手については全部確認したのだけれど、あの人が装着していた義手は無かったし、貴方の義手とデザインが一緒なのだわ。」
そう来たかぁ…。これは一旦ライオネル氏に相談した方が良いかも…。
「この義手の作成者についてはすぐに話せない。が、聞くだけ聞いてみよう。」
「「ありがとう(なのだわ!)!」」
とりあえずこの場は凌げたか…そろそろ注文した飲み物が運ばれてくる頃合いかな。…ん?遠くから聞こえる声…悲鳴か!?
「きゃあああッ!!!」
「えぇ!?なに!?」「なんなのだわ!?」
悲鳴が聞こえた方向に視線を向けると、そこには腕から火炎放射器とチェーンソーを生やした黄色の知能構造体がこちらに向かって歩いてくる……マジか…。四角いのっぺりした顔面パーツのライトが点滅しながらあの耳障りはセリフを垂れ流してやがる…!
「スロー、スロー、クイック、クイックスロー。…あぁ、建物の建材が焼ける芳しい香りと人々の甘美な悲鳴…………
素敵だぁ……。
そう、思いませんか。ご友人!」
「……誰がご友人だおら。てめぇみたいな友人を持った覚えはねぇぞ?」
「そんな…私は今もこの両腕を斬り落としたあの一太刀の鋭利さ……そして貴方から私に向けられた情け容赦の無い殺気……どれも鮮明に覚えていますよ…ご友人。」
ちっ、狂人って奴はこれだから…。理屈抜きで見抜いてきやがる…!しかも身体をクネクネと捩らせやがって気持ち悪っ。
「な、何あれ?」「禁断の果実テスト受けたのかしら?」
「おや?貴方の新しいご友人ですか?ならばもてなさなければ……さぁ、楽しみましょう!」
肩からポップアップして狙いを此方に定めてきたのは……拡散バズーカか!?
(ハイペリオン!大楯緊急展開!!)(了解。)
「伏せろっ!!」
「「きゃあああっ!?」」
轟音と共に衝撃と熱風が伝わってくるが、何とか防げた…が、ビル内でぶっぱなして良い火力じゃねぇぞおい!
「ぇ?………その盾……え?」「ゆ、柚葉!?大丈夫!?」
「はぁ〜。ライオネルさんが教えなかったんだから、何か意味が有ると思って黙っていたんだがな……。バレちまったもんはしょうがない。」
眼鏡のブリッジを押し込み、防護マスクを展開して、
座り込んでいる柚葉の頭に左手の義手を乗せて軽く撫で、汚れを払う。
「あぁ!そ、そのマスク……!」
「大きくなったな、柚葉。元気そうで何よりだ。アリスも、成長したな。……おいおいそんな泣くなって。ほら、ハンカチやるから拭けって。」
なんか柚葉が感極まった感じで泣き出しちゃったよ。ほらアリス、様子見ててあげてちょうだい。
「だっ、だってぇヒグッ」
「まぁ、ちっと待ってろ。…お前達には指一本たりとも触れさせん。」
半ば瓦礫とかした店を出てブルートゥと相対する。
「何の用かは知らねえが、今度は熔鉱炉にでもぶち込んでやるよ、鉄屑。お前の好きにはさせねぇぞ。」
「あぁ、やっと私と踊ってくれるのですね!貴方と上手に踊れるでしょうか……心配だ……けれどそれよりずっとずっとずっとずっとずっとずっと 楽しみです!!!」
ブルートゥ排除、開始だ…!!