「さぁ!楽しみましょう!」
「ハイペリオン!防御陣展開!」
『了解。展開中は武装の構築が困難になります。ご注意を。』
放たれた火炎放射を後方に跳躍して回避する。
火炎放射器から放射線状に散布されるから、周辺への被害が甚大になる可能性が高い。
だから、ハイペリオンには、周辺への被害を防ぐ陣を展開してもらった。
なんでも指向性を持たせたエーテルをベール状に展開する事で衝撃に対して逆位相の衝撃を加えて打ち消すとかなんとか。今回は内から外へ向けての衝撃を打ち消す設定になっている。ハイペリオンさんマジ有能。欠点として此方の武器が著しく制限されるが、背に腹はかえられない。
緊急展開していた大楯を分解し、相手に最適な武器を再構築する。取り回しが良く、相手よりも射程が長い武器……鎖鎌だ。着地と同時に鎌を投擲するも、チェーンソーで弾かれた。だが、他の近接武器でチェーンソーと切り結ぶと刀身が削られるので分が悪い。このまま攻めさせてもらおう。弾かれた鎌を鎖で手繰り寄せて操作し、連撃を繰り出すことで火炎放射器を使う隙を与えない。
「スロー、スロー、クイッククイックスロー。素敵なダンスだ…。このまま踊り続けましょう!」
「勝手に踊ってろブリキ人形!」
ブルートゥは飛来した鎌をチェーンソーで床に叩き落とし、そのままチェーンソーで鎌を固定してきた。
そして肩からポップアップした拡散バズーカで狙ってくるが、それを待っていた!
「ガッ!?」
「鎖鎌っていうのは、分銅も込みなんだぜ?」
鎌とは反対の端に付いた分銅を拡散バズーカにぶつけ、誘爆させる。が、硬いな。左肩から生えてたもんで、バズーカを潰せば左腕を使えなくできると思ったが、損傷が少ない。前回よりもアップグレードされてるな?
「てめぇ…随分とボディがハイスペックになってんな。パトロンでもできたか?」
「えぇ、私も新しい友人に恵まれたのですよ。新しい友人は貴方が最果てに至るダンスをご所望です。私も花を手向けますよ。」
こいつの言ってることは様子がおかしいし難解なんだが、今のはニュアンスで何となく分かったぞ。つまり俺の暗殺依頼ってことだ。依頼主が金を積んで、それでボディを強化したって訳だ。
「私から手向ける花はこれだけではありません…。是非此方も味わってください!」
右肩から今度はミサイルか!しかも高誘導性のやつ!
「花は食えねぇだろ!」
「食用の花も有りますよご友人!」
鎖を自分の周辺に張り巡らせてミサイルを迎撃すると、爆風に紛れて接近してきたブルートゥのチェーンソーが迫ってきた。幾重にも束ねた鎖で回転する刃を受けたせいで火花と共に耳障りな金属音が響き渡る。
「これが貴方に手向ける花です!さぁ!薔薇の様に美しく咲き乱れましょう!」
「いちいち花に例えんな気色悪い!チェーンバインド!」
束にしていた鎖を解き、チェーンソーの刃に絡ませることでその動きを封じ込める。そして空いた両手でやつの腕に接続されている火炎放射器とチェーンソーを掴んだまま、その胴体にサイドキックを放つ。その衝撃でやつの両腕を引きちぎり、防御陣の端まで吹き飛ばす。
「ったく、手間かけさせやがって…。柚葉!アリス!もう大丈夫だ。」
展開していた防御陣を解除し周辺を見渡すと、カフェの壊れた壁面から二人が顔を覗かせていた。
「すごーい…。」「やっつけちゃったのだわ…。」
「二人とも大丈夫か?怪我はしてないか?」
二人に掠り傷1つでもあったら…あのスクラップ、どうしてくれようか…。
「ぜんぜん平気よ!貴方が守ってくれたし。」「私も大丈夫なのだわ。」
「それは良かった。積もる話も有ると思うが、ここに残っいると後々面倒なことになりそうだ。また連絡するから先に帰るといい。ライオネルさんに宜しく伝えてくれ。」
「分かったわ。」「分かったのだわ。」
頷いた二人が足早にこの場を去っていく。…意外と足速いな?さて、治安局が来る前にこの惨状を生み出したスクラップ野郎から色々聞き出さないとな。
「んで?どこのどいつに雇われたんだ?」
「…ジジッ…ふふふ…流石はご友人……私とのダンスを華麗に踊り切りましたね……。」
「御託はいい、誰なんだ?」
「しかも…前回のダンスとは違う踊り方で…前回と同じように踊ってくれるとは…素敵だ…。」
「おい!誰が依頼主なんだ!応えろ!」
「ふふふ…論理コアの滾るようなエラー信号……ジェネレータの甘美な調べ……素敵な贈り物だ…。」
「………………………。」
駄目だこいつ、早く何とかしないと。論理コアがイカれたのか、ますます話が噛み合わなくなってきたな。うーむ、こいつはもうこのまま治安局に引き渡した方が良いかもしれない。だただ気になるのが、こいつは特に保釈金を積む様な身内は居ないし、誰がこいつを釈放ないし脱走させたのかってことだ?そいつが今回の件を裏で糸を引いている可能性が高いし、後で探りを入れてみるとしよう。
「ふふふふふふふふふふふふふふふフフフフフフフフフフ」
「キモっ。とうとう壊れたか?」
『ジジッ……ジジッ……………
不明なユニットが接続されました。論理コアに深刻な障害が発生しています。直ちに使用をて、て、てい、停止ししし、してくだだだささいいいい。』
はぁ?不明なユニット?
『あーあー聞こえるー?仲間外れは良くないなぁ、俺も入れてくれないと。』