「ズバリ!ローウェル監察官の印象は?」
主
「そうだな…大魔王…かな。圧倒的な武力、部下を統率するカリスマ性、コラテラルダメージを厭わない合理性、冷酷無比な采配。彼の名前を聞いただけで気を失う犯罪者も多いんじゃないか?でも、恐怖で支配しているように見えるが実の所、部下からの信頼は厚い。あの揺るぎない精神はほんと尊敬するよ。それはそれとして無茶振りが過ぎることもあるけどな!…おっと誰か来たようだ、これで失礼するよ。」
ガブットボンプ
「ンナンナ、ンナンナナ?(今の人、治安官だった?)」
リポーター
「え?あれ?雰囲気的に治安局の人だと思ったんだけど…。」
遠くから見ていたニャン吉長官
「…………ふむ?」
「…で。何時まで拘束されてなきゃならないの?」
「……………。」
「おーい?雅ー?」
「…ん?何時まで拘束されてにゃきゃにゃらないの?」
「オウム返しすんな。呂律回ってねぇし…。」
「……いや、大丈夫だ。問題ない。…拘束の期限についてだが…。」
雅と激しい修行(意味深)をした後、俺の上で一息入れていた雅にいい加減拘束を解いて貰おうとしたところ、
「それについては私から話そう。」
「宗一郎さん……!?」
部屋に入ってきたのは雅の父、星見宗一郎だった。旧都陥落後、俺を引き取ってくれた人で、今後一生頭の上がらない人だ。
「昔みたいにお義父さんと呼んでくれていいんだぞ?なあ、雅?」
「ふむ、その通りだ。」
あ、雅め。ちゃっかり神速で服を着て布団の横に正座している。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。ちなみに急ぎ過ぎたのか、下着は着けてないみたいだ。なんで分かるのかっていうと、枕元に下着があるから。丁度俺の身体が影になって宗一郎さんから見えない位置にあるので、今のうちに枕の下に隠しておこう。
「まずは無事で居てくれて良かったよ、黒鐡くん。」
「その節はご迷惑をお掛けしました。」
「いいんだ、事情は色々と聞いているよ。星見家を守る為だったのだし、私からは特に言う事はない。」
ほんと何年も連絡をしなかったことについては謝罪しかない。心配もかけただろうし。
「その左腕は大丈夫なのかい?」
「えぇ、今のところは。戦闘用の義手を繋いでいたのですが、えーと、その……。」
やっべ、なんて説明しよう?雅が斬り落としたとか正直に言えないし。
「それについては今後不要になると判断して私が斬った。」
「そ、そうなのかい?」
「…そうです。あのな雅。あの義手は神経接続しているやつだから、強制的に外されると痛いんだぞ?」
雅が目を見開いた後、視線が俺の顔と左腕があった箇所を行き来し、しゅんとして項垂れてしまった。
「それは…済まないことをした…。」
やべ、雅泣きそうだよ…。瞳から涙が溢れてきそうだ。
「ほら、別に怒ってないから。こっちおいで。」
右手を広げると雅がヒシッと抱き着いてくる。
「相変わらず、仲がいいようで良かったよ。黒鐡くんが行方不明になった直後なんか凄く荒れてたからねえ。」
「父上…?」
雅が涙目で宗一郎さんを睨んでいる。荒れてた頃の話はして欲しくないらしい。
「コホン、それでその切断された左腕についてなのだけれどね。現在星見家で冷凍保存されているんだ。」
「星見家で…?」
え、アルゴスホロウ内で落とした左腕、残ってたの?あれだけレルナが暴れ回ったからミンチになってると思ってた。
「雅がアルゴスホロウ内から持ち帰ったんだよ。切断面は綺麗に処置してあるから、きっと繋がるはずだ。」
「それは…ありがとうございます。そう言えば義手はどうなったんだ?」
「斬り落とした義手は…あの裁決官が持って行った。」
「そっか。」
マジかー。エデに言って取り返して貰えないだろうか。ハイペリオンにクレジットカード情報とか読み込ませてるし、通信もできるから電話と財布を一緒に落とした感覚だ。勝手にデータを抜かれる事は無いと思うが心配だ。
「それで、左腕の再接合とこの拘束に関係が…?」
「この拘束具にはエーテル耐性を下げる効果があるんだ。君の肉体のエーテル耐性は過去例を見ないほど高い。再接合の手術をする際に幾つかエーテルに由来する薬剤を投与するんだが、普段の君だと高過ぎるエーテル耐性故に薬剤が効果を失う可能性が高かったんだよ。なので、暫くの間はその拘束具を着けた状態でいて欲しかったんだ。」
えぇ....俺のエーテル耐性…高過ぎ…?
「手術は今晩だ。それまでゆっくりしていてくれ。」
「分かりました。…ありがとうございます…お義父さん。」
「!…では失礼するよ。」
嬉しそうな表情を見せかけたが、政治家としてのプライドがあったのか、表情を崩し切ることなく退室していった。
「では、邪魔者も居なくなったし、修行の続きとしよう。」
「待て待て待て。…もう昼過ぎだろ?先に昼飯にしよう。」
少し考える素振りを見せた雅は、
「ふむ。では牡蠣フライ、うなぎの蒲焼、にんにくと豚肉の炒め物…だな。」
「流石に胃もたれするだろ、そのチョイス。」
しかも全部精のつくものばかりだ。
「昼餉を用意してこよう。しばらく待っていろ。」
そう言って雅も退室して行った。あ、下着忘れてんじゃんあいつ。枕の下から取り出した下着を改めて見ると、黒色レース下着で、結構際どい所まで透け透けであった。
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昼飯を食べ終わった後、さらに追加で雅と修行をし、夜に行われた手術は無事成功、左腕が元に戻ったのだった。
左手を何度か握ったり開いたりして感覚を確かめると、やや違和感があるが、次第に無くなる類のものだそうだ。
「もう出るのか?」
自室で身支度をしていると雅が尋ねてきた。
「あぁ……雅、俺は…」
「皆まで言わなくていい。……彼女たちの所へ行くのだろう?」
「…そうだ。」
「夫の帰りを待つのも良妻の務め…だ。」
「雅…?俺たち結婚してないよな…?」
もしかして勝手に婚姻届とか出されてる?
「ふっ…冗談だ。…お前は優しいからな。きっとこれからもお前の事を慕う女子は増えるだろうが案ずるな。山包海容…受け入れてやるといい。」
「お、おう。なんか余裕あるな…?」
「これが正妻の余裕と言うものだ。」
「み、雅さん?ほんとに勝手に婚姻届とか出してないよね?」
「私たちは既に家族だ、そんなものは不要だろう。」
軽口を言い合ってる間に身支度が終わったし、屋敷に戻るとしよう。
「じゃあ、行ってくる。」
「あぁ…行ってらっしゃい。」
こうして星見家を後にしたのだった。
雅
「さて、お泊まりセットを用意しなくては……キャリーケースは何処にしまったのだったか……。」