偽・虚狩り〜ホロウレイダー堕ちした元治安官〜   作:初楼

41 / 41
動揺

星見家を出て屋敷に戻る頃には深夜になっていたが、屋敷の明かりは煌々と付いていた。そして何やら慌ただしい気配を感じる。

………やっべ。メヌとエデに帰宅する旨の連絡するの忘れてた…!ってかハイペリオンがいないと殆ど何も出来ねぇ

…。

庭の草木に紛れて移動し、窓からこっそりと屋敷の中を覗き見ると、玄関ホールにメイド達がプロテクターに重火器を装備して三列縦隊に並び、メイド達の視線の先にはエデとメヌが仁王立ちしていた。

エデは出会った時に来ていた赤と黒を基調としたドレス、メヌは青紫の騎士を彷彿とさせるドレスを着用し、戦闘用の補助翼と篭手(たしかアロンダイトとか命名してた)も装備していた。

……完全装備じゃん…。しかも2人とも目が完全に据わっている。何処かにカチコミでも仕掛けに行くのかな…?

窓ガラスに耳を着けて聞き耳を立てると、

 

「皆、準備は良いかしら?」

「アインスからノインまで計9名、出撃準備完了です。」

「宜しい。では、アインス、ツヴァイ、ドライが一分隊。フィーア、フュン、ゼクスが二分隊。ズィー、アハト、ノインが三分隊よ。」

「私は?」

「貴方はノワールの奪還を最優先にして頂戴。相手は虚狩り、生半可な相手では無い。故に私達が血路を開くわ。」

「了解した。最速で駆け抜けるよ。」

 

……………。ま、まずい…!星見家に戦争を仕掛ける気だこれ!?

急いで窓ガラスをぶち破り、回転受け身を取りながら玄関ホールに降り立つ。

 

「待て俺だ!ノワールだ!」

 

案の定メイド達に銃口を向けられたので、膝立ちで両手を挙げて敵では無いことを示す。

 

「あれ?帰ってきた。」

「なんだよメヌ。俺の家はここなんだが…?」

「貴方、その左腕……生えてきたのかしら?もしかしてトカゲのシリオンだったのかしら。」

「星見家で俺の左腕を保管していたんだよ。そこで再接合の手術を受けてきた。」

 

みんなの剣呑な雰囲気が霧散していったが、メイド達は微動だにしないな。さっきの指示を見るにエデを隊長とした小隊を組んだみたいだ。小隊長であるエデから号令が掛からないからその場で待機している訳だ。ジーク総長にきっちり仕込まれてるなぁ。

 

「そう。……貴女達、作戦は中止よ。解散。」

「了解です。…当番はそのまま夜勤。それ以外は装備品の片付けをした後に自由時間よ。」

 

メイド達もそれぞれ装備を外し、各々動き始めた。

 

「とりあえず部屋に行こう?」

「そうね、30分後にノワールの部屋に集合よ。」

「分かった。…シャワーくらい浴びてくるかぁ。」

 

──────────────────────

 

「つまり、タイムフィールド家を出た後にフィオニーに襲撃されて応戦しているところに、星見雅に強襲されて身柄を確保されてしまった、ということ?」

「その通りだ。」

 

30分後、俺の部屋に集まった二人に事の経緯を説明していた。二人ともパジャマに着替えてキングサイズのベットに腰掛けている。

 

「その際に左腕の義手を切断され、神経接続が断裂したことによるフィードバックで、意識を失ったんだ?」

「そうそう。あれは痛かったな…。」

 

アルゴスホロウ内でレルナと戦った時はアドレナリンがドバドバ出てたから痛みを感じる暇もなかったけど、今回はやばかった。

 

「ところで、お父様から聞いたのだけれど、貴方って星見家の人間だったのね。道理で強い訳だわ。」

「まぁ、な。本名は黒鐡だ。」

「あ、それはメヌから聞いていたから知ってるわ。」

 

知ってたんかい…。

 

「メヌの件で身分をおいそれと明かせないから偽名を使っていると聞いていたわ。にしても安直なネーミングね、ノワールって。」

「思いつきで名乗った名前だからな。他のを考えるのも面倒だったし。」

「これからどっちの名前で呼ぼうか?もう偽名を使う必要もないでしょ?」

「呼びやすい方で構わない。」

「ならこれまで通りノワールと呼ばせて貰うわね。」

 

エデが左隣に移動してきて、肩に頭を預けてきた。

 

「フィオニーが貴方の義手だけを持ち帰ったとき、自分でもどうかと思うくらい動揺したわ…。正直貴方が死んでしまったと思って泣きたくなったわ。お父様からの連絡が無ければきっと取り乱したままだったでしょうね。」

 

あれだけ屋敷の前で暴れたし、タイムフィールド家→ライオネル氏→ジーク総長→エデと俺が雅に確保された情報が伝わったんだな。

 

「ちなみに誤解を招くような言い方をしたフィオニーは亀甲縛りにして吊し上げたわ。」

「お、おぅ。」

 

見てみたいような、そうでもないような…。

 

「私はランダムプレイでバイトしている時にエデから連絡があったからびっくりしたよ。」

 

そう言ったメヌは此方の太腿に頭を乗せて寝転がった。

 

「そう言えばランダムプレイに変なお客さんが来たんだよねぇ。」

「変なお客さん?」

「そうそう。ピンク髪の女の人で、ビデオも借りずに店長を出せって。アキラ達と顔見知りみたいだったけど、大丈夫かな?うーん、あっ、ニコって呼ばれてた!」

 

「ニコ…だと…?」

 

あの邪兎屋のニコか?

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

あの鐘の音が聞こえるか(作者:もこもこ)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

エーテル侵食から人々を救えるとある主人公による物語▼戦闘能力の一面でFateで有名な山の翁そっくりな力を使ってます。そういったご都合設定が嫌いな方は注意。


総合評価:1503/評価:8.39/短編:13話/更新日時:2026年10月31日(土) 08:00 小説情報

能力だけのコミュ障なんです(ガチ)(作者:枕オバケ)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

転生してアニメのキャラの能力を使えたため強かったけど、メンタルは貧弱でコミュ障な主人公が勘違いされたりする話。▼「本当にコミュ障なだけなのに……能力が強いだけなのに……絶大な期待をされてる…」▼「はぁ……辛い。嫌われてたらどうしよう……あぁ、辛い」▼↑こんな感じです▼


総合評価:969/評価:7.35/連載:10話/更新日時:2026年10月31日(土) 00:44 小説情報

Jukebox Driver(作者:moti-)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

 オーディオ機器の個人製造販売を行う青年・シドと、その周辺人物のお話。


総合評価:1613/評価:8.78/連載:40話/更新日時:2026年11月07日(土) 18:30 小説情報

色んな人の脳を焼きすぎて重い感情を向けられてる余命僅かなホロウレイダーの終活(作者:如月トッポ)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

ただただカッコいい技、カッコいい武器に脳を焼かれ、それらを求め戦闘をしまくっていた厨二病の一般ホロウレイダーピーポーのオリ主君。▼だが武器の代償故に寿命が尽きそうになり……▼「そろそろ寿命尽きるんよな~」▼「………は?」▼てな感じでどこぞのプロキシのおかげもあり色んな人との繋がりがあるので終活を……、▼と思っていたが、カッコいい技で助けられたり、なんらかで脳…


総合評価:1546/評価:7.04/連載:10話/更新日時:2026年10月24日(土) 21:46 小説情報

監察官のちょっと奇妙な冒険(作者:プロメイア推しの人)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

オリ主が転生して、赫灼熱拳するお話です。▼ストーリーは2.7から始めま~す。ん?まぁ、途中からにょきっと生えてくる感じで。(それでも過去キャラと絡みがあるのは許してちょ)


総合評価:1092/評価:8.24/連載:10話/更新日時:2026年06月23日(火) 16:25 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>