貧乏チート全裸姫 〜資産0なら魔力が無限になる露出狂のTS転生姫。王家から追放されてカネなし宿なし服なしでやっと最強になれたので、隣国で清貧の聖女として成り上がります!〜 作:龍々山ロボとみ
エア ▶︎ アクア ▶︎ ペーパー ▶︎ サンド ▶︎ ウッド ▶︎ ストーン ▶︎ アイアン ▶︎ ブロンズ ▶︎ シルバー ▶︎ ゴールド ▶︎ プラチナ ▶︎ ダイアモンド ▶︎ ミスリル ▶︎ アダマンタイト ▶︎ オリハルコン
の順に上がっていきます。
一般人ならウッドまで、それなりに鍛えたらアイアンまで伸びて、魔導騎士とかはブロンズ以上です。
◇◇◇
翌日。
名前も知らない村の貧乏母娘の家で一晩を過ごした私は、
めちゃくちゃペコペコ恐縮している母親が用意してくれた硬いパンと、薄いスープを朝食として味わっていた。
「おねぇちゃん、たべさせてー」
「いいですよ〜」
昨日髪紐を売ってくれた女の子を膝の上に乗せて一緒に食べる朝ごはんも、なかなかオツなものだね。
「すみません、すみません……! こんな大金を頂いたのに、このような粗末なものしか……!」
「いえいえ〜。こちらこそ、寝床だけでなく食事までいただいてしまって。お礼を申し上げるのは、こちらのほうです〜」
なんせ、この子が髪紐をボッタクリ価格で売ってくれなかったから、今も私は貧弱一般人程度の魔力しかなかったかもだし〜。
冗談抜きで、命の恩人みたいなものである。
まぁ、村長さんが魔石を5ゼニーとかで買ってくれてたら、それでも良かったんだけど。
さすがにそんな高価なモノをタダ同然の値段では買えない、とか言われちゃったから、仕方なく言い値で売ったんだよね。
けど、おかげでこの優しい母娘に渡せるお金も手に入ったわけだから、まぁ、いっか〜。
「たくさん食べて、大きくなってくださいね〜」
「うん! ありがとー、おねぇちゃん!」
素直で可愛い女の子との温かい朝食を味わった私は、丁寧にお礼を述べて村を出た。
そして、村はずれまで見送りに来てくれた母娘に手を振り、続いて大量の魔力を放出した私は、自分の体をふわりと浮かせた。
「まぁ!」
「おねぇちゃん、とんでる!」
魔力のジェット噴射のようなものである。
さながら私は人間ミサイルのように、少しずつ宙に浮かび上がる。
「それでは、さようなら〜」
そのままどんどん高度と速度を上げ続けると、あっという間に村は見えなくなった。
◇◇◇
それから私は、ひとまず西に向かって飛び続けた。
先ほどの村の名前は分からないが、ここが隣国のスイパラ王国の土地だということは分かる。
なので、スイパラ王国の王都がある方向に向かって進んでみることにしたのだ。
「うわ〜、気持ち良いですね〜!」
青い空、白い雲。
眼下にはどこまでも広がる大地。
身体能力で無理やり姿勢を制御し、膨大な魔力を推進剤にして青空の下を飛び続ける。
途中で何度かくるりくるりと回ってみたり、ぐるんぐるんと旋回したりしながら進んでいると、少し先の地面に、こちらに向かって走ってきている一台の馬車を見つけた。
「おや〜? 何かに追われていますね〜?」
魔力で無理やり視力を高めてみると、馬3頭が引く豪華な見た目の馬車が、壊れてバラバラになりそうな速度で走っていた。
そして、ライオンみたいな顔とコウモリみたいな羽を持った生き物が馬車を追いかけて走っている。
「あれは、ピンチですね!」
詳しい事情は分からないが、あのまま追いつかれたら、馬車に乗っている人は危険な目に遭うだろう。
それは、良くない。
助けなくては。
「だから、……仕方ないよねぇ〜〜〜!」
興奮してきた私は、着ているボロ布の服をビリリと破り捨て、所有権を放棄した。
瞬間、私の魔力が爆発的に増大する。
周囲の大気がビリビリと震えて、私の髪を縛っている麻紐が、魔力圧に負けて千切れ飛んだ。
これは、人助けのためだから……!
「手加減して負けちゃったら、いけませんからね〜〜〜!!」
『総資産額・0ゼニー』
『魔力量・∞』
『魔力強度・アクア級』
私は、あふれ出る魔力全てを推進力に変えて、亜音速で飛んだ。
まとわりついてくる空気抵抗を魔力で無理やり受け流し、大きく弧を描く軌道で魔物に接近する。
「ええーーーい!!」
馬車に迫る魔物の横っ腹に、ズドンとそのまま体当たりする。
私の亜音速飛行の空気圧で馬車がひっくり返りそうになり、馬車の中から「ほんぎゃあああああああ!?」という声が聞こえた。
そんな馬車を横目に、体当たりした速度のまま魔物を上空に持ち上げ、さらに高く放り投げる。
「とりゃーーーーっっ!!」
私は上空の魔物に向かって両手を伸ばすと、自身の滞空のために噴射している分以外の全ての魔力を、魔物に向けて撃ち出した。
「ギャオっ…………」
ライオン顔の魔物は、私の魔力に触れた途端、ジュッッという音を残して蒸発する。
そのまま天まで突き抜けた私の魔力は雲を貫き、雲には円形の穴が空いた。
おお〜、あそこまで届くんだ〜。
私は、自身の内からあふれ出る無限の魔力に満足しながらゆっくりと降下する。
途中で、私の目の前にライオン顔の魔物の魔石が生成されたが、私は昨日の失敗を糧として決して触らず、一緒に地面に着地した。
そして、ギリギリひっくり返らずに済んでいた馬車に、ニコニコ顔で近づいた。
「馬車の皆さ〜ん。先ほどの魔物は、退治しましたよ〜」
手を振りながら声を掛けると、馬車の扉がそっと開いた。
「い、今の衝撃は、何? だ、誰かそこにいるの……? ……はっ??」
馬車の中から顔をのぞかせたのは、私より少し歳下に見える少女だった。
真っ赤な髪を漫画のお嬢様キャラみたいにドリルツインにしていて、ぱっちりお目々が可愛らしい。
七色の羽飾りがついた帽子を被り、首には何本ものネックレス、指に大きな宝石付きの指輪がいくつもはまっていて、着ているドレスも金色ピカピカのものだ。
成金趣味全開の女の子、という見た目だね。
「は、は、裸!?」
「はい。全裸です」
「いやぁーーー!? マンティコアがいなくなったと思ったら今度は変態が来たーーー!?」
すぐさま馬車の扉がバタンと締まり、ガチャリガチャリと中からカギがかかる音が聞こえる。
「可愛らしいお嬢さん、こんにちは。私はヌアーディア。怪しい者ではありません」
「ぎゃーー!? ぎゃーーー!!? 変態女が話しかけてくるーー!?」
「落ち着いてください。私は全裸でいるのが大好きなだけです。他意はありません」
「ド変態じゃないのよ!!? いやーー!? 助けてーー!!」
「あと、先ほどの魔物を倒すためには、どうしても全裸になる必要があったのです。決して、貴女に全裸を見せつけたいではありません」
「だけじゃないってことは、それもあるってことなんでしょ!!!」
「それは、はい」
「お母さーーーん!!?」
うーん。
これは、すぐにはお話ができそうにありませんね。
仕方がないので私は、馬車の中の少女が落ち着くまでしばらく待つことにしました。
ついでに、馬車の御者台で目を回してノビているメイド服の女の子(こちらも可愛らしいお顔でした)を、優しく横にしてあげたりしました。
◇◇◇
「……それじゃあ、もう一度だけ聞くけど。本当にあのマンティコアを、貴女が倒してくれたの?」
「はい。先ほどから何度も申し上げているとおりです」
「……なんで全裸なの?」
「ですから、私は全裸になると強くなるのです。あと、私は全裸を見られると興奮します」
「後半の情報が余計なのよ!? ……はぁっ。もう良いわ。少なくとも、そこに転がってるバカデカい魔石がマンティコアのものなのは間違いなさそうだし。……助けてくれたのは、事実みたいだし」
「いえいえ〜。貴女が無事で良かったです〜」
「……ありがとうね」
赤髪ドリルツインテ少女は、ミレーヌ・ゴルディアと名乗りました。
ゴルディアといえば、スイパラ王国でも5本の指に入る大商会の名前のはずです。
つまりこの少女は、ゴルディア商会の関係者ということでは?
「ミレーヌは、どうして護衛も付けずにこんな場所を走っていたのですか?」
「……それは」
「ああ、言いにくいことなら構いませんよ。ただ、貴女も、そこで寝ているメイドさんも、可愛らしいお嬢さんですのに。魔物だけでなく、ゲスな連中にも襲われかねないのに、どうしてだろうと思いまして」
「…………魔石を、買いに行ってたのよ」
「魔石?」
「そう。それもとびきり大きくて、高純度のやつを。それがないと、父さんの新しい事業がうまく行かないから」
「ゴルディア商会の新事業といえば……、魔導列車事業のことですか?」
「貴女、詳しいのね! そう、父さんは、新しい流通網を作るため、商会の資産の大半を魔導列車の研究と開発に注ぎ込んだ」
まぁ、私も前世の知識で知っているから鉄道輸送のすごさは理解しているけど。それをゼロから考えて実用化を目指しているのは、すごいと思う。
「けど、エンジンを安定して回すためには想定よりも巨大で高純度の魔石が必要みたいで……。今、事業は完全に暗礁に乗り上げているのよ」
「だから、大量の宝石や貴金属を持って、魔石の買い付けに向かっていたと?」
「そうよ。新規事業が失敗してしまったら、開発のために借りているお金も全部返済を迫られて、商会が潰れちゃうかもしれない。そうしたら、私たちだけじゃなくて、商会で働いてくれてるたくさんの人たちを路頭に迷わせることになっちゃう……」
なるほど〜。
「ちなみにその魔石って、どれぐらい大きければいいんですか?」
「そりゃあ、大きければ大きいほどいいけど」
「じゃあ、そこに転がっている魔石とか、どうなんですか?」
「へ……?」
ミレーヌは、改めてマンティコアの魔石を見た。
「……いや、あれだけあったら確かに大丈夫かもしれないけど」
「それなら良かった! では、あの魔石は持っていってください」
「え……??」
ミレーヌは、マンティコアの魔石を三度見した。
「……え!? なんで!?」
「私、あれを所持しちゃった時点で魔力がなくなっちゃうので、触れないんですよね〜。たぶん、なかなかの価値があるんじゃないですか?」
「なかなかどころか、売れば1億は下らないわよ!? 買おうと思えば、3億ぐらいは……!」
「1億!!? ひえーっ、絶対ダメです! あれは私に近づけないでください! 死んでしまいます!」
「死んじゃうの!?」
「はい! 間違いなく!」
だって、最低でも1億ゼニーの価値ということは、そんなもの私が所持した瞬間、魔力量がまたヒトケタになる可能性が高い。
しかも、高価なものほど所有権の移転には正式な手続きや契約が必要になるっぽいから、間違って触ってしまったら本当にヤバいのだ。
「け、けど、受け取れないわ! だってあれは、貴女が命懸けで倒してくれたマンティコアの魔石でしょ!」
「いえ、魔力無限なので倒すのはワンパンでしたが、あれを拾うと今度こそ命懸けになってしまいます」
「意味分かんないんだけど!? じゃ、じゃあ、せめて買い取らせて! とりあえず、この場には5000万相当の貴金属があるから、それで」
「5000万でも死んでしまいます!! 私は、できる限り一文無しでないとダメなのです!!」
「え、ええーー……??」
ミレーヌは、ものすごく混乱している表情だ。
しかし、私は本当のことしか言っていないし、これ以上噛み砕いて説明することもできない。
「……あ! それならミレーヌ、代わりに売ってほしいものがあります」
「なに?」
「私、先ほどの戦闘の時に着ていた服を破り捨ててしまったのです。何か、服の代わりになるものはありませんか?」
「……私の着替えのドレスならあるけど」
「いえ! もっと安いやつでおねがいします! 例えば……、あ、その馬車の後部に置いているものはなんですか?」
「これ? これは、ゴルディア商会の荷袋だけど……」
ミレーヌに断って手に取ってみると、ゴルディア商会という大きな文字が書かれた麻袋だった。
軽くて、肌触りも悪くなくて、なにより、安そうだった。
「では、この荷袋を1枚ください。穴を開けて貫頭衣として使います」
「荷袋を!? もっと普通の服もあるわよ!?」
「いえ、私にはこれぐらいでちょうど良いのです。ナイフはありますか? 穴を開けるので、貸してください」
「ほ、ほんとに……??」
本当だよ〜。
私は借りたナイフで頭と両腕を出す穴を開け、麻袋を頭からスポッと被った。
ついでに、袋口のほつれたところから引き出した麻紐で、髪の毛を結んだ。
『総資産額・25ゼニー』
『魔力量・6500000』
『魔力強度・ペーパー級』
650万!
よーし、良い感じ!
以前の袋より質が良いのに、安い。
たぶん大量に作るから安くなってるとか、そういうやつかな。
「ありがとうございますミレーヌ! これほど素晴らしい麻袋は、なかなかありませんよ!」
「……それ、褒めてるの?」
「はい!!」
私は一瞬、予備でもう一枚もらいたい気持ちになったが、それだと魔力量が減ってしまうので、すぐに諦めた。
「それではミレーヌ、良い取引でした。私はこれで行きますので、あちらの魔石は好きにしてください」
「ほ、ほんとに良いの!? 1億ゼニーだよ! それをそんな、麻袋1枚で……!」
「良いんです! 私にはこれで十分なのです!」
こうして私は成金趣味の女の子を助けて、また空の旅に戻ったのだった。