貧乏チート全裸姫 〜資産0なら魔力が無限になる露出狂のTS転生姫。王家から追放されてカネなし宿なし服なしでやっと最強になれたので、隣国で清貧の聖女として成り上がります!〜 作:龍々山ロボとみ
◇◇◇
旅の同行人が増えたため、一緒に空を飛べるか試してみた。
最初、コルネの体を魔力で掴んで持ち上げようとしてみたところ、魔力の強度が足りず失敗。
結局、私自身がコルネをお姫様抱っこして、落とさないように一緒に空を飛ぶという方法に落ち着いた。
ただ、抱っこされているだけのコルネには私の進路が分からないため、今の私の飛び方だとかなり目が回るらしい。
「ワ、ワウ……」
「大丈夫ですか、コルネ? ほら、新しい町に着きましたよ」
「ここは……?」
「ペリドン、という町です。ここなら、冒険者ギルドの建物があるはずです」
ペリドンは、高い外壁に囲まれた町だ。
外壁にはいくつか門があり、町の出入口として機能している。
そのまま町中まで飛んでいくと騒ぎになりそうなので、町の外の少し離れたところに私たちは降り立っている。
目を回したコルネが回復するのを待ってから、私たちは歩いて町に向かう。
門を通るのに通行料などはいらないようだが、夜の間は閉まっているらしい。
他の人たちに混じって門を通り町中に入ると、たくさんの人が歩いているのが見えた。
人口が多くて活気のある町だ。
そのまま冒険者ギルドを目指す。
「あの、ヌア様。なんだかすごく見られてる……」
「はい。私もコルネも、見た目が珍しいですからね〜」
まぁ、コルネは奴隷の時のボロ布服のままだし、私も麻袋に穴を開けて着ているだけだ。
犬耳の元奴隷少女と、麻袋を被った超絶美人が並んで歩いていると、どうしても人目を引くのだろう。
「……っ」
私は、ジロジロと降り注ぐ好奇の視線に、ぶるりと体の芯が震えるのを感じた。
たくさんの視線が気持ち良い。
ここで服を脱いだら、もっと気持ちが良いだろう。
「……ヌア様?」
だが、その場合はコルネも同じ視線に晒されることになる。
私は気持ち良くなれるが、この感じだとコルネは萎縮してしまいそうだ。
「なんでもありませんよ。私は、人に見られるのが好きなのですが、コルネは苦手そうに見えたので〜」
「……それは、なんでもないの?」
「はい。あ、あそこに見える看板は、冒険者ギルドのものですね。入りましょう」
盾の図柄の上に剣と杖を交差させたマークは、この国やビリオン王国だけでなく、大陸全土で共通のものだ。
冒険者ギルドに入ると、中もたくさんの人間がいた。
先ほど以上に、好奇の視線が肌に刺さる。
あ〜〜、まずい〜。
さっさと登録を済ませてここを出ないと、我慢できなくなりそう〜。
「…………」
何かを感じ取ったのか、コルネが私の麻袋の裾を摘んだ。
私は自制心をフル稼働させて、若い女性職員さん(3人いる中で一番顔が可愛い)のいる窓口に向かった。
「ようこそ。ペリドンの町の冒険者ギルドへ」
「冒険者登録をしたいです」
「かしこまりました。登録は、貴女だけですか? それとも、そちらのお嬢さんも?」
問われて、私はコルネを見る。
「コルネも、私と一緒に冒険者になりたいですか?」
「……わたし、も?」
「どちらでも構いませんよ。元の立場も今の立場も、次の立場を縛る理由にはなりませんので」
「……ヌア様と、一緒がいい」
「というわけですので、こちらのコルネもお願いします」
「それでは、こちらにそれぞれ記入をお願いします」
渡された書類に必要事項を書く。
コルネは文字が書けないようなので、私が代わりに書いた。
そういえば、今まであまり気にしてこなかったけど、この世界って洋紙が普通に使われてるんだよね。
「はい。登録できました。お二人とも9級からスタートです。こちらの冒険者証はギルドからの貸与品扱いになりますので、紛失しないように注意してください。再発行の際は、手数料を徴収します」
そうして渡されたのは、首掛け用の革紐が付いたタグプレートだ。
なんか、表面にホログラム加工みたいな方法で等級と名前が書かれていて、専用の魔道機械なら詳細な登録情報とかを読み取れるらしい。
……技術水準、すごくチグハグじゃない?
魔力技術があるから仕方ないのかもしれないけど。
とにもかくにも、これで私たちは冒険者に……、
「それでは、登録料と証票発行手数料として1人1000ゼニー。2人合わせて2000ゼニーをいただきます」
「え」
「2000ゼニーです」
「……」
私は、コルネを見た。
「……?」
コルネはコテンと首を傾げた。
可愛い。
いや、そうじゃない。
コルネも当然お金など持っていないだろう。
私に至っては、総資産が25ゼニーである。
私は満面の笑みを浮かべて、受付職員のお姉さんの手を取った。
「私の顔の良さに免じて、ツケにしてくれませんか〜?」
受付のお姉さんもニコッと笑った。
「今日中に払えなかったら衛兵に突き出します」
「はい」
仕方なく私は、ギルドの建物内を見回した。
オッサン、オッサン、ハゲのオッサン、一つ飛ばしてチビのオッサン。
……お?
一つ飛ばしたところの席に、美人のお姉さんが座っている。
黒髪短髪で、褐色肌。
動きやすそうなラフな服に、腰のベルトにはポーチや短剣。
盗賊っぽい職業なのだろうか。
周囲をさりげなく油断なく見ている感じがする。
……あ、目が合った。
これは、チャンスでは??
「こんにちは。美しい人」
「……あん? 俺に言ってんのか?」
「はい。実は私、今日から冒険者になるのですが、見て分かるとおり、現金の持ち合わせがないのです」
「まぁ、麻袋を服の代わりにしてるような奴は、カネなんて無いだろうな」
「なので、私の代わりに登録代金を支払っていただけませんか? お礼に、次に貴女が受ける依頼のお手伝いをしますので〜」
「断る。なんでお前にカネを貸さなきゃいけないんだ」
「あ、貸していただく必要はありません。代わりに支払って欲しいだけです」
「意味分かんねーよ」
ふーむ。
それなら。
「では、こう言い換えます。今なら、たった2000ゼニーで私に恩を売れますよ?」
「だから、それで何の得が……」
「私は、貴女がこの中で
「は? ……って、ちょっと待て」
私は、町に入ってから頑張って抑え込んでいた魔力を、垂れ流しの状態に戻した。
すぐに、目の前の女性の顔つきが変わった。
どうやら、私が1番だということに、気づいてくれたようだ。
「……お前、何者だ? 魔導士じゃない俺でも分かるくらいの魔力圧を、お前から感じるぞ……?」
「私は、ヌアーディアと申します。気軽にヌアとお呼びください。あちらはコルネ。私の友人です」
「…………」
「どうでしょう。今ならたった2000ゼニーで、私の力をお貸ししますよ?」
「……分かった。2000ゼニーだな」
盗賊風のお姉さんは、財布から1000ゼニー札を2枚取り出して私に渡そうとしてきた。
「あ、ごめんなさい。現金は受け取れないんです〜」
「は? カネ貸せって言っただろうが」
「いえ。先ほども申したように、お金を貸してほしいのではなくて、登録手数料を支払っていただきたいだけなので」
「一緒だろ」
「全然違いますよ。私を殺す気ですか」
「なんでだよ!?」
「ほら。そのお金は、そのままあちらの受付窓口に持っていってください〜」
「なんだコイツ……」
お姉さんは首を傾げながらも、登録料を支払ってくれた。
これでようやく、私とコルネも冒険者である。
「お姉さん。お名前は何というのですか?」
「……ラトラだ」
「ラトラですね。どうぞよろしく」
私が手を差し出すと、ラトラも応じてくれて、握手をする。
「さて、それでは。次の冒険はいつですか?」
「明日だ。ここから北にある山で、最近魔物が多く出没するらしい。その原因の調査に行く」
「分かりました。ちなみに、ラトラの宿はどこですか?」
「前の通りを西に進んだところのダイナマイトホテルだけど。……待ち合わせなら、北の門の前でいいだろ」
「いえ。せっかく仲良くなったので親交を深めたいと思いまして」
「……つまり?」
「このあと、私とコルネに晩ご飯オゴッてください。ついでに今日はラトラの部屋に泊めてください」
「ふざけんな!?」
私は、怒って帰ろうとするラトラについていって、ひたすら説得を続けたのだった〜。