貧乏チート全裸姫 〜資産0なら魔力が無限になる露出狂のTS転生姫。王家から追放されてカネなし宿なし服なしでやっと最強になれたので、隣国で清貧の聖女として成り上がります!〜 作:龍々山ロボとみ
優し〜いラトラに晩ご飯をご馳走になり、ラトラが借りてる宿の部屋にお邪魔して一泊して、翌朝。
「今から、冒険ですね〜!!」
「うるせぇ……」
「ねむい……」
私たちは日の出前に起き出して、北門の前に来ていた。
先ほど日の出とともに門が開いたので、町を出る。
「お二人とも、朝から不思議なのですが。どうしてそんなに眠そうなのですか?」
「寝ぼけたお前が、俺のベッドに潜り込んできて、俺を床に蹴落としたからだ……!」
「ヌア様に、ずっとぎゅっとされてて、寝苦しかった……」
「そうなんですか?」
確かに、あの村の女の子も気がついたら抱き締めて寝ていたっけ。
王宮だと大きなベッドに1人で寝ていたから、それほど自分の寝相が悪いとは分からなかった。
「それなら、今晩は私とコルネ用の部屋もそれぞれ借りていただければ。そうすれば、これ以上迷惑はかけませんよ〜?」
「今晩も俺にタカる前提で喋るんじゃねぇよ!? 今日は自分で部屋を借りろ!」
「だって私、お金は1ゼニーも持っていませんから〜」
「……全然、たった2000ゼニーじゃないじゃねぇか……」
まぁ、とにもかくにも。
私たちは門から出て北の山に向かう。
ある程度町から離れたところで空を飛んでいくことを提案したのだが、ラトラに「意味が分からん」と一蹴された。
「飛行魔法を使えるのなんて、この国だと魔導騎士団長ぐらいだろ。お前、そんなにすごい魔導士なのか?」
「ああ、いえ。確かに飛行魔法は使えませんが、空を飛べるんです」
「意味が分からん……」
じゃあやって見せてみろよ、と言われたので、魔力の噴射で浮かび上がってみせてみると、ラトラがものすごい顔で私を見た。
「なんだその無茶苦茶な魔力量……」
「ちなみに今の私は、標準的な魔導騎士650人分くらいの魔力量があります」
「なんだその無茶苦茶な魔力量……!?」
「この麻袋を脱ぎ捨てると、さらにすごくなれますが、脱ぎましょうか?」
「脱ぐな!!」
で、結局。
コルネを背負ったラトラを私が背負って空を飛び、依頼のあった山の手前までやってきた。
顔を青くしている2人とともに山に入ってみると、確かになんだか雰囲気がおかしい。
ざわざわとしていて、全体的に殺気立っている気がする。
「……あ、ヌア様。何か来ます」
コルネが、耳と鼻をヒクヒクさせながら言う。
ラトラは「分かるのか」と驚いた。
「知らない臭いだから、何かは分からないけど。足音は、たくさん」
顔つきを険しくさせたラトラは、腰の短剣を抜いてコルネを背後に隠した。
私は、麻袋がすぐに脱げるように裾に手をかけて、待った。
「グルルルルルルルル!」
出てきたのは目が真っ赤で、尾の先で紫色の炎が燃えている狼だった。
それが全部で20体近く。
「ランタンウルフか! クソ、この数は厄介だぞ!」
ラトラの声がさらに険しくなった。
どうやらこれは、危険な生物のようだ。
私は試しに片手を前に突き出し、バスケットボールサイズの魔力弾を撃ち出してみた。
ズドンッ!
「ギャンッ!?」
群れの一匹に魔力弾が当たり、首から上が消し飛ぶ。
あ、なんだ。
麻袋着たままでも倒せそうじゃ〜ん。
私は両手のひらを狼たちに向けると、バスケットボールサイズの魔力弾をマシンガンのように連射した。
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
マシンガンというか、ガトリングガンでの機銃掃射だ。
今の私の最大の強みは魔力量の多さだし、精密に狙うのはまだまだ苦手だ。
だから百発百中なんて無理だけど、千発、いや、一万発も撃てば百中ぐらいはするだろう。
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
「うおおおおおおおおお!?」
「わ、ワオーン!?」
メシメシメシメシバキバキバキバキ!!
逃げ惑う狼たちを追って両腕を動かすと、周りの木や地面の土までまとめて吹き飛んでいく。
3分後には、
あ、いや、小さいながらも魔石が落ちているか。
「すみません、コルネ。落ちている魔石を拾い集めて、ラトラに渡していただけませんか?」
「わ、ワウ……」
なんだか尻尾が丸まっているコルネが魔石を拾い集めてくれた。
ラトラの前に持っていってもらうも、ラトラが苦虫を噛み潰しているような表情になった。
「……おい、なんだこれは?」
「先ほどのランタンウルフの魔石ですね」
「そんなことは分かってるんだよ!? なんで俺の前に持ってきたかを聞いてるんだ!」
「この依頼はラトラが受けたものですから。それに、私は魔石を拾えないので、コルネにお願いしました」
「だーっ!? だから、お前が倒した魔物の魔石を、どうして俺が受け取らなきゃならないんだ!!」
どうして、と言われても。
「私は資産が増えると急激に弱くなってしまうんですよ。そういう能力なんです」
「資産?」
「はい。例えば、私のこの麻袋は資産価値が25ゼニーです。そして、それしか資産がないから、魔力量がたくさんあります。仮にここでこの魔石を拾ってしまうと、魔石の価値の分だけ総資産額が増えてしまい、一般人以下の魔力量になってしまうんです」
「……つまり、カネを持つほど弱くなるのか?」
「はい」
「…………だからお前、強さのために、恥を忍んでそんな痴女みたいな格好を……?」
「いえ、私はたくさんの人に全裸を見られると嬉しくて興奮しますし、この格好は趣味です」
「やっぱ変態じゃねえか!?」
まぁ、とにかく。
「私の代わりにラトラが魔石を持っていてくれたほうが、私が強いままでいられて安全ですよ〜?」
「……納得はできないが、理屈は分かった」
そう言うと、ラトラはコルネから魔石を受け取った。
「それでは、ラトラ。ここからは真面目な話なのですが」
「今までのは悪ふざけだったのか?」
「先ほどのランタンウルフというのは、このあたりでは見かけない魔物なのですか?」
ラトラは、少しだけ考える素振りを見せた。
「見かけないこともないが……、これほど浅い位置で、群れ全体みたいな数で出てくることは、稀だろうな」
「なるほど。つまり、この山の魔物が活発化しているのは、事実ということですね」
「おそらくな」
その後も私たちは、山の中を歩き回ってみた。
途中で何度か魔物に遭遇したが、そのたびに私が魔力弾で木々や地面ごと薙ぎ払い、コルネに魔石を回収してもらう。
「ラトラ、これ」
「おう」
そして、そろそろ今日のところは引き返そうかというところで、ものすごく大きなムカデが地面から出てきたが、
「咬まれたら痛そうですね〜!」
今の姿で扱える全力の魔力で魔力弾を連射したところ、あっという間に長い全身の8割が消し飛んでしまった。
僅かに残った部分も、しばらくは足だけがギチギチと動いていたが、気色悪かったので追加で魔力弾を撃ち込んで吹き飛ばした。
「嘘だろ……。地穿大百足を、その辺の雑魚魔物みたいに削り切りやがった……。危険度A級の蟲型魔物だぞ……」
「クゥーン……、すごく嫌な臭い……」
今日一番の大きさの魔石が取れたが、確かに虫特有の酸っぱい臭いがそこら中から漂ってきている。
うーん、これはダメだ。
「仕方がありません。今日は一旦帰りましょうか」
私は、ラトラとコルネを背負ってその場から飛び立ち、町に戻った。
そして、魔石を換金してきたラトラから、魔石代を渡されそうになったので、断固拒否してそのまま持っていてもらうことにした。
「お前これ、何百万ゼニーだぞ!?」
「そんな大金持ったら、私はミソッカスになってしまいますって!」
「めんどくせぇ奴だな!?」
で、10分ほど押し問答をしたあと、ひとまずコルネの服と靴を買ってもらうことにした。
私は麻袋だけしか着れないけど、コルネは普通の服着ても良いもんね〜。
それから今晩も、ラトラの支払いでお風呂と晩ご飯と宿を用意してもらって、寝たのだった。