貧乏チート全裸姫 〜資産0なら魔力が無限になる露出狂のTS転生姫。王家から追放されてカネなし宿なし服なしでやっと最強になれたので、隣国で清貧の聖女として成り上がります!〜 作:龍々山ロボとみ
◇◇◇
私がドラゴンを撃ち抜いてから数日がたった。
私は、冒険者ギルドのギルド長室に呼ばれていた。
「ヌアーディア君」
「はい」
「先ほどの発言は、本気なのかね」
「はい」
ギルド長は、困ったように目頭を揉んだ。
「あらためて伝えるが、今回君が討伐したのはドラゴンだ。詳細は不明だが、魔石のサイズで計るなら危険度SSランクの超大型ドラゴンだ」
「はい」
「あの魔石とドロップ品のツノをオークションに出せば、少なくとも3億ゼニーにはなるはずだ」
「それは、……恐ろしいほどの大金ですね」
「そしてそれに加えて、ギルドからの討伐報奨金として追加で2000万ゼニーを支払う用意がある。……君は、それらを全て、受け取らないと言うのかね……?」
「はい。1ゼニーもいりません」
ギルド長の後ろに立つ数人のギルド幹部らしき人たちが、揃ってザワザワとする。
「……正気かね?」
「はい。だって、そのようなお金を受け取るわけにはいきませんから」
「だがこれは、君がしたことに対する正当な評価だ」
「私がしたことなんて、1ゼニーの価値もありませんよ。私はあの場で、あのように行動したかった。だから、した。それだけのことです」
私の後ろに立つラトラが呆れたようにため息を吐き、コルネが不安そうに耳をピクピクとさせている。
「ああ、そうだ。どうしてもということなら、私の仲間のラトラとコルネそれぞれに、報奨金を頭割りした金額を渡してあげてください」
「……魔石などの換金は?」
「換金予定額と、私の分の報奨金を合わせたものを、この町の孤児院や貧しい人々に分け与えてあげてください」
「そんなことをして、君に何の得があるのだ」
「ありますとも。私は、貧しいままでいるほど強くいられます。つまりこれは、私にとって必要なことなのです」
ここでニコッと微笑むと、ギルド長は観念したように頷いた。
「……分かった。町の英雄たる君の意見を尊重しよう。確実かつ適正に、分配して活用することをここに誓う」
「ありがとうございます。なによりのお言葉です」
私は、ニコニコとしたまま内心で思った。
あ、危ねぇ〜〜〜〜!!?
3億2000万!?
し、死んじゃうって〜〜〜!!
というか、早い者勝ちで誰か拾ってくれたら良かったのに、どうしてわざわざ私のところに持ってくるの〜〜!?
「……コイツ、ほんとのことしか言ってないけど、真実は何も伝わってねーだろ」
「ワフ……」
後ろから、仲間たちの呆れたような声が聞こえた。
◇◇◇
で、そこからさらに1週間後。
私たちは宿でのんびりと過ごしている。
「うん。念のため数日待ってみましたが、総資産額は増えていませんね〜」
『総資産額・23ゼニー』
『魔力量・7400000』
『魔力強度・ウッド級』
ドラゴン退治のあと、コルネが私の匂いを辿って麻袋を拾ってきてくれたのだが、裾が少しほつれて価値が下がったようだ。
そのおかげで魔力量が740万まで増えているし、魔力を使い続けたことで魔力強度も一般人並みにはなってきた。
「3億ゼニーももらってしまったら、魔力量がヒトケタとかになってしまいますからね〜。しかも、私のした行為そのものに価値を付けられてしまうと、手放すこともできなくなりますし〜」
なので、私の行為自体は無価値でないといけないし、行為に対する報奨金とかについても、受け取ってしまってはダメなのだ。
私は、恵まれない人々にお金が行き渡っていったことで
「魔力量一桁って、マジか……。赤ん坊並みの魔力量じゃねーか……」
「ヌア様、赤ちゃんになっちゃうの……?」
「なってしまうんですよ〜。だから私は、お金も物も手に入れてはダメなんです〜」
なお、この2人。
せっかく手に入れた報奨金を、コルネは今後の私たちの生活費に、ラトラは今回の一連の騒動で被害を受けた町の農家などの補償に使うらしい。
2人は、手に入れたお金を好きに使って良いのだと伝えたのだが、
「ヌア様のために使いたい、です」
「流石の俺も、こんな泡銭持ち歩きたくねーよ」
ということで、そういうことにするらしい。
なんとも無欲なものである。
と、そこに。
「すみません。こちらにヌアーディア様はいらっしゃいますか?」
ドアをノックする音とともに、そのような声が聞こえてきた。
コルネがドアを開けると、そこにはシスター姿の女性が立っていた。
年齢は、私と同じか少し上ぐらいだろうか。
長い金髪に青い目の、可愛らしい顔立ちの女性だ。
ひとまず私は、その女性に応じる。
「はい、私がヌアーディアですが」
「まぁ! 貴女が
……聖女様??
「あの、」
「あ、私はソフィアと申します! この町の教会で太陽神様にお仕えしている身です!」
「ソフィアさん、ですね。私の、」
「私のことはソフィアとお呼びください、聖女様!!」
「うん、ソフィア。先ほどから言っている聖女様というのは、どういう意味ですか?」
「どうもこうも、ヌアーディア様ご自身のことです! ご自身は粗末なボロのみを身にまとい、決して贅沢をせず、無償で人を助け、手にした財も全て手放して貧民を救済する! まさしく、『清貧の聖女』と呼ぶに相応しい御方だと、教会のみならず町中で噂になっております!」
「町中で??」
「はい! そして、こうして来てみれば、今も変わらずボロのみを着たお姿でいらっしゃる! 私が見た姿も、町中で聞く話も、今の貴女と何一つ齟齬がありません!」
ソフィアは、瞳を潤ませながら突然私の前にひざまずき、両手を合わせた。
「私、先日のドラゴン退治の様子を、教会から見ておりました。感動しました。危険に挑む決意を固めるために、あえて全てをさらけ出して自身を追い込む。己の尊厳よりも人々の命を尊ぶその精神、まさしく聖女様と呼ぶに相応しいかと」
「いえ、私は全裸になったほうが強いし、全裸を見られるのが好きだから脱いだだけなのですが」
「ああ、ご謙遜を! さらには、私どもの教会が運営する孤児院に多額の寄附までいただいてしまって!」
「あ、お金、ちゃんと届いたんですね」
「はい! おかげさまで、老朽化した建物の補修や、子供達の新しい衣服、日々の食事などに使うことができます! 教会一同、聖女様には感謝してもしきれません!」
「いえいえ、お金をもらってくれて、私のほうこそ感謝していますよ」
「聖女様……!!」
感極まった様子のソフィアが、私の足の甲に恭しく口付けをしてきた。
わーお。大胆だね〜。
「私、司祭様にも言ってきました。これからは聖女様にご同行し、聖女様のご活躍を全て記録し、広め、後世に残していくと」
「……コイツもマジか」
「クゥーン……」
「すでに冒険者登録もしてきております。それに私、簡単な回復魔法や、掃除洗濯料理に裁縫、子守りや牛馬の世話もできます! 必ず、聖女様のお役に立てます!!」
目がガンギマリの様子のソフィアに、私は一つ質問をしてみた。
「ソフィア。私がドラゴン退治をしている姿を見ていたのですよね?」
「はい、見ていました」
「その時の私、どうでした?」
「とても美しく、気高く、素敵でした。私にとっては、太陽を見つめるが如しでした」
この、ソフィアの真っ直ぐな瞳で、あの時の私を見つめられていたかと思うと、
……体の芯から火照ってきて、とてもドキドキしちゃうな〜〜!!
つまりこの人、今後も私をそんな目で見つめてくれるということだよね?
そんなの、……とっても素敵じゃ〜〜ん!!
「分かりました。それならこれからよろしくお願いします。あ、私のことはヌアと呼んでいただければ」
「ヌア様ですね。こちらこそ、よろしくお願い致します」
そんなこんなで、仲間が増えたぞ!
「……また変なのが増えた」
「ヌア様、慕われてる」
「ところでラトラ。私、行ってみたいところがあるのですが」
「なんだよ急に。……どこだよ」
「私、温泉に入りたいです。どこか良いところは知りませんか?」
「温泉? ……それなら、クサップの町とかか?」
ラトラの言葉に、ソフィアがパッと立ち上がった。
「クサップの町ですね! お任せください! 最短で行ける馬車を確保してきます!」
「あ、おい!」
ラトラが呼び止める間もなく、ソフィアは部屋を飛び出していってしまった。
ラトラは疲れたようにため息を吐いた。
「ありゃあ、早けりゃ今日にも出発とか言いそうだな」
「ヌア様、温泉って何?」
「温泉は、暖かいお湯につかってゆったりするところですよ〜。とっても気持ち良いですし、なにより入る時は全裸にならないといけません〜」
「お前、絶対脱ぎたいだけだろ」
「温泉でゆったりしたいのも、本当ですよ〜」
「も、ってことは、脱ぎたいのも本当なんだな!?」
「はい!」
「お前なぁ!?」
というわけで私たち4人は、次は温泉の町クサップに向かうことにしたのだった〜。
第一節・無一文の元王女。了。
ヌア姫「私のこと、こんなところまで見てくれたんですね! 嬉しい〜〜! これからもいっぱい脱ぐので、応援してください〜〜!」
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