髑髏の騎士D×D   作:プライベートX

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仕事に余裕が出来たので少しずつ書いて行きたいと思います


序章
髑髏の騎士


「空間を歪めたか」

 

 忌々しく呟く髑髏の騎士は怨敵のゴットハンドを紅い眼で睨む。

 ガニシュカ本体部分に降り立ったフェムトに向け喚び水の剣を振り落とす……

 が、その斬撃はフェムトに空間ごと切り取られガ二シュカに斬撃を当てはめられた。

 結果ガニシュカを斬りつけてしまい傷口から神々しい光があふれ出ている。

 ガニシュカの体内に内包された幽界が溢れだし現世と幽界の境界は無くなり、髑髏の騎士は光の中に消えてしまった……

 

 

 

 そして世界は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 激しい光の奔流に巻き込まれながら騎士は愛馬の体勢を立て直す。

 まるで濁流の川の様に荒れる光のうねりの狭間から様々なものが見えていた。

 深紅のドラゴン、純白のドラゴン、漆黒の羽を生やした翼人やらが大勢が争っている様子が良く見えてくる。

 すべてはガニシュカの幽界からあふれ出た一部であろうと騎士は推測する。

 

 【現世と幽界】

 騎士の知る世界は主に二つある。

 

 物理法則に逆らった事象・現象が起こる事の無い【現世】

 

 本来ならば肉体をもった存在が踏みいる事が基本的に不可能な【幽界】

 

 本来ならば、交わる事は基本的にない二種類の世界。

 だが、この二つの世界の境界が消えた今、何が起きても不思議ではないのだ。

 

 (全ては【鷹】の手のひらの上で踊らされていたのか)

 

 一筋縄ではいかない事は理解していたつもりだが、まんまとしてやられた事に憤りを感じる。

 しかし、己の成すべき事は変化は無い。

 ゴットハンドを滅ぼし、終わらぬ闘争の循環を廻り続けると言う事。

 それは、人の身を捨て【冥府魔道】を歩むと決めたあの時から、何も変わっていない。

 

 !!

 

 「引き寄せられている……」

 

 先ほどのドラゴンと翼人の戦の方に流されている様で、荒れ狂うのドラゴン禍々しい力をヒリヒリと感じられる。

 流石、古来より暴力の化身、いや権化とも存在と言った所か。

 矮小なる者が束になっても意味をなさぬのは必然。

 纏わり付く羽虫を払うが如く尾を振るだけで大勢の翼人が叩き落され、その命を散らす。

 そして、口から吐く業火は触れた物全てを焼き尽くし、大地を一瞬で地獄へと変える。

 

 必然なる弱肉強食、元より絶望、元より絶対的過ぎる力の差がそこにはあった。

 次元の狭間から垣間見える地獄絵図の方へ更に流されると、怒号、悲鳴、断末魔、灼熱の熱風や血の匂いまでもが感じれる。

 

 「最早、是非も無し」

 

 髑髏の騎士は静かに決断すると、その腰から剣を抜く。

 禍々しく、そして歪な刀身。

 それは、騎士の体内で練られたベヘリットで刀身を覆った【喚び水の剣】

 世の理の全て、物体はおろか空間すら斬り裂く必滅の剣の一閃。

 その一閃は光の壁を容易く斬り裂くと、極光と共に髑髏の騎士を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 「………?」

 

 圧倒的な力で悪魔、堕天使、天使からなる連合軍を蹂躙していていた巨躯が急に動きを止めた。

 真紅のドラゴン【赤龍帝】は赤黒く光る空の一点を睨む。

 それは予想、いや確信と言っても良い。

 己が警戒に値する“何かが来た“と言う確信だった。

 

 

 「面白い……、丁度飽きていた所だっ!」

 

 !!!!!!!!!!!!

 

 咆哮

 

 食物連鎖の頂点、絶対強者よる咆哮。

 一声、たった一声で歴戦の猛者達の心を一瞬でへし折り、同時にこの場に居る全ての者が悟った。

 

 勝てる訳がない、と。

 

 その咆哮は、なけなしの闘争心や勇気の全て消し飛ばし、代わりに恐怖と絶望を魂に植え付けた。

 恐怖は身体と魂を縛る鎖である。

 特に死の気配が間近にある時など特にその効果は如実に現れるだろう。 

 現に動きを止めて空を見つめて動かぬ赤龍帝に攻撃する者など誰一人居なかったのだから。

 

 

 

 

 

 絶叫と断末魔が響き渡る戦場の中、一人の紅髪の青年は忌々しく赤龍帝を睨みつけていた。

 

 「おのれ……赤龍帝っ」

 

 自分の至らぬ力の無さに絶望し、圧倒的な力の差にまた絶望する。

 悪魔、天使、堕天使の3陣営が協力すれば倒せぬまでも撃退は出来ると思っていたが、その考えが甘かった。

 時期魔王とまで言われ、何処か慢心をしていたのかもしれない。

 そもそも悪魔、天使、堕天使などの尺度で考えていたのが甘かった。

 たかが人外とドラゴン。

 最初から決定的過ぎる程の力の差が我々にはあったのだ。

 

 【ニ天龍の撃退】

 

 三つ巴の泥沼の争いからようやく出来た束の間の団結。

 うわべだけの、打算的な協力かもしれないが、三勢力が協力してニ天龍を倒すべく轡を並べる。

 全力を、死力を尽くし戦った。

 

 だが、それだけだ。

 

 このままでは全滅するかもしれない、そんな所まで損害が出ている。

 大地は屍山血河の惨状。

 残った戦士達の闘志と士気は皆無と言っても過言ではない。

 

 (だが、逃げる訳にはいかない!此処で決着を、全てを終わらせなければならないっ!)

 

 ありったけの勇気をかき集めて飛び掛ろうとした瞬間。

 

 突如、赤龍帝が咆えた。

 

 その咆哮は、かき集めたなけなしの勇気を根こそぎ吹き飛ばし、絶望に支配された身体は一瞬で硬直した。

 “虫けらに希望など最初から無い、震えて死ねゴミ虫共“と言われている様だった。

 恐怖と絶望が身体を蝕み、僅かな希望を粉々に打ち砕く。

 もう打つ手はない、誰もが迫り来る死を覚悟した、その時だった。

 

 パリーンと言う音と共に空が、割れた。

 

 まるでガラス細工が砕け散るが如く空が砕け、膨大な魔力が溢れ出た。

 禍々しくも神々しい極光が砕けた空から放出されていたのだ。

 そして、その極光の中から黒い何かが飛び出し、呆然と立ち尽くす悪魔達の先頭に降り立った。

 

 

「……因果な事だ、人外の者同士の争いか」

 

 低い、それはそれは低い声が聞こえた。

 砂埃が辺りを覆い形が良く見えないが、不気味な声が聞こえた方へ注視する。

 不意に一陣の風が吹き抜け、分厚い砂埃を吹き飛ばす。

 

 (何てプレッシャーだっ)

 

 赤龍帝に勝るとも劣らない強大な何かが居る。

 黒い影はやがて鮮明になり、その姿が露になった。

 刺々しい漆黒の鎧を身に纏い、骸の巨馬に跨がる髑髏。

 その異形の者の佇まいは、正に騎士。

 そう、漆黒の【髑髏の騎士】が其処には居た。

 

 「あ、貴方は一体……」

 

 紅髪の青年は無意識の内に目の前の騎士に尋ねていた。

 絶体絶命の時に起きた、摩訶不思議な事態に状況が飲み込めていなかったのだ。

 それは敵か味方か、それすら判らないこの状況では自殺行為とも言える行動でもあった。  

 

 「………」

 

 騎士からの返答は沈黙。

 そして騎士は無言で腰から剣を抜きはなつと、薔薇をあしらった盾と共に構える。

 

 (やはり、敵か)

 

 反射的に身体がビクンと反応するが、それだけで構える事はなかった。

 只でさえ絶望的なこの状況、そこにイレギュラーな異形の乱入。

 生きてこの戦場から生還する事は出来まい、と最早諦めの境地に辿り着く。

 膨大な魔力と禍々しい力が漆黒の騎士からあふれ出ている。

 それも、桁外れの量の魔力がだ。

 直後、その魔力が弾けた様な衝撃と共に騎士は言った。 

 

 「……退け!!」と。

 

 一言、騎士から出た言葉はそれだけだった。

 だが、その一言は先程の赤龍帝の咆哮に匹敵するだけの必滅の殺意、覇気があった。

 

 悪魔、天使、堕天使、無論の事、絶対強者として君臨していたドラゴンでさえ騎士の覇気に気圧された。

 

 紅髪の青年は騎士から放たれた殺意が自分に向けられたものでは無いと瞬時に理解する。

 初めから騎士は“自分など眼中になかった“。

 赤龍帝だけ、只それだけを最初から見据えていたのだから。

 

 「少しばかり力があるからと奢るなよ、亡者っ!」

 

 赤龍帝は激怒していた。

 一瞬でも恐れを感じた自分自身と、それを感じさせた異形の騎士に。

 その憤怒する様子は正に暴虐と暴力の権化に相応しいドラゴンそのもの。

 その巨躯と力を持って全てを破壊すると言う邪悪な意志は、咆哮と共にこの場に居る全ての者に伝わった。

 

 

「もう、終わりだ……」

 

「死にたくない、死にたくない、死にたくない……」 

 

「主よ、我が主よ……」

 

 そこかしこから聞こえ始めた諦めた者達の声は、やがて爆発的に陣営中に広がり、程なくして陣営は恐慌状態に陥る。

 叫ぶ者、祈る者、呆ける者……、呆れてしまう程の阿鼻叫喚の様子は、最早軍事組織としての体をなしていなかった。

 そんな中、髑髏の騎士は微動だにせず剣を構えたままでいた。

 

 

「……もがき、挑み、足掻く。それこそが死と対峙する者の唯一の剣」

 

 そう言うと音も無く骸の馬が駆け出す。

 一瞬で漆黒の弾丸と化した騎士は、瞬く間に赤龍帝との距離を詰める。

 漆黒の弾丸は赤龍帝の巨躯へと向かって一人突撃して行く。

 

 

 

 ボツンと残された紅髪の青年は、未だ嘗てない衝撃を受けていた。

 それは、今まで感じていた恐怖や絶望がすべて吹き飛ぶ程の衝撃と言っても過言ではない。

 

『もがき、挑み、足掻く。それこそが死と対峙する者の唯一の剣』

 

 異形の騎士が赤龍帝に突撃する間際に呟いた言葉を聞いていたのだ。

 誰に対して言った訳ではないだろう、だが紅髪の青年はしっかり聞いており、そして同時に自分自身を恥じていた。

 ”死ぬ覚悟はある、最後まで戦う”などと言いながらながら、実際はどうだ?

 

 自分は絶望に挑んだのか?

 自分は最後まで、もがき、足掻き尽くしたのか?

 

 答えは否。

 

 先頭に立つべき自分が、最後まで足掻き尽くさねばならない自分が、早々に迫り来る死を受け入れていたのだから。

 

 「もがき、挑み、足掻く、最後まで戦う者こそが生き残る権利を勝ち取る事が出来る。こんな簡単な事を忘れていたなんてね……」

 

 死の恐怖に打ち勝つには、戦う他ない。

 ならば、己がやるべき事は只一つ。

 

 今一度、あの赤龍帝に挑む事だ。

 

 「誇り高き真の悪魔は見知らぬ者だけを戦わせたりはしない!己が真の悪魔だと思う者は我に続け!悪魔の意地と誇りをあの赤トカゲに見せてやれっ!」

 

 そう叫ぶと、紅髪の悪魔はとうに尽きた筈の勇気を絞り出し、赤い巨躯に向かって突撃を敢行した。

 

 彼の名は【サーゼクス・グレモリー】

 後に魔王“ルシファー“の名を継ぐ悪魔である。

 

 

 

 

「どんな奴が出てくると思ったが、こんな小物だとはがっかりだな!」

 

「笑止」

 

「灰と消えろ小虫っ!!」

 

 赤龍帝の口に膨大な熱エネルギーが収束し、接近する騎士へと照準を定める。

 更に速度を増す騎士は岩や、瓦礫の残骸を足場に更に肉薄する。

 だが、もう少しの所で赤龍帝の口から獄炎の火球が放たれた。

 極太の火球は騎士を一瞬で飲み込むと、着弾した付近一帯を全て焼き尽くす。

 その業火は頑強な異界の岩さえも容易く融解し、大地は文字通りの灼熱地獄が広がっていた。

 

「ハッ、小虫如きが!!」

 

 鼻息荒くドラゴン機嫌良さげにそう吐き捨てた。

 そこそこの力を感じた、少しは退屈しのぎになるかと思ったのだが……

 結果はとんでもなく見当違いだった。

 

 (さて、この余興もそろそろ飽きてきた。とっとと五月蝿い害虫を駆除してアルビオンと決着をつけ……)

 

 【恐怖】

 

 その時、赤龍帝は【恐怖】したのだ。

 地の底から這い出た死神の様な気配、何よりその濃密な“殺意“の塊に。

 赤龍帝の本能が感じたのだ、身震いする程の【恐怖】と言うものを。

 

「その傲慢さが貴様等“龍種“の弱さ也」

 

「な、何だと!?」

 

「我が剣の切れ味、その身をもって知るが良い」

 

 

 

 

 

 

 悪魔、天使、堕天使達は信じられない光景を目の当たりにした。

 赤龍帝に突撃した騎士は眼にも留まらぬ斬撃でいとも簡単に赤龍帝を斬り裂いていた。

 ドラゴンの強靭な鱗をまるで紙を切るように斬っていく。

 三連合の手練れが束になっても傷一つ付けられなかった赤龍帝とたった一人で渡り合っている現実に。

 皆、理解が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2~3年ぶりに復帰しました
小説素人なのでまだまだ至らぬ点等ありますが少しずつ改善していくつもりです
どうか宜しくお願いします
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