髑髏の騎士D×D   作:プライベートX

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堕ちた天使の末路(戦)

 髑髏の騎士達は一斉に教会へと突撃を開始した。

騎士の一閃で板で頑丈に閉鎖されていた扉は真っ二つになり倒れた。

薄暗いが聖堂までは一本道なので迷う事は無い。

だが此処は敵の本拠地である。

当然玄関をぶち破って入れば察知されたであろう。

もはや後戻りは出来ない。

両開きの立派な扉を開き聖堂へと足を踏み入れた。

壁や天井は所々穴が空き、十字架のモニュメントは顔が潰されていた。

流石、神から離反した堕ちた者どもの教会と言うべきか。

一誠が不気味な雰囲気に飲まれていると先頭を進む騎士が急に歩みを止めた。

そして暗闇に向かい剣を向け、言った。

 

「出て来るが良い。

其処に居るのは解っている」

 

「ありゃりゃ?バレてましたぁ?

死神様とクソ悪魔どもの登場だぁ~

パチパチパチパチ~

いゃあ会いたかったよ!

感動しすぎて涙がでちゃ……うぉ!」

 

 饒舌に喋るフリードに向かい騎士と黒歌と小猫は一斉に攻撃した。

己の力を過信した馬鹿な悪党程、敵を前に良く喋る。

何処かの青鯨超重猛進撃滅騎士団団長はこの類いの筆頭だ。

戦場で馬鹿に付き合う道理など全く無い。

騎士は剣で斬りつけ

黒歌は魔力弾を飛ばし

小猫は朽ちた長椅子をぶん投げた。

いくら敵とは言え、あまりの容赦の無さに一誠と祐斗は苦笑いするしかなかった。

魔力弾を光の剣で弾くが長椅子は避けきれず直撃した。

小猫は軽々と持ち上げていたがかなりの重量物である。

直撃した衝撃で壁へと吹き飛ぶフリード。

痛みとやられた屈辱で怒りで容量の少ないフリードの堪忍袋は破裂した。

すぐさま反撃で切り刻んでやろうと起き上がろうとするが目の前に騎士の剣の切っ先があった。

 

「わぁお……俺っち絶体絶命」

 

「死ぬか失せるか……選べ」

 

「失せます。失礼しやしたー」

 

 フリードは手に持つ閃光玉を床に叩きつけ、激しい閃光の中を足早に立ち去る。

引き際良さと手際の良さは感情が破綻しているとは思えないほどしっかりしていた。

故に長生き出来ているのだろうか、門番を失った聖堂はやけに静かになった。

 

「騎士殿の動きが見えなかった……

凄すぎて言葉が出ないよ」

 

「あのイカレ神父を秒殺かよ……

髑髏のオッサン……半端ないな」

 

 バラバラになった祭壇の所に入口の様な物が見える。

小猫が投げた長椅子の残骸は祭壇に当り、祭壇は木っ端微塵になっていた。

物凄い威力だと言うのが見てとれる。

一誠は誓った。小猫ちゃんは怒らせてはいけないと。

近づいて見るとどうやら地下へと続く隠し階段だった。

階段の先から大勢の人と堕天使の気配が感じられる。

いよいよ決戦だと、一誠は武者震いがした。

だが聖堂にはぐれエクソシストの集団が一斉に雪崩こんできた。

どうやら別動隊が異常を察知し戻ってきた様だ。

 

「小僧共、先に行け。

此処は我等が引き受ける」

 

「合点にゃ、此処はに私達に任せてにゃ!

白音はイッセーを守ってあげてにゃ!」

 

「髑髏のオッサン、小猫ちゃんのお姉さん!

ありがとう!」

 

「此処を頼みます!行こう一誠君!」

 

「姉さま……ありがとう!」

 

 一誠、祐斗、小猫は駆け足で隠し階段を降りて行った。

3人を見送ると騎士は隣に居る黒歌の方を見た。

身体に仙術の魔力を纏わせ殺る気満々である。 

騎士も薔薇を冠した剣と盾を構える。

その姿は黒き魔女と死神に相違なかった。

 

「アーシアと言ったか……

あの娘を死なせる訳にはいかぬ」

 

「どうしてあの子に其処まで拘るにゃ?」

 

「【借り】を返していない。

それに……まだ死ぬには早かろう」

 

「了解にゃ!でも数だけは多いにゃ……

でも、ざっと5分位で行けるにゃね」 

 

「馬鹿を申すな……直ぐに済ます」

 

 騎士と黒歌に向かって、はぐれエクソシスト達が跳びかかった。

斬りつけられた光の剣を騎士は盾で弾き返す。

そして飛んできた槍を剣で叩き落とす。

絶え間なく攻撃を繰り返し、波状攻撃をする。

すると騎士は体勢を低くし、脚に力を入れ身体ごと剣を振り抜いた。

漆黒のマントを翻しながら回転し、刃は群がる神父を無慈悲に両断する。

遠心力が乗った剣の威力は凄まじく、防ごうとした神父達の剣ごと身体を斬り裂いた。

 

 接近戦は駄目だと悟った者達は手に持つ銃を一斉掃射するが……

光弾の射線に騎士達の姿は既になく、慌てて辺りを見回す。

天井近く飛び上がった騎士と黒歌は重力に従い神父達の所へ落下して行く。

落下した騎士に押し潰された者は「ぐりゅっ!」とだけを言い圧死した。

 

 不自然に折れ曲がった四肢と身体を目の当たりにし士気が一気に下がる。

だが、びっくりしている間もなく黒歌は魔力を纏わせた手足で神父達をぶん殴っていた。

魔力で強化された黒歌の拳は格闘家も真っ青な威力である。

着崩した着物から繰り出されるパンチやキックは一見は見とれる程美しい。

 

 だが綺麗な薔薇には棘がある。

まるで死のワルツを踊るかの様に殴り、斬り、吹き飛ばす。

約30名程いたはぐれエクソシスト達は一方的に蹂躙され、物言わぬ屍となった。

 

「呆気なかったにゃ」

 

「当然だ」

 

 打ち捨てられた死体の中心でぼやく二人。

一誠達と別れてからほんの数分で死屍累々を築き上げた。

騎士と黒歌の実力からすれば当然の結果だが……

神父達も運が無かったとしか言えない。

まさかこれ程の手練れが居るとは思ってもいなかっただろう。

騎士と黒歌は聖堂を後にし、地下へと向かった。

 

「……あぁあ!いやぁぁぁ!!」

 

 地下の空間に女の子の絶叫がこだました。

十字架に磔にされたアーシアから大きな光が飛び出した。

今まさに【神器】が抜き取られいた。

 

「遅かったか……!」

 

 騎士はアーシアから出た光を掴み狂喜乱舞するレイナーレを見て最悪の事態になっている事を悟った。

アーシアからの生気はどんどん弱々しくなっていく。

そして騎士は悟った。

間違いなく、あの娘はは死ぬと。

一誠達はアーシアの元へ駆け寄るが、その行く手を阻む様に神父達が斬りかかってきた。

騎士は一跳びで祐斗の隣に来ると剣を抜きながら言った。

 

「小僧!娘を連れて上に行け!

グレモリーの剣士よ、我に続け」

 

「了解ですっ!」

 

「オッサン!木場!ありがとう!」

 

 二人の騎士は行く手を遮る神父達を次々に斬り伏せていく。

祐斗の【光喰剣】は神父達の光剣の刃を打ち消し、無防備になった所に騎士の一閃で絶命する。

騎士として高い技術を持つ祐斗だが、髑髏の騎士の前では霞んで見えてしまう。

邪魔する神父達は二人の騎士に切り刻まれ、一誠はアーシアの元へとたどり着いた。

手足の拘束具を外し、抱き抱えるが……

あまりにも衰弱し、弱々しいアーシアに一誠は絶望した。

 

「イッセー……さん」

 

「アーシア迎えにきたよ」

 

 絶対に大丈夫だ、何とかなると必死に自分に言い聞かせる一誠だが……

そんな考えを否定する忌々しい女の声が聞こえた。

 

「無駄よ、無駄!

神器を抜かれた者は死ぬしかないの」

 

「うるせぇ!なら神器返せよっ!」

 

「返す訳ないでしょ?

どれだけ私が苦労したと思ってるの?」

 

 「くそったれ……

こんな女が俺の初彼女とは泣けてくるぜ」

 

 大切にしようと思った、初めての彼女だから。

自分に出来る事、精一杯やったつもりだった。

だが、そんな想いを嘲笑っている夕麻ちゃん……

いや堕天使【レイナーレ】。

怒りは限界を超えて、俺は雄叫びをあげた。

 

「レイナーレェェ!!」

 

「私の名を気安く呼ぶんじゃないよっ!

下等な悪魔ごときが!!」

 

「【下等】で言えば貴様もその類いであろう」

 

 一誠とレイナーレの怒号のさなか、騎士の低い声が聞こえる。

聞いた瞬間、心臓を鷲掴みされた様に感じる程、冷たく低い声が。

騎士の姿を見たレイナーレは酷く焦りだした。

まさが此処まで介入されるとは思ってもみなかったからだ。

 

「貴方、死神でしょ!?

なんで悪魔ごときと一緒にいるのよっ!」

 

「我は死神など自ら名乗った事は無い

今後、名乗るつもりも無い。

我は我の意思で動く」

 

 騎士は一誠に早く行けと顎を動かし促す。

一誠はアーシアを抱え入口の方へと駆け出した。

レイナーレは騎士の殺気に恐怖し身体が震えだす。

いくら傷を癒す力を得ようと使う前に死ぬのは明白だからだ。

騎士に挑んだ堕天使とも連絡が取れない事は、もう死んでいると考えて良いだろう。

我々の力をもってしても、この死神には勝てない。

どうする、どうする、どうする!

レイナーレは必死に考えるが……

 

「この戦は小僧の戦だ。

我が貴様を滅しても意味は無い」

 

「な、何を言ってるのよ!?

私があのクソガキに負けると思ってるの!」

 

「精々【足掻け】。

貴様は起こしてならぬ【者】を起こした」

 

 そう言うと騎士は剣を振る。切っ先はレイナーレの頬をかすり血が垂れる。

尻餅をつき、恐怖するレイナーレを尻目に騎士は階段を上って行った。

 

 聖堂の長椅子に寝かされたアーシアの手を握り必死に励ます一誠。

顔は真っ青になり今にも意識が途絶えそうになっている。

一誠は神様に頼んだ。

この子を救って下さいと。

悪魔だが必死に神様に頼んだ。

 

「アーシア!寝るな!もう自由なんだぞ!」

 

「……私、幸せでした……お友達が出来て……」

 

 アーシアの薄れゆく視界の中、一誠のほかに騎士の姿が見えた。

必死に感謝を伝えようとするが、言葉が出ない。

そんなアーシアを見ると騎士は跪いた。

 

「貴様には借りがあった。

救ってやれず、すまぬ」

 

「……バチが当たって……しまいます……

死神様に謝られては……」

 

「オッサンも木場も小猫ちゃんもお姉さんも!

みんなアーシアの友達なんだ!なぁ!そうだろ!」

 

 皆、黙って頷く。

それを見たアーシアは微笑むと最後の言葉を発した。

 

「皆さん……ありがとう……」

 

 心優しい少女アーシアは……

微笑んだまま、天に召された。

 

 

 

 




次でレイナーレ編の最後になります。
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