【学マス×チェンソーマン】花海咲季はプロデューサーのご褒美が欲しい! 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
初星学園のエントランスホールは、今や硝煙とデータノイズが立ち込める戦場と化していた。
咲季の両手、そして頭部から飛び出した輝くチェンソーの光刃が、不気味な回転音を轟かせながら大気を切り裂く。
「死ねぇぇぇっ! 私のご褒美の邪魔をする敵は全員バラバラにしてやるわぁぁぁっ!」
ブォォォンッ! ガガガガガッ!
咲季は超人的な脚力で踏み込み、黒コートを纏った『銃のアンチ』の刺客たちへ肉薄した。
振り下ろされたチェンソーの一撃が、刺客の構える重火器を弾薬ごと一閃で叩き切る。
激しい火花と、ネットの中傷ノイズが圧縮された黒い火柱がホール内に爆発的に上がった。
「ガッ……!? ターゲットの攻撃力が予測数値を大幅に超過……!」
「ひるむな! 集中砲火で圧殺しろ! アンチノイズ弾、全弾発射!」
残る刺客たちが一斉に銃口を咲季へと向け、無数の黒い悪意の弾丸を吐き出した。
ダン! ダン! ダン! ダンッ!
空気を狂わせる弾丸の雨が、咲季の全身を容赦なく穿つ。
制服が切り裂かれ、赤い血とスター性の光輝が周囲に飛び散るが、咲季の足取りは一切止まらない。
「痛い!? 痛いわねぇ! でもね……プロデューサー君の身体に触れない痛みに比べたら、こんなのただの擦り傷よぉぉぉっ!」
驚異的なタフネスと狂気的な執着心。
痛みを快楽と欲望のエネルギーへと変換しながら、咲季は狂暴な笑みを浮かべて敵の真っ只中へと飛び込んでいく。
「咲季ちゃん狂いすぎでしょ!? なんで銃で撃たれて笑顔なのよぉぉぉっ!?」
がれきの陰に隠れていた藤田ことねが、あまりの惨状と咲季の狂気に頭を抱えて悲鳴を上げた。
「ことね、叫んでる暇があったら避難誘導を手伝いなさい! ここはもう普通のライブパフォーマンスでどうにかなる空間じゃないわ!」
月村手毬もまた、鋭い目つきで状況を分析しながら、逃げ惑う他の生徒たちを安全な方向へと誘導していく。
しかし、刺客たちの狙いは咲季だけではなかった。
黒コートの男の一人が、密かに狙いを後方の手毬とことね、そして物陰から様子を伺っていた一般生徒たちへと切り替えた。
「――ターゲット周辺の重要関係者を排除。精神的負荷を与え、チェンソーの動きを鈍らせる」
冷酷な宣言とともに、銃口が逃げ遅れた生徒へと向けられた。
「あ……あ……」
恐怖で腰を抜かし、動けなくなった生徒が目を丸くして身縮みする。
「させないわよっ!」
手毬が叫び、生徒を庇うようにその前に躍り出た。
黒いノイズ弾が火花を散らし、手毬の眼前に迫る――。
手毬の目前まで迫る漆黒の悪意弾。
死を覚悟したその一瞬、突風とともに躍り出た赤と黄色の残影が、手毬と生徒を力任せに抱え込んで床へと転がした。
「手毬! ボサッとしてんじゃないわよっ!」
叫んだのは咲季だった。
彼女の背中からは無数の火花が散り、敵の弾丸は背後のがれきを跡形もなく爆砕した。
「咲季……!? アンタ、脚の骨が……!」
手毬は目を見開いた。咲季の右足はノイズ弾の衝撃で不自然な方向に曲がり、赤い血が激しく床を染めていたからだ。
だが、咲季は痛みに顔を歪めるどころか、狂気的な笑みをさらに深めてみせた。
「脚の一本や二本、プロデューサー君の身体を触るための代償と考えたら安すぎるわ!」
ドバァッ!
咲季は折れた右足を自ら踏みつけて強引に軸を整えると、胸元のエンジンを爆音で空吹かしさせた。
ガガガガガガガッ!
「ことね! 手毬! 全員下がっていなさい! こいつらは全員、私がストイックに細切れにする!」
咲季の全身から放たれるチェンソーの光刃が限界を超えて高速回転し、摩擦熱でエントランスホールの空気を赤く焦がしていく。
「ターゲット、損壊率を無視して迫……撃破不能――ッ!?」
刺客たちの驚愕の声も束の間、咲季は弾丸の雨を正面から切り裂きながら肉薄した。
両腕のチェンソーが刺客の胸腔を深く捉え、黒いノイズデータと火花を豪快に飛び散らせる。
「私の! ご褒美を! 邪魔するなああぁぁぁっ!!」
エントランスホールに咲季の咆哮とチェンソーの爆音が轟き渡り、悪質な刺客たちは次々と沈黙していった。