【学マス×チェンソーマン】「プロデューサーのに触らせろぉぉ!」補習組のエリート咲季、胸のエンジンを爆発させてトップアイドル(とご褒美)を目指す 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
初星学園本館の8階――本来なら存在しないはずの、時空が歪んだ無限ループの空間。
どれだけ階段を上っても、下っても、たどり着くのは不気味なノイズが走る同じ「8階」の廊下だった。
外との連絡は完全に遮断され、時計の針は1秒も動かない。
逃げ場のない完全な密室の中で、咲季、手毬、ことね、そして他の候補生たちは、恐怖と飢えでじわじわと精神を苛まれていた。
「もう無理……脱出できないよぉ……! 永遠にこの8階から出られないんだ……!」
廊下の隅で頭を抱え、半狂乱になって震えることね。
その時、歪んだ廊下の壁面から、ネット上の悪意が肥大化した巨大な肉塊――『永遠の悪質ブロガー』の醜悪な顔面が浮き出してきた。
不気味な合成音声が、閉ざされた廊下に重々しく響き渡る。
『――提示する。条件は単純だ』
『その女……スター性エンジンを持つ花海咲季を我に喰わせろ。咲季の心臓(エンジン)を差し出せば、他の者は全員生きてこの空間から出してやる』
「っ……!?」
手毬が息を呑み、即座に咲季の前に立ち塞がって木刀を構えた。
「ふざけないで! 咲季を差し出すわけがないでしょ!」
しかし、極限状態に追い詰められていた他の候補生たちの目が、ギラリと不穏な光を帯び始めた。
「ね、ねえ……咲季ちゃん一人を差し出せば、私たちが助かるんだよね……?」
「そうだよ! そもそもこのアンチ悪魔だって、咲季ちゃんを狙って私たちを閉じ込めたんでしょ!? 咲季ちゃんが責任を取るべきじゃない!?」
恐怖で正気を失った生徒たちが、刃物を手にしてゆっくりと咲季へと歩み寄ってくる。
「ちょっとアンタたち、正気なの!? やめなさい!」
手毬が叫ぶが、取り囲む生徒たちの群れは止まらない。
当の咲季はといえば、自分に殺気が向けられているというのに、壁の隙間からダラリと垂れ下がる悪魔の肉塊を凝視していた。
「ねえ手毬……私を喰えば助けるって、つまりあいつ……私のスター性エンジンが欲しくてたまらないってことよね?」
咲季は胸元のコードに手をかけ、狂気的な笑みを口元に浮かべた。
「だったら……私を喰おうとしたことを後悔するくらい、胃袋の中から刻み刺して泥水を吐かせてやればいいんじゃないかしらぁっ!?」
「咲季ちゃん! 本当に飛び込む気なの!? あいつ、自力で脱出できない怪物なんだよ!?」
錯乱状態のことねが叫び、必死に咲季の袖を引っ張る。
しかし、咲季はその手をやさしく、だが力強く振り払った。
「ことね、よく考えてみなさい」
咲季はニタリと獰猛な笑みを浮かべ、胸元のスター性エンジンのコードを指に引っ掛けた。
「私を喰えばこの空間から出してくれる……つまり、あいつは私の『プロデューサー君の身体に触りたい』っていう純粋でストイックなエネルギーに恐怖してるってことよ!」
「絶対違うと思う! 単純にスター性エンジンが欲しいだけでしょ!?」
手毬も木刀を構え直しながら、咲季の隣へと並び立つ。
「咲季、無茶はやめなさい。相手の胃袋の中がどうなっているかも分からないのよ。一度呑み込まれれば、二度と出てこられないかもしれない」
「手毬、私を誰だと思っているの?」
咲季は不敵に胸を張り、エンジンコードを限界まで引っ張った。
「私は花海咲季! 補習組からトップアイドルを目指す、ストイックの化身よ!」
「私のご褒美を邪魔する奴は、胃袋の中からでもズタズタに切り刻んでやるわ!」
ドキュオォォォンッ!!
爆音とともに、咲季の胸元から眩いばかりの赤い火花と排気音が爆発した。
頭部と両腕から突き出した輝くチェンソーの光刃が高速回転を始め、焦熱のノイズが大気を焦がす。
「おい悪魔! 咲季様のお出ましよぉぉぉっ!!」
『――バカな奴め! 自ら死に飛び込むか!!』
壁面から巨大な口を開いた『永遠の悪質ブロガー』が、咲季を丸呑みにせんと襲いかかる。
「プロデューサー君の体に触る権利は……誰にも渡さないぁぁぁっ!!」
ブォォォンッ! ガガガガガッ!
咲季はためらいなく巨大な悪魔の口の中へと跳躍し、チェンソーの刃を全開で振り下ろした。
鮮血とノイズの粒子が咲季の全身を染め上げ、二人は激しい落下の衝撃とともに暗黒の胃袋へと呑み込まれていく。