TS美少女の俺と化け物になった元親友の異世界生存録   作:ケトゥ毛

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トランス……モンスター……って言えばいいのかな?


第1話『TSと……TM?』

 

 突然だが、TSというジャンルをご存知だろうか。

 そう。男が突然、女(特に美少女)になるアレ。といっても、自分はうっすら知っているぐらいでそうした作品をちゃんと見たり読んだことがないので、超大雑把にしか言えないのだが。

 

 現在の時刻は朝の8時。いつも通り友人たちも乗っているバスに乗って通学している最中。いつも通り友人に挨拶をして軽く会話する。

 

「おはよう、ルリ。」

 

「おう、ツバキか。」

 

「他の奴らは?」

 

「後ろ見てみろ、全員いるぞ。」

 

 こいつはルリ、俺とは長い付き合いになる友人の一人だ。いつも一緒にいるので親友と言ってもいいのかもしれない。少し恥ずかしい物言いになるけど。

 中性的な名前で分かりづらいかもしれないがこいつは男だ。そして自分も。ルリは外見もかなり中性的で髪も長いので勘違いされることがしばしばあって更にややこしい。

 

 ちなみに他の奴らとは、ルリの他にいる四人の友人のことだが、今はおいておこう。

 

「……それで、何読んでるんだ?」

 

「なんか……アプリで見つけた適当なやつ読んでんだ。」

 

 なぜTSの話題を出したのかというと、そいつが今日読んでいた漫画がそのTSというジャンルにあたるものだったからだ。

 

「お前こういうの好きな奴だったっけ?」

 

「……いや?」

 

「そう? じゃあなんでこんなの読んでるんだ? あんまりこういう作品見ないタイプだったろ。」

 

「これ読むとボーナスコインが貰えんだよ。それ使って別の漫画読み進めてる。」

 

 あるよな。そういうミッションがあるタイプの漫画アプリ。

 こいつはこういう奴だった。漫画をタダで読みたがるクセに、割れサイトは使おうとしない変なとこで律儀な奴。

 

 にしてもTSモノか。俺もあまり見たことないな。興味がなかったわけではないがあまり機会がなかった。調べてみると、『Trans Sexual』の略でTSらしい。安直に性転換したことが物語の起点となる。

 ちなみにファンタジー的な方法で性転換するものはTSFって言うらしいよ、TS転生とかもあるみたいだ。また一つ賢くなれたね。

 

 まぁ元の身体とのギャップに悩んだり、友人との距離感が変わっていったりとかそういうのを見て楽しむやつだろう、多分。

 

「どう? 面白い?」

 

「……。まあまあってとこか。」

 

「面白くはないのか。」

 

「いや、なんていうかな。こういうのを好きなやつが読むとめちゃくちゃ面白いんだろうが、俺はどうしても好みの問題で刺さらないっていうか、良さが分からねえんだ。」

 

「まぁ……あるよな。そういうこと。」

 

 確かにその気持ちは分からなくもない。人によって好みは様々、どうしてもこういうことは起きてしまう。それでもこいつはこいつなりに理解しようとしていたらしいから、それだけでも十分だろう。

 

 俺も気になってきた。一応同じアプリを入れてるんだ、どれどれ……少し見てみよう。

 

「……ふ~ん」

 

 どうやら凡庸な男の主人公がある日突然、美少女になってしまいそれから周囲の人間関係や自分の心境に変化起きていくものらしい。それで元男なのに男に恋をしてしまったり……などそんなところだろうか。絵が可愛いくていいな。

 

 ……そういやこの主人公、ちょっとルリに似てるような。

 

 いや、何考えてるんだ俺。気持ち悪い。

 

「……」

 

 ふと脳裏にある疑問が浮かんだ。疑問といっても本当にしょうもないものだけど。

 

「なぁルリ」

 

「なんだ?」

 

「もし現実で、友達が急に美少女になったらどう思う?」

 

「……そうだな。」

 

 

「俺は……」

 

 彼が口を開いた、その瞬間から映像が途切れたように記憶が続かない。

 ルリの答えを聞く前に、唐突に脳が激しく揺さぶられるような衝撃を感じたことだけは覚えている。

 

 

 

 

 

 

   ◇

 

 

 

 

 

 

 突然だが、TSというジャンルをご存知だろうか。

 そう。男が突然、女(特に美少女)になるアレ。といっても、自分はうっすら知っているぐらいでそうした作品をちゃんと見たり読んだことがないので、超大雑把にしか言えないのだが。

 

 まぁ元の身体とのギャップに悩んだり、友人との距離感が変わっていったりとかそういうのを見て楽しむやつだろう、多分。

 

「……」

 

「……う~ん」

 

「これ絶対自分の身体じゃないよな……」

 

 それがまさに今自分の身にも起きたと言ったら……みんなは信じてくれる?

 ムリ? だよね。

 俺も信じたくないもん。

 

 脳内がぐわんぐわんするような猛烈な眩暈とともに目を覚ませば、周囲に広がるのは見知らぬ景色。頭がぼんやりして、何があったのかよく思い出せないまま自分の体を見れば……。

 

 肌は透き通るほど白く、胸には見覚えのない膨らみ、そして細い手足が。すごいすね毛が一本も生えてない。いちいち処理しなくていいの羨ましいな。視界の端々に移る髪の毛から察するに長くふわっふわな白っぽい髪。タマタマがないと違和感がすごい。

 

 服はかろうじてかけられた布切れ一枚でもうほとんど全裸だ。さむい。

 

「なんだよこれ……」

 

 あまりの異常事態に漏らした声も妙に高い。あら~綺麗なかわいらしいお声。

 

 まぁ……。

 

 うん。

 

 夢かなにかでしょう。このままもう一度寝転んで、目をつむり、すこ~し待てば……。

 

 ……じゃねえんだよふざけるのはそろそろやめよう。本当に何が起きてる。

 冷静になれ俺……。そうだ、まずは状況を分析

「ギャアァアアアアアア!!!!!!!」

 しよう……。

 

 周りを見て……。森か。森っぽいな。断末魔っぽい叫び声はいったん置いておいて……。

 

 近くには馬車が倒れているな。現代ではまず見たことないような古臭い物品の数々が散乱している。もしかして異世界転生でもしちゃったかな? もう時代遅れじゃない? それさ。ほらだって「オレの足がッ足の感覚がないッ」最近は追放系だって書き尽くされてるらしいし悪役令嬢とか流行ってるらしい「や、やめてくれェッ いやだッ しにたくな」じゃん?

 

「……っすぅぅ」

 

「ふぅぅ~~……」

 

 一度深呼吸していおこう。鼻腔を伝って周囲の空気の成分が雪崩れ込んでくるが……。う~んやたら鉄臭いな……。

 

 もぅビックリ系ゃめてょ……。こわぃぢゃんね……。

 

 はぁ良くない。悪い癖だ。緊迫した場面に陥るとふざけたことを考えて逃避しようとしてしまう。昔からそうやって逃避癖がついてしまっている。

 

 何が起きているかもわからないけど、とにかく立ち上がってみよう。

 

「ふんっ」

 

 立とうとしただけなのになぜか体が思うように動いてくれない!

 想像の何倍も重い……というより足腰が弱すぎるのか? それともまだ自分の脳と身体が馴染んでいないとかそういう感じ?

 このまま立つことすらできないといよいよまずいな……。

 

「ふんぬっ」

 

 きったねえ声を上げながらになってしまったけど、なんとか立ち上がれた……。ただしその姿は生まれたての子鹿の如し。

 

 これで寝ころんだ状態よりかは周囲が見れるようになった。

 さて、いったい何が……。

 

「……ひっ」

 

 うわ。せっかく立ち上がれたのに腰を抜かしてしまった。でも無理もないと思う。初めて見たよ。本物……なのかな。いやきっとそうなんだろうな。この鉄臭いような匂いが全て物語っている。

 

 確かに生首が転がっていた。

 男の。見たのは一瞬だけだったが十分脳裏に焼き付いてしまったおかげでいつでも思い出せるのだが、日本人では見ないような立派な髭を生やしていた。

 

 見えたのは生首だけじゃない。無残に様々な人体の破片が転がっていた。どんな目に遭えばこんなことになるんだ?

 

 ……思ったよりやばい。

 

 女の子になっちゃった~!どころではない。正直、起きることがいちいち現実味がなさ過ぎて危機感がいまいち湧いてこないけど……。とにかく、逃げたほうがいいんだろうか?

 

 もう一度立たないと。こんなところでうずくまっているだけではいずれ死ぬ。何が起きているのかも分からないまま。

 

「えぐいな……」

 

 立って少し歩いたところ、おびただしい数の死体の数々が視界に映った。おそらく異常事態を前にした脳がアドレナリンを分泌しまくっているせいでだんだんと感覚がマヒしている。最初ほど驚かなかったのはそのせいだろう。

 

 ん?

 

「はぁっはぁっあぁっひぃっ」

 

 誰かこっちに向かって走ってくる……?

 おっさんだ……。もう血まみれで腕が片方ない。なんか……正気失ってそうじゃない?

 どんどんこっちに来る……。

 

「嫌だぁ死にたくないぃい! 最後に、せめて最後にぃ!」

 

 えっ……まさか、ゾンビ映画でもよくある絶体絶命だから、最期に良い思いをしてから死のうっていうアレ!?

 

「ひっ」

 

 い、いやだ。流石に神経が張り詰めるような危機感を覚えた。

 来るなっ。

 

 走って逃げようとするも、足がまだ思うように動いてくれず、また転んでしまう。ああもうクソクソ、なんで思い通りになってくれいないんだ。

 

「だ、誰かっ」

 

 何もできない状況。そんな中で取った行動はみっともないものだった。

 

「誰かいないのかっ」

 

 助けを求めて叫ぼうとした。元男とは思えない情けない声だったが、この時はプライドをかなぐり捨てるほど切羽詰まっていたんだ、仕方ないだろ。

 

「ひぃっひぃ~っ」

 

 訳の分からないうめき声を漏らしながら、もうすぐ近くまで迫ってきている。

 

「誰か、助けてくれぇぇっ!!」

 

 この体になって初めて大きな声が出した。男がこちらに手を伸ばしてきている。つかまれると思った次の瞬間。

 

 ヒュン、と。

 

 風を切るような音が自分の真横まで響いた。同時に、男の頭部が“破裂した”。いや、破裂したように頭部が割れ、血を噴き出している。

 

「な、なに……?」

 

 まるで弾丸に貫かれたように転がった男の頭には穴が貫通して空いていた。

 横を見れば地面に、血の付いた小石のようなものが深くめり込んでいる。もしかして小石が弾丸のような速度で飛んできたとでも言うのか?

 

 間髪を入れず、のそり、のそりと鈍重な足音と共に何かを引きずるような音が森に響き渡った。

 近づいてくる。どんどん、“それ”が近づいてくる。

 

 一難去ってまた一難とよく言うが、こんなのあんまりじゃないか。

 

 なんだあの化け物は。

 

 体高3メートル以上はありそうな巨体、細長く大きい腕に鋭い爪。不気味なほど白い皮膚がかえって返り血を際立たせている。自分の知るどの生物とも似ても似つかない不気味な怪物が、こちらへ近づいてきている。

 

 あの怪物がこの惨状を引き起こしたってことなのか?

 

 片腕で複数の人間の死体を引きずりながら、こちらへ歩いてくる。

 

「ぅぅう、ぁあぁ」

 

 なんだ、よく見ればあの掴まれた死体。全部が全部死んでいるわけじゃないみたいだ。呻き声を上げていることから死に切れてないことが分かる。つまり、生きているのも混じっている。生きたままかじられて食われているんだ。

 

 怖い。ああ、怖い。

 

 もう後ずさることもできない。これが絶対的恐怖というやつか。体からありとあらゆる体液が漏れ出して死を嫌というほど間近に感じさせられている。

 

 もう数メートルの近さに入った。

 目の前だ。目の前にいる。

 

「あっ、あぁっ」

 

 震えが止まらない。俺は死ぬのか。この化け物にスナック菓子みたいに簡単に食われて死ぬんだ。ああ、クソッ。女の子になったと思ったらこれだ。急展開にほどがあるだろ。せめて鏡でも見てみたかった。

 

 化け物の細長くも大きい腕がこちらへ伸びてくる。ああ、そういえばこんな鋭い爪の恐竜いなかったっけ。なんだったかなぁテリジノサウルス? メガラプトル? ああ思い出せないなぁ。

 

 まるでこちらの目をその爪で潰そうとしているようだ。ああ、もうホントに殺されるんだ。いたぶられて殺されるんだ。そう認識した瞬間に走馬灯が駆け巡る。

 

 脳裏に想起されたのは自分の前世?の記憶の数々。

 その中でも“友人たち”の顔ぶれが思い浮かんだ。

 

 正義感の強い活発なボーイッシュ系女子リンカ、

 ちょっとナヨナヨしてるけどかっこいい理想を抱いていた少年シノブ、

 いろんな欲が強すぎて異性だったら絶対無理だったけど同性だから色々面白かったエロガキで野球部のゲント、

 守銭奴でやたら金を貯めるのが好きなシュウマ

 

 そして……いつもなんだかんだいいつつ一緒に悪いことしたり悩みを聞いたり助けてくれた……

 

「ルリぃぃーーー!! 助けてくれぇーーー!!」

 

 目をつむり、半ば自暴自棄になって親友の名前を叫ぶ。

 

「……?」

 

 あれ? 何もしてこない。

 恐る恐る片目を開けると、こちらに伸びてきているはずだった手は止まっていた。

 

「ひっ……!?」

 

 数秒静止したのち、怪物は深海魚のように長い頭をこちらへ近づけ、真正面についた二つの暗い穴のような目で凝視してきた。何を考えているのか全く読めない。

 

「な、なんだ……?」

 

 そして俺の頬をつついたり、違う角度から凝視したりを繰り返して、何やら首をかしげている。どうして突然こんな仕草をするようになったんだ? なにか思い当たるきっかけは……。

 

 俺はさっき、あの瞬間に助けを求めて叫んだ。

 その時何を言った?

 そう、彼の名前と一緒に叫んだ。

 

「ル、ルリ……?」

 

 ぼそりと彼の名をつぶやく。

 

 すると、“化け物”は明らかにその単語に反応してまた顔を見てきた。

 

「お前……」

 

「ルリ……か……? 溝隠(みぞかくし)ルリなのか……?」

 

 フルネームで呼んでみた。いくら同名の人間はいても、こんな変な苗字持ってる奴はあいつしかいない。

 

「俺だよ俺! ツバキ! ツバキだよぉ!」

 

 その言葉に驚嘆したかのようの怪物が口がぱかりと空いて、内の鋭い牙の数々が顕わになった。「は?」とでも言って啞然としていそうな表情。

 

「お前ルリだろ」

 

 嘘だろ?

 こいつルリか。

 

 俺は女の子に転生したらしいけどこいつは……。

 

「化け物になったのか……。」

 

 これが俺たちの見知らぬ土地での、最初の再会だった。

 TSしたのは俺のほうでした。

 

 

 

 

 

  ◇

 

 

 

 

 

「いや~まさかお前がこんな姿になってたなんてなぁ……気づけるわけないだろ」

 

「……」

 

「しかし、なんでここでこんな大量殺人なんかやってたんだ? 襲われたのか?」

 

「……」

 

「何か言ってくれよぉ……」

 

 ルリ?に色々話しかけてみるが返答は帰ってこない。しゃべらない、というよりもしゃべれないんじゃないだろうか?

 言葉を理解できなくなったとか、耳が聞こえてないとかそういうわけではないだろう。もしそうだったら俺の叫び声を認識できていないはずだから。声帯がないのかもしれない。にしてもジェスチャーとかで反応してくれてもいいんじゃないか?

 元はちょっとでも相槌を返そうとしてくれる奴だったんだけど……。

 

 事前の記憶はよく思い出せないが、いつも通りバスに乗っていた記憶。友達も全員乗ってて、いつも通りしゃべってて……。もしや事故かなにか起きて、それでみんな死んで転生してきたとか?

 

 ならタイミング的にもこいつがルリで間違いない……のかも?

 

 先ほどから元ルリと思われる化け物は、馬車の残骸を漁っては死体から服を剥いで何かを探している。何かを探しているのだろうか?

 

「お~い、何探してんだ?」

 

 当然、反応はない。

 

 直後、こちらへ振り向いて何かを投げつけてきた。

 

「ぶっ!? 急に何するんだよっ」

 

 顔に何かが覆いかぶさったので、それを取り払って確認すると……。

 

「服……?」

 

 死体からはぎ取ったであろう衣服の類で、比較的綺麗な状態のものだった。

 

「着ろってことか……? 確かに寒かったし……分かったよ」

 

「……」

 

 しかし着てみてもぶかぶかで、サイズが全く合っていない。大柄な成人の、しかも男性用の衣服だ。当然こうなるわけだ。しかも中途半端に破けているわ、汗臭いわで正直着たくない……。

 

「わがまま言って悪いけどさ……。」

 

「もっと他のなかったり……しない……?」

 

 機嫌を損ねて急に殺されたりしないか心配で恐る恐る要望を出すと、明らかに面倒くさそうな表情をしたように見えた。お前表情筋あるのかよ。

 

「分かった分かった、自分も探してみるから……」

 

 そろそろ足がまともに動くようになってきた。頼りっぱなしもよくないか。

 

 馬車があるってことは……自分は運ばれている最中だったとか?

 気を失っている間に運ばれていた? つまり転生してこの場に突然召喚されたとかそういうわけでもないのか?

 

 ダメだ。何を考えてもわからない。とりあえず今は答えの出ないことを考えるのはやめておこう。

 

「あっ……!」

 

 散乱した積荷の中から綺麗にたたまれた衣類を見つけた! やった!

 

 よし、これを着……。

 

「んん」

 

 サイズぴったりで臭くないし、いい匂いもする綺麗な服。

 ……なのだが。

 

 チュニックワンピースというやつなのだろうか?

 女性用だよなそりゃ……。

 

 仕方ない。何もないよりかはマシだ。

 

「……」

 

 着心地はいいがスースーする……。下着が欲しいし、普通に恥ずかしい。

 

「あっ鏡あるじゃん」

 

 割れてはいるが自分の顔ぐらいは確認できそうだ。

 

「……なんだこれ」

 

 なんだこの儚い白髪美少女は……。俺のドタイプというわけではないが、恐ろしいほどに可愛い……。これが自分? 噓ぉ……。

 

 ルリ?がこちらに気づいた。

 

「えっと……。」

 

「ど、どう? 似合ってる? な~んて……はは」

 

「うわぁっ! 露骨に嫌そうな顔するなよぉ! 冗談じゃん!」

 

 めちゃくちゃしかめっ面みたいになってた……。あれはどの感情の表情なんだよ。

 でもなんとなくこいつがルリに見えてきたぞ。前世でも似たような表情してた気がするし。

 

「……? どうしたんだ?」

 

 ルリ?がこちらに歩み寄ってきた。のそりのそりと。

 

「あっおい!」

 

 こちらをデカい手で体全体を鷲掴みされたと思ったら、少ししてその手を放される。

 

「お前今もしかして……」

 

 

「俺のこと殺そうとした???」

 

 

 だめだ。やっぱりこいつの事が分からない。

 お前はルリなの? ただの気まぐれで行動する化け物なの?

 

 俺は女の子になるし、親友が化け物になるし……もしかしてあのバスにいた友達って全員変な転生をしてるんじゃないのか……?

 

 自分のこともわからないし、何をすればいいのかもわからない。

 長い旅路になりそうだ……。

 

 

 

 





[補足情報]
-謎の美少女?
 ツバキを名乗る身元不明の少女。身長は145cm前後。
 白髪で癖っ毛気味。

-白い怪物
 全体的な骨格を言い表すために近い生物を挙げるとしたら、チンパンジーなどの類人猿。体高は3メートル以上だが、縦よりも横に広く見える。肩幅も広いが、腕は細長い。爪は刃物のように異常な伸び方をしている。
 頭部は深海魚や蛇に近い構造で首も長いが、顎と歯は獣脚類を彷彿とさせる。なんと唇があり歯がむき出しになっていない。よって何を考えているか分からなかったり、微妙に分かりそうだったりが混在している。白い皮膚はゾウのような質感。エイと似た形状の尾を持つ。
 口の中はブラックマンバのように真っ黒。ツバキを名乗る少女からはルリと呼ばれている。
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