カルデアハジケまつり   作:騎士誠一郎

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奥義7 コミケで覚醒バトル!(前編)

「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 本日限りの超目玉新刊、聖女の恥じらいを完全ドキュメンタリーでお届けする『聖女の体内は生体迷宮~口蓋垂を撃破せよ~』! 残数はあとわずかですぞぉぉぉ!」

「フハハハハハ! 愚民どもよ、並ぶがよい! ファラオの壁サークル『太陽の舟出版』の威光をその目に焼き付けるのだ! 新刊をお求めの者は最後尾の札を掲げよ!」

真夏の太陽が容赦なく照りつける東京ビッグサイト。日本最大の同人誌即売会――通称「コミケ」の会場は、狂乱と熱気に包まれていた。

壁サークル「太陽の舟出版」のブース前には、見渡す限りの長蛇の列! 売り子を務めるのは、ノリノリでハサミをシャキシャキ鳴らすメフィストフェレスと、王冠をギラつかせてドヤ顔を決めるオジマンディアスである。

前回でジャンヌ・ダルクから朝まで正座でお説教を受けたはずの二人であったが、反省の色など1ミリも存在しなかった。むしろ「怒られた=それだけ素晴らしい内容」とポジティブに歪曲解釈し、密かに刷り増した増刷分をコミケの舞台で大解放していたのだ!

「ちょっとーーーッ!! あんたたち、反省してなかったのーーーっ!?」

会場に怒号が轟いた。

人の波を力ずくで押し分けて現れたのは、顔を真っ赤にして爆発寸前のジャンヌ・ダルクと、手に巨大なフライ返しを握りしめ、般若のような笑みを浮かべたブーディカ! そして、その後ろで青ざめている藤丸立香、マシュ、ビュティ、ヘッポコ丸の面々だった。

「主の御名において……今日という今日は絶対に許しません! 人の口の中を無断で同人誌にして売るなんて、聖女以前に人道的に大問題です!!」

ジャンヌの背後に、メラメラと漆黒の復讐の炎(※アヴェンジャー化の兆候)が立ち上る!

「そうよ~? ご飯を残すのも駄目だけど、人の尊厳を踏みにじるような同人誌を売るのも大罪なんだからねぇ……?」

ブーディカの周りから、ドロリとした重圧(プレッシャー)が放たれ、周囲の参加者たちが「ヒッ……!」と悲鳴をあげて退散していく。

「お、落ち着いてくださいジャンヌさん、ブーディカさん! まずは頒布を停止させて原稿を回収するのが先決です!」

立香が必死に二人を宥めようとする。

「ぬふふふ~! 私もサークル参戦ぬ!『トコロテンの美味しい食べ方全集(ぬの特製シール付き)』だぬ!」

「誰も買わねえよ! 机の上でカピカピに干からびてるトコロテン置くんじゃねえ!」

すかさずツッコミを入れるビュティ。

だが、その混乱の渦中――突如としてビッグサイト上空の空がパステルピンク色に亀裂を起こし、激しい次元の歪みが会場全体を包み込んだ!

『―—警報! 警報! コミケ会場中心部に、時空歪曲波形を確認! 特異点が発生しました!』

通信画面のダ・ヴィンチちゃんが叫ぶ。

「な、なんだってー!? コミケ会場が特異点化した!?」

立香が驚愕する。

歪みが収まると、いつもの無機質な展示場の風景が一変。

そこは、巨大な魔法陣、魔法少女のステッキ、巨大なネコミミフード、パステルカラーの巨大なお菓子がプカプカと浮かぶ、まるで「とある熱狂的コスプレイヤーの頭の中の妄想がそのまま具現化したようなポップでカオスな異空間」へと変貌していたのだ!

「なになに!? 今度はファンタジー少女漫画みたいな世界観になっちゃったわよ!?」

ビュティが周囲を見回して叫ぶ。

「ハハハハハ! ついに始まったか、俺の理想郷が!」

ポップな異空間の最奥、札束で作られた巨大な玉座に座り、金のサングラスをかけた太った男が不敵な笑みを浮かべて見下ろしていた。全身にプレミアム価格のついた限定フィギュアや同人誌を大量に抱え込んだ男――マルハーゲ帝国の刺客、転売ヤーの『バイヤン』だ!

「俺は転売真拳の使い手・バイヤン! このコミケ会場の限定品、人気同人誌、全てのグッズを買い占め、定価の10倍で転売してやるのだ! オジマンディアスの『聖女の体内同人誌』も、俺が買い占めて一冊十万円で出品してやるわ!」

「「「転売ヤーが出たーーーーーっ!?」」」

立香、ジャンヌ、ブーディカ、ビュティの怒号が重なる!

「定価十万円……!? 転売は文化の敵、オタクの敵です! 万死に値します!!」

ジャンヌが本気でブチ切れ、旗を構える!

「フッ……転売だと? 買い占めだと? 許せねぇ……俺の『ハジケの心』が怒りに燃えているぜ!」

静かに歩み出たのは、ボボボーボ・ボーボボ!

その横には、眉間にシワを寄せた首領パッチ、そしてプルプル震える天の助!

「いくぞ首領パッチ! あんな奴は、俺たちの『合体』で一瞬で叩き潰す!」

「おうよボーボボ! 俺たちの絆(ハジケ)を見せてやるぜ!」

ボーボボと首領パッチが互いの手を握り合い、眩い黄金のハジケオーラを放ち始める!

二人の体が光の中で融合し、伝説の合体戦士『パッチボボ』へと変身しようとした――その瞬間!

「ぬぬぬ〜〜〜っ! 仲間外れは嫌ぬ〜〜〜〜っ!!」

天の助が涙目になりながら、強烈なフライングスライディングで融合の光の中に力ずくで割り込んだ!

「ちょっと天の助!? 勝手に割り込むんじゃないわよ――」

ビュティの制止も虚しく、光が激しい爆発を起こす!

ドカーーーーーーン!!!!!

光が収まった中心に立っていたのは――

パッチボボのクールでハンサムな肉体に、なぜか頭部だけが天の助のトコロテン顔になり、背中に『ぬ』の文字が刻まれた、奇妙すぎる合体形態!

「「「**パッチボボの助になっちゃったーーーーーっ!?!?**」」」

立香、ビュティ、ヘッポコ丸、そして転売ヤーのバイヤンまでもが、目玉を飛び出させて怒涛のツッコミを叩き込んだ!

「合体の事故率が高すぎるだろ!! カッコよさとダサさの寒暖差で風邪ひくわ!!」

立香の魂のツッコミが、ポップなコミケ特異点の空にどこまでも響き渡る!

転売ヤー・バイヤンとの絶望的(?)な決戦の行方は――激動の後半へ!

「ぐぬぬぬ……パッチボボの助だと!? なんだその頭部がトコロテンで体だけ無駄にスタイルが良い不気味な合体形態はーっ! だが、限定品と利益をむさぼる俺の『転売真拳』の前に、そんな不協和音の合体など蚊の刺したほども効かんわ!!」

札束の玉座の上で、転売ヤーのバイヤンが怒りに身を震わせる。

彼は懐から、どこかで見たことのある『銀色のメガホン』と、単一乾電池型のキーアイテムを取り出した。

「な、なにーっ!? あのメガホンと電池アイテムは……前作で謎のヒロインXたちが使っていた特撮パロディの変身アイテムじゃないの!?」

ビュティが顔芸レベルの金札顔で叫ぶ。

「バカめ! 俺がコミケ会場の裏ルートで買い占めたプレミアム限定変身アイテムだ! 喰らうがいい、闇の転売プレミアムモード!」

バイヤンがメガホンに電池型アイテムをカチリとセットし、天高く掲げて叫んだ!

「**覚醒憑依せよ、グリオークーーーッ!!**」

『プレミアム・コンプリート! 転売龍・グリオーク!!』

ズドオォォォォォン!!

禍々しい紫色の稲妻が落ち、バイヤンの全身が漆黒の『ドラゴンメイル』で覆われ、両手には岩盤をも容易く引き裂く巨大な『鉄の爪(クロウ)』が装着された!

「「「敵まで特撮パロディと覚醒憑依に乗っかるなーーーーーっ!?」」」

立香、ビュティ、ヘッポコ丸の怒涛のツッコミが大合唱となる!

「ハハハハ! このドラゴンメイルの硬度と鉄の爪の攻撃力は、定価の十倍の価値がある! 死ねぇ、パッチボボの助!」

バイヤンが超高速で地を蹴り、鉄の爪から鋭い真空波を放つ!

「ぬぬ~! 調子に乗るなぬ! ハジケの神髄を見せてやるぬ!」

パッチボボの助は、右手に首領パッチの魂が宿る『ドンパッチソード(ただのネギ)』を構え、左手にはアフロの奥深くから引き抜いた漆黒の魔剣『魔剣大根ブレード(ただのみずみずしい大根)』を抜刀! 二刀流の構えをとった!

「奥義――『ドンパッチ大根・二刀流乱れ斬り』ぬーッ!!」

バツン! バツン! ズバァァァン!!

ネギと大根が高速で交錯する! しかし――

「甘い甘い! ただの野菜でこのドラゴンメイルが傷つくかぁぁっ!」

メリメリッ! ボカン!!

「わーーーーーーーっ!?」

バイヤンの鉄の爪の一撃が、大根とネギを粉砕! 衝撃波がパッチボボの助を直撃し、トコロテンの頭部がプルプルと激しく歪みながら後方へ吹き飛ばされた!

「パッチボボの助ーっ!?」

立香が叫ぶ。

「ハハハ! 見たか! 所詮はトコロテンが混ざったバグ合体! 俺の転売パワーの敵ではない!」

バイヤンが勝ち誇る。

だが、倒れ伏したパッチボボの助の体から、黄金と漆黒、そして半透明のジュレの光が、渦を巻いて上昇し始めた。

「……ふっ。やはり、天の助が混ざると微妙に押し負けるな」

「失礼なー!? 私だって一生懸命トコロテン汁を出して貢献していたぞ!」

「静かにしろ! 行くぞ、真の『物質超ハジケ融合』だ!!」

パッチボボの助の胸のコアが眩く発光!

二刀流の破片と、コミケ会場に転がっていた『自動改札機』が、光の中でドロドロに溶け合い、一本の神々しい聖剣へと再構築されていく!

「現れよ……物質超ハジケ融合の結晶……『聖魔支配剣・改札セイバー』!!」

パッチボボの助の手の上に姿を現したのは――黄金に輝く柄に、どこからどう見ても『JRの自動改札機(ICカード読み取り部付き)』がそのまま剣身として合体した、あまりにも理不尽な形状の巨大剣だった!

「「「改札口がそのまま剣になってるじゃねえかーーーーーっ!?」」」

立香とビュティの叫びを無視し、パッチボボの助は改札セイバーを上段に振りかぶった!

「喰らえバイヤン! 残高不足の恐怖を知れ!『改札セイバー・ICチャージ斬り』ーーーッ!!」

ピッ!!『残高が不足しています』

ピカァァァァァァァッ!!!!!

改札セイバーから放たれたのは、赤いエラーランプの激しい点滅とともに押し寄せる、圧倒的なSuica/PASMOエネルギーの光条!

高額転売によって残高を吸い取られたオタクたちの怨嗟と光が、バイヤンのドラゴンメイルを直撃する!

「グワァァァァァッ!? チャージ不足のエラー音とともに……俺のドラゴンメイルが強制退場(改札ブロック)させられるぅぅぅぅぅッ!?」

ドカーーーーーーン!!!!!

爆発とともにドラゴンメイルは粉砕され、バイヤンは全身ススまみれになって地面へ転がり落ちた。

「やった……! 転売ヤーを撃破したぞ!」

立香が拳を握りしめる!

……だが、バイヤンはススを吐き出しながら、不敵にニヤリと笑った。

「フ……フハハハ……! 甘いぞカルデア! 俺の往生際の悪さを舐めるな! 予備の転売ルートはすでに確保してあるのだ!」

バイヤンはポケットから、ボロボロになったメガホンを再び取り出し、壊れかけた音声回路に叫び声を叩き込んだ!

「いでよ、我が最強の転売召喚獣!『覚醒せよ、グリオーク』ーーーッ!!」

『召喚! 三頭の魔竜・グリオーク!!』

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

コミケ会場のポップな空が真っ黒な暗雲に覆われ、時空の裂け目から現れたのは――メガホンのパロディを完全に無視した、某・伝説シリーズに登場するような、不気味に3つの首を蠢かせる超巨大な氷と炎と雷の三頭ドラゴン『グリオーク』だった!

グオォォォォォォォォン!!!!!

圧倒的な質量と威圧感! 会場全体に激しい吹雪と雷光が吹き荒れる!

「「「任天堂の超大作ゲームのボスキャラを勝手に召喚するなアァァァァァーーーーーっ!!!?」」」

マシュとブーディカの魂の底からの絶叫ツッコミが、特異点全体を大揺れさせた!

「先輩! あのビジュアルと威圧感、完全に他社の看板アクションゲームのラストダンジョン前座ボスです! 著作権的にもカルデアの防壁的にも全滅の危機です!」(マシュ)

「そうよ! それに何よあの首がいくつもある龍は! バーベキューで焼くにも肉が硬そうで大迷惑なんだからねぇぇぇ!」(ブーディカ)

マシュの完璧なゲームツッコミと、ブーディカの明後日の方向を向いた主婦目線ツッコミが絶妙にハモり、コミケ特異点に凄まじい衝撃波が駆け抜ける!

召喚された巨竜グリオークが口から炎を吐き出し、パッチボボの助が「ぬ〜! 次はドラゴン退治だ〜!」と意気込む中、物語はさらにカオスを極めるのだった!

(第7話・完! 第8話へ続く!)

 

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