「いいですか、Xさん! プロテアさん! 反省の色が見られません! カルデアの風紀と著作権コンプライアンスを守るため、今から三時間の集中道徳講義を行います!」
カルデア・娯楽室。マシュ・キリエライトの熱のこもった正義のお説教と、手帳を叩きつける「パシッ! パシッ!」という乾いた音が延々と響き渡っていた。
「う……うう……! マシュさんの正論が……正論の圧が強すぎて、私のセイバー魂が折れそうです……!」
額から滝のような冷や汗を流し、正座の姿勢で膝をガクガクと震わせる謎のヒロインX。隣ではキングプロテアが大きな体をできるだけ小さく丸め、「プロテア……もう他社のパロディ合体はしない……」と涙目になっている。
「ダメだ……このままでは道徳の波に呑み込まれて、私のハジケ(特撮)精神が消滅してしまう……! プロテア、逃げますよ!」
「えっ……どこへ……!?」
「決まっているでしょう! 真の強さと『正しい特撮の心』を取り戻すための――**【修行の旅】**です!」
「あっ! 逃げました! 待ちなさいXさん!」
マシュの制止を振り切り、Xとプロテアは廊下へ向かってダッシュ!
すると、物陰からぬっと現れたアフロヘアーの男――ボボボーボ・ボーボボが、二人の行く手を遮るように立ちはだかった。脇には首領パッチと天の助も控えている。
「ふっ……修行だと? 男が修行に出かけるというなら、このボボボーボ・ボーボボが黙っちゃいねぇ! 俺たちハジケリストもその修行に同行させてもらうぜ!」
「「「勝手についてくる気だーーーーーっ!?」」」
追いかけてきた藤丸立香とビュティのツッコミがハモる!
「よし! 旅の供が増えるのは大歓迎です! いざ、特訓の地へ!」
Xの宣言とともに、一行は(マシュのお説教から逃げるように)カルデアを飛び出し、未知なる荒野へと旅立ったのであった!
【特訓の地・果てしなき荒野】
「はぁ……はぁ……! これが……『伝統的な修行』というやつですか……!」
カンカン照りの太陽の下。
謎のヒロインXとキングプロテア、そしてボーボボ、首領パッチ、天の助の腰には、太い縄で**「大型トラックの巨大タイヤ」**がしっかりと括り付けられていた。
ズザザザザ! と凄まじい土煙を上げながら、一行は荒野をひたすらランニングしている!
「くっ……! タイヤを引きずって走ることで、足腰とセイバー筋が鍛えられていくのが分かります!」
Xが額の汗を拭いながら叫ぶ。
「プロテアも頑張る……! タイヤが小さく見えるけど、頑張る……!」
(※キングプロテアの引きずっているタイヤは、彼女のサイズに合わせて戦艦の主砲クラスの超巨大タイヤである)
「ふははは! 甘いぞ二人とも! 俺のタイヤ引き走りを見ろ!」
ボーボボはなぜかタイヤではなく**「巨大な焼き立てのナン」**を腰に括り付けて走り、それを後ろから首領パッチがムシャムシャと食べながら追いかけている!
「走りながらメシ食うな! 修行になってねぇだろ!」
後ろから自転車で伴走している立香のツッコミが飛ぶ。
「ぬぬ~! 私はトコロテンだから、タイヤの摩擦熱で溶けていくぬ~!」
天の助がずるずると液体化しながら悲鳴をあげる。
「知るか! 溶けきる前に完走しろ!」
ビュティの容赦ない叫びが響く。
【修行二日目・麓の街】
「……さて、激しいランニングで足腰は鍛えられましたが……重大な問題が発生しました」
荒野を抜けた麓の街。Xはからっぽの財布を逆さにして見せた。ポロリと落ちてきたのは10円玉が一枚。
「お腹が空きました……。修行を続けるための『資金(お小遣い)』が足りません!」
「ふっ……金がないなら稼ぐまで! 修行とアルバイトを同時にこなす伝説のメソッド……**『亀の甲羅背負い牛丼配達バイト』**を始めるぜ!」
ボーボボがどこからか取り出したのは、ずっしりと重い**『巨大な亀の甲羅』**!
X、プロテア、ボーボボたちは、その重厚な甲羅を背中に担ぎ、手に『特盛牛丼』の岡持ちを抱えて街中を爆走し始めた!
「いらっしゃいませーっ! 亀の甲羅の重みに耐えながら、出来立ての牛丼をお届けに参りましたーっ!」
Xが甲羅の重さに耐えながら、見事な足さばきで配達をこなす! 重圧に耐えることで体幹が鍛えられ、バイト代も稼げる一石二鳥の完璧な修行――はずだった!
「**ちょっと待ちなさーーーーーっ!!!**」
突如、空から通信画面ではなく**『巨大なホログラム映像』**としてマシュが乱入してきた!
「Xさん! ボーボボさん! それは○ンゴク先生の亀の甲羅修行と、某・ウーバー的な配達バイトの完全な悪魔的合体パロディです! しかも甲羅を背負って走ったら、せっかくの牛丼のつゆが激しく波立って、お客様に届く頃にはシャバシャバの雑炊みたいになっちゃいます!」
「「「**マシュのツッコミのせいで牛丼のクオリティまで台無しにされたーーーーーっ!?!?**」」」
立香とビュティが頭を抱えて絶叫する!
「ああっ!? マシュさんに指摘された途端、岡持ちの中の牛丼が本当に『つゆだくすぎて雑炊』になっちゃいました! これじゃバイト代がもらえません!」
Xが悲鳴をあげる!
「フハハハ! ならば俺のハジケ配達を見せてやる!」
ボーボボが甲羅を投げ捨て、アフロから「牛丼を食べるおじさん」を取り出して爆走し始めた!
「配達関係ねえだろ! おじさん走らせてどうするんだ!」
ヘッポコ丸のツッコミも虚しく、バイト現場は大混乱!
資金稼ぎは失敗、修行は迷走、そして背後からは追跡してくるマシュの影……!
謎のヒロインXたちの「修行の旅」は、一体どこへ向かうのか!?
さらなる狂気とハジケが加速する後半へ!
「お客様ぁぁぁ! 牛丼のつゆがシャバシャバになっちゃってすみませぬぅぅぅ!」
「だーかーらー! 甲羅なんて背負って配達するからですよ! 衛生面と配送品質の観点から即刻営業停止です!!」
ホログラムで空中に出現したマシュの大音量説教スクリーンのせいで、街は大パニック。結局バイト代は一ペニーも出ず、弁償代で収支はマイナス。亀の甲羅背負いランニング修行も、マシュの正論乱入によって完全にドタバタの中止へと追い込まれてしまった。
「うぅ……修行も中止、お小遣いもゼロ、牛丼の弁償で財布は極寒の冬景色です……」
謎のヒロインXが荒野の地面にガックリと膝をつき、哀愁漂う背中でどん底の溜め息をつく。
「プロテアも……お腹へった……」
キングプロテアがお腹をキュ〜ッと鳴らし、悲しそうに体を小さく縮こまらせた。
「ふははは! 案ずるな! 金がないなら俺のアフロから湧き出る『もやし』を食べればいい!」
「誰が食うかそんなもん! 衛生観念どうなってんだ!」
ボーボボの謎の提案に即座に飛びつくビュティの怒声。
だがその時――!
ドカーーーン!!
空から突如、巨大な餡子(あんこ)の固まりがメテオのごとく飛来し、地面を爆発させた!
むせ返るような甘い香りと黒糖の煙の中から、全身にあんこを塗りたくった不気味な男が怪しく姿を現す。
「フハハハハ! 探したぞカルデアの面々、そしてボボボーボ・ボーボボ! 我こそはマルハーゲ帝国が誇る和菓子真拳の使い手……刺客『あんコルもやや』だぬーッ!」
「「「名前の語感がめちゃくちゃ『カルモやや』っぽいーーーっ!?」」」
立香、ビュティ、ヘッポコ丸の怒涛のツッコミがハモる!
「フン、問答無用! カルデアの風紀委員長らしきそこの娘、死ねぇい!」
あんコルもややが袖から取り出したのは、超重量級の『特大ジャンボ重厚蒸しまんじゅう』!
シュバッ! と音を立てて投げつけられたまんじゅうは、正義の怒りで通信スクリーンを飛び出そうとしていたマシュの開いた口へ、ダイレクトにスッぽりと命中した!
「んぐぬッ!??!!?」
マシュの目が飛び出さんばかりに見開かれる!
超巨大かつ超高密度の水分皆無まんじゅうが、マシュの喉の奥にピッタリとハマり込み、完全に通過を拒絶!
「んぐ! んっ! んぐぐぐぐーーーッ!!(喉に詰まって息ができない!)」
苦しそうに喉を押さえて白目を剥きかけるマシュ!
「マシューーーッ!? 大変だ、水分! 水分を補給させないと!!」
立香が大慌てでポケットから「激熱の濃いお茶(カルデア特製)」を取り出し、マシュの口へ一気に流し込んだ!
ゴクゴクゴク……ごっくん!!
「ぷはぁぁぁぁぁぁっ!! けほっ! けほっ……!!」
間一髪、お茶の力でまんじゅうを胃袋へ流し込み、奇跡的に生還を果たしたマシュ。
しかし、喉の激痛と死の恐怖に直面したマシュは、ぽろぽろと涙をこぼしながら立香の袖をギュッと掴んだ。
「ひぐっ……ふえぇぇん……先輩ぃぃぃ……『まんじゅう怖い』ですぅぅぅ……! 本当にまんじゅうが怖いですぅぅぅ……!!」
「「「落語の『まんじゅう怖い』を本気(物理)でトラウマにしてるーーーーーっ!?」」」
感動の救出劇が一瞬で古典落語の物理的トラウマへと変貌し、立香とビュティの叫びが荒野にこだまする!
「ハハハハ! まんじゅうの恐怖に怯えるが良い! 次はあんこづくしで全員喉を詰まらせてやるわ!」
勝ち誇るあんコルもやや!
「……許せません」
静かな怒りの声が響いた。
前髪をシャキーンと逆立て、銀色のメガネ(※伊達)を光らせた謎のヒロインXが静かに一歩前に踏み出す。
「マシュさんを物理的な『まんじゅう恐怖症』に落とし込めるとは……万死に値します! 見せてあげますよ……私たちが血の滲むような(※牛丼を配達しただけの)修行で手に入れた、新たなるハジケの力を!」
Xは懐から、なぜか精巧に作られた『魔剣走行レールツェッペリン(魔眼収集列車)のプラモデル模型』を取り出した!
さらにいつもの銀色メガホンを構え、力強く叫ぶ!
「変形合体! レールツェッペリン・オーバー・ドライブ!!」
『ガチャコン! チャキーン! ギゴガゴ……!!』
プラモデルの列車が突如として巨大化・重厚化し、メガホンの先端と複雑に組み合わさっていく! 列車パーツが砲身となり、車輪がエネルギーブースターへと変形! 圧倒的な質量感を誇る巨大重粒子砲――**『ツェッペリンバスター』**がここに完成した!
「「「列車のプラモとメガホンが合体して巨大バスター砲になったーーーーーっ!?」」」
「フハハ! そんな玩具でこの『和菓子真拳・漆黒あんこ防壁』が破れるかぁぁっ!」
あんコルもややが大量のあんこで壁を築く!
「いいえ、破れます! これぞ修行の果てに辿り着いた、私のソウル(感情)の爆発――!」
ギャバリオン(X)がツェッペリンバスターのトリガーを極限まで引き絞る! 砲門から青と銀の情緒あふれる超エネルギーが渦を巻く!
「喰らいなさい! 新必殺技――**『ハイパーエモーショナルバースト』**ーーーッ!!」
ズドオォォォォォォォォン!!!!!
「エモーショナル」の名に恥じぬ、異様なほどドラマチックで切ないBGMとともに放たれた極太の光線が、あんこの壁を一瞬で蒸発させ、あんコルもややをダイレクトに直撃!
「グワァァァァァッ!? なんだこの光線はぁぁぁっ!? 技名に『エモーショナル』って付いてるのに、やってることがただの圧倒的質量による高威力破壊ビームじゃねえかぁぁぁぁぁッ!?」
あんコルもややの至極ごもっともな悲鳴とともに、空のかなたで大爆発が巻き起こり、刺客は夜空の星となったのだった。
「わぁぁい! Xさんすごい! プロテア、感動した……!」
キングプロテアがパチパチと巨大な手を叩いて大喜び!
「ふっ……見事な勝利でしたね、プロテア。これが修行の成果です!」
胸を張り、ドヤ顔でキメポーズを作るヒロインX!
……だが。
「……Xさん。プロテアさん。そして……そこにいるハジケリストの皆さん」
後ろから届いたのは、地獄の底から響いてくるような、凍てつく超低音ボイス。
ゆっくりと振り返った一行の目に飛び込んできたのは――
涙を拭い、般若も裸足で逃げ出すほどの「漆黒の激怒オーラ」を全身からメラメラと立ち上らせたマシュの姿だった。
「『まんじゅう怖い』のトラウマを植え付けられた私を棚に上げて、またしても他社の鉄道アニメや特撮の合体パロディで、強引かつ大雑把な高威力ビーム解決……ですね……?」
「あ……あの、マシュさん……? これはマシュさんの仇を討つためにですね――」(X)
「黙りなさい!!!」
マシュの一撃の叫びが荒野を揺らす!
マシュは背後の巨大シールドから、分厚い「反省文専用ノート」をドサドサドサッ!! と大量に投げ捨てた!
「言い訳は一切認めません! ヒロインXさん、キングプロテアさん! そして巻き添え……いいえ、同罪のボーボボさん、首領パッチさん、天の助さん!!」
マシュがバシッと指をさして、地獄の宣告を下す!
「全員まとめて、**【反省文ノート一人3冊分】**を提出するまで、カルデア食堂の全メニューをおあずけとします!!」
「「「「「えぇぇぇぇぇーーーーーっ!?!? 3冊分もーーーーーっ!?!?」」」」」
X、プロテア、そして巻き添えを食らったボーボボ一行の絶望の悲鳴が荒野に虚しく響き渡る!
「ぬぬ〜〜〜っ! 私はトコロテンだから文字が書けない〜〜〜っ!」
「うるせぇ、足で書け!」
結局、修行の成果も虚しく、全員がマシュの圧倒的正論とお説教の前に正座させられ、半泣きで鉛筆を走らせるという、自業自得かつ悲惨なオチで幕を閉じるのだった。
(第9話・完! 第10話へ続く!)