カードバトルの2回目の授業が始まるという日の朝に、事件が起こる。なんか担任の先生がくたびれた表情で登場して「どうぞ……」と案内される1人の少女は、金髪ドリルツインテールのお嬢様っぽい子だった。転校生かな?
「私の名前は
「えっと、あそこの窓際から3番目の位置に」
「あそこね?カードショップの公式戦で126戦無敗というおかしな成績だったから勝負をしに来たのだけど、無駄足だったかしら?滅茶苦茶弱そうじゃない」
あ、これ本来は勝君が絡まれる奴だ。苗字が天下って絶対『天下グループ』のお嬢様じゃん。勝君はボクに2回負けているから無敗じゃないけど、たぶんその2回を除けば無敗だったんじゃないかな。で、このお嬢様に絡まれると。
そして「弱そう」と煽って来たのに勝負自体はするんですねお嬢様。何故かカードバトルの授業が天下さんのカードバトルを見学するに置き換わったんだけど他の子にとっては迷惑じゃないの?え?元からルール分からないような子はいないから初回に続いてルール説明しかしない2回目の授業なんてスキップしても良い?担任の先生はマジでそれ言ってる?
あれよあれよという間に、カードバトル用のスペースに移動させられてお嬢様の対面に移動させられる。……なんか黒服を着た男達が天下さんの後ろでスタンバってるの凄く怖いんだけど。これ勝って良い奴?
「さて。私の100連勝目の相手として、私とカードバトル出来ることを光栄に思いなさい」
『……あのデュエリスト、相当な腕前ですよ』
「え、そうなの?じゃあ初手にメアリー3枚来てくれないかな。
っと、こっちが先攻か」
レイラが険しい表情をして忠告してくれるけど、まあ初手にメアリーが3枚来た時点でボクに負けはない。1ターン目、メアリーを3枚出してターンエンド。手札は減ってないし、マナは4マナ。先攻だと基本止まらないんだよね。
「なるほど。低コストの魂のカードが強いのですね。
では私のターン。ドロー!
手札からスペルカード『公平なカードバトル』を発動しますわ」
「……え。コスト1で、汎用カードじゃない。
魂のカードでスペルカード!?」
「このカードの効果により、マナゾーンにカードを3枚置き、デッキからコスト3以下のモンスターを召喚しますわ」
「え、何で!?」
向こうの後攻1ターン目。天下さんは見たこともないスペルカードを使い、マナを一気に増やしてデッキからよく見る光の汎用カードである『先駆けの天使』を召喚して来た。ちょっと待って、確認させて!?
【コスト1(光) 公平なカードバトル】
光属性スペルカード
効果:このカードはフィールド上の相手のモンスターカードの数が自分のモンスターカードの数より多い時に発動することが出来る。効果は以下の2つから選択する。
①相手の手札のカードの数が自分手札のカードの数より多い場合、同数になるまでデッキからカードをドローする。その後、その枚数分のコスト以下のモンスターカードをデッキからフィールド上に召喚することが出来る。
②相手マナゾーンのカードの数が自分マナゾーンのカードの数より多い場合、同数になるまでデッキの上からマナゾーンにカードを送る。その後、その枚数分のコスト以下のモンスターカードをデッキからフィールド上に召喚することが出来る。
……なるほど。相手のアドバンテージを打ち消すだけじゃなくて、更にモンスターカードを呼べるから中々にえげつないカードだ。でも滅茶苦茶な効果、というわけでもない。基本的には手札を使い切った後とかに発動するのが強いのかな。今回はマナの差が埋められたから、何とかしてまたメアリーを再利用して差を付けたいけど……。
「『先駆けの天使』の効果を発動。手札の『無敵要塞ガーディアンナイト』のコストを2下げますわ。
そのまま『無敵要塞ガーディアンナイト』をフィールド上の『先駆けの天使』を生贄に代償召喚!」
【コスト3(光) 先駆けの天使】
光属性モンスターカード
攻撃力:1
体力:1
効果:このカードを召喚した時に手札の光属性モンスターカードのコストを2下げることが出来る。
【コスト8(光) 無敵城塞ガーディアンナイト】
光属性モンスターカード
攻撃力:5
体力:5
守護:このカードは場にいる限り、守護を持たない他のモンスターへの攻撃とプレイヤーへの攻撃を防ぐ。
代償召喚:このカードを召喚する時、フィールド上のコスト3以下のモンスターを1体墓地に送っても良い。そうした場合、このカードのコストは墓地に送ったカードのコスト分下がる。
効果:??????????
後攻1ターン目で5/5スタッツの守護が立つって何事!?しかも絶対魂のカードだし効果読み取れないってことはヤバイ効果持ってるじゃん!?『公平なカードバトル』で追加したマナは使用してないから、8-2-3で丁度コスト3で召喚出来たってわけなんだけど、ちょっと不味い。
光属性はコスト5の汎用カードで超強いスペルカードがある。あの感じだと絶対に握っているはずだし、それを使われる前にあれは処理しないと。何で次の2ターン目で向こうも5マナに到達するの!いや半分はボクが悪いんだけどさ!
これは早急に処理しないと、と思ったら引いたカードは『海原忍者 サリー』だった。ナイス!これで除去しつつ、カードを引いた上で相手の手札1枚をデッキバウンスしよう。いやでも必殺無効とか持ってそうだよね。無敵城塞って冠名だし。なんか城っぽい大きな人型ゴーレムって感じなんだけど、めっちゃ強そうな感じ。
コスト8で守護持ちとはいえ5/5のスタッツは弱いし絶対に強い効果があるはず。……ただ初見だと、踏みに行くしかないよね。余ったコスト2でスペルカード『水魔の儀式』を使ってレヴィアタンのコストを1下げておこう。これで色々と対応出来る
「『海原忍者 サリー』で『無敵城塞ガーディアンナイト』を攻撃!
突進必殺持ちだから両者破壊でボクはカードを1枚ドロー、天下さんは手札からカードを1枚ランダムで戻して貰うよ」
「何ですのその効果!?
……まあ、それでも良いですわ。ターンは終了ですの?」
「……メアリー3体でシールド①を攻撃してターンエンド」
「それでは墓地の『無敵城塞ガーディアンナイト』の効果を発動しますわ。
『無敵城塞ガーディアンナイト』の効果は『フィールドから墓地へ送られたターンの終了時にこのカードをフィールド上に召喚する』ですの」
「えええぇぇ!?」
とりあえず破壊出来たことにホッとしたら、ターン終了時に『無敵城塞ガーディアンナイト』が蘇って来た。戦闘破壊してもスペルで破壊してもターン終了時に復活する5/5守護とか対応するの普通のデッキだと無理じゃない?しかも、相手は次のターン、この様子だと確実に……。
「では私のターン!
手札からコスト5のスペルカード『祝福』を発動!フィールド上に存在する光属性モンスターカード1体の攻撃力と体力を倍にしますわ!
そ・し・て。このカードは前のターンに召喚されているので攻撃が出来ますわ!あなたのシールド①を攻撃して破壊!」
持ってるよね、祝福。滅茶苦茶高いカードだけどお嬢様だし、あのデッキと相性抜群だろうから3積みしてるかな。何で2ターン目で10/10守護持ちモンスターに攻撃されてシールド割られなきゃいけないんだと思いつつ、割られたシールドのカードを確認する。残念。カウンターカードじゃないから発動出来ないや。まあこのデッキカウンターカード1枚しか入ってないんだけど。
「サレンダーなら認めて上げますわよ。この状況からひっくり返したデュエリストはプロでもいませんの。ほら、あなたのターンですわ」
「……じゃあ今まで戦ってきたプロって全員弱いんじゃない?
ボクのターン!山札からマナゾーンにカードを置いてドロー!」
向こうはそのままターン終了。いや10/10というスタッツの暴力酷いねこれ。守護持ち出しても光属性だとコスト3で飛行を付与出来るスペルカードがあるし、あの感じだとたぶん握ってそう。……2回目の勝君以来の接戦だし、何とかして勝ちたいから、まずはレイラの着地を目指そう。