それから2日程経ち、熱は引いた。
それが、
額に第三ノ眼を出現させられる力。
そして、その第三ノ眼は魔眼と呼ばれるモノの一種だそうで、
目視している対象を金縛りにすることができる。
まあ、厳密に言えば金縛りじゃないんだけど。
◆◆◆
それからまた時間が経ち、魔術の家庭教師がやってきた。
母さん達の話では、すでに引退した冒険者で、長年魔術師として研鑽を積んだ中年か老人で、
髭をたくわえた、正に魔術師!ってのが来るだろう、という話だった。
だが
「ロキシー・ミグルディアです。よろしくお願いします」
実際に来たのはロリっ子だった。
前世の知り合いを参考にすると、多分JCくらいだ。
魔術師っぽい茶色のローブに身を包み、
群青色の髪を三つ編みにしたジト目で不愛想なロリっ子。
異世界だし合法ロリってやつなんだろう。
あとシンプルに仕草が可愛い。
シルフィにもこんな風に幼さを残す成長をしてほしいものだ。
と、そんなことを考えていたら、母さん達が固まっていた。
まあ無理もない。
ここらで長命種っぽい人はほとんど見ないし、
シルフィの父だというロールズさんはハーフエルフだというが、幼さはなかった。
この世界のエルフは多分、老化自体が極端に遅いというより、
ある程度まで成長すると老化が極端に遅くなる感じなんだろう。
ファンタジーものでよくある違いだ。
多分母さん達はそういう、幼い容姿の時期が長いような種族に会ったことがない。
だからこんなに驚いている。
きっと、もっと老いた容姿を想像していたんだろう。
「あぁ……君が、その、家庭教師の?」
「ず、随分とその……」
母さん達が何やら言いずらそうにしている。
なんか嫌な予感がして来た。
「小さいんですね!」
Oh……我が兄よ、なんて直球なんだ。
「あなたに言われたくありません」
ロキシーさんは不機嫌そうに言い返していた。
「「はぁ……」」
ロキシーさんと俺は溜息をついた。
ハモった。気まずい。
「……それで、私が教える生徒はどちらに?」
ロキシーさんは切り替えるように周囲を見渡しながら聞いてきた。
「あ、それがこの子達なの!」
父さんに抱えられている兄さんと、
母さんに抱えられている俺が紹介される。
兄さんがキャピッとウインクしてたから、
俺もキターン☆*1とピースとウインクをしておいた。
するとロキシーさんは、目を見開いて、すぐに溜息をついた。
「はぁ……たまにいるんですよねぇ、ちょっと成長が早いだけで自分の子供に才能があると思い込んじゃうバカ親……今回はハズレですね……」
おもっきし聞こえてますけど!?
ぼそりと呟いたつもりかもしれませんけど普通に聞こえてますよ!?
俺もバカ親だとは思うけども……
「何か?」
わーお☆*2 笑ってるけど目が笑ってないよ!
「いえ! しかし、そちらのお子様方に魔術の理論が理解できるとは思いませんが…」
「大丈夫よぉ、うちの子たちはとっても優秀なんだから!」
再度、ロキシーさんは溜息を付いた。
「はぁ……わかりました。やれる事はやってみましょう」
ロキシーさんは荷物を持って庭のほうへ足を向けた。
「えっ、外でやるんですか……?」
「当たり前じゃないですか」
そう言えば兄さん外苦手だったな。
いいぞ、トラウマ克服のチャンスだ。
◆◆◆
「魔術は大きく分けると、3種類しかありません。
攻撃魔術、治癒魔術、召喚魔術。
それぞれ初級、中級、上級、聖級、王級、帝級神級と7段階に分類されています。」
なんか兄さんめっちゃそわそわしてね……?
とりあえず手ぇ握っておくか。
不安な時は、手を握ってもらったりすると安心するものだしな。
「そしてその魔術を使うには、魔力が必要です。
自分の体内にある魔力か……ん、どうかしましたか?」
「あ、いえ……」
「なんでもないです」
ロキシーさんに怪訝な顔をされたが、気にしないでくれるらしい。
「……? まあいいです。とにかくお手本を詠唱するので、真似してみてください」
「詠唱が必要なんですか?」
確かに。無詠唱って知られてんのか? 気になる。
「当たり前じゃないですか……」
ロキシーさんに「こんなことも知らないのか」と、いう風な呆れ顔をされた。
やっぱり無詠唱はあまり知られていない技なのかもしれない。
「はぁ……汝の求める所に大いなる水の加護あらん、
清涼なるせせらぎの流れを今ここに、ウォーターボール」
ロキシーさんの詠唱によって生み出された水球は勢いよく放たれた。
木に着弾し、幹がバキリと折られた。
……着弾したのは母さんが大事に育てている庭の木だが。
「どうですか?」
「ロキシーさん、あの木は母さんが大事に育ててる木だから、
怒られると思いますよ?」
「えっ……そ、それはまずいですね!」
ロキシーさんは慌てて木に駆け寄る。
「神なる力は芳醇なる糧、力失いしかの者に再び立ち上がる力を与えん、ヒーリング!」
治癒魔術で折った木を戻していた。
隠蔽工作ってやつじゃありません? それ。
「治癒魔術も使えるんですね!」
「えぇ、中級までは」
「すごい! すごいです!!」
俺がそんなことを考えていたら兄さんがロキシーさんのことを褒めてた。
中級までなら母さんも使えるぞ、治癒魔術。あと解毒魔術も。
「いえ、きちんと訓練すれば、このくらいは誰にでもできますよ」
ロキシーさん照れてるゥ……
なんかチョロくね……チョロくね!?
アルヴィスの呼び名ってどっちがいい?
-
アル
-
アヴィ