洞窟カフェ。
今日も開いてるよ。
奥の水辺ではアライグマくんが。
カップを。
ふきふき。
すっかり洗浄係。
すぐそばには。
石の長椅子に座ったギデオン。
しっぽが。
ゆら。
あなたに気づいて。
座っている隣を。
ぽん。
とたたく。
あなたはギデオンの隣に座る。
しっぽ一つ分空けて。
ギデオンのしっぽが今度は。
ゆら。
ゆら。
あなたの足元を。
ゆっくり行ったり。
戻ったり。
洞窟は。
今日も静か。
すると。
どこかで。
ぴょん。
……。
しっぽに。
少しだけ。
重みがのって。
止まった。
「……?」
ギデオンが。
自分のしっぽを見る。
そこに。
小さな。
緑色。
「……けろ。」
カエルさん。
小さく鳴いた。
「……乗ってるね。」
その時。
洞窟の奥から。
ぽて。
ぽて。
クラゲガヴィア。
あなたたちを見つけて。
「……ぷ。」
挨拶。
そのまま。
ぽて。
ぽて。
近づいてくる。
やがて。
クラゲガヴィアが。
カエルさんを見ている。
カエルさんも
クラゲガヴィアを見る。
じー……。
しばらく。
見つめあう。
カエルさんは。
ギデオンのしっぽを見る。
それから。
もう一度。
クラゲガヴィアを見る。
ギデオンも。
なんとなく。
カエルさんを見ている。
「……?」
少しして。
ぴょん。
「……あ」
乗り換え。
「……ぷ。」
クラゲガヴィアの頭に。
ちょこん。
乗った。
「……けろ」
カエルさんは。
ギデオンをみて。
一鳴き。
ギデオンも。
小さく手を振る。
「…いってらっしゃい」
……。
カエルさん。
気付いていない。
「……?」
ギデオンは。
もう一度。
手を振ってみる。
ゆら。
ゆら。
でも。
カエルさんは。
ギデオンのしっぽを見ている。
あなたは。
その様子をみて。
「しっぽを振ってみたらどうかな?」
「……え?」
ギデオンは。
少しだけ。
自分のしっぽを見る。
それから。
クラゲガヴィアの上の。
カエルさんを見る。
「……こう?」
少しだけ。
ゆら。
カエルさん。
ぴく。
もう一度。
ゆら。
ゆら。
「……けろ。」
今度は。
ちゃんとギデオンを見る。
ギデオンと。
あなたは目が合う。
しっぽが。
ぴたり。
止まる。
「……もしかして」
少し間。
「ぼく。」
「しっぽの方が、ぼくだと思われていたのかも...。」
ギデオンは。
しっぽを。
顔の高さまで持ち上げる。
カエルさんに。
見せてみる。
カエルさんは。
じー…。
ギデオンの顔を見る。
……。
それから。
しっぽを見る。
ゆら。
ぴく。
……。
「……けろ。」
ギデオンは。
ぱちくりする。
「……伝わったのか分からないけど」
「挨拶してくれているのかな……。」
カエルさんは。
クラゲガヴィアの頭の上。
その下で。
クラゲガヴィアも。
もち……もち…。
「ぷ。」
「…うん。」
ギデオンのしっぽが。
ゆら。
「今度こそ…。いってらっしゃい。」
手は振らなくても。
あなたの足元で。
小さく揺れている。
あなたとギデオンは。
並んで。
ふたりの行先を眺めながら。
コーヒーカップを手に取る。
クラゲガヴィアは。
もう頭の上のカエルさんのことを忘れたまま。
ぽて。
ぽて。
洞窟の中を。
歩いていく。
カエルさんを。
乗せたまま。
奥の水辺では。
アライグマくんが。
ふきふき。
洞窟の奥では。
ぽて。
ぽて。
小さな足音が。
ときおり、聞こえる。
洞窟カフェの席が。
また一つ増えた気がした。