二シン合体の魔法少女! 作:ももはね
協会の魔法少女とサキが面談をした二日後のこと。ヒバナとヒナタの二人は協会の事務所の食堂でぼけーっとしていた。
「……まだ魔獣出ないの?」
ヒガナが嘆いた。夏でもないのに溶けた氷みたいに机に上半身を乗せてぐでーっとなった状態で。それにヒナタは苦笑しながらも、しかし言っておかなくてはと思った。
「ヒバナ、その言い方だとまるで魔獣に出てきて欲しいかのように聞こえますよ。人々の安全を願えばこそ、むしろ出現がないことを喜ばなくては」
「わかってるわよ! でも魔獣を倒す為に私たちは派遣されて来たのよ! ぜぇんぜん出ないじゃない! これじゃあいつになったら私たちは帰れるのよ!?」
ヒバナが叫ぶ。
魔獣が一度出現したことで人々の恐怖が増加し、それによって魔獣の出現数が飛躍的に増える現象。その対策の為に協会からこの町に送られたのだ。当然、魔獣をそれなりの数の魔獣を討伐し、それが落ち着くまでは帰ることはできない。
なのに、いつも通りどころか以上に穏やかな様子のヒナタである。
「別にいいじゃないですか。その分、普段なら受けなくてはいけない授業や訓練も映像で済ませられるんですから。その間、自分の勉強や趣味に使ってはどうですか?」
「っそれもそうね! じゃあ出かけてくるわ!」
「それは駄目です」
「ん!」
「魔獣が発生した際に迅速に動き始められる場所でなくては」
「んなー! やっぱり暇じゃない!」
再びぐでーっとなるヒバナ。なお、その間もヒナタは勉強をしていた。
ぐでぐでしていたヒバナは立ち上がったかと思えば、何処からかお菓子を持って帰ってくる。それをぽりぽりと食べ始めたかと思えば、一袋のグミをヒナタへ見せつける。
「食べる?」
「いただきます」
「苺味と檸檬と桃と、シークレットが一つあるけど」
「……何ですかシークレットって」
「さあ? それがわかったら秘密じゃないわよ」
「……じゃあ、それで」
ヒバナが赤い苺、黄色の檸檬、ピンク色の桃味、そして黒と紫が混ざった不気味な配色のそれを取り出し、暗黒のを差し出した。
「み、見た目はほとんど黒豆ですね……おせちみたいな。美味しそうじゃないですか」
「言うほど黒豆味のグミって食べたいかしら?」
「……いただきます」
ヒバナの言葉を聞かなかったことにして、それを咀嚼するヒナタ。そしてその口内に広がるのは、独特な渋みと苦味、僅かな芳醇さ。
「っ……に、にが、いや、渋い……?」
「まずっ…くわ、ない……?」
二人して顔を顰める。不味いというには香りがよく、しかし美味しいと言うには渋い。吐き出すほどの不味さではないのだが、自分は一体何を食べているんだろうか、という気色悪さが口の中で滲み出していた。
「いや、本当に何味ですかこれ。メーカーの商品説明とかないんですか?」
「し、調べるわよ」
渋い顔で調べると、すぐに見つけられたのでヒバナは「あー」と納得の声を漏らした。
「葡萄らしいわ」
「ぶどう? 言われてみれば……ほんのりとあるような、ないような」
「正確には、葡萄の皮味ね」
「いや何ですかそれ」
思わずツッコンだヒナタに、ヒバナが無駄に良い声で説明文を読み上げる。
「独特な苦味と渋み、しかし奥から漂う芳醇な香り。それを秘密のベールに包み込みました……ですって」
「ちょっとロマンチックに語ってるのが腹立ちますね」
「わ、しかもちゃんと果肉入りならぬ皮入りらしいわよ。拘ってるわねぇ」
「いっそワイン味とかにすればいいのに……というか、そんなのどこで買ったんですか」
「ここの横にコンビニあるじゃない。売れ残りで安くなってたから」
「……人気、なかったんですね」
「まだまだあるけど、食べる?」
「……いただきます」
そうして、ヒナタが葡萄の皮味を全て腹に収めた頃。
そんな一室にけたたましい警報が鳴り響いた!
それは魔法少女学校で何度も何度も脳裏に刻まれるような心地がするほどに聞き慣らされた音色で。
瞬時に二人の顔が緊張で引き締まる。
「魔獣!」
「場所は……!」
二つの視線が食堂の壁にかけられたテレビへと向けられた。そこに昼の報道番組を流すテレビと、その横にはこの町の地図が常に映し続けられているテレビがある。そして今、その地図に赤点が点滅表示され画面端にはその住所が連ねられていた。
「学校ね……って、しかもあの魔法少女がいるとところじゃない!」
見覚えのある住所にヒバナが目を丸くする。それはサキの通う学校の住所であったのだ。
「なら、あの子が倒すかも知れないわね」
「ですが急ぎますよ。協力してもらえなかった以上、彼女の情報が手に入る貴重な機会ですから!」
「わかってるわよ!」
二人は魔法の杖を取り出し、窓へ向かって駆け出した!
それと同時に魔法を発動──ヒバナの周囲に火の粉が散り、ヒナタの周りには半透明な幾何学模様の板が舞った。そして杖から溢れ出た赤と黄の光がそれぞれを包み込む。
二人は既に開けられていた窓から外へと飛び出し、それと同時に光の繭が霧散した。
そうして現れたの赤と黄の魔法少女。
赤──ヒバナは赤い小袖に黒の袴と和装であるが各所にアレンジがされた独特な格好。小袖には花火の柄が描かれている。
黄──ヒナタは装飾の少ない黄色のドレスを内に、その上には黒の法服を纏っている。シンプルながら威厳と幼さを感じさせる格好であった。
二人ともに手早く腰に杖を仕舞いながら、器用に窓の縁に足をかけると跳び上がり、事務所の屋上に着地した。
「行くわよ!」
「ええ!」
掛け声と同時に二人は跳び出す。屋上から近くの別の屋上へ。それから屋上へ。そうして跳ね跳んで移動を続け、あっという間に学校に到着した。
「さて、何処で戦って……いない!?」
視界に先に広がるのは車ほどの大きな飛蝗。それに襲われている十名前後の生徒たち。桜色の魔法少女は何処にも姿がなかったのだ。二人は揃って混乱に陥ったが。だが、生徒たちの中には出血が目立つ者、蹲って動かない者がいる。一刻も早く助けに向かわなくては命が零れ落ちる場面であることに気を取り直し、
「既に生徒が襲われてる急ぎますよ!」
使命を全うする為に躍り出た。
「避難は私が。ヒバナは魔獣をお願いします」
「わかってる」
場所は校庭、その中央に居るのは大きな
「……まさか、あの子がもう負けて食べられた後だった、とかじゃないわよね」
飛蝗と睨み合うヒバナ──その横をヒナタは駆け抜ける。
校庭には飛蝗の他、ジャージを着た生徒が三十名ほど取り残されていた。授業中に魔獣が出現し、逃げ損なったのだろう。その内、出血の状態から二人は既に取り返しがつかないだろう様子で、十五人くらいは見た目はそこまでではないが足の怪我や衝撃で気絶しているのかその場から動かない。残りだけがかろうじて動ける程度で、それも無傷には見えない。
「ヒバナ! 注意を引いて!」
「わかってるわよ!」
叫び、同時にヒバナは髪と目を赤く煌めかせた。
それに呼応し、彼女の全身から炎が吹き出した。地面を蹴り、駆け出し、飛蝗へと飛びかかる。それで飛蝗と生徒たちとの間に入るような位置を取り、敵へ向かって掌を翳した。
「火弾」
掌に赤い魔力光が球状に収束する。それは更に火を纏い凄まじい勢いで射出された。飛蝗の頭部で炸裂したそれは火の粉と共に黒く小さな影を散らす。
その瞬間、飛蝗には確かに小さくとも隙が生まれた。
ヒナタはそれを逃さない。
瞳を煌めかせ腕を広げる。そこからは半透明な幾何学の板──結界が展開された。生成・増加・展開は続き数秒で縦横十メートルは超えるほどの大きさにまで広がり、取り残された生徒たちと飛蝗を遮断させた。
「動ける人はいますか?」
「だ、駄目だ!」
一人の生徒が叫んだ。
「飛蝗と私たちの間に結界を貼ります。その間に怪我人などをできるだけ担いで校舎に避難してください!」
それでも続けたヒナタの言葉に、その生徒は急いで動かない生徒に近づくとその服を捲りとった。
ヒナタは『何てことを!』と思いながらそれに近づいて。
「ヒナタぁ!」
ヒバナの叫び声。ヒナタの意識がそちらへ逸れた瞬間──その顔面へと一匹の小さな飛蝗が飛びついた。
「っ!?」
ヒナタは驚きながら咄嗟にそれを払い落とし踏み潰す。そこにヒバナから情報が投げかけられた。
「こいつ群体よ! 体を小さい飛蝗にバラせる! いや逆かもだけど!」
齎されたのは飛蝗の魔法。そして、それの欠損の正体であった。
体の一部を分裂させ、それを小さな飛蝗の姿にして自在に操る魔法。ヒバナはそう判断した。無論、まだ相対して数秒だ。もしかしたら群体から合体する逆の可能性もあるが、可能性は前者が高いと判断した。それの限界数や射程などはわからないが、とにかくそう言う魔法だ。
先ほどヒナタの顔面に飛びかかったのはその一体で。それはつまり、既に
「なら!」
ヒナタはその生徒が男子だったので遠慮なく服を剥いだ。それは一番出血の激しい生徒で、想像通り服の下には小さな飛蝗が十匹以上もその肉を喰んでいる最中であった。周囲から生徒の怯えた声が漏れ出る。急いでヒナタはそれを毟り取っては地面に潰していく。
視界を結界の外へ移せば、ヒバナが焼き払った小さな飛蝗の死骸が幾つも消えゆくのも見えた。どうやら小さいのは弱く脆く、魔法少女の攻撃を一度でも喰らえば消滅するらしい。
逡巡。
どうするのが最善か。
自分の結界魔法は防御に特化した物であり攻撃手段としては弱く、そして傷を治したりすることはできない。小さな飛蝗を素早く除去した上で止血することは不可能だ。
だが、ヒバナの炎の魔法なら?
飛蝗を殺しながら傷口を焼き止血することもできるのではないか。かなり分の悪い賭けではあるが、勝算がゼロではないし
「いや駄目」
焼灼は一時的には死を回避できるが、後遺症が酷いことになる。見た目は勿論、細菌感染とか。
「ヒナタっ、アレをやるわ!」
だが、それらを全て吹っ飛ばす提案が投げかけられる。
「アレを……!?」
「一気に吹っ飛ばすしかないでしょ! それに本体を倒せば分体も消える! 多分!」
「……わかりました!」
「結界の準備頼んだわよ!」
ヒバナは注意の言葉を送りながら飛蝗を避け、同時に炎を振り撒いて焼き殺す。
ヒナタはどうするべきかを素早く考え、纏め上げる。
「……っ無事な方で、協力してくれる方以外は早く避難を。できれば、体が大きく元気な方は残ってください。飛蝗を排除し次第その生徒を連れて逃がして欲しいんですが!」
「お、俺が!」「私も!」「お前やれよ」「お前もな」「じゃ、じゃあ私も!」「っ僕も!」
そうして、六人の生徒がその場に残った。ヒナタは自分と生徒一人一人を結界で閉じ込めながら急いで飛蝗の排除を始める。
その間もヒバナは必死に飛蝗をいなしていた。
小さな飛蝗が何十匹と飛びかかり、それを焼き、殴り、蹴り、それでも間に合わない時は走って逃げる。その隙を狙って大きな本体が体当たりを仕掛けてきたのなら、小さい方の攻撃は妥協して肉を削らせ本体を避ける。
「たくっ、やり辛いわね!」
小さいから攻撃を当て辛い。大きいから一撃が痛い。
大きい方も小さい方も異様に体に棘が多い。だから、擦れ違うだけでも肌が裂けるし、丈夫な魔法服ですら解れ、三度も受け止めれば裂けてしまう。本体のなんて角度が悪ければ刺さり、最悪は貫かれるだろう。
それでいて、骨格も硬い。
小さい方はしっかりと焼かねば燃えながらでも数秒は飛び回り、本体なんて妙な耐性でもあるのか着火できない。拳を振り抜いても、小さい方は吹き飛ぶだけで潰しきれず、本体は硬い木でも殴っているような感触であまり効果は見込めない。これでも同世代の中では魔力強化含め優秀な方だと自負していたヒバナはちょっと自身を失くしていた。
それでも尚、肉を削られ血を流しながらヒバナは飛蝗の周りで舞い続ける。
戦闘は続き、およそ十分ほど経った。
ヒナタの走る音が近づいてくる。
ようやく、時は満ちたのだ。
「──結界の展開、行きます!」
ヒナタは叫ぶと同時に全身から魔力を吹き出させた。黄色の魔力光が奔流となって周囲へ舞い散る。
ヒナタは体内で貯蓄していた魔力のおよそ九割を全力で放出した。通常運用を遥かに逸脱した出力に体内の器官が酷く痛む。だが、それを無視して強行し、展開速度と強度に広さをも
多少の強引さが現状打破に必要と判断しての強行だが、それによってとりあえずは本体飛蝗と近くを飛ぶ小さな飛蝗も結界内で閉じ込めることには成功した。
一点を除いて。
「──すぅ、はぁ……」
結界の頂点、そこに開けられた人一人分の穴。そこを跨ぐようにヒバナは立っていて──飛び降りた。
直後、先ほどのヒナタと同じように、しかしそれ以上の勢いで魔力が吹き出した。全身全霊、全力全開の魔力噴射。
『魔力噴射』は魔法を介さず、単純な魔力のままに体外へ放出する
それを例えるのなら、ガソリンをどう使うか、と言う話になる。
雨垂れが岩を穿つように、ガソリンを一滴一滴と岩に垂らせばいつかは岩を穿つだろう。だが、それは非常に効率が悪い。だから、採掘機など機械の燃料としてガソリンを使う。
それと同じように、魔力は魔力のままだと効率が悪いから、魔法か仮想筋肉の動力として用いるのが一般的だ。
ガソリンと水は共に液体だ。だが、その性質は大きく異なる。
魔法少女は魔法少女ごとに使える魔法が異なる。その影響か、それぞれの魔力にもまた僅かな違い──『魔力特性』が存在することがある。極稀に、だが。
ヒナタによって展開された黄色の結界。その中にヒバナから放出された赤い魔力が満ち渡る。炎の魔法を使う魔法少女の、極々僅かながら
赤く染まった結界の中を落下するヒバナは、そのまま本体飛蝗を踏み台に跳躍し────
「燃えちゃえぇー!!!」
────爆裂を落とした。
ヒバナから垂らされた一滴の爆炎が結界内の魔力へ引火し、燃焼。それが近場の赤い魔力を燃やし、燃やし、火炎の伝播が炸裂の連鎖を生み出し続ける。
ヒバナが持つ最大火力の一つ、粉塵爆発。
その破壊力から協会から基本的に禁止されている技だ。だが、ヒナタの結界魔法内でのみという制限でもって許可が降りている。
轟音が鳴り響く。雷が幾つも落ちたような爆音だ。鳥の囀り、虫の鳴き声、全ての環境音がなり止み、破壊の主のご機嫌を伺うように静寂が広まる。
その無音はスタっという小さな音と共に終わった。
「はぁ、はぁ……や、ヤバいわね」
爆風で吹っ飛んでいたヒバナがなんとか着地し、膝を着いた音だ。顔は興奮で赤ばみ、しかし疲弊と緊張に少し青くもなっている不気味な顔色だった。
「久しぶりにやったけど、死ぬかと思ったわ……」
自滅覚悟の、ほぼ自爆も同然の破滅的な攻撃だ。しかし、その効果は絶大で。二人しかいないという少数の二人にとって相性が非常に悪い大量分裂できる相手に対して確実に致命的な損傷を与えることができただろう。
「ですが、これで……」
二人は正面を見遣る。
土煙、赤と黄の粒子が混じる破壊の中心地。あれほどの破壊力──魔獣であっても一溜まりもないだろう、と。
────バサバサバァ。
耳障りな羽音が遠くから聞こえた。
緊張が走る。二人は震える足で立ち上がった。
魔力はもう殆ど使い果たした。魔法だって過剰な出力で用いたせいで暫くは威力が落ちるだろう。その器官があるお腹が痛かった。
だけれども、諦めると言う選択肢はなかった。少なくともヒナタには。
何故なら二人は魔法少女協会の魔法少女である。人を守ること。魔法少女を守ること。それらが目的であり、存在意義。可能性がある以上、人命を諦めることは協会の、何よりヒナタの信条に反するのだ。
砂煙が晴れ、飛蝗が姿を現した。
酷い姿だ。足は二つなくなり、翅は捥げ、片目はないし口も半分ほどで折れている。全身は黒く焦げ上がっていた。残った目は白く染まり、見えているのか怪しいほどだ。そして何より、その体躯。元の半分か、いや、それよりも小さくなっている。
「……分裂して分裂して、大量の小さい飛蝗をクッションにでもしたのかしらね」
「かも、しれませんね」
どちらも消耗は激しい。だが、もはや魔力が殆ど使えない二人の魔法少女にはまともな戦う手段がない。飛蝗はどうだろうか、と観察していると、その体の一部が小さい飛蝗へと分離して見せた。
「ははっ、どうやらアイツはまだ余裕あるみたいよ」
「……いえ、あの飛蝗も様子がおかしい」
新しく生まれた分体は数秒ほど飛んだ後、急に墜落して消滅した。
それを見てヒナタは小さく笑みを浮かべた。
「どうやら、相手も魔法は使えないみたいですね」
────バサバサバァ!!!
羽音が、また聞こえた。だが正面の飛蝗は翅なんて全く動かしていない。いや、そもそも翅は捥げていて。
「まさか……」
ばさり、と。何かが倒れる音が聞こえて、少し離れた校庭倉庫へ二人の視線が向いた。そこにあったのは全身を喰い荒らされて無惨な姿となった二つの死体、そしてそれから飛んで来る大量の飛蝗。さらには、先ほどヒナタが結界で守っていた生徒たちに付いていた飛蝗も本体へと合流していた。
合流し、合体し、再生する。足が一つ生え、目は黒く光を宿し、体の各所は本来の色を取り戻す。それでもまだまだ本体は重傷のままだ。だが、少なくとも二人の魔法少女よりは回復していた。
戦局が絶望一色に染まった。だが、ヒナタは諦める気なんてなかった。
チカラを持つからこそ、持たぬ者を守る強者とならなくてはならない。
それが裁判官という責任と覚悟を背負い続け、人を裁く父から学んだヒナタの在り方だから。
それでも、弱音は吐きたい気分だった。
後一人、あと一人でも魔法少女が居れば。
そう思った時────
「潰れろ!」
────桜色の光が飛蝗を叩き潰した!
轟音が鳴り響く。焼き焦げた校庭の地面は砂煙を巻き上げない。その代わりに、弾け飛び砕け散った飛蝗の破片が周囲に散らされた。
それを為したのは、桜色の髪を揺らす黒衣の魔法少女で。
武器である黒い棒を振り回すと肩に担ぎ、周囲を睥睨した。
。 以下作者の独り言 。
分裂飛蝗(仮名) むし
さいせいりょく
ちいさくなる、メガホーン、まとわりつく、とんぼがえり
多分こんなかんじ
。