二シン合体の魔法少女!   作:ももはね

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 どりゃーっと書いたのでおかしなところあったら後で書き直すかも
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19話 無敵の白衣ー3

 

 

 + + + 

 

 

──その時、警報が鳴り響く!

 

 山で修行をしていたアキト、サキの耳にも遠くからそれが聞こえて来た。

 

<っ魔獣、昨日の今日で!?>

「で、ですね。スマホ借りま……あ、ぱ、パスワードわからない」

<ちょっと変わって」

 

 アキトのスマホを取り出してそれで素早くこの地域の協会支部のサイトを開き、発生情報を読み取る。

 

「駅前、近いな。急ぐぞ」

<はい……今度こそ、全員を>

 

 二人は高く飛び上がった。山の木々を飛び越え、サキが背中から魔力噴射を行いその推進力でまるで空中ジャンプでもしたみたいにギュンと吹っ飛ぶ。二回、三回、また吹っ飛んだ!

 

「あ、お、おい! 魔力噴射って消費激しいんだろ! こんなやって平気か!?」

 

 最近、魔法少女について詳しく調べ始めたアキトはサキがいつも平然と連発している『魔力噴射』が高度ながらも実用性の低い技術だと知っていた。平均的な魔法少女では片手分の回数でガス欠になることも珍しくないほどの高燃費であり、あくまでも緊急時に一か八かでやるものだと。

 

<平気です! 魔力量は人より多いらしい、ので!>

「っああもう! 信じてるからな!」

 

 二人の修行はサキの放課後から始まった。だから、ずっと夕焼けが共にあった。しかしそれが、ついに沈む。夕闇に周囲が包まれ、町に灯る街灯が仄かな明かりとなった。

 一分ほどで茜色が全きなくなり、暗夜に染まった頃。

 

「いた!」

 

 駅前、魔獣発見。

 

 それは巨大な樹木、あるいは触手の塊。

 細長い体で、下半身から無数の触肢が根のように地面と接している。その全体からもうねうねと蠢く細長い触肢を伸ばし、揺らし、何処か顔か目かもわからないが上半分を揺ら揺らと海藻みたいに踊らせていた。

 その踊りに合わせ、周囲には仄かに光る鱗粉のような何かが散らされている。

 

「なんだ、あの光……?」

<魔法、でしょうけど……>

「触らずに近づくってのは……現実的じゃねぇな」

 

 周囲には人がたくさん……十、廿、三十、ほどか。遠巻きに見ている物を含めれた五十を超えていた。

 そして何より二人はソレ(・・)に目を鋭くする。

 魔獣が二人のヒトを触肢で持ち上げゆらゆらとまるで遊ぶみたいに振り回していたのだ。

 

 現在、二人は噴射で吹っ飛んで来たので空中にいる。

 

「大技いくぞ!」

 

 魔獣はそれに気づいていないのか、持ち上げた一人を胴体部分へと近づけた。すると、その部分がガバッと開き夥しい数の歯が生えた口内を露出してみせた。

 今にも食われんとしているヒトは気絶しているのか身動き一つ取っていなかった。

 

<はい!>

 

 全身を桜色の魔力光が包み込む。

 

「潰れろ!」

 

 振り上げた黒棒を振り下ろし──直前、魔獣が二人に気づく。大量の触肢を壁のように展開。それに黒棒が防がれ、胴体の一部を破壊するに留まってしまった。

 

「ちっ」

<っヒトが!>

 

 だが、衝撃は凄まじかった。

 魔獣はそれによってヒトを二人とも取り零す。どちらもぐったりとしたまま、無抵抗に落下を始める。高さ的に受け身さえ取れれば何とか生還できるかもしれないが、それは不可能に見えた。

 魔獣は衝撃に怯んでいる。

 今、畳み掛ければそのまま倒せるかもしれない。だが、それは二人を見捨てることになる。

 

 「くそっ」

 

 アキトは地面を抉るように蹴って跳ぶ。そして一人を回収し、サキが躊躇わず魔力噴射、吹っ飛んで二人目も回収すると再び噴射し高速着地。二人のヒトは多少なりとも噴射の衝撃で全身を揺さぶられることとなったが、それでも落下の衝撃よりは大分マシ。それを魔獣から少し離れた位置に下ろすと、二人は改めて魔獣と向き合った。

 魔獣はもう、衝撃から立ち直っている。

 全身から数えきれないほどの触肢を揺らめかせ、何処が目かもわからないというのに、二人はまるで睨まれているように感じた。

 

「まあ、やりやすくはなったか」

 

 黒棒を肩に乗せ、戦意を剥き出す。

 

<は、はい。多分、私たちに意識が向いてる、かと>

 

 少なくとも、二人がいる限り魔獣は二人から意識を逸らせない。二人の手が届かない場所でヒトが襲われる可能性は低くなった。

 つまり、今以上に誰かが傷つくかどうかが二人の手に委ねられた──頑張れば、守り切れるかもしれないという可能性を掴み取った。

 

「こっからが、本番だな」 

 

 

 + + + 

 

 

 魔獣の発生地点は駅前、この町でも一二を争う人通りの多い場所だ。しかも、時間は退勤者の多い夜。

 到着した協会の三人は、ついに駅前にある大通りに根付いている魔獣の姿を目撃した。

 

 それは巨大な樹木、あるいは触手の塊。また、光の粉も疎らに舞っていた。

 発見から一秒と待たずにヒバナはソレを見つけた。

 

「あれって」

 

 ヒバナの指す先、魔獣の正面だ。そこでは黒衣の魔法少女──サキが既に戦闘を開始していた。襲いかかる蔦のような触肢から蹲る人々を守らんと黒棒を振るっており、守れてはいるが攻めには動けず防戦一方。

 

「ああ、あれが例の子?」

 

 ふんふんと鼻を鳴らしながらメイコは観察すると小さく頷いた。

 

「結構強そうじゃん。避難とかは任せて私らで魔獣はさっさと片付けちゃいましょ」

「そうね。植物系なら私と相性が良いし」

「じゃあ……ヒナタ先輩?」

 

 険しい顔でジッと黒衣を見つめていたヒナタに、メイコは心配そうに声を掛けた。すると、ハッとした顔でヒナタは一歩前へ出た。

 

「早く行きましょう。避難誘導は私が行きます」

 

 明らかに澱みのある様子だ。メイコとしては非常に気になるが、先輩の心情よりも優先すべきことが多すぎる──彼女は努めて質問を堪えた。

 

「うぇ、え、っと、黒衣の子はどうしますんですか?」 

「……強いんですから、魔獣本体にぶつけましょう」

「で、ですけど、いきなりで連携して戦えると思っちゃうんですか?」

 

 メイコは内心『どうしますんってなんだ!?』と独りごちながらも早く魔獣を倒さなければならない使命感とヒナタへの心配で右往左往してしまう。

 それを見かねたヒバナは強く地面を踏みつけた。

 

「良い加減にしなさいヒナタ。今は魔獣から人々を守ることが第一よ。ヒナタの好悪は二の次未満なの」

「……わかっています。すいません」

 

 正気に戻ったヒナタにメイコが胸を撫で下ろす。そんな彼女へヒバナが冷静な眼差しを向ける。

 思い返すのは、強固な外骨格を持つ飛蝗魔獣を一撃で潰した破壊のチカラ。

 

「でも、あの子が強いことは否定しないわ。連携できなくてもあの子の破壊力が魔獣へぶつけられるだけでも有難い……ヒナタはやっぱり避難誘導ね」

「わかっています。ですが、決め手に掛けた時はすぐ呼んでください」

 

 言外に『粉塵爆発を使うから』と伝える。

 

「わかってる。メイコ、あんたもできれば魔獣。でも、死にそうな人が居たらそっちの回復が優先ね」

「はぁーい。いつもと同じですねっ。任せてください」

 

 手の届く範囲で人は死なせない──軽い口調とは裏腹にその目は鋭かった。

 

 ヒバナ、魔獣への攻撃。

 手近な三階建の建物の屋上を位置取る。

 

 ヒナタ、民間人の避難誘導。

 そのまま走り出す。

 

 メイコ、戦闘メインの遊撃に近い治療優先の動き。

 だからヒナタと一緒に走り出して、止まった。

 素早く人々を見回す。

 

 夜だから視界が悪くて、スーツを着ている人も多かったら視認性が悪くって。気づくの遅れた。

 多い。人が。

 蹲ってる人、倒れている人、項垂れている人。そんな動けない人の数が、多すぎる。

 明らかに異常だ。魔獣に襲われた形跡は見て取れない。まるで毒物でも取り込んでしまったような──光の粉。

 

「先輩」

 

 状況を把握したヒナタは魔法の杖を取り出すとそれを起点に結界を展開し、まるで傘みたいにドーム状の結界を作り出す。その杖を地面に突き刺して固定、大きな避難所を即席で設置した。

 

「わかってます。異様です。メイコは最初から治療優先、動けそうな方から避難の促しを。私は魔獣に近い人の保護と移動をさせます」

 

 分裂飛蝗のような分離前提の物でない限り、基本的に魔法は使い手から離れると魔力の供給も途切れ、消滅する。だが、ヒナタは杖を起点に魔法を発動させ、杖に魔力を籠めることで手放しても維持がされるようにしたのだ。

 欠点として、杖を失ったヒナタ本人の戦力が大きく下がるものの、魔獣の意識が黒衣へ向いている現状は問題ないと判断した。

 

「移動先はここで」

「了解」

 

 メイコは一番近くにいた倒れ込んでいる人に手を翳す。そして、瞳を煌めかせる(・・・・・・・)。それから肩を何度か優しく叩く。

 

「大丈夫ですか? 返事してください。大丈夫ですか!」

「……あ、あ……ぁ……?」

「大丈夫ですか? 返事してください!」

 

 何度も問いかけるが、男は全く目を覚さない。

 焦り、混乱、動揺。メイコの中で疑問が浮かぶ。

 

「……私の魔法は大抵の怪我や毒も『元に戻せる』。だから、それらが原因なら意識を取り戻すのが普通で……なんで起きないの……?」

 

 知らなければならないことがある。だが、メイコの冷静な部分が囁く。早く次へ行け、と。他の者ならば意識を取り戻して話を聞けるかもしれないのだ。

 思考を停止。

 メイコは魔獣の意識が此方に向いていないことを改めて確認する。

 どうやら、奴さんは黒衣の魔法少女に夢中なようだ。幾多の触肢を全ていなしながらも強烈な一撃を叩き込もうと虎視眈々と狙ってくる黒衣、その注意を逸らす為に手近な民間人を攻撃し、その防衛に手を割かせることで自分の身を守っているのだ。魔獣の胴体を見れば一部が砕かれている。おそらく、彼女がやったのだろうとメイコは判断した。魔獣はそれでビビっているのだろう、とも。

 

 メイコは話を聞きたかったからこの男を最初に治療したが、それ以外の近くにいるヒトたちは一先ず置いておくことにした。

 優先すべきは魔獣に近いヒトたちだ。幾ら魔獣の意識が向いていないとはいえ、あの巨体は動く度に地面を揺らす。その近くで気絶していることのなんと危ういことか。ヒナタも既に回収作業を急いでいるように、自分もそうすべきだ、と。

 

 

 + + + 

 

 

 一方、サキたちは。

 

 アキトが体を動かし触肢を黒棒で叩き落とす。サキは魔力操作に集中しながらも外から目を逸らさずに警戒を続けていた。

 右から左から上から、偶に側溝からも。

 

<ど、どうしますか。このままじゃずっと攻められませんよ>

「それこそ、協会の本職が到着するまで耐えるしかないだろ」

 

 上から棘のような触肢の先端が五つ襲いかかる。左右から十の触肢が空気を薙いで来る。側溝のある下から足を絡め取ろうと伸びてくる。

 すぐ背後には倒れ込み動けなくなった人々がいる。だから大きく躱したり、防ぎ損ねれば死人が出る。

 

<アキトさん>

「ああ」

 

 一息入れた。

 ぶわり、と。黒衣が桜色の魔力光に染め上げられる。

 

 縮地によって上からの攻撃を最低限の動きで避け、地面に突き刺さった触肢に黒棒をぐるぐると動かして巻きつけ、薙ぎ払い、巻きついた触肢によって太くなった黒棒を攻撃への盾代わりに使う。上からの一発を避け、民間人に当たりそうな三発を防ぐ。横から来る攻撃も三本をそれで防ぎ、黒棒から手を離す。

 

「サキ」

<わかってます>

 

 手放した黒棒がただの突っ張り棒へと戻り、巻かれていた触肢によってひしゃげる。

 二回の薙をボクサーがパンチを躱しカウンターを打ち込むように側面から殴って人々への被害を避けながら自分の身を守る。

 それを隙に、サキはアキトが持っていた予備の突っ張り棒を黒棒へと変化させた。

 そうして新たな黒棒を握りしめた二人の足に触肢が一本絡みつく、だが、サキは一瞬だけ魔力強化を全開で出力、それを感じ取ったアキトは足を振り上げて強引にそれを引き千切った。

 アキトは振り上げた足で一つの横薙を弾くと、黒棒で正面を弾き、回転しながら迂回して背後から伸ばされた一撃を弾き、左右同時攻撃を身を屈めて躱し振り上げた黒棒で地面に叩きつけて砕く。

 

 連続攻撃を凌ぐ為とは言え、あまりにも瞬発的な全力を連続で行ったせいで流石のアキトも息を荒げながら動きを止め、魔獣を睨みつける。

 

「はあっ……流石に、ちょいキツかったな」

 

 その時、一発の火炎の球が魔獣へと襲いかかった。

 

「あれは」

<協会の、魔法少女>

「……一先ず、って感じだな」

 

 まだ比較的に壊れていない触肢が襲いかかるが、それをアキトは片手間で払いのける。そこへヒナタが冷たい顔で近づいた。

 

「……どーも、昨日ぶりで」

「……ええ。今日はちゃんと人を守っているようで安心しました。私は結界の魔法を使えますので、民間人の防衛や避難は私が担当します。貴方は魔獣の方を」

 

 アキトはぐるりと見回し、ヒバナと初見の少女(メイコ)の姿を視認する。

 

「わかった……しっかり守れよ」 

「死ぬ気でやりますよ」

 

 最低限のやり取りで、素早くアキトはその場を跳ね離れると、少し離れた高台を位置取っていたヒバナの側で着地する。

 

「とりあえず宜しく」

「ええ、宜しく」

「俺たちはどう動けば良い? そっちは見たところ遠距離攻撃できるっぽいけど」

 

 射線の邪魔にならないか、という疑問にヒバナは小さく鼻で払う。

 

「貴方はやりたいように動きなさい。誤射はしない。合わせて見せるわ」

「わかった。俺の届かない場所とかは任せた。信じてるぜ」

 

 後手に手を振って、アキトはさっさと飛び出した。

 

 着地、と同時に魔力を立ち昇らせ地面を陥没させながら跳躍。黒棒を振りかまし、挨拶代わりの強打を仕掛ける。

 魔獣は触肢を何重にも束ね迎撃しようとするが、

 

「火弾、連射!」

 

 ドババババッと放たれまくる火の弾幕がそれを弾き、焼き、破壊して防御を崩す。

 そうして無防備となった魔獣へアキトの一撃が直撃! 樹木に似た魔獣の上部三割ほどが砕け飛ぶほどの衝撃を与えた。

 

 

 + + + 

 

 

 拾って、拾って、拾って、一先ず魔獣近辺の回収作業は終わった。

 その内の一人を『元に戻す』が、やはり効果はない。

 そこへ、ヒトを三人ほど一気に抱えて来たヒナタも様子を見て口を挟んだ。

 

「意識は?」

「戻りません。原因は不明、ですがおそらくは光の粉かと」

「……魔力汚染」

 

 『魔力汚染』──。

 その言葉にメイコは息を呑んだ。

 

「魔法少女でない人間にとって魔力は劇薬です。回復魔法ですら最小限の使用が推奨されるほどに。メイコ、貴方の魔法はその影響も元に戻せましたっけ」

「いえ。戻せないこともありませんが、私のもあくまで魔法です……私の魔法が齎す汚染は最低級ですけど、でもプラマイゼロが精一杯です」

「じゃあ、これらがその可能性は?」

 

 大抵のことは治せる【元に戻す魔法】でも治せない症状。それが、魔力汚染由来の物であれば──。

 あり得る。あり得るのだが。

 

「……あ、吸収系の」

 

 メイコは呟く。

 

「何か心当たりが?」

「ちょっと前に参加した討伐任務のことです。対象の血液を吸収し魔力へと変換する蛭型の魔獣がいました。魔獣は元となった生物の特徴を幾らか継ぎますから、植物だと考えれば……」

「太陽光、ですがもう沈んでいますし、何より目に見えるところに寄生している様子はない……とすると、体内。根付いている……地下水、とか?」

「体内に根付き、水分または血液を魔力に変え、汚染。私たちが無事なのは……」

「体内に入るとなるとかなり微小で微弱でしょう。魔法少女なら自前の魔力で無意識下に駆除しているか、はたまた影響がまだ出ていないか」

 

 メイコは白衣から小さなは箱を取り出した。それを開くと、箱そのものが変形。医療用の刃物(メス)になり更に巨大化、彼女の背丈とそう変わらないほどに大きなメスとなった。

 

「寄生説が正しければ、本体を潰せばそっちも消えるはずです。魔力汚染はどうしようもないけど、元は断たないと」

「私はこのままヒトの結界内への移動を、完了次第閉ざしますね」

「まっかせましたー!」

 

 メイコの魔法は攻撃にはあまり適していない。だか、優秀な魔法少女である。故に、協会から特別な魔法具を与えられている。

 【魔法の道具を作る魔法】を有する魔法少女が作った、簡易的な物と限定だが固有の魔法以外の魔法も使えるようになる道具──魔法具。

 メイコが有するのは電撃を纏う銀色のメス。出力の下限はヒトを傷つけない程度、上限はヒトがギリギリ死ぬ程度と決して魔獣相手に強力な武器ではない。が、純粋な刃物としては優秀であった。

 

「じゃあ、私は殴りにいきます!」

 

 大きなメスを片手に、白衣を靡かせながらメイコは駆け出した。それに気づいた魔獣、黒衣への対応をしながら、何とか一本の触肢を向かわせるが。

 

「無敵化ー!」

 

 メイコは全身に膜のように薄く魔力を纏わせると自身の持つ固有の魔法【元に戻す魔法】を発動。

 触肢の攻撃が彼女の魔力膜へ触れる。そして衝撃に膜が破れ──る、前に『元に戻った』。

 

 魔法の続く限り凡その衝撃は無効化することのできる防御。万が一それを貫かれようと、彼女は自己再生も可能。

 故に、無敵の治癒師。

 しかし魔法を使うのにはそれなりの集中が必要だ。怪我を負えばそれが満たせない可能性もある為に彼女は防御膜の維持に集中する。

 

「……まあ、魔力量的にずっとは無理なだけどネ。怪我人の治癒用も残さないとだし。私ってばざーこっ」

 

 そうして魔獣本体に近づくと最大出力の電気を纏わせながら斬撃を繰り返す。

 

「とっりゃー!」

 

 魔獣を完全に痺れさせるには弱すぎる電圧、だが少し痺れるだけでも防御は遅れるしヒバナや黒衣の攻めもやりやすくなる。また、民間人への攻撃も僅かに鈍る。ならば、それで充分なのだ。

 更に二本の触肢が彼女へ迫る。だが、その全てが『無敵化』によって阻まれる。

 

 体の一部を消し飛ばされ、燃やされ、僅かに痺れ、満身創痍の魔獣。

 メイコの視界の隅で、好機と見たのか黒衣の魔法少女が桜色の魔力を全身に纏わせるのが見て取れた。

 

「うわ、すっご」

 

 魔法少女が魔力強化をするとああやって魔力が全身に纏われ光が立ち上ることは、ないこともない。だが、あれほどの勢いはそうそう見れるものではなかった。幾多の戦場で働いて来たメイコでさえも。

 自分がマッチ棒ならば、彼女は篝火のようで。

 

 燃え盛るような光がアスファルトを砕きながら跳び立ち、そして──墜落した。

 

「え」

 

 何の前触れもなく、一直線に。攻撃を外し、墜落したのだった。

 

 

 

 









 。 以下作者の独り言 。

 メイコの電撃メスは頑張ればAED的な使い方もできます。というかこっちがメイン

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