マモリタイモノ   作:AtR

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単行本一気読みした勢いで書きたくなりました。
バトル描写は初めてなので至らぬ点があるかもしれませんが暖かい目で見てくださると幸いです。




序章 カミサマとジュウシャ
彼は普通のヒト


 ……『 』は…………どうしてここに

 

 

 …… 分からない……何故……今……『 』……は

 

 

「……あの……君、大丈夫ですか?」

 

 

 ……とある少女の声が聞こえる……

 

 ああ、そうだ……『 』は……

 

『 』為に……ここにいる…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──

 

 

 

 

 大陸極東にある大地、その名はヤマト

 ここに住まうものはヒト、ケモノ……それ以外の存在、アヤカシ……そしてカミ。それらが共に生きる土地

 

 

 

 ……

 

 

 ……ここはシラカミ山。ヤマトで1番の大都市、キョウノミヤコと呼ばれる街から少し離れた場所。

 また、そこにはシラカミ神社と呼ばれる神社が存在する。

 その神社にはカミが住んでおり、そのカミの役目はここら一帯の村、そこに住まうヒトビトの安全を守る事。

 そしてそこに住んでいるのはカミだけでなく……

 

 

 ……

 

 

 

 

「こんな感じかなー? ……うん、完璧……さすがこのボク……フッフッフ……」

 

 このボク……如月(きさらぎ)マコト。ボクはこの神社に住んでるカミ……ではなく普通のヒトであり今は料理をちょうど完成させた所だよ。

 

「おーい! マコトー!」

 

「ったく……ちょうど自分の才能に酔いしれてたとこなのに」

 

 調理場の外から元気な少女の声が聞こえてくる、ボクを呼び出したということは何か用があるということだろう。ちょうど料理も完成したところなのでボクは彼女の所へ向かう事にする。

 

「はいはいどうしたのさフブちゃん」

 

 

 ボクがフブちゃんと呼ぶ白い髪色に白の衣装、そして獣耳と尻尾を生やしたこの女の子の名は白上(しらかみ)フブキ。彼女こそがこのシラカミ神社に住まうカミである。

 

「みてみて! 図鑑コンプ! すごいでしょ!」

 

「え……まじじゃん……すご……チート使った?」

 

「何言ってるの!? 使ってないに決まってるじゃん! 白上はカミサマなんだからそんな事しないよ!」

 

 ……と先程までモンスターを集めたりその集めたモンスターを従わせて戦うゲームに熱中し見た目といいとても一般的なヒト達が想像するカミとはかけ離れてるのは事実だと思う。そしてボクはそのカミ……フブちゃんに仕えてる存在、いわゆる()()()()()だ。ちなみに先程話した通りボクはただのヒトだよ、獣耳もしっぽも無いからね。

 

 

「まぁそんなことより」

 

「そんなこと!? 白上の努力をそんな事扱い!?」

 

「ご飯できたよ」

 

「え! 食べる!」

 

「情緒どうなってんの?」

 

 ボクらはそれぞれカミとジュウシャという関係であるが実はそれ以前にボクらは小さい頃からの幼なじみなのである。正確にはボクとフブちゃんに加え()()2()()()()()()()()。そしてどうしてカミであるフブちゃんとヒトのボクが幼なじみなのか……これにはわけがあるんだけどこれを話すのはもうちょい後でいいかな。今はボクもお腹すいたし

 

 ──

 

 フブちゃんにも手伝ってもらい、机の上に料理を並べ早速2人で食事を始めたところである。今日の献立は玉子丼とあおさの味噌汁だよ。

 

「いやー……やっぱりマコトの作るご飯は美味しいですねぇ……」

 

 早速フブちゃんはボクの作ったご飯を食べ獣耳をピョコピョコさせながらご満悦の顔を浮かべている。

 

「でしょ? 今日のは特に自信あったし。……何よりこの天才で完璧なボクの作る料理なんだから当然だよね……」

 

「マコトも白上の事言えないくらい情緒不安定だと思う……」

 

 なんか自分に酔ってたらフブちゃんに痛いとこつかれた。かなしい。

 

「それで、今日はこの後どうするの?」

 

「うーん……図鑑コンプしたしこのまま次のゲームに入ってもいいけどやっぱり……」

 

「それより先に……カミノオツトメ、するんでしょ?」

 

 ここで今ボクが言った“カミノオツトメ”というのはカミであるフブちゃんのやるべき仕事という認識で問題ない。村に安全や異常がないかの確認をするパトロールのようなものだ。

 

「もちろん! カミとしてちゃんとこなさなきゃ」

 

「だと思ってたよ……じゃあボクも付き合うから食べたら準備しよっか」

 

 そんなやり取りを終えたボクとフブちゃんは料理を食べ進めていくのだった

 

 ──

 

 料理を完食し必要なものを持った後ボクらは麓の村に降り立った……のだけど

 

「さて、この村も相変わらずだね。それよりも……」

 

「うぅ……どこ行ったの……白上のムラサキマル」

 

「……普通刀失くすかな?」

 

 ムラサキマルというのはフブちゃんが持ってる武器の事だ。無くしたらしいけど。ボクも武器の大鎌を背中に背負ってるよ。この武器もオツトメには必要不可欠な物だからね。それをフブちゃんは無くしたらしいけど。大事な事だから2回言ったよ。

 

「だ、大丈夫! 白上は刀なんて無くてもケガレの一つや二つ……」

 

「フブちゃんの実力は認めるけど失くし物するカミサマって……」

 

「そういうマコトだって失くし物とか……! した事ないけど……」

 

「でしょ? だってボク完璧だし……」

 

「あ──! そういうとこ! そうやって白上のこと見下してー!」

 

「失礼だなぁ、見下してなんかないよ。ただボクという存在の輝かしさに酔いしれていただけなのに」

 

「ぅぅ……ダメだ、この状態のマコトには勝てない……」

 

 負けを認めたフブちゃんだけどなんか褒められた気がしない、まぁこれもボクが天才すぎるが故だよね。

 

「ま……いっか。それより早速」

 

「あ! フブちゃんとマコトくんだ!」

 

「今日も来てくれたの?」

 

「うん、白上はカミだからこの村を守らないといけませんからねー」

 

 

 早速始めようとしたところ、複数の子供たちがボクとフブちゃんの元へ駆け寄ってきた。

 そして先程まで刀を無くして落ち込んでいたフブちゃんだったが村の子供たちに話しかけられ一瞬で表情を明るく戻した。カミとしての実力もだけど村のヒトと距離も近くこういう持ち前の明るさもあって子供たちを中心に村のヒトビトから慕われているんだよね。後フブちゃんは小さい子供が大好きという事もある……これだけ聞くとなんか危ないな、まあ確かにフブちゃんは小さい子の話になると若干危ない発言する事もあるけど。

 

「さすがフブちゃん!」 「カッコイイカミサマ!」

 

「やだなーそんなに褒めても何も出ませんよー?」

 

「まーた褒められていい気になってる……これだからフブちゃんは……」

 

 仲がいいのは良い事だけど刀無くしてるんだし少しは反省して欲しい

 

「マコトくんもカッコイイよ!」 「うん! 強くて憧れちゃうな〜」

 

「フッフッフ……当然だよね……やっぱりボクはカッコイイ……」

 

「だからマコトも白上の事言えないって」

 

 フブちゃんのセリフは置いといて……この子達は分かってるね、ボクが完璧で尊い存在だということを。

 

「えー? マコトくんは可愛いと思うなー……」

 

 なーんて思ってたら子供たちのうちの一人の女の子がそんな事を言った

 

「って……そこ! 可愛いって言わない! この天才で最強であり完璧なボクに似合う言葉は可愛いじゃなくてカッコイイなんだから……」

 

 でたいつものやつ。ボクは中性的な容姿で背もフブちゃんと同じくらい……なので時たまカッコイイではなく可愛いと言われる事もあるんだよね。すっごい悲しい、ボクは可愛くないってのに

 

「うんうんーマコトは可愛いよ〜」

 

「フブちゃんまで悪ノリするの辞めてくれない??」

 

 そんなやり取りをしてたらフブちゃんにまで煽られたんだけどもうやだ、これもいつものやり取りだけどさぁ

 

 

 ──

 

 村の広場

 

「さて……どうする? いつもみたいに二手に別れよっか」

 

「そうだね、じゃあ白上はこっちに行ってくるよ!」

 

「うん、何かあったらここで合流しよっか」

 

 

 そして子供たちと別れたボクらは早速オツトメを始める事にした。一緒に行動するのもいいけど効率を考えた結果、二手に分かれる事にした。

 

 

 

 …………

 

 

 

 フブちゃんと別れて数分歩いていると……

 

「さーてと……どんなもんかなー…………ん? あそこ」

 

 

 ボクの視線の先にヒト混みを発見し、早速そこへ向かう事にした。

 

「すみませんー! 通してください……」

 

 ヒト混みに近づき声をかけるとボクの姿を見たヒトは道を譲ってくれた。ボクもフブちゃんほどでは無いけどそれなりにこの村で存在を知られているので助かる。

 

「よいしょっと……って! 大丈夫ですか!?」

 

 ヒト混みの中心に到達したらそこには1人の男性が苦しみながら倒れていた。

 

 怪我、もしくは病気かもしれない、今すぐ治療を……なんて思っていたら

 

 

 

「っ……! これは……みんな逃げて!」

 

 

 その男性から黒いモヤのようなものが現れ、それを瞬時に感じ取ったボクは周りのヒトビトに避難を促し、それを聞いたみんなは逃げ出した。

 

 

「まーさか……こんなタイミングで()()()に遭遇しちゃうとはね……フブちゃんを呼んでる暇はないか」

 

 黒いモヤは男性を取り込み魔物のような姿へと変貌させた。……こうなったらちょっとめんどくさいんだよね……

 

「でも……合流する前に祓えばフブちゃんに良い顔できるしそれに……天才で最強の完璧なボクの手にかかれば……よゆーだよねっ」

 

 そして何より、ケガレに飲み込まれたあの男性は今も苦しんでいる……ならば一刻も早く助けてあげないと

 

 

「よっ……」

 

 ケガレはボク目掛けて腕を振り下ろし攻撃をしてきてそれを難なく交わしていく、あれに当たったらちょっと痛いんだよね。

 

 ケガレの攻撃を避けつつ、様子を伺っていると……ボクの視線の先には隠れて怯えている男の子の姿が……逃げ遅れたのか……

 

「……あ……」

 

 するとその子の気配を感じ取ったのかケガレは隠れている男の子へと視線を向けた 。そしてケガレに見つかった男の子は震えて声が漏れている。

 

「っ……危ない!」

 

 それを見たボクはすぐさま飛び出し男の子を抱えてケガレの攻撃から避難させた

 

「……大丈夫?」

 

「うん……ありがとう!」

 

「良かった……ここは危険だからボクに任せて逃げて」

 

 男の子が逃げていくことを確認したボクは背中に背負っていた大鎌を取り出し両手で構える

 

「さてと……これでのびのびやれる……やっぱこの武器いいよねー……ボクにふさわしいカッコ良さ……」

 

 うん、やっぱり良い。こんな素晴らしい武器を作ってくれた()()()()には感謝しかないね。今度改めてお礼言っとこ。

 

「ボクも……カミに仕えるものとしてキミを見逃す訳にはいかないからね。だからここで、祓わせてもらうよ! ……って、あぶなっ!」

 

 カッコつけようとしたら不意打ち喰らいそうになったので間一髪避けた。辞めてよ卑怯……いやケガレ相手にそれ言っても意味無いか

 

 

「せーのっ……はぁっ……!!」

 

 ケガレの攻撃を避けた僕は足を踏みしめて……一気に相手の懐に潜り込む

 

 その最中、ボクの持ってる大鎌の刃には……()()()()()()()()()()()()()()()が込められていた。

 

 一瞬の隙に……刃をケガレに向け……

 

「……ダークネスエッジ」

 

 

 ケガレを、真っ二つに切り裂いた

 

「そして……今だ……えいっ!」

 

 更にそこに追い討ちでケガレバライの力を放つ……するとボクが切り裂いた部分からケガレがだんだんと消滅していき取り込まれていた男性の姿が現れてきた。ボクはそれを抱え、とりあえず地面に寝かせてあげる事にした。……これで解決かな? 

 

「……気を失ってるけど……命に別状はないし、ケガレも感じない……ん、完璧に祓えたね、流石ボク」

 

 ケガレバライを完璧にこなしたボクの活躍に惚れ惚れしていると……

 

「マコト! 大丈……ってもう終わってる!?」

 

「あ、フブちゃん。来てくれたの? ありがとう」

 

 後ろの方からフブちゃんが走ってこちらにやってきた、村のヒトから聞いて駆けつけてきてくれたんだろう。

 

「ケガレが出たって聞いて急いできたけど……もしかしてひとりで?」

 

「うん、そこまで大きいわけじゃなかったしフブちゃんの手を借りるまでもないかなーって……ま、このボクにかかれば余裕だよね!」

 

「うっ……ケガレを祓ってくれたのは感謝するけど……その顔が……ぐぬぬ」

 

「ん? ボクの顔がどうかした? いつも通りイケメンだと思うけど……」

 

「で、でも……! マコトは強いけどケガレバライの力は控えめなんだから無理したらダメだよ!」

 

「うぐ……それは……うん、そうだねごめん」

 

 またもやフブちゃんに痛いところを突かれた。実際のところボクは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのである。今回はたまたまボクが一人で祓えるレベルのケガレだったけど本当はフブちゃんや他のヒトと協力しながら祓わなきゃいけないんだよねぇ……

 

「後はホラーも苦手なんだし……」

 

「それは関係ないよね??」

 

 なんか追い討ちかのようにホラー苦手なの弄ってきたんだけど、え、なんで? もしかしてこの後ホラゲーやらされる? 絶対嫌なんだけど。怖すぎて泣いちゃうからやめて欲しい。

 

「それよりそのヒトは?」

 

「ケガレは完全に消えてるし気絶してるだけだから大丈夫だよ。後は目覚めるのを待つだけ」

 

「ふむふむ……なら良かった。そのヒトが起きたらどうしてケガレが発生したのか知るために話を聞かないと」

 

 

 

 

 ──

 

 あの後数分後に男性は目覚めた。話を聞いたところ、ケガレが発生した原因は仕事の多忙、それによる寝不足……ボクが見つけた時倒れていた、そして村の子に危害を与えようとしたのもそのストレスが原因だろう。

 

 

「あの人……大丈夫かな。これからはちゃんと休めるといいんだけど」

 

「ちゃんと上司の人と相談するししっかり休息も取るようにするって言ってたし大丈夫だよ」

 

 ボクらはケガレを祓うことはできてもヒトビトの問題に直接介入する事は出来ない……だから見守ることしか出来ない。仕方ないとはいえ焦燥感が残るものである。

 

「そういえばフブちゃんの方はどうだったの? 何かあった?」

 

「うん! 村の子達に図鑑コンプリートしたって話したらすっごい褒められ……あっ」

 

「…………ボクがケガレバライしてる時にゲームの話してたの?」

 

「いやこれはえっとあの……つい話が盛り上がったというかなんというか……白上としても悪気は……」

 

 ゲームの話をしてたというフブちゃんにボクはジト目で視線を送る。するとと分かりやすく焦り始めた、このカミサマ大丈夫かな

 

「キュウビ様にチクってもいいんだよ?」

「ごめんなさい白上が悪かったです!」

「すっごい早いじゃん」

 

 やっぱキュウビ様話題に出したら一瞬で大人しくなるの面白いな、まぁ気持ちは分かるけどね、めっちゃ怖いし。

 

「それより今日の晩御飯お肉と魚どっちがいい?」

 

「お肉! 白上お腹すいた!!」

 

「……買い物手伝ってくれたらナシにしてあげる、後お菓子奢って」

 

「ホント!? ありがとうマコト大好き!!」

 

「恐ろしいほどチョロいんだけどこのカミサマ」

 

 ま……こういうとこもフブちゃんがみんなから愛されるところだと思うけどね

 

 




ヤマト

カミ、ヒトが共に生きイワレなるものを紡ぎながら、ケモノとアヤカシがイワレを囃しながら遊ぶ土地。


イワレ

このセカイに長く存在し続ける事によって万物に蓄積されていく存在。
イワレについてはカミガミ達もうまく形容することの出来ないあやふやな存在。
あるカミによるとRPGゲームでいうところの経験値のようなものとのこと。


ケガレ
悪しきイワレ。悪評、怨念、怖れなどといったネガティブな思想を伴った良くないイワレ。
ケガレに冒されたモノの心は乱れ、人ならざる者へと変貌し悪事を働く事も。
ケガレの力は大から小まで沢山存在する。
ケガレバライの力を持つ者のみがケガレを祓う事が可能。





※1部公式、及びpixivからの抜粋。また独自解釈あり。
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