マモリタイモノ   作:AtR

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白上フブキさん、誕生日おめでとうございます


いざ、イナリ神社へ

 そしてあの後、ボクらはキュウビ様の元へ行くためにとある場所を訪れていた。

 

「みんな、準備はいい?」

 

「問題ない」

 

「もちろんちゃんとつけてるよ」

 

「じゃあ行くよ」

 

 

 今ボクらの目の前にあるのは小さな祠、これはヤマトのあちこちに併設されてるイナリポータルと呼ばれるものでありポ(・)ー(・)タ(・)ル(・)間(・)を(・)行(・)き(・)来(・)で(・)き(・)る(・)転(・)送(・)装(・)置(・)である。

 もちろん誰でも扱えるという訳ではなくイナリ一門を始めとしたイ(・)ナ(・)リ(・)一(・)門(・)を(・)始(・)め(・)と(・)し(・)た(・)カ(・)ミ(・)や(・)そ(・)れ(・)に(・)認(・)め(・)ら(・)れ(・)た(・)者(・)の(・)み(・)扱(・)う(・)事(・)が(・)で(・)き(・)る(・)の(・)だ(・)。

 それに加えこのポータルはカミやアヤカシでないと利用する事が出来ないためボクはポータルを利用する際イ(・)ナ(・)リ(・)リ(・)ン(・)グ(・)と呼ばれる特殊な腕輪を装着している。これを付けて尚且つカミが近くにいることでカミ達と同じくポータルを利用する事が出来るんだよね。元々怪我人や尋ね人等特例の場合のみ使用していた物だったけどジュウシャということで特別に使わせてもらってるんだ。

 

 そんなわけでミオちゃんが祠に向けて手をかざすとボクらの身長より少し大きいくらいの円が現れる。これがミヤコへと繋がるワープホールのような物だ。

 

 ボクら4人はそれをくぐっていき……

 

 

「よしっ、ミヤコ到着!」

 

「なんだかんだ来るのは久しぶりだなぁ……」

 

 歩いたら半日はかかる所をものの数分で到着した。相変わらず便利だよね、助かる。とはいえ利用するのは呼び出しがあったり任務の時だけでプライベートの時は流石に使わないようにしてるからね。

 

「そんなことより……さっきからフブキはどうした」

 

 フミヤ君がそう言うと後ろでタンマツと睨めっこしているフブちゃんの姿が目に入った。なにしてんの。なんとなく予想はつくけど……

 

「き……キュウビ様から……めちゃくちゃ鬼電かかってきてたの──ー!!!」

 

 案の定、キュウビ様からの大量の不在着信を見て絶望していたようだ。可哀想に、めっちゃ怒られそう。

 

「やっぱりねー……連絡つかないって言ってたし……」

 

「ゲームに集中しすぎて全然気づかなかった……ぅぅ……お願いマコト……一緒に怒られてぇ……白上のジュウシャでしょ?」

 

「うわすっごい、逃がす気ないじゃん」

 

 まぁもとより逃げる気はないけど、さすがに受け入れないとね。覚悟はできてるよ、怖いけど

 

「うぅ……足が重い……」

 

「元気だしな? ウチとフミヤも一緒にあやまってあげるからさ」

 

「何故オレは巻き込まれた……別に構わないが」

 

 

「ありがと2人とも……わぁ──!!! やっぱいつ来てもウキウキするー!!!」

 

 先程まで落ち込んでたフブちゃんだが目の前に広がるキョウノミヤコの街並みを見て目を輝かかせていた、ほんと情緒どうなってんのさ

 

 

「もー……すぐ元気になるじゃん」

 

「うーん平常運転すぎる」

 

「……まぁ予想できた事だな」

 

「それよりも早くキュウビ様の所に行かないと」

 

「そうだね、早速イナリ神社に……ってあれ? フブちゃんは」

 

「あれ、さっきまでここにどこ行ったの……」

 

 何故かついさっきまでボクの隣に居たフブちゃんの姿がない、どこへ行ったんだろ……なんて思ってたら

 

「ありがとうございますー! ……わぁ……美味しそう……」

 

「……早速なにしてんの」

 

「あ……ごめん久しぶりのミヤコだったからつい」

 

 

 すぐそこの甘味処でお団子買ってるんだけど。ほんと忙しすぎるでしょ、そろそろ心配になってくるレベルだよ。

 ボクだけじゃなくて2人も呆れてるし、ついじゃないんだよついじゃ

 

 まぁでもミヤコって美味しいものたくさんあるからね、ボクも後でなんか買おうかな、余裕があったら。

 

「そうだ、最近オオカミ神社の方はどう? やっぱり忙しいの?」

 

 買った団子を食べようとしたフブちゃんは思い出したかのようにミオちゃんに質問をする。

 

「まぁね、ミヤコの運営もあるし忙しいのはいつもの事なんだけど……それに加えて今回の事件もあっていつも以上にピリついてるかな」

 

「じゃあ……イナリ神社も同じくらい忙しい感じか」

 

「そうだな、オレ達がキュウビ様に2人を呼んでくるよう頼まれた際もドタバタしていたからな」

 

 

「ももももー!もっもー!(早く行こー!早く!)」

 

「なんて言ってんの?」

 

 イナリ神社の話になった瞬間手に持ってた焦ったのかだんごを一気に頬張りワタワタし始めたんだけど。喉に詰まるよ? 

 

 ──ー

 

 その後イナリ神社に到着し本殿へと続く階段を登り始めた所でミオちゃんが話を切り出す

 

「そういえば……2人ともキュウビ様の事怖がってるみたいだけど……そんなに怖いの? 落ち着いた雰囲気だしウチはそんな感じしないんだけど……」

 

「それはオレも疑問だった……何かあったのか?」

 

 2人はボクらがキュウビ様を恐れてる事を不思議に思ってるみたいだ。確かに普通のヒト達から見たらミオちゃんの言う通り落ち着いた雰囲気で怖い印象はないだろうからね。

 

 まぁ……ボクやフブちゃん、イナリ一門の子たちからすればそんなことないんだけど……

 

「あー……実はね……これってあまり言っちゃダメなんだけど」

 

「え……待ってフブちゃんこれ言うの?」

 

「うん……せっかくだし」

 

「……まじかー……」

 

 どうやらフブちゃんは2人の疑問に答えてあげるみたいだけど……ボクとしてはあんまり気が進まないんだよなぁ。

 一応内部事情だし話さない方がいい……って理由もあるけど……もうひとつ個人的な理由があるんだよね……

 

 

「昔からイナリ一門には秘密の怖い話が伝わってて……」

 

「こ……怖い話!?」

 

 フブちゃんが話し始めるとミオちゃんが怖い話と言うワードを聞き震えてしまった。ミオちゃんもボクと同じく怖い系のネタは苦手なんだよね、フブちゃんがホラゲーやろうとか言い始めた時は2人で全力で拒否してるからね、味方がいてくれて助かる。

 

「キュウビ様はずっと昔の頃荒ぶるカミとして暴れ回っていたって言われてて……その時のお話が怪談みたいに怖くって……白上達は小さい頃からいろんなヒトにその話を聞かされて育ってきたの……」

 

 フブちゃんはキュウビ様の伝承について語り始めた、ボクも小さい頃はフブちゃんと一緒に色んな所で怖い話を聞かされまくったからね。例を出すと敵の頭を兜ごと噛み砕いたとか……お尻から火を吹くとか…他にもまだまだあるけどね。それが嘘か誠か分からないけど当時子供だったボクらを震え上がらせるには十分な話題だった。

 

「それでトラウマになってるわけね……」

 

「さらには年に一度、当時のキュウビ様を元にした格好をして子供部屋を回ってくという秘祭があるんだよ……これは秘密ね? 秘密……」

 

 あー……出たそれ。夜が更けてきたくらいの時間になると子供たちの部屋に突如現れてきたやつね。

 その時期になると毎回震えてたんだよね……

 記(・)憶(・)の(・)な(・)い(・)ボ(・)ク(・)が(・)イ(・)ナ(・)リ(・)一(・)門(・)に(・)拾(・)わ(・)れ(・)て間もない頃にそれを見た時なんかもう……多分ボクが怖いの苦手なのそれが原因な気がする。というか絶対そう。

 

 

「……マコト、どうした」

 

「へ? い、いやなんでもないよ? 思い出したらやっぱり怖かったなーって?」

 

「そうそう! あのころのマコトって今(・)と(・)違(・)っ(・)て(・)ま(・)だ(・)大(・)人(・)し(・)か(・)っ(・)た(・)か(・)ら(・)怖(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)ら(・)怖くなったらすぐ白上に泣きついてたもんねー?」

 

「ちょっ……! それは言わないでって!」

 

「そうだったんだ……あの時のマコトも懐かしいね」

 

「ああ、今からは想像もつかないが」

 

「っ〜…………! ほ、ほら! 早く行こ!」

 

 

 3人が意地悪な笑みを浮かべてボクの方を見てくる。

 ……だからこの話されるの嫌だったんだよ。3人とも幼なじみだし昔のボクの事知ってるからさぁ! 

 ……大丈夫大丈夫、今のボクは最強で完璧で天才だからね! 昔とは違うから! 

 

 恥ずかしさを誤魔化すようにボクは3人を急かすように本殿へと続く階段を足速に登って行った

 

 ──ー

 

 イナリ神社 本殿

 

 

 あれから数分後、本殿へと到着し、キュウビ様のいる部屋の前まで案内してもらった。早速入らないと……

 

「よし……行くよ? ……って、フブキ?」

 

「ま……待って、心の準備が……」

 

「……ここまで来て何を言ってる」

 

「だ……だってぇ〜……」

 

 ミオちゃんが入る前にフブちゃんに声をかけたが部屋の前に来て急に怖気づいたようだ。さっきまであんなに元気だったじゃん。

 

「もう……ボクが先に挨拶するから、はい開けるよ!」

 

「あ……ま、待っ……」

 

 このままじっとしてても埒が明かないと思いボクは怖気付いてるフブちゃんに構わず襖を開いた。なんかフブちゃんが制止しようとしてたけどまぁ無視でいいよね。

 

 

「キュウビ様……失礼しま……」

 

 襖を開けキュウビ様に一言挨拶をしようとすると……

 

「ごめんなさい、失礼します!」

「キュウビ様、失礼します!」

「キュウビ様、こちらのご確認をお願いします!」

「キュウビ様、行ってまいります」

 

 ドタドタドタと、慌ただしい様子でイナリ神社のアヤカシの方々が部屋を出たり入ったりしている。

 

「……やっぱり忙しいみたいだね」

 

「じ、じゃあ邪魔したら悪いので……出直してきまーす……」

 

「いやダメでしょ、なにしてんの」

 

 なんか都合のいいこと言って帰ろうとしてるんだけど、先送りにしても意味ないんだからやめなって。

 そんなフブちゃんを引き留めようとした時……

 

「来たか。白上、如月」

 

「ひぃっ……!」

 

「あ……キュウビ様」

 

 ボクらの名前を呼ぶ声が聞こえその方向へ視線を向ける。

 そこには頭から狐の耳、そして9つの尾を生やし目元には仮面のようなものをつけている女性の姿が。この方こそイナリ神社の大宮司でありフブちゃんの上司にあたるカミ、キュウビ様である。

 

 キュウビ様を前にしたボクらは姿勢を正し真っ直ぐキュウビ様へと目を向ける。……隣でガタガタ震えてる白キツネを除いて

 

「大神ミオ、漆間フミヤ。2人を連れてきてくれたことを感謝する」

 

 ミオちゃん、フミヤ君に感謝を述べるキュウビ様。それを聞いた2人は軽く頭を下げた。

 

 キュウビ様は2人から視線を移し、その視線が向けられた先はボクであった。

 

「まずは……如月、君にこれを」

 

 そう言ってキュウビ様はボクにあるものを手渡してきたのでボクはそれを両手で受け取る

 

「これは……タンマツですか?」

 

「うむ、今まではイナリ一門の者では無いただのヒトという理由からイナリフォンは渡していなかったが……今回の事がありやはり何かと不便だと思いこちらで用意させて貰った。既に私を始めとしたイナリ一門の者の連絡先は登録してある。後に白上達とも連絡先を交換しておくといい。今後何かあれば連絡する」

 

 

 キュウビ様から手渡されたタンマツはフブちゃん達イナリ一門が使用してるイナリフォンと違い狐のマークのない普通のものだ。

 ちょうどボクの方からタンマツを貰えないか検討しようと思っていたところだったのでこれはありがたい。恐らく、この考えもキュウビ様はお見通しだったのかもしれない。

 

「ありがとうございます、お手数お掛けしてしまい申し訳ございません」

 

 ボクはキュウビ様に感謝の言葉を述べる。恐らくこれでボクへの要件は終わりだろう……となると次は……

 

「うむ……そして、次は白上……」

 

「ひ……ひゃい!!?」

 

 キュウビ様はフブちゃんの方へを視線を移し呼びかける、そしてフブちゃんは震えながら返事をした。

 

「昨日から私や他の者が何度か連絡をしていたのだが……」

 

「え……えっと……それはその……深いわけが……」

 

 連絡がつかなかった理由を問われたフブちゃんは顔が青ざめながらガタガタと震え狐耳も垂れ下がっている。フブちゃんが悪いとはいえさすがに可哀想になってくる……こないだのフミヤ君を怒らせた時とはわけが違うしさすがにフォローを……

 

「フブキってばずっとゲームに夢中でイナリフォンの充電が切れてたのに気づかなかったみたいです」

 

「ちょ……!? ミオー!!!?」

 

 ……なんて思ってたらミオちゃんがにこやかな笑顔で洗いざらい全て話してしまった。一緒に謝ってあげるとか言ってたのに……まぁ中々説明しないフブちゃんに痺れを切らしたんだろう

 

「あいつはオニなのか?」

 

「……やっぱミオちゃんは怒らせない方がいいね」

 

 そんな光景を見たボクとフミヤ君は態度にこそ出さないものの恐怖を感じていた。ボクらの中で1番怒らせたら怖いのって間違いなくミオちゃんだからね

 

「……良かったの?」

 

「ん? まぁたしかに可哀想だけど……フブキにはいい薬でしょ」

 

 そういいながらミオちゃんはボクらに笑顔を向けてる。なんだろ、笑顔の向こうから怒りを感じる気がする。恐らくミオちゃんも連絡がつかなかったフブちゃんに対して色々思うことがあったんだろう。

 

 

「ふむ……そういうわけか……」

 

「わ……わ……そ、それは……」

 

 そして連絡がつかなかった理由を知ったキュウビ様はゆっくりとフブちゃんの元にと近づいていき、フブちゃんは更に震え上がった。キュウビ様が近づいていく度にギシギシとなる床の音が恐怖を増長させる。

 フブちゃんが怯えたり焦ってる姿は大好物だけど今回ばかりはそうとも言えない。助けることもできずそもそもの原因がフブちゃんにあるのでただ見守るしかなかった。さすがにカミサマの資格を剥奪とかは無いだろうけど……

 

 

「……」

 

「ひいっ……!」

 

 そしてキュウビ様はフブちゃんの前に立ち、恐怖からかフブちゃんは目を瞑ってしまう。

 

 するとキュウビ様は手の届く範囲にある台の上に置いてあった瓶を手に取り、蓋を開け中から取り出したものをフブちゃんの口元へと運び……

 

「……んっ……?」

 

 フブちゃんはキュウビ様の手によって口元へと運ばれたものを流れるように口に含む……

 

「これは……ん──! 甘〜〜い……!」

 

 口に含んだ瞬間、フブちゃんは先程までとは一転、幸せそうな顔を浮かべ始めた。当然、その光景を見たボクら3人は面を食らってしまっている

 

「キュウビ様……今のは?」

 

 ボクはキュウビ様へ疑問を投げかけた、甘いという言葉や形から察するに飴ではあるんだろうけど……

 

「ヤマト霊慈菴特性まんまる飴……私の好物だ。白上の口にもあったようで何よりだ、白上はゲームに集中していたようだから……多少なりとも消耗しているだろう」

 

「んふふ……美味し〜」

 

 どうやらキュウビ様はゲームに熱中したフブちゃんの為に飴を食べさせてあげたようだ。……そういえばキュウビ様は甘味が好きって聞いた事あるから……恐らく普段から気分を落ち着かせたりする時甘い物を食べてるんだろう

 

 肝心のフブちゃんはまんまる飴の味に魅了されている。……あんまり怒ってないみたいなのかな? ボクらの気にしすぎだったか……

 

 

「私も……」

 

 ガリッ!

 

 ゴリッ!

 

 ボリッ!

 

 

「ひぃぃっ!?」

 

 ……なんて思っていたらキュウビ様はまんまる飴を1つ、また1つと口に含み、舐めるのではなく噛み砕き始め……

 

「……先日から事件の対応に追われほとんど休めていなくてな……この飴にはレイリョクの回復に実に効果があり、こういう時は強い助けになる」

 

 飴を噛み砕きながらそう言うキュウビ様は笑みを浮かべてはいるものの確実に怒っているというのがヒシヒシと伝わってくる。

 それを見たフブちゃんは勿論ボクら3人も震え上がってる。

 キュウビ様な怖いイメージはないと言っていた2人もボクらが怖がってる理由が伝わっただろう。幸か不幸か分からないけど。

 

 

「どうだ? 目は覚めたか」

 

「……は、はい……も、申し訳ございませんでしたぁ……以後気をつけます……」

 

 そんなキュウビ様の姿を見たフブちゃんもさすがに反省しキュウビ様に謝罪した……。なんか……うん、お疲れ様

 

「そうか、なら良かった。気に入ったのであればもっと持っていくといい」

 

「あ……ありがとうございます」

 

 そしてフブちゃんはキュウビ様から両手が塞がるほどの量のまんまる飴を貰った。怖がらせてしまったことに対するお詫びのようなものなのだろう。

 

 ──ー

 

 

「……では本題だ」

 

 

 数分後、フブちゃんも落ち着いたのでキュウビ様はボクらを呼び出した本来の目的を話し始めた。

 

「先日からキョウノミヤコにて子供達が行方不明になっていると報告がある。その数はおよそ10人」

 

「10人……そんなに」

 

「既にミヤコの中はオオカミ神社からミマワリ組、ミヤコの外は我々イナリ一門が捜査を行っている。人徳的な線、ケガレによる線の両方から進めてはいるが痕跡の少なさから見てもこの件はケガレによる事件の可能性が高いと見ている」

 

 どうやら既にいくつか捜査は行ってくれていたようだ。進捗があったかこの後聞いてみる必要がありそうだな。

 

「そこで君達には我々の管轄であるミヤコの外の捜査に参加してもらいたい」

 

「ウチ達はオオカミ神社の助っ人として2人と行くからね」

 

「そっか! ミオ達が居てくれるなら心強いよ!」

 

2人がいる理由は単純に呼びに来てくれただけではなかったみたい。人数が多いに越したことはないけど…ボクとフミヤ君までいるってことは…

 

「ジュウシャである君たち2人のことも期待している……もし奴らが現れた際は白上達のことを守ってやって欲しい」

 

「……お任せ下さい、その為にこの力があるので」

 

「へへ、まぁボクとフミヤ君がいるならよゆーじゃない?」

 

「……確かにそうかもしれないが油断はするなよ」

 

 単純にケガレバライをするだけならフブちゃんとミオちゃんだけで十分なのだが……キュウビ様の言った奴らの存在がある以上、ボクらが2人についてなくてはいけない、ジュウシャとしてと理由はもちろんだけど…奴(・)ら(・)は(・)フ(・)ブ(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)達(・)よ(・)り(・)も(・)戦(・)闘(・)能(・)力(・)が(・)高(・)い(・)か(・)ら(・)ね(・)、(・)少(・)な(・)く(・)と(・)も(・)ボ(・)ク(・)ら(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)と(・)相(・)手(・)で(・)き(・)な(・)い(・)く(・)ら(・)い(・)に(・)は(・)。(・)

 

…だからこそ、何があっても守らないとな

 

 

 ボクがそう思っていた時、階(きざはし)の先にある簾の向こうから強く光り始め……

 

「白上フブキ、大神ミオ……そして如月マコトと漆間フミヤよ」

 

 簾には狐耳を生やしたアヤカシの影が浮かんでいる

 

「この声……!」

 

「え……イナリさま!?」

 

「っ……え……イナリ様って……!」

 

「確か…イ(・)ナ(・)リ(・)一(・)門(・)の(・)1(・)番(・)偉(・)い(・)カ(・)ミ(・)サ(・)マ(・)だったか……」

 

 フミヤ君の言う通り、今ボクらの目の前に現れたこの御方はイナリ様……正しくはイナリガミ。

 イナリ神社に所属しているカミやアヤカシの元締めであり、フブちゃんやキュウビ様よりも偉い存在である。滅多にヒトの前に姿を表すことなくボクもその姿は見たことは無い。

 

「……ここ、ヤマトに住まう未来ある大切な子らを……一刻も早く助け出して欲しい……これは、其方達にしか出来ないこと……頼めるか?」

 

 イナリ様はヤマトに住まうヒトビトをこよなく愛しており今回の事件に関して心を痛めているに違いない、本当は自ら助けに行きたいが立場上そうする訳にはいかない、だからこそこうやってボクらにお願いしているのだろう。

 

「はい……! 白上達にお任せください!」

 

「それがウチ達のオツトメですから!」

 

 そんなイナリ様のお願いに対し、フブちゃんもミオちゃんも自信に満ちた表情で答えた。

 

 

「フフ……頼りしておるぞ」

 

 その光景を見て安心したのか、イナリ様は少し声音が明るくなり、一言残したあと姿を消した。

 

 

「ふぅ……びっくりした……」

 

「うん……さすがのボクも力が抜けたよ」

 

「イナリ様……いらしてたんですね」

 

イナリ様がなんの予告もなく現れたことによりボクらは驚きを隠せず力が抜けてしまった

 

「ああ、イナリ様は常にヤマトに住む人々の声に耳を傾けておられる。……この件、私からもよろしく頼む」

 

「はい! お任せ下さい」

 

 イナリ様に続きキュウビ様もボクらに子供達の捜索を改めてお願いしてきた。

 子供たちの事もそうだが、2人とも、ボ(・)ク(・)の(・)こ(・)と(・)を(・)助(・)け(・)て(・)く(・)れ(・)た(・)存(・)在(・)であるため何としてでもお役に立ちたいというボク個人の感情がある。

 

 

「あ、あの……」

 

「どうしたの?」

 

「ミオさんに話が……」

 

「え、ウチに?」

 

 その時、近くにいたアヤカシの少女が声をかけてきた。ミオちゃんに話があるみたいだけどどうしたんだろ。

 

「ミオさんの占いってすごく当たるって聞いたので……ミオさんの占いで子供たちの事を探してもらうことってできたりしません…………か?」

 

 占いはミオちゃんの得意分野であり、ミヤコでもそれを知るものは少なくない。老若男女問わずミオちゃんに占ってもらった者は沢山いて彼女もその1人なのだろう。

 

「ごめん……ウチの占いはその人の気持ちの向かう方向とか縁の兆しとかを探って悪い方に行かないようにアドバイスをするだけで誰かを探すとか具体的な事が出来るわけじゃないんだ」

 

「そ、そうだったんですか……! すみません私思いつきで勝手なことを……!」

 

「大丈夫だよ、こっちこそ力になれなくてごめんね」

 

アヤカシの子とミオちゃんとのやり取りが終わると、それを見ていたキュウビ様が口を開く

 

「大神ミオ、漆間フミヤ……君たちに聞きたいことが」

 

「……はい、なんでしょう」

 

「その昔聞いたことがある……オ(・)オ(・)カ(・)ミ(・)の(・)血(・)族(・)の(・)者(・)の(・)中(・)に(・)は(・)縁(・)の(・)繋(・)が(・)り(・)を(・)辿(・)っ(・)て(・)探(・)し(・)当(・)て(・)る(・)こ(・)と(・)の(・)出(・)来(・)る(・)ワ(・)ザ(・)を(・)使(・)え(・)る(・)者(・)が(・)い(・)る(・)……2人の身内にそういった者の心当たりはないか?」

 

「っ……!!」

 

 キュウビ様がそう言うとミオちゃんの顔が曇り、ボクらの中に重い空気が流れる……

 

 ここにいる4人が、ミ(・)オ(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)の(・)ト(・)ラ(・)ウ(・)マ(・)で(・)あ(・)る(・)あ(・)の(・)事(・)を思い出したからだ。

 

「…………」

 

「……生憎ですがオレもミオも存じ上げないもので……ご期待に応えることが出来ず申し訳ございません」

 

「……そうか、ならばいい。引き止めて済まなかった」

 

 ミオちゃんが返答に困っているとフミヤ君がフォローしてくれ、キュウビ様も納得するような態度をとる。

 キュウビ様に嘘の事を伝えるのは心が引けるが……この場合ではこれが最適解だったに違いない。

 

「……では白上達は早速子供たちの捜索へ行ってまいります!!」

 

「ああ、武運を祈っている」

 

「よし……行こっかみんな」

 

 重い空気が流れていたが、それを打ち消すかのようにフブちゃんはキュウビ様へ一言告げた後、ボクらは子供たちの捜索へと向かうのであった

 




イナリガミ

イナリ神社に所属しているカミ、アヤカシの元締め。
滅多に姿を現すことがないため、カミ達の間でもその姿を見たものは少ない。
また、カミガミの中でも特にヒトビトを愛しており、ヒトビトの願いを大小関係なく安請け合いしてしまう。
そのため部下であるキュウビを初めとしたカミ達は多量の案件の解決のため日々奔走させられている。


キュウビ

イナリ神社の大宮司。フブキの上司にあたるカミでイナリガミの秘書も務めている。
かつてはミヤコにて暴威を奮っていたため彼女を恐れてる者が多々いるがそれと同時に一目置かれている者も沢山いる。
甘味が好きで、よく飴を舐めている。
噂によると飴を切らしてしまうと自我を忘れてしまうらしい




※ ※一部公式、ピクシブ百科事典より抜粋。また独自解釈あり
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