あれは腹痛の薬ではなかったのかと不死人は言う 作:カズヤミサワP
第二部を書くかはまだ未定です。
というか作者のリアルが修羅場なので、もし第二部を書くとしてもしばらくは書けないかもしれません。
アテライを出てからしばらくの間、真継たちは海沿いの街道をミュレアへ向かって歩いていた。行きと比べれば荷車は軽い。魚と干物の大半を売り払い、海賊から奪った武器や防具も必要なものを除いて金に換えた。その代わり、荷台には塩や布、農具の部品、油など、村から頼まれていた品々が積まれている。そして荷車の横には、行きにはいなかったガレネが歩いていた。
海から吹いてくる風が、淡い青色の髪を揺らしている。奴隷市場にいたときより表情も幾分柔らかくなっていたが、真継が買い与えた服については本人なりに思うところがあるらしい。
「本当に返さなくていいのですか?」
「何をだ」
「服のお金です。私はもうあなたの奴隷ではないのでしょう?」
「そう言っただろう。だからいらん」
「なら借りを作るのも気になります」
「俺は気にしていない」
「あなたはそうでしょうね」
ガレネはため息をついた。
「先ほども、かなりの額を払ったのに私をその場で解放しましたし」
「高かったのか?」
「まだ分かっていなかったんですか?」
「誰も教えてくれなかった」
前を歩いていたテロンが振り返った。
「だからお前は金を触るなと言ってるんだ」
「使えたぞ」
「使えることと価値が分かることは別だ」
「面倒だな」
「金ってのはそういうもんだ」
真継にはよく分からなかった。貨幣というものが時代と土地によって価値を変えることは嫌というほど見てきた。金や銀が使われた時代もあれば、紙切れや数字だけで物を買える時代もあった。国が滅びれば昨日まで財産だったものが何の価値もない塵になることもある。それを何度も経験しているうちに、細かな金勘定を覚える気がなくなったのである。
「ガレネは分かるのか?」
「何がです?」
「金だ」
「少なくとも、あなたよりは」
「では今度から任せる」
「何をです?」
「金のことを。頼んだ」
「待ってください。勝手に決めないでください」
テロンが声を上げて笑った。
そんなやり取りをしながら歩いていたとき、先頭にいた村人が足を止めた。
「……あれは何だ?」
真継も前を見る。街道は緩やかな丘を越え、その先で内陸側へ曲がっていた。距離はあるものの、道の先に人の一団が見える。最初に目についたのは馬だった。十数頭ほどいる。騎手たちは弓や槍で武装しており、その後ろにも人影が続いていた。
真継は目を細めた。徒歩の者たちは自由に歩いているわけではなかった。数人ずつ縄で繋がれ、その左右を騎馬の男たちが見張っている。荷を背負わされている者もいる。男だけではなく女も混じっていた。
「奴隷狩りだな」
テロンの声から先ほどまでの軽さが消えた。
真継はしばらく一団を眺めた。どこかで見た光景だった。
「……そういえば俺もやられたな」
「何がだ?」
「あれだ。ここへ来て間もないころ、ああやって騎馬の連中に捕まった。半裸で歩かされたな」
テロンが顔をしかめた。
「よく平気そうに話せるな」
「もう終わったことだからな」
そう答えたものの、真継は騎馬の一団から目を離さなかった。捕まったことそのものを忘れていたわけではない。だが、その後すぐ別の集団に襲われ、ラケオンへ売られ、ガレー船を漕がされ、戦になって海へ沈んだ。あまりに色々なことが続いたため、最初に自分を捕らえた連中への恨みなど後回しになっていたのである。
今になって思い出すと、少し腹が立ってきた。
もっとも、目の前の連中が自分を捕らえた者たちと同じなのかは分からない。服装や装備は似ているが、それだけだった。真継はそのまま一団を観察する。馬がいる。弓がある。槍もある。荷馬には食料や天幕らしいものまで積まれている。
「……悪くないな」
「何がだ?」
「馬だ」
テロンが真継を見る。
「マツグ、お前、何を考えてる?」
「奴隷狩りを逆に狩ろうと思っている」
「今、馬を見てただろ」
「それも欲しい。武器もあるし、食料もある。金も持っているかもしれん」
「お前は人を助けたいのか、略奪したいのかどっちなんだ」
「両方でいいだろう」
真継にとっては何も矛盾していなかった。人を攫って売る者を倒し、捕まっている者を助け、倒した者の武器や馬は戦利品としてもらう。自分が得をして相手も助かるのだから、むしろ都合がいい。
ガレネが呆れたように真継を見ていた。
「何だ」
「いえ。あなたという人が少し分かってきました」
「そうか」
「褒めてはいません」
真継はもう一度、奴隷狩りの一団を見た。
「お前たちは先に帰れ」
テロンが眉をひそめた。
「本気か?」
「ああ。荷を持ってミュレアへ戻れ。ここで奪われたら、何のためにアテライまで行ったのか分からん」
「だったらお前も来い。村へ戻ってから誰かに知らせればいい」
「そのころにはいないだろう」
テロンはしばらく黙ったあと、自分たちも残ると言った。しかし真継は首を横に振った。
「これは村を守る戦じゃない。今回は俺が勝手に仕掛けるだけだ。お前たちが付き合う必要はない。それに荷を村へ届ける奴が必要だ」
先日は村そのものが襲われた。戦わなければ村も家も失うところだったが、今回は違う。目の前の奴隷狩りは、少なくとも今のところ真継たちを狙ってはいない。
「死ぬなよ」
「死なない」
テロンはまだ何か言いたそうだったが、やがて諦めた。
真継はガレネを見る。
「お前も行っていいぞ」
「嫌です」
即答だった。
「危ないぞ」
「私を買ってすぐ放り出した人について行くと決めたばかりなのに、その日のうちに一人で行けと言われても困ります」
「自由にしていいと言っただろう」
「だから自由に残ります」
「そうか」
真継は頷いた。テロンは二人を交互に見てから「どっちも大概だな」と呟き、村人たちとともに荷車を連れてミュレアへ向かった。
街道に残った真継は腰の曲刀を確かめる。
「では行くか」
「待ってください。本当に二人で戦うつもりですか?」
「俺一人でもいいぞ」
「そういう意味ではありません。作戦はないのですか」
「ある」
ガレネが少し安心したような顔をした。
「どのような?」
真継は騎馬の一団を指した。
「あれを殺す」
「……どれです?」
「真ん中の、赤い布を肩に巻いている男だ」
他の者より装備がいい。周囲へ頻繁に指示を出し、何かあるたびに近くの騎手がその男を見る。隊列の速度を変えるときも、休ませるときも、判断しているのはあの男だった。
「頭ですか?」
「たぶんな」
「最初に狙うんですね」
「頭が死ねば残りは迷う。迷っている間に次を殺す」
ガレネは真継の横顔を見た。
「随分慣れていますね」
「兵だったと言っただろう」
「どれくらい?」
「長い」
「どれくらい長いんです?」
「話すと面倒だ」
「またそれですか」
真継は答えず、地形を確認した。街道の片側は緩い斜面になっており、低木が点在している。反対側には岩の多い場所がある。騎馬が全速力で走り回るには少し狭く、正面から開けた場所で十数騎を相手にするよりはましだった。
「マツグ」
「何だ」
「私も何もできないわけではありません」
「戦えるのか?」
「剣は使えません。でも、ニンフですから」
ガレネは胸元へ手を当てた。
「歌えます。それと踊りも」
真継は少し考えた。
「今からか?」
「その顔は何です?」
「戦の前に歌って踊るのかと思ってな」
「意味もなく踊るわけではありません。私たちの歌や舞には、人の心と身体に働きかける力があります。神々から直接授かった恩寵とは少し違いますが、似たものだと思ってください」
「何が起きる」
「やってみたほうが早いです」
ガレネは一歩離れ、静かに息を吸った。
やがて歌声が流れ始める。真継には知らない歌だった。言葉そのものは理解できる。それなのに意味より先に旋律が身体へ染み込んでくるような奇妙な感覚があった。ガレネは歌に合わせて腕を伸ばし、足を運び、海面を渡る風のように滑らかに身体を動かしていく。
真継はほどなく、自分の身体に変化が起きていることに気づいた。呼吸が深い。視界が澄み、身体の隅々まで力が行き渡っているように感じる。疲れていたわけではない。それでも、それまで身体のどこかに残っていた僅かな重さが消えていた。
真継は拳を握った。
「便利だな」
歌が一瞬乱れた。ガレネが睨んでいる。
「何だ」
「もう少し言い方はないんですか」
「役に立つ」
「悪化しました」
「褒めているんだが」
「分かっています。分かっていますけど……もういいです。行ってください」
「ああ」
真継は曲刀を抜いた。
♢
最初に真継に気づいたのは、隊列の後方にいた騎手だった。
「止まれ!」
声が飛んだが、真継は止まらなかった。低木の間を抜け、街道へ向かって走る。奴隷狩りたちは最初、一人の男がこちらへ向かって走ってくる理由を理解できていないようだった。
「何者だ!」
真継は答えなかった。
赤い布の男だけを見ていた。
指揮官らしい男も真継に気づき、何かを叫ぶ。すぐに二騎が前へ出て弓を構えた。真継は走りながら進路を変え、最初の矢をかわした。二本目が肩を掠める。三本目は地面へ突き刺さった。
騎手が弓を捨て、槍へ持ち替える。馬上から突き出された穂先を身体を沈めてかわし、真継はすれ違いざまに騎手の脚を斬った。男が体勢を崩して地面へ落ちる。もう一騎が横から迫ってきた。
「馬から降りたほうがいい」
「何だと!」
「落ちると痛いぞ」
真継は槍をかわして騎手の腕を斬り、返す刃で腿を深く裂いた。男が鞍から転げ落ちる。周囲が一気に騒がしくなった。
騎馬の利点は速さにある。しかし狭い場所で味方同士が密集すれば、その速さが邪魔になる。まして彼らは縄で繋いだ奴隷まで連れている。思うように動けない。
真継は赤い布の男から目を離さなかった。
「こいつを囲め!」
男が叫ぶ。
やはり頭だった。
「分かりやすくて助かる」
左右から二騎が迫る。真継は片方の槍を曲刀で払い、馬の横を抜けると同時に騎手の脇腹に刃を入れた。もう一人が振り向きざまに剣を振るい、刃が真継の左腕を浅く裂く。痛みとともに血が流れたが、腕は動く。真継は構わず地面に落ちていた槍を拾った。
赤い布の男との間にはまだ距離がある。
真継は槍を投げた。
狙ったのは男ではなく、その馬だった。槍を受けた馬が大きくよろめき、赤い布の男が地面へ投げ出された。
真継は走った。
「頭を守れ!」
誰かが叫んだ。
遅い。
男が起き上がるより先に、真継が辿り着いた。
「待て!」
真継は待たなかった。
振り下ろした曲刀が首へ入り、赤い布の男が倒れる。真継が刃を引き抜くと、一瞬だけ周囲の動きが止まった。
「次は誰だ」
返事はなかった。
だが、そこから奴隷狩りたちの動きは明らかに変わった。誰が指示を出すのか分からず、騎手たちが互いを見る。逃げようとする者、戦おうとする者、奴隷を盾にしようとする者が同時に動き始める。
統制が消えた。
真継にはそれで十分だった。
遠くからガレネの歌が聞こえている。耳に届く旋律に合わせるように呼吸が整い、身体が普段より素直に動く。真継は一人を斬り、すぐ次へ向かった。馬首を返して逃げようとした騎手には落ちていた槍を投げつけ、背中から落馬させる。
「こいつ、人じゃないぞ!」
「人だ」
真継は答えた。
「たぶんな」
「何なんだ、お前は!」
「真継だ」
説明になっていなかったが、相手もそれ以上聞かなかった。
頭を失った奴隷狩りたちは、もはや一つの集団として動けていなかった。数人が街道の先へ逃げ出し、残った者も自分が生き延びることしか考えていない。
そのうち一人が、縄で繋がれた女を掴んで首に刃を当てた。
「来るな! 来たらこいつを殺す!」
真継は足を止めた。
「武器を捨てろ!」
言われたとおり曲刀を地面へ落とす。男の表情から僅かに緊張が抜けた。
真継は足元の槍を拾い、そのまま投げた。
「卑――」
言い終えるより早く槍が胸に突き刺さり、男は仰向けに倒れた。
「武器は捨てたぞ」
助かった女が呆然と真継を見ている。
「怪我は?」
「……ありません」
「なら少し待て」
戦いは長く続かなかった。指揮官を最初に失い、その後も次々に仲間を倒された奴隷狩りに戦意は残っていなかった。何人かは馬を捨てて斜面へ逃げ込み、残った騎手も街道の向こうへ散っていった。
真継は追わなかった。
静かになった街道には、しばらくガレネの歌だけが流れていた。
♢
「終わりました?」
歌と舞をやめたガレネが近づいてくる。
「ああ」
真継は曲刀についた血を払い、刃を確認した。幸い大きな欠けはない。
「怪我は?」
「少し斬られたくらいだ」
「見せてください」
「平気だ」
「あなたの平気は信用できません」
ガレネが真継の腕を取る。肩には矢が掠めた傷があり、腕にも浅い切り傷があった。血は出ているが、動かせないほどではない。
「本当にこれだけですか?」
「今回はな」
「今回は?」
「前はもっと酷かった」
「聞かないほうがよさそうですね」
「そうか?」
「あなたが平然と答えそうなので」
ガレネは持っていた布で傷を押さえた。
真継は抵抗しなかった。
この程度なら放っておいても普通に治る。ただし、真継の身体が生きている間に持つ治癒力は、普通の人間と大して変わらない。傷を受ければ血は流れるし、骨が折れれば繋がるまで時間がかかる。
それが面倒なら、一度死ねばいい。
死んだ肉体は、損傷の程度に応じた時間を経て元の状態へ戻る。腕がなくなろうが腹を裂かれようが、死んでしまえば最後には完全な身体へ戻れる。真継自身はそれを長い間に何度も経験していた。
だが、肩を少し切った程度でわざわざ死ぬ必要もない。
「何を考えているんです?」
「いや。この程度なら死ぬほどでもないと思ってな」
ガレネの手が止まった。
「……死に対する意識が軽すぎます」
「そうなのか」
「そうです」
真継は捕らえられていた人々のところへ向かった。十数人ほどいる。皆疲れ切っており、縄で手首を擦りむいている者もいたが、歩けないほどの怪我をしている者はいないようだった。
真継は落ちていた短剣を拾い、縄を切った。
「もう好きにしていいぞ」
誰もすぐには動かなかった。
「聞こえなかったか?」
「……助けてくれたのですか?」
一人の男が尋ねた。
「結果としてはそうなるな」
「なぜ?」
真継は少し考えた。
「俺も少し前に、奴隷狩りに捕まったからだ」
それだけ言うと立ち上がり、今度は残された馬へ向かった。
「一、二、三……」
「マツグ」
ガレネが呼んだ。
「何だ」
「今、助けた人たちと話していたところですよね」
「終わったぞ」
「だからってすぐ馬を数えます?」
「逃げた連中が何頭か持っていったからな。残った数を知りたい」
「先にすることがあるでしょう」
「縄は切った」
「そういうところですよ」
ガレネはため息をついたものの、自分も戦利品を確認し始めた。残った馬のほか、槍、弓、矢、短剣、革の防具、食料、水袋、天幕、それに貨幣の入った袋もある。
「金だ」
真継が袋を拾った。
「貸してください」
「なぜだ」
「数えます」
「使うときでいいだろう」
「よくありません」
「面倒だぞ」
「あなたがやるわけではありません」
ガレネは真継から袋を取り上げた。
「これから戦利品と使ったお金は私が記録します」
「頼む」
「……何だか、うまく押しつけられた気がします」
「得意な者がやればいい」
「あなたは何をするんです?」
「戦う」
「それだけですか?」
「荷物も運べるぞ」
「もう少しありません?」
真継は考えたが、特に思いつかなかった。
ひとまず戦利品の確認をガレネに任せ、解放した者たちへ帰る場所があるか尋ねる。反応は様々だった。近くの村から攫われ、数日歩けば故郷へ戻れる者もいる。一方で村そのものを襲われ、家を焼かれた者もいた。家族を殺され、帰ったところで何も残っていない者もいる。
一人の若い男が俯いた。
「帰っても……何もありません」
別の女も頷く。
「私もです」
真継は少し考えた。
ミュレアには人手が足りない。漁に出る者も、畑を耕す者も、家を直す者も必要だった。海賊との戦いで分かったが、村を守るためにも人は多いほうがいい。
「ならミュレアへ来るか」
貨幣を数えていたガレネが顔を上げた。
「マツグ」
「何だ」
「村長に聞きました?」
「まだだ」
「でしょうね」
「人が増えるのは駄目なのか?」
「そういうことは、普通は村長に相談してから決めます」
「帰ってから聞けばいい」
「私のときもそうだったんでしょうね」
「ああ」
「即答しないでください」
結局、帰る場所のない者のうち何人かがミュレアまで同行することになった。故郷へ戻れる者には食料と水を分け、必要な者には馬も渡した。
真継は残った馬の一頭に近づき、手綱を取った。
「乗れるんですか?」
ガレネが尋ねた。
「昔はよく乗った」
「昔って、いつです?」
「かなり昔だ」
真継は馬の横へ立ち、いつもの癖で足を掛ける場所を探しかけてから、そんなものがないことに気づいた。そういえば、この世界へ来てから鐙を見ていない。
「……そうだったな」
「何がです?」
「何でもない」
真継はそのまま馬の背に跨がった。
身体は覚えていた。何億年という時間が過ぎても、馬上で重心を取る感覚まで完全に消えたわけではないらしい。手綱を操ると、馬は多少警戒しながらも歩き始めた。
ガレネが感心したように見上げる。
「本当に何でもできますね」
「何でもではない」
「できないこともあるんですか?」
「金勘定」
「それは今日よく分かりました」
真継は馬上から街道を振り返った。奴隷狩りの死体が転がり、その向こうには逃げた騎手たちが消えていった道が続いている。また会うこともあるだろう。
別に構わなかった。
奴隷狩りを襲えば、捕まっている者を助けられる。馬も手に入る。武器も食料も手に入る。場合によっては金まである。
悪くない。
「マツグ」
「何だ」
「今、ろくでもないことを考えていませんでした?」
「奴隷狩りを見つけたら、またやろうと思っていた」
「やっぱり」
「何か問題があるか?」
ガレネは少し考え、それから肩をすくめた。
「少なくとも、助かる人はいるでしょうね」
「ならいいだろう」
「あなたの場合、それだけが目的ではありませんよね」
真継は答えず、手に入れた馬の首を軽く叩いた。
ミュレアへ帰れば、まず村長に人が増えたことを説明しなければならない。そのうえ、アテライへ魚を売りに行ったはずなのに、帰ってきたら馬と武器と見知らぬ人々、それにニンフまで増えている。
考えるだけで面倒だった。
「ガレネ」
「何です?」
「村長への説明は任せた」
「嫌です」
即答だった。