あれは腹痛の薬ではなかったのかと不死人は言う 作:カズヤミサワP
大協定第三項に定められた百年の戦の禁が解けた日の朝、真継は船の底で櫂を握っていた。
昨日までと何かが劇的に変わったわけではない。太陽はいつもと同じように東から昇り、港には潮の匂いが漂っている。神々が空から降りてきて戦の始まりを告げることもなければ、雷鳴が轟くこともなかった。
ただ、人間だけが明らかに違っていた。
夜明け前から港は騒がしく、兵士たちが次々と船へ乗り込んでいる。槍と盾、弓矢、食料、水、それに予備の武器が運び込まれ、船上では指揮官たちが怒鳴り声を上げていた。岸にはアレスの神官たちが並び、出征する兵士たちへ祝福を与えている。
真継はそれらを、船腹に設けられた狭い隙間から眺めていた。
結局、荷運びより楽な仕事ではなかった。漕ぎ手に選ばれた真継は、その日のうちに港近くの小屋へ移され、そこで他の奴隷たちと一緒に船の漕ぎ方を教えられた。教えるといっても丁寧なものではない。櫂を握らされ、号令に合わせて動かし、遅れれば棒で叩かれる。それだけだった。
真継は船を漕いだ経験がある。ただし、最後に櫂を握ったのがいつだったのかは思い出せない。少なくとも千年や二千年という話ではなかった。それでも身体は意外なほど動きを覚えており、数度繰り返せば周囲に合わせられるようになった。
その結果、監督役から覚えが早いと判断され、より重い櫂を担当させられた。
やはり手を抜くべきだった、と真継は思った。
船内は朝から蒸し暑かった。人が隙間なく並び、風もろくに通らない。櫂を動かし始めればさらに暑くなることは分かりきっていたので、真継はラケオンへ来たときに与えられた粗末な服を脱いだ。
上半身を裸にしてもまだ暑い。結局、腰に巻いた布だけを残し、脱いだ服は足元へ置いた。周囲を見れば、同じような格好をしている漕ぎ手も珍しくなかった。
「足を出せ」
監督役に言われ、真継は素直に従った。足首に金属製の輪が取りつけられ、短い鎖で足元の太い木材に固定される。
「これは必要なのか?」
「奴隷が海へ逃げるからな」
「泳いだほうが死ぬと思うが」
「それでも逃げる奴がいる」
「そうか」
金属の輪は簡単には外れそうにない。別に逃げるつもりもなかったので、真継はそのとき特に気にしなかった。
やがて船が岸を離れた。
狭い船内に号令が響き、何十本もの櫂が一斉に水を掻く。真継も周囲に合わせて櫂を引いた。船体が前へ進み、船腹の隙間から見えていた港がゆっくりと遠ざかっていく。
「アレスに栄光を!」
甲板から兵士たちの歓声が聞こえた。別の船からも同じ声が上がり、港のあちこちから重なって聞こえてくる。
百年間、神々によって国同士の大きな戦は禁じられていた。その禁が今日なくなった。そして人間は、朝から船を出している。
「本当に待っていたんだな」
真継が呟くと、隣の漕ぎ手が怪訝そうな顔をした。
「何がだ」
「戦争だ」
「喋るな!」
監督役の棒が飛んできた。真継は叩かれた肩を軽く回し、それ以上は黙って櫂を漕ぐことにした。
♢
沖へ出てから何時間が経ったのか、真継には分からなかった。
漕いでは休み、風が使えるときには帆を張り、再び漕ぐ。船内は蒸し暑く、汗と潮と人間の臭いが混ざっていた。水は与えられたが量は少なく、食事も硬いパンと干した果物だけだった。
それでも宇宙よりはましだった。
比較の対象が悪すぎることは、真継自身も分かっている。
昼を過ぎたころから、船上の様子が変わった。走り回る足音が増え、号令が頻繁に飛ぶようになる。真継たち漕ぎ手にも速度を上げるよう命令が下り、休憩がなくなった。
「来たぞ!」
甲板から声がした。
何が来たのかは見えないが、考える必要もなかった。
「敵か」
真継が呟いた。今度は監督役も咎めず、船の壁を棒で叩きながら漕ぎ手たちを急かした。
「漕げ! もっと速く!」
漕ぎ手たちが一斉に力を込め、真継も櫂を引いた。船の速度が上がり、船腹の小さな隙間から海面が流れていくのが見える。すぐ近くでは別のラケオン船が同じように何十本もの櫂を動かし、甲板に槍と盾を持った兵士たちを並べて進んでいた。
遠くから角笛が聞こえ、それに別の角笛が応える。
真継は少し懐かしくなった。
戦争の始まり方というものは、長い年月を経てもそれほど変わらないらしい。
やがて矢が飛んできた。最初の一本が甲板へ刺さったらしく、頭上で誰かが叫ぶ。続いて雨のような音が船体を叩き始め、盾を構えろという命令と兵士たちの怒号が重なった。
漕ぎ手には何もできない。ただ漕ぐだけだった。
真継は櫂を動かしながら、音だけで外の状況を想像していた。ラケオンの船は敵へ向かっている。おそらく船首をぶつけるか、横につけて兵士を乗り込ませるつもりなのだろう。
その予想は当たった。
「衝撃に備えろ!」
誰かが叫んだ直後、船全体が大きく揺れた。漕ぎ手の何人かが櫂から手を離し、真継も身体を前へ投げ出されて足首の鎖に引き止められる。
頭上から凄まじい声が上がった。ラケオン兵が叫び、別の男たちがそれに応える。木と木がぶつかる音に続いて、武器同士が打ち合わされる音が響き始めた。
白兵戦になったらしい。
「随分楽しそうだな」
真継が上を見ながら言うと、隣の男が呆れたようにこちらを見た。
「頭がおかしいのか、お前は」
「よく言われる」
「漕げ!」
また監督役に怒鳴られたが、すぐに漕ぐ必要はなくなった。船が敵船と接触したままになったらしく、櫂を動かせない。漕ぎ手たちはその場で待たされることになった。
上では戦闘が続いていた。やがて盾が一つ船内へ落ちてきて、続いて槍まで転がってくる。さらに男が一人、甲板から仰向けに落ちてきた。
男はしばらく呻いていたが、すぐに起き上がった。装備がラケオン兵とは違うところを見ると、アテライ兵なのだろう。
男も真継たちを見た。
一瞬だけ目が合った。
その直後、上からラケオン兵が飛び降りてきた。二人は真継たちの目の前で戦い始め、奴隷たちは巻き込まれまいと必死に身体を引いた。
「上でやってくれよ」
真継も少しだけ櫂を動かして場所を空けたが、当然聞いてもらえなかった。
やがてラケオン兵の槍がアテライ兵の胸を貫き、男が倒れた。勝ったラケオン兵はそのまま甲板へ戻っていく。
真継は倒れた男を見た。
百年の停戦が終わってから、まだ半日ほどしか経っていない。それでも、もう人が死んでいる。
早いものだと思った。
♢
戦いはラケオン側の思いどおりには進んでいないようだった。
真継にも次第にそれが分かってきた。船が何度も急旋回し、そのたびに漕ぎ手へ違う号令が飛ぶ。右だけ漕げ、左を止めろ、逆に漕げと命令が次々に変わり、ときには指揮する者同士で違うことを叫んでいる。他の船と接触することまであり、そのたびに甲板から怒鳴り声が聞こえた。
「下手だな」
真継が呟くと、隣の男が聞き返した。
「何がだ」
「船の扱いだ」
「分かるのか?」
「少しな」
アテライが海に強いというダモンの話は本当だったらしい。
ラケオン兵は弱くない。敵船へ乗り込んでしまえば、むしろ強いのだろう。だが、そこまで持っていくのに苦労している。
船も兵器だ。どれほど強い兵士を乗せても、扱えなければ意味がない。
真継がそんなことを考えていると、再び大きな衝撃が走った。
今度は先ほどとは違った。船体の横から何かが突き刺さったような衝撃があり、木材が砕ける音が響く。
「水だ!」
漕ぎ手の一人が叫んだ。
真継が足元を見ると、船底へ海水が流れ込んでいた。最初は細い流れだったが、すぐに量が増えていく。敵船に船腹を破られたらしい。
「塞げ!」
監督役が叫び、船員の何人かが布や木材を持って走ったが、浸水は止まらなかった。その間にも矢が飛んできて、船は少しずつ傾き始める。
漕ぎ手たちが騒ぎ始めた。
「鎖を外せ!」
「沈むぞ!」
「助けてくれ!」
監督役は答えず、そのまま甲板へ上がっていった。真継はその背中を見送った。
「逃げたな」
「俺たちを置いていく気だ!」
隣の男が必死に鎖を引っ張る。他の漕ぎ手たちも同じだった。足首を固定されている以上、船が沈めば一緒に海底まで行くしかない。
真継は足元の鎖を持ち上げた。頑丈だった。素手ではどうにもならない。何か使えるものはないかと周囲を見回していると、頭上で大きな音がして、甲板から一本の剣が落ちてきた。
真継のすぐ近くへ転がる。
持ち主は見えなかった。
真継は剣を拾った。
「おい!」
隣の男が声を上げた。
「鎖を切れ!」
「ああ」
真継は刃を鎖へ当てて何度か叩いた。傷はつくが、切れる様子はない。このまま続ければ、鎖より先に剣のほうが駄目になりそうだった。
「無理だな」
「諦めるな!」
「諦めてはいない」
真継は鎖から視線を外した。
金属は硬い上、足元の木材も太い。ならば、もっと柔らかいものを切ればいい。
真継は自分の足を見た。これなら切れると剣を握り直す。
「何をしている?」
隣の男が聞いた。
「鎖を外す」
「鎖はそっちだぞ」
「知っている」
真継が剣を振り上げたところで、男もようやく何をしようとしているのか理解したらしい。
「待て!」
真継は待たなかった。
何度経験しても、痛いものは痛い。だからといって、船が沈むまで待つ理由にもならなかった。真継は歯を食いしばり、鎖につながれた側の脚へ剣を振り下ろした。一度では終わらなかった。激痛で視界が白くなる。それでも真継はもう一度剣を振り、さらにもう一度振り下ろした。
やがて身体が自由になった。真継は船底へ倒れ込んだ。切り離された足だけが鎖につながっている。
「お前……何をしてるんだ……」
隣の男が青ざめていた。
「見れば分かるだろう」
「死ぬぞ!」
「そうだな」
この出血では長く持たない。
だが、それでは都合が悪かった。このまま生きている限り、失った足は戻らない。放っておいてもいずれ失血で死ぬだろうが、それを待つだけ時間の無駄だった。
真継は剣を握り直した。
「何を――」
「少し寝る」
それだけ言って、真継は自らの首に剣を添えた。
♢
暗闇は、真継にとって珍しいものではなかった。
死んでいる間に何かを見るわけではない。夢もなく、時間の感覚もない。ただ意識が途切れ、次に戻ったときには世界が続いている。
真継は息を吸った。
潮と血の臭いが肺へ入り、意識が急速にはっきりしていく。目を開けると、先ほどより船が大きく傾いていた。
身体を起こして足を見る。ちゃんとある。指を動かしてみると、問題なく動いた。
「思ったよりかかったな」
首の傷だけなら、もう少し早かっただろう。今回は失った足まで作り直す必要があった。そのぶん蘇るまでに時間がかかったらしい。
真継は立ち上がった。
周囲は先ほどより静かになっていた。隣にいた奴隷を含め、漕ぎ手たちはまだ鎖につながれている。何人かはすでに動かなくなっており、船内へ流れ込んだ水は腰近くまで達していた。
真継は少し離れた場所に落ちていた剣を拾った。
鎖を切ってやる時間はない。そもそも金属を切れないことは先ほど確認したばかりだった。
「悪いな」
誰に言ったのか、自分でも分からなかった。
真継は甲板へ向かった。
♢
外へ出ると、そこは戦場だった。
海の上には何十隻もの船が浮かび、その間を矢が飛び交っている。燃えている船もあれば、すでに半分ほど沈んでいる船もあった。海面には折れた櫂や盾、木片が漂い、その間には人間の姿まで見える。
真継が乗っていた船にも、まだラケオン兵とアテライ兵が残っていた。互いに船上で槍と盾をぶつけ合い、敵を海へ落とそうとしている。
真継はしばらくその光景を眺めた。
自分が武器を持って戦場に立つのは、何億年ぶりだろう。最後に戦った相手が何だったのかさえ、すぐには思い出せなかった。
「奴隷!」
声がした。振り返ると、ラケオン兵がこちらを見ていた。男は真継の持っている剣に気づくと、すぐに槍を向けた。
「武器を捨てろ!」
「断る」
「捨てろ!」
「今拾ったばかりなんでな」
男が槍を突き出してきた。真継は身体を横へずらして穂先を避け、そのまま柄を掴んで引いた。久しぶりの戦闘だったが、身体は動きを忘れていない。体勢を崩した男へ一歩踏み込み、剣を振る。ラケオン兵はその場に倒れた。
「思ったより動けるな」
真継は軽く肩を回した。何億年もまともに戦っていなかった割には、身体は問題なく動いている。
「貴様!」
今度は別の声がした。振り返ると、盾を持った男がこちらへ走ってくる。先ほどの男とは装備が違う。おそらくアテライ兵だ。
「待て。俺は――」
返事の代わりに槍の穂先が飛び込んできた。真継は首を傾けてかわす。
「話を聞けよ」
聞いてもらえなかった。アテライ兵は盾を前へ出したまま突っ込んできたので、真継はそれをかわし、横から剣を振るった。男が倒れ、首が落ちる。
真継は先ほど倒したラケオン兵と、今倒したアテライ兵を交互に見た。少し離れた場所では、両軍の兵士がこちらを警戒している。
どうやら両方から敵だと思われたらしい。
「まあいいか」
どちらの味方でもない。向こうから襲ってくるのなら、真継にとってはどちらでも同じだった。
最初に来たのはラケオン兵だった。突き出された槍を剣で逸らして懐へ入り込み、盾で肩を殴られても構わず相手の腕を掴む。男は真継が怯んで距離を取ると思っていたらしく、わずかに動きが止まった。その隙に剣で腕を切り落とす。
次はアテライ兵だった。剣を受けて腹を蹴り、後ろへ下がらせる。その直後、横から別の槍が飛んできた。完全には避けきれず、穂先が肩へ深く入った。
「痛えな」
真継が顔をしかめると、槍を持っていた男が驚いたように目を見開いた。
普通なら退くところだった。だが、真継は肩に槍が刺さったまま前へ進んだ。男はまさか自分から間合いを詰めてくるとは思っていなかったらしく、槍から手を離すことさえ忘れている。
「な――」
真継はそのまま剣を横に振った。アテライ兵の首が船上に落ちる。
男が倒れると、肩から槍を引き抜いた。傷口から血が流れたが、この程度なら放っておいても死にはしない。真継は手にした槍を何度か動かして具合を確かめると、代わりに剣を捨てた。
「こっちのほうが使いやすいな」
真継は元々、刀だけを使っていたわけではない。槍も弓も使った。銃も使ったし、その後の時代には名前を説明するだけでも面倒な武器をいくつも扱った。
それでも、槍という武器は嫌いではなかった。間合いが長く、扱い方も単純で、突けば人は死ぬ。武器として非常に分かりやすい。
真継は久しぶりに槍を構えた。
「来い」
誰に言ったのかは分からない。
両方が来た。
真継は思わず笑った。
♢
それからどれほど戦ったのか、真継にも分からなかった。長くはない。せいぜい数分程度だったはずだ。それでも、何億年もまともな戦闘をしていなかった真継には十分だった。
久しぶりに自分の意思で身体を動かし、武器を振った。人を殺すこと自体が楽しいわけではない。それでも、戦いの最中に自分の判断で次の行動を選べることには、奇妙な喜びがあった。
何億年もの間、真継には何も選べなかった。宇宙を漂い、死に、蘇り、また死ぬ。進む方向さえ自分では決められなかった。それに比べれば、向かってくる槍を避けるのか、受けるのか、相手より先に踏み込むのか。その程度のことを自分で決められるだけでも十分だった。
「囲め!」
誰かが叫んだ。
真継は周囲を見た。ラケオン兵が二人、アテライ兵が三人。奇妙なことに、つい先ほどまで殺し合っていた両者が、今だけは揃って真継を見ている。
「お前ら、敵同士だろ」
誰も答えなかった。
一人が斬りかかってきたので、真継は槍の柄で受けた。そのまま押し返そうとしたところへ別の男が横から槍を突き出し、穂先が腹へ入った。
「ぐっ」
痛いものは痛い。真継は顔をしかめながらも、槍の柄を振って男の顔を殴った。
腹へ入った槍を抜こうとした、そのときだった。船が大きく傾き、甲板にいた全員が体勢を崩した。真継も船縁へ手をつき、そこから海を覗く。水面が先ほどより明らかに近い。船底へ流れ込んでいた水が、ついに船を支えられないところまで達したのだろう。
「沈むぞ!」
誰かが叫んだ。
それまで真継を囲んでいた兵士たちが一斉に離れていった。戦っている場合ではなくなったらしい。アテライ兵は接舷している自分たちの船へ戻ろうとし、ラケオン兵は海へ飛び込む準備を始めている。
真継も腹に刺さった槍を抜いた。傷口から血が流れたが、この程度ならすぐ死ぬことはない。海へ飛び込むなら、むしろ腹に穴が空いた程度は大した問題ではなかった。
最後に泳いだのはいつだっただろうか。思い出せない。
「まあ、何とかなるか」
船体がさらに傾いた。真継は手にしていた槍を捨て、海へ飛び込もうと船縁へ向かう。
「おい!」
背後から声をかけられた。
振り返ると、先ほど戦っていたアテライ兵の一人がいた。もう真継へ襲いかかるつもりはないらしく、槍を構えてはいない。ただ、理解できないものを見るような顔をしている。
「貴様、何者だ!」
真継は少し考えた。
日本人。兵。不死人。そして今の身分でいえば奴隷でもある。
どれを答えるべきなのか分からなかった。
「俺の名前は真継だ」
「そういう意味ではない!」
「では、聞き方が悪い」
船が大きく軋み、甲板がさらに傾いた。置かれていた盾や槍が海へ滑り落ちていく。さすがに話を続けている場合ではなさそうだった。
真継はもう一度海を見た。
「では、達者でな」
「待て!」
待つ理由はなかった。
真継は船縁を蹴り、海へ身を投げた。身体が宙へ出ると、眼下には青い海が広がっている。
何億年もの間、真継は自分の行き先を選ぶことができなかった。星の重力に捕まり、この世界へ落ちてからも、騎馬の民に捕まり、別の者たちに奪われ、ラケオンへ運ばれ、奴隷として働かされ、最後には船へ乗せられた。
ずっと誰かに運ばれてきた。だから海へ落ちながら、真継は久しぶりに思った。
次にどこへ行くのかは、自分で決めよう。
直後、身体が海面へ叩きつけられた。