ざまぁ終了後の尻拭いを押し付けられて笑える 作:しいつ
国王陛下と騎士さんに、ボクが逃げ出さないように睨まれ続けること(錯覚)だいたい五分ほど。
ついに死の時がやってきちまったぜ。
「どうぞお入りください、御使い様。」
実に今さらな感想だけど、陛下が様付けするってことはほんとに神様の使いなんだろうなぁ…。
まぁボクからしたら、根拠もなにもない疑いをかけてきて、ボクを殺そうとしてくる悪神の使徒だけどね。
「えぇ、ありがとうございます…ルドシア王。」
太陽を思わせるような、燦々と輝きを放っている黄金の髪。
獅子のごとき、力強い紅蓮の双眸。
絶世の美女と言っても過言じゃない均衡の取れた風貌。
部屋へと入ってきたそんな特徴の女性を見て────これ、ハニートラップ説とかない?
ほら、アレだよアレ。
国の上層部が全員彼女の虜になっちゃって、操り人形と化してるとかそういう感じ。
というか頼むからそうであってほしい。
これも、ボクに対する盛大なドッキリってことで良くないかな。
そんなことを考えていたら、なんか御使いさんがボクに向かってひれ伏していた。
んー…なんでぇ?
そんな彼女の姿を見た陛下は驚愕したような目をこちらに向けており、騎士さんたちは御使いさんと一緒にボクに向かってひれ伏す。
んー…なんでぇ?
「この御方…ティフィシア様はすべての生命の創造主である母たる大神の寵愛を受けておりますッ!!ティフィシア様がいれば、厄災はいとも簡単に防げるかと…。」
顔を赤らめさせて、興奮したように御使いさんはそう告げる。
えぇ、怖ぁ。
神様の使いって聞いてまともな人を想像してたんだけど…こんな変人なのかぁ。
「おぉ、それはまことか!?ティフィシア殿がいれば、この国に住む者たちの未来は守られるのだな!?」
ボク、厄災を防ぐなんて一言も言ってないんですけどぉ。
というかそんな期待に満ちた眼でボクを見ないで。
それを向けられると、断りたいものも断れなくなるからさぁ!!
「良かった、良かった。あの時はどうなるかと思ったが、神の愛し子が見つかってくれてほんとうに良かった…。」
すごく嬉しそうな顔をして喜びを噛みしめている陛下。
………はぁ、わかったよ。
やればいいんでしょ?
やればさぁ!!
そんなに嬉しそうにされたら、断る気がなくなっちゃうじゃん。
「厄災を退けるというその大役。ボクなんかでよろしければ、やらせていただきます。」
「自分なんかと言うんじゃない。キミのように若い子どもはもっと自信を持ってよいのじゃぞ。少し不相応なくらいがちょうどいいぞ。」
陛下、良い人すぎませんかねぇ?
こんなド田舎から来た子どもにもこんな優しくしてくれるなんて……さっきまでの言葉は撤回してあげることにするよ。
自分で言うようなことじゃないけど、手のひらクルックルだねぇ。
今になって思い出したんだけど、生命の創造主な神様を名乗ってる女性なら、時々夢の中に出てくるよ?たしか名前は─────
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「ほう?王国はなんとか神の愛し子を見つけ出したのか。あのようなことがあったゆえに、反乱などが起きてもおかしくないとは思ったが…思ったよりも地盤は固まっているらしい。」
「ですね。まぁそうだとして、今ならある程度は柔らかくなっているでしょう。瓦解させるのも簡単なことだと思いますが…どうします?」
「それはせぬ。もしそうするのなら、厄災とやらが訪れた後だ。」
光の差し込まぬ部屋の中でそんな会話を繰り広げているのは、主従関係のあるであろう二人の少年。
二人の会話の話題になっているのは、いろいろと問題が起きていると報告を受けていた隣国…ルドゥーテ王国の現状。
「して、その愛し子はどの神から愛されていたのだ?」
主である少年が膝をついて、平伏の態度を見せている従者の少年に問う。
彼は少しばかり歯切れの悪そうな態度を取ってから、おそるおそるとその神の名を口にした。
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「ふぅん…あのこそ泥女の代わりは見つかったのね。」
「そうみたいだね。見た目は十歳くらいの弱々しい少女らしいけど、いったいどんな子なのか…。」
自身の家が抱えている暗部からの報告を聞きながら、仲睦まじい様子でそんな会話をする一組の男女。
つい最近になって関わり始めたというのに、彼らの仲は新婚夫婦のように熱々だった。
二人に報告をしている暗部統括者たる老紳士が今にも砂糖を吐き出したくなるほどに。
「それで、その子はどの神様から愛されていたんだい?」
話を聞いていれば考えるのが当たり前であろう疑問。
それを問われた老紳士はほんの一瞬、ブルリと身体を小さく震わせる。
そして、ゆっくりとその名を口にするのであった。