神次次元ゲイム ネプテューヌ Re:birth3 “鋼を纏いし者”   作:黒金の孤狼

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8話 旅立ち

「旅に出たい?…どうしたの急に」

 

翌朝、思い切って切り出してみるとブランは困惑した表情をする。まぁ…いきなり言われちゃそんな顔にもなるよなι

 

「俺さ、思ったんだ…このままじゃ誰も守れないと。実際…ミレイを2度も危険な目に遭わせてしまった…」

 

「そんな…あれは貴方の所為じゃ…」

 

「いや、少なからず俺にも原因はあった…心のどこかで慢心していたのかもしれない…この力があれば何が起きてもなんとかなるって」

 

言い換えれば過信していたともいえる。昨日の戦いでそれを痛感した

 

「でも実際はどうだ?さらに強大な力に押し潰されそうになった。手も足も出なかった…このままじゃ俺はブランを守ることはおろか自分の命すら無くしかねない…」

「キョウスケ…」

 

「だから俺は…自分を鍛え直すため、この力を使いこなす為に旅に出たい」

 

「…そこまで決意が固いのね……良いわ、許可するわ…」

 

「ブラン…ごめん、そしてありがとう」

 

「気にしないで…外の世界を見るのも良い勉強になるわ……但し無茶はしない事、それと必ず帰ってきて…それだけは守って頂戴」

 

そう言って俺を真っ直ぐ見つめる。その眼差しは、心から俺を心配しているのが分かるくらい澄んでいた

 

「あぁ…分かった。約束する」

 

「それで…もう出発するの?」

 

「いや、色々準備もしなきゃならないし…そうだな、明日にでも出発するよ」

「そう…まだ1日居るのね…良かった」

 

何だか安堵したようにブランは呟いた…何が良かったんだ?

 

「ブラン、どうかした?」

 

「いいえ、何でもないわ…ねぇキョウスケ」

 

「ん?何」

 

「その…準備、手伝っても良いかしら?」

 

「………ゑ?」

 

 

 

 

 

 

 

何故こうなった…

 

「どうしたの?キョウスケ」

 

旅に必要な物を買いに来たつもりなのだが女神様が一緒に行くと言い付いて来た……本当、なにがどうしてこうなった、誰か説明してくれ…

 

「いや…買い物に出るのに女神様が同伴している件について考えてた」

「あら、道案内は必要でしょ?」

 

「まぁ…それはそうだが、女神様自ら買って出る事じゃ無いでしょ。ミレイやフィナンシェさんでも…」

 

「何?私じゃ不満だってのか…?」

 

途端に不機嫌オーラ全開で俺を睨むブラン。

 

「い、いえ!滅相も御座いません!とても光栄です!」

 

「ふふ…素直でよろしい」

 

慌てて取り繕うと途端にブランの機嫌が直る。まぁ…光栄だって言うのは本心だしな

 

「あ、ブラン様だー!」

 

「本当だ、ブラン様ー!」

 

その辺で遊んでいた子供達がブランの姿を見つけるやいなや、近くに駆け寄ってくる

「ブラン様、何してるのー?」

 

「一緒に遊ぼ、ブラン様!」

 

「え…あ、ちょっと…」

 

あっという間にブランの周りには沢山の子供達が集まる。対応の仕方が分からず困惑する…なんていうか

 

「凄い人気だなぁ…」

 

「あれ、お兄ちゃん誰?」

 

1人の女の子が俺の存在に気付き、首を傾げる

 

「ん?あぁ、俺はな……」

 

「分かったー!お兄ちゃん、ブラン様の彼氏でしょ!」

 

「「ぶふー!?」」

 

年長らしき女の子が爆弾を投下、俺たちは同時に噴いた

 

「なな、何を言ってるの彼はそんなんじゃ無いわ!///」

「そ、そうだぞ!子供がマセたこと言うんじゃありません!///」

 

何を言い出すんだこの子は!びっくりしたじゃないか…ι

 

「違うの?つまんなーい」

 

いや、つまんないって…あんたねぇι

 

「全く…彼は私の部下よ」

 

「そういう事、名前は桐生 恭介っていうんだ」

 

「あ、もしかしてロボットに変身して戦うルウィーの守護者!?」

 

「お、おう」

 

俺の名前を聞いた途端、先程の男の子が目を輝かせ詰め寄る。俺ってそんな風に国民に知れ渡ってるのねι

 

「すっげー!ねぇ変身して!」

 

「僕も見たい!」「私もー!」

 

ブランの周りに居た子供達が今度は俺に集まり、期待の眼差しで見つめる

「こら貴方達。困らせないの」

 

「えー…」

 

ブランがたしなめるが子供達は不満げなままだ。やれやれ…

 

「うーむ…しょうがない、特別だぞ?」

 

「本当!?やったー!」

 

「キョウスケ…良いの?」

 

「あぁ、期待には答えないとな。さてみんな一旦離れてくれ」

 

「「「はーい!」」」

 

元気良く返事をし、子供達は素早く俺から離れた…よし

 

「さぁ、刮目せよ!アーマーリンク!」

 

腕輪のスロットにカードを差し込み、アーマーを装着し姿を変える

“equip complete Gespenst Mk-Ⅱ type-G!”

 

「おー!すげー!」

 

「格好良いー!」

 

変身した姿を見て興奮した様子で子供達は駆け寄って来た

 

「ふふ…大人気ね、キョウスケ」

 

「あはは、悪い気はしないよ…ってこら!危ないからよじ登らないの!」

 

「えー!良いじゃん、減るもんじゃ無いだろー」

「全く…しょうがないな。落ちるんじゃ無いぞ?」

 

「わーい!」

 

「うわっ!?ちょっ、いっぺんに……おわぁ!?」

 

子供達が我先にと登ろうと駆け寄る。それに反応できずよろけてそのまま倒れてしまった

「ぷ…ふふ…っ」

 

「なっ…笑うなよ、ブラン!」

 

「ふふ…だって…魔物相手にビクともしないのにっ…子供達に飛びつかれて倒れるなんて…可笑しくて…ふふっ」

腹を抱えて笑いながら愉快そうにブランは言う。笑った顔が可愛いなと思ったのは秘密だ

 

「ぐ…急に来られたから身構えるのが遅れたんだよ…」

 

「ふふ…そういう事にしておくわ。さてそろそろ行きましょ?」

 

「そうだな…みんな、戻るから離れてくれ」

 

「えー!もう終わり?」

 

「ごめんね、ちょっと用事があるから。また遊んであげるから…ね?」

 

「むぅー…分かった、絶対だよ?」

「あぁ、約束な。じゃあまたな」

 

「うん!ばいばーい!」

 

手を振り去っていく子供達を見送る。やれやれどの世界でも子供ってのは元気だなι

 

「さて、行こうか」

 

「えぇ、そうね」

 

そして俺達は再び歩き出した。

 

 

その後も色々な人に呼び止められ、結局買い物が終わったのは夕暮れ近くになってしまったι

 

 

 

 

 

「遅くなっちまったな、早く帰らないとなι」

 

「そうね…その前に1カ所寄りたい場所があるんだけど……良いかしら?」

 

「おぅ…構わないぜ?」

 

「良かった、じゃあ行きましょう…暗くなってしまう前に」

 

そう言いブランは俺の手を引いて歩き出す。されるがままになっているとある場所に着いた

 

「此処は…神社か?」

 

「えぇ…貴方の旅の安全を願おうと思って…迷惑かしら?」

 

俺を見上げ、不安そうに瞳を揺らす。全くこの子は…

 

「そんな事無いさ…そこまで俺の事を思ってくれてるんだ。迷惑どころか嬉しいよ」

 

「そう…良かった。じゃあ先にやってて?ちょっと用事があるから」

 

そう言うと何処かへと去っていく。どうしたんだろう…

 

「まぁ良いか…さて」

賽銭箱に小銭を入れ、手を合わせる

 

「(ルウィーがいつまでも笑顔の絶えない国でありますように…)」

 

自然とそんな事を願っていた。いつの間にかこの国が好きになっていたようだ

 

“ポカッ!”

 

「痛っ!?誰だよ…って、ブランか。用は済んだの」

 

急に頭を叩かれ何事かと振り向くとブランが居た…なんかちょっと怒ってる?

 

「貴方ね…自分の旅の安全を願わないでどうするのよ」

 

「…声に出てた?」

 

「はぁ…此処は女神様にお願いする場所、そしてこの国の女神様に願いが届く…一つ質問、ルウィーの女神は誰?」

……あ、そういうことかι

 

「理解した?」

 

「うん…ι」

 

「宜しい…それでどうしてそんな願い事したの?」

 

「この国が好きだから…かな?子供達は元気に遊び回っていて、街の人達はみんな笑顔で…女神であるブランはみんなに慕われてて…」

 

「そんな事無いわ…貴方を慕う人も沢山、居たじゃない」

 

ちょっと恥ずかしそうにしてブランは言い返す。確かにそうだ…

 

「まぁな、よそ者だった俺を受け入れてくれた暖かさもある…そんなルウィーがいつまでも続けば良いなって思ったら、自分の旅の安全祈願なんてどうでも良くなっちゃってさ」

「呆れた…買っておいて正解だったわ。手を出して?」

 

言われた通りに手を差し出すと、袋から何かを取り出し俺の手の上に乗せる

 

「御守りよ…貴方みたいに危なっかしくてお人好しは、いちいち厄介事に首を突っ込むだろうから…守って貰いなさい」

 

「…ありがとう、大事にするよ」

 

御守りを大事にしまい、ブランの頭を撫でる。ちょっと恥ずかしそうにしていたが、満更でもない感じだった

 

「さて…そろそろ帰りましょ?あまり遅くなるとみんな心配するから」

 

「そうだな…って、その手は何だ?」

 

「…察しなさいよ、バカ///」

帽子を目深に被り顔を背ける。手を繋いで欲しいって事だよな?多分…そっと差し出されたままの手を握るとブランは嬉しそうに微笑み、歩き出す

 

因みに教会に着いた時に手を繋いでいたのを、フィナンシェさんに目撃され、色々聞き出されたのは全くの余談である………

 

 

 

 

 

 

 

「よし…準備完了。後は旅立つだけだな…この部屋とも暫くお別れか…」

準備を終えた後、感傷に浸っていた。次はいつ戻ってくるか分からない…

 

‘コンコン'

 

「ん?誰だろ…」

 

扉へ向かい開けると、そこにはミレイが立っていた

 

「話したい事があるの…今、良いかしら?」「あぁ、良いぜ?」

 

断る理由も無いので招き入れる。ちょっと挙動不審に見えるのは気のせいだろうかι

 

「で、話って何だ?」

 

まぁだいたい予想は付くけど…

 

「あ、うん…その…旅に出るんだって?」

 

「あぁ、強くなるためにな」

 

「そっか…暫くお別れね…寂しくなるわ」

 

「はは…そうだな。俺が居ない間、ブランを支えてくれよ?」

「任せて。ブラン姉とこの国は必ず守るわ……だけどもしもピンチになったら……また助けに来てくれる?」

 

上目遣いで不安そうに問う。全く…そんなの答えは決まっている

「あぁ勿論だ。仲間のピンチにはいつだって駆けつけるよ」

 

「ありがと…キョウスケ。それとこれ…持って行って」

 

そう言って差し出したのはかなり年季の入った腕章だった

 

「これは…腕章?」

 

「うん、殉職した兄さ……前の隊長が付けてたの。形見みたいなものかな」

 

「おいおい、そんな大事なもの受け取れねーよι」

 

「預けるだけよ、ちゃんと返しに来なさい、だから……気を付けてね」

 

そう言い真っ直ぐに俺を見つめる。不器用ながらも心配してくれているのが伝わる

 

「あぁ、必ず返しに来るからな?ミレイも元気でな」

「えぇ……じゃあね」

 

ミレイはそう言い残し部屋を出る。再び静寂に包まれた

 

 

「ふぅ…明日も早いしもう休むか…」

 

 

明日に備えて眠る事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、また神様に呼ばれたって訳か」

 

これで3度目になる見慣れた空間に溜め息を吐く。まぁ呼ばれたと言うことは何か進展があったんだろう

 

“よう、恭介。久しぶりだな”

 

「神様。此処に呼んだって事は…何か進展でもあったの?」

 

“うむ…時空の歪みの原因なんだが、お前と同じ転生者が関与している”「転生者…もしかして」

“心当たりでもあるのか?”

 

「あぁ…何度か対峙したよ。自分自身で転生者って言ってるから間違いないと思う」

 

“ふむ…そうか。もしかしたら俺が転生させた奴の1人かもしれん。すまないな…”

 

そう言って神様は頭を下げる。何か前もこんな事があったような…ι

 

「良いさ。もしそうでも俺が根性叩き直して、神様の前に引っ張って来て土下座でもさせるさ」

 

“はは…それは頼もしい…それはそうと旅に出るみたいだな”

 

「あぁ、今のままじゃ自分の身を守る事すら危ういからね……強くなって大切なものを守れる力を手にする為に」

 

“そうか…ならお前に一つ良い情報を教えよう。此処から南に小さな村がある。そこから力を感じられる…もしかしたらお前の探し物かもしれないぞ?”

「そっか…ありがとな、神様。行ってくるよ」

 

「うむ…気を付けるのだぞ?」

 

その言葉を最後に俺の意識は薄れていった

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ…もう朝か」

 

次に目を覚ますとそこは自室。既に夜が明けていた

 

「さて……行きますか」

誰にも会わないうちに行った方が未練も残らないしな。荷物を持ち部屋を出る

 

「…もう出発?随分、早いのね」

 

「…!」

 

突然、声を掛けられ驚き振り向くとブランがそこに居た

 

「起きてたの…?」

 

「女神の朝は早いのよ……もう行くの?」

「あぁ…みんなに見送られたら泣きそうだしさ。まぁ…女神様には見つかっちゃったけど」

 

「そうね……見送っても良いかしら?」

 

「あ…そうだね、流石に誰にも見送られないのは寂しいしね…」

 

「ありがと……ねぇキョウスケ、一つ聞いて良い?」

 

「ん?あぁ…何?」

 

「あの…本当に帰ってきてくれる?」

 

「へ…?」

 

質問の意味が分からず呆けてしまった俺をよそにブランは続ける。

 

「もし……もしもよ?旅の途中、新たな女神が誕生して…その子の所に行ったりしないわよね…?」

 

不安そうな瞳で俺をジッと見つめるブラン。全く…何を心配しているんだか

「ふぅ、何を聞くのかと思ったら…そんなしょうもないことか」

 

「なっ…しょうもない事なんかじゃ…!」

 

「ブラン…そんなに俺を信用出来ない?」

 

「そんな事ない…だけど…やっぱり不安なのよ…もしこの国より良い所だったら…って考えるとね…」

 

そう呟き、ブランは顔を伏せた。全く…この子は…

 

「ブラン、俺の戻ってくる場所はいつだって変わらない。俺の帰るべき場所は此処だから…絶対に何があっても必ず帰ってくるよ…だから安心して」

 

未だに俯いているブランの頭を子供を宥めるように撫でる

 

「ぁ…///」

 

「あ、ごめん…嫌だった?」

「ううん…嫌じゃないわ。もう少しこのままで…」

 

そう言ってブランは俺に体を預ける。そんな彼女が愛おしくて暫く頭を撫でていた

 

「さて…そろそろ行くか」

 

名残惜しい気持ちを抑え、ブランを引き離す。ちょっと寂しそうな顔をするがすぐに元に戻る

 

「キョウスケ…気を付けてね」

 

「あぁ…必ず帰ってくるよ」

 

「えぇ…いってらっしゃい」

 

「うん…行ってきます」

返事をして俺は歩き出す

 

 

未知なる世界へ力を求めて……

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