現代社会における万能チートの正しい使い方   作:寸劇の小人

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第7話 ログインボーナスを、君に(前編)

実家に帰るのは年末ぶりだ。

荷物も多少あるので1時間ほどグリーン車に乗り、移動時間に日課のスマホゲーにログインしデイリーミッションをクリア。

能力のウィンドウに積んでいた小説を映して大きい画面で読んでいると見慣れた地元の駅に着く。

 

(仕事辞めるならこっちに戻ってきてもいいのかも。

当面お金問題ないと考えたら思い切って関西に引っ越すとかもやろうと思えばできるんだよな。不思議な感じだ)

 

電車のダイヤに合わせているのかちょうどタイミング良く来たバスに乗る。

大学に入って以降、同級生や知り合いに成人式などを除いて地元で偶然出会ったことはない。

顔と名前が分かる人間も100人以上はいるはずだが不思議な話だなといつも思う。

 

(世界一相性の良い人とか、普通に生きてたらまず出会えないんだろうな)

 

駅近くにある通っていた高校を通り過ぎ、さらにいくつかの停留所を過ぎたところで降りる。

最寄りのバス停から5分ちょっと歩くと実家に到着した。

特別大きいわけではない2階建ての普通の家だが不動産価格が上がった今だともし都内ならちょっとした財産という感じ。

 

(姉さんとこはまだ来てない感じか)

 

1台しかない車庫を横目に玄関のチャイムを鳴らす。

 

「ただいまー、成実だよ」

「ホイホイ、ちょっと待っ手羽先」

 

……相変わらずの父さんの軽い声がインターホンごしに聞こえる。

 

「おお、お帰リスクマネジメント」

 

ドアが開くと、四角いフレームの眼鏡に白髪の、一見すると真面目な姿と反するしょーもないオヤジギャグを言いながら成実の父が姿を現した。

 

「ただいま、母さ――」

 

んはいないの?と聞こうとしたところでチッチッと指を振ってカットインが入った。

 

「ノンノン。親子の挨拶がまず最初手天元。言うまで我が家の敷居はまたが千と千尋」

 

……母さんがいれば不毛なやり取りを避けられたのだが仕方がない。覚悟を決めよう。

 

「ふー、……改めて、ただいまかえ緑黄色野菜!」

 

ヤケクソで叫ぶと父がニヤリと笑った。

 

「久方ブリキの迷宮(ラビリンス)だな、マイサン!」

 

両手を上に上げて威嚇するようなポーズ。こちらも負けじと太陽拳のポーズ(天津飯のほう)を作って応戦する。

 

「フィクションの単語ばっかりだよ、腕が落ちタンガニーカ湖!?」

 

「むむむッ、ギアを一つ上げていくぞッ」

 

成実の父が腕を拳法のようにブンブンと振り回して続けようとしたところで、呆れた声が響いた。

 

「玄関で何やってるんですか? あなたたちは?」

 

冷たい視線を向けてくる成実の母に2人して平謝りして家の中に入るのだった。

 

 

 

 

 

「お昼ご飯は食べましたか?」

 

洗面所で手を洗い、リビングのソファーに着くと母から声をかけられた。

 

「夜いろいろ出るかなと思って朝遅めにして一緒にしたから大丈夫。

これお土産の梨ね。姉さんたち来たら切ってもらってもいい?」

 

リュックの中に詰めていた袋から梨を全部取り出してテーブルの上のかごに入れる。

 

「あら、おいしそう。けい君も来るから出してあげましょう。

先に切って冷やしておきますからね」

 

「はい。お願いします」

 

いつも動作と言動がしゃっきりとしている母の声を聴くとこちらの身も自然と引き締まる。

お土産は無しかい? などと呟いている父を見ると男女の相性ってなんだよと思わないでもない。

 

立ったついでに戸棚から自分のコップを出して冷蔵庫を開けて麦茶を注ぐ。

一人暮らしだと作るの面倒だったから今まで考えてなかったけど、最近水ばっかり飲んでるから夏の時期くらいは作り置きしてもいいかもしれない。

 

「あー麦茶久しぶりに飲んだわ。夏って感じする」

「もう、座っていればそれくらい入れてあげましたよ」

「子どもじゃないんだから大丈夫だよ。それより夜、いつもみたいにお稲荷さん作ってくれる?」

 

どこか残念そうだった母がやれやれと眉を少し寄せた。

 

「ええ、サユリは大変だから全部買ってくればいいなんて言ってましたけど、せっかくみんな来るんだから一品か二品くらいは作らないと」

「そうだなあ、後でイカ買いにイカんとなあ」

 

成実の好物は稲荷ずしで姉の好物はイカと大根の煮物だ。渋いが姉は昔からそうなのだ。

母が専業主婦で料理もそれなりに凝るタイプのため父は基本的に料理をしないのだが、魚介類を捌くのだけは昔から任されている。

 

少し話してから荷物を置きに自室に向かった。

昔なら部屋に引っ込んでいることが多かったが大人になった今だと逆にもったいないと思う。

リビングに戻ると両親は折りたたみの盤を使って碁を打っていた。

 

「部屋にいてもしょうがないから、何かやることある?」

「あら嬉しい。そうね……、せっかくだから大変なところの掃除とかお願いしてもいいかしら」

 

そんなやり取りがあって、お風呂場の天井などを中心に1時間ほど何か所か掃除をした。

成実の母はかなりきれい好きな方だがそれでも全部完璧に家事をこなす瀟洒(しょうしゃ)なメイドさんというわけではない。

家も建ててからだいぶ経っているので多少なりとも年季を感じるようになってきたように思う。

 

(この家の設備とか車とか人の健康以外って問題ない?)

 

親族の生命・財産の重大な問題については能力でマーカーをつけていたが、家の細かいところまでは見ていない。

ちょうどいい機会なので調べてみる。

 

震度7の強力な地震がきても複数回でなければ基本的には問題なし。

自動車の整備についても問題なし。

給湯器の残り寿命、1~2年程度の可能性やや高。1年以内もしくは2年以上の可能性低。

 

(給湯器か……。全然意識したことなかった。家買ったら意外とメンテ費用ってかかるのかな。

大金手に入れても豪邸に住むつもりはないけど家族がいたら4LDKくらいはほしいかも)

 

もし壊れても15万とか30万くらいなら父の稼ぎもあるし母もしっかりしているのであまり気にしなくても良さそうだ。

業者もたぶん施工を頼んだところとかがいると思うし、こっちの方が良いと言っても聞いてくれるかは分からない。

そんなことを考えながら、風呂掃除で服が濡れたのでジャージに着替えてリビングに戻ると人が増えていた。

 

「成実、お疲れ様」

「お疲れ様です」

「おつかれさまでした!」

 

姉の咲友理(さゆり)と旦那の亮太(りょうた)さんと息子の蛍都(けいと)君だ。

 

「どうもです。小学生ってすぐ大きくなりますね。けい君今年2年生でしたっけ?」

「はい、2年生です!」

 

今どき素直で子どもっぽい子どもで、叔父としてはお年玉をあげるのも気持ちよく渡せて非常にありがたい。

このまままっすぐ大きくなってほしい。

 

「みんなそろったから、成実のお土産の梨を出しますね。けい君は梨食べられるかな?」

 

成実の母も孫相手には弱いのか声がだいぶ優しい。

 

「大丈夫。今年はまだ食べてないけど。ケイはグレープフルーツ以外の果物はだいたい食べられるから」

 

几帳面な姉の回答が返ってきて、成実の母は微笑んで切った梨の盛られた皿を置いた。

 

けい君のいただきますを合図におのおの梨を口に入れていく。

 

「おお? とってもジュースィー。にしちじゅーしぃー」

「にはちじゅうろく!」

「あら、九九もちゃんとできるのね偉いわ」

 

父のしょーもなギャグにけい君が反応して梨のかけらを落としそうになったところを亮太さんがすかさずキャッチ。

さすがの元高校球児、ショートの反応速度である。

見た目的には一部の女子から騒がれる線の細い文学青年といった雰囲気なんだけどな。

 

「ケイったらもう。リョウ君、はい、ティッシュこれ」

「ああ、ありがとうサユリちゃん。……子どもは元気だなー」

「……やっぱり私が運転した方が良かった?」

 

姉が身内にしか分からないような少しだけ心配そうな声で聞いた。

言われてみれば亮太さんの顔色があんまりよくない気がする。

 

「いや、車はたぶん僕が運転した方が良いから大丈夫。

……でも確かにここのところ残業多かったから少し疲れてるかもしれない」

 

姉が免許取った後で大学時代に一度乗せてもらったことがある。

それ以来運転はなるべくしないよう母によって協定が結ばれているのだ。

運転が荒いとかではないのだが、丁寧すぎるというか周りを見過ぎて全然右折とかできなかった記憶がある。

 

「本当にこの梨美味しいですね。成実、どこで買ったのですか?」

 

ケイ君の口を拭きながら母が聞いてくる。

梨は昨日能力で調べて病院帰りに買ったやつだ。

 

「普通にスーパーのやつだよ。普段使いしてるところじゃないちょっといいとこのやつだけど」

 

自炊が楽しくなった理由は素材選びで常に大成功を引けるというのも大きい。

野菜だけでなく肉や魚なども適当に選ぶのに比べると1~2割増しくらいになっていると思う。

 

 

それからしばらく梨を食べながらまったりとした時間が続く。

大人が多いので話は自然と仕事の話の流れになる。

 

「独立ですか、夢ありますね」

「1年くらいアプリ制作やってみて無理そうなら再就職の予定なんで、まあお店やるとか借金とかするわけではないので大丈夫かなと」

 

家族持ちだと一人で気軽な自分とはプレッシャーも全然違うだろうな、と成実は思った。

公務員も最近はずいぶん大変だと聞くし。

 

「それならまあ大丈夫だとは思うが、手続きはちゃんとしておくんだぞ。あと、大変だったらこっちに戻ってきても大丈夫だからな」

 

珍しく父が真面目だ。

 

定年まであと何年だっけ?

俺なんか10年も働いてないけどもう40年とか働いてるんだもんな。

身体は見てるからそのうち旅行とかプレゼントしようかな。

 

「うん、ありがとう。年末また来るときにちゃんと売上出てたらいいんだけどね。来年の夏までには先のことはっきりさせとくよ」

 

能力の予測的には売上自体は一応問題ないはずだ。

ただ株などと違ってこちらはまだお金になっていないので半信半疑なところが若干ある。

 

 

 

30分ほど経ち、夕飯の買い出しの時間になった。

成実と亮太さんとけい君は留守番だ。

 

「けい君、いいの? お母さんでかけちゃうよ?」

「うん、パパとなるにいとマリカーやるの」

「母さん、いいの。ご飯の買い出しだけだとケイも退屈だと思うし」

 

姉にたしなめられた母さんはちょっと残念そう。

 

(別に出かけるついでにゲームの1個くらい買ってあげてもいいんですよ)

(誕生日とクリスマスにもらってるからこれ以上は駄目、お金の価値が分からなくなっちゃうから)

(そうね、どうにも孫だと甘くなっていけないわ)

 

何やらひそひそ話しているが特に能力を使う必要もないだろう。

3人が出かけると、成実はけい君の視線を感じながら家から持ってきたSwitch2のドックをリビングのテレビにつないだ。

 

「マリカーでいいの? ぽこあポケモンもあるけど」

「うん、みんなでできるやつの方が良い。ワールドは友達の家でやってるから楽しみ」

「コミュ力あるな~。まあ小学生ってこんな感じか」

「はは、すいませんね。持ってくるの大変だったでしょう」

「グリーン車だったんで大丈夫っす。あ、プロコンも持ってきたので亮太さんが使ってください。俺とけい君はジョイコンで大丈夫なんで」

「パパがんばって、ワールドはじめてでしょ」

「8とそんなに操作変わらないですよね? ……ここでも運転か」

 

けい君は去年成実が2を買った時にあげた初代Switchを持ってきていたのでそちらのジョイコンを使って、慣れていない亮太さんにはプロコンを使ってもらうことにした。

 

 

「けい君うまっ! ショートカットとか俺よりできてるじゃん」

「動画見て友達と練習してたの」

「すいません、そのぴょんぴょん飛ぶやつってどうやるんですか?」

「チャージジャンプはR長押しで離したらできますよ。あと壁とかレール走るときは方向入れてやればいいんで」

「えっ意外と難し……、いや、こうか。あっできますね」

「パパじょうず~」

 

息子に接待されてる気がするぞ。

できた子だ。

普段からこんなんされたら大人に大人気だろうな。

 

しばらく遊んだあと、けい君がトイレに行く。

そしてけい君と入れ替わりで亮太さんがトイレに行き、戻ってきたときにはレースの途中だったので亮太さんはそのまま見学にまわっていた。

 

そのまま4レースが終わりけい君が見事に優勝すると、ソファーの端から寝息が聞こえてきた。

 

「パパ寝てる」

「疲れてるって言ってたもんね、寝かしといてあげようか」

 

テレビの音を下げ、他のゲームでもやろうかと確認しようとしたところ、けい君はコントローラーを置く。

 

「なるにい、この近くに鉄棒ある?」

「鉄棒? ん~、たぶんコンビニ過ぎたところの公園にあった気がするけど、どうしたの?」

「夏休み、毎日逆上がりの練習してるの。今日まだしてないから」

 

ふむ。

時計を見てみると姉たちが買い物から戻るにはまだ1時間くらいはかかりそうだった。

 

「ちょっと連絡するから待っててね」

 

姉にLINEを送るとすぐ返信が来た。

日焼け止めがけい君のリュックに入っているから塗り直すのと、水分をちゃんと取らせて30分くらいで引き上げるようにとのことだった。

 

「じゃあいこっか」

「うん」

 

けい君が寝ている亮太さんに姉の部屋から持ってきたタオルケットをかける間に亮太さんにもLINEを送って残し、成実たちは公園に向かった。

 

 

 

 

 

背が伸びたせいか、鉄棒は昔よりずいぶんと低く見える。

公園に着くとけい君は鉄棒に駆け寄り荷物を端に掛けると一心不乱にぴょんぴょこ逆上がりの練習を始めた。

怪我などはしないと思うがなるべく近くで見ていた方が良さそうだ。

 

「なるにい、見てないで足押して!!」

「う、うん。こんな感じ?」

 

手に土がつくがしょうがない。

20cmくらいの小さな靴が飛びあがるのに合わせて掴んで補助をする。

何回か続けると、次は自分でやる! と高い声が返ってきた。

助走を大きめにとったりいろいろ試しているが、自力だとまだできないようだ。

 

5分か10分かそんなことを繰り返した後、いったんきゅうけい、と言ってからけい君は錆びのにおいの移った小さな手に息を吹きかけてタオルで拭く。

二人して木陰になっている近くのベンチに座った。

 

「なるにいは逆上がりできないの?」

 

学校の体育の中でも地味なトラウマ製造装置になっていると成実が勝手に思っているのが、鉄棒と跳び箱だった。

球技や持久走と違って純粋な身体の動かし方のセンスを問われる割に指導方法が大雑把な気がしてならない。

 

毎日練習してるって言ってたしな、俺ができなくても能力でコーチできるかもしれない。

頑張ってる人にちょっとくらい良いことがあってもいいと思うし。

ただ、その前に一応は自分で。

 

「うーん、俺運動苦手だったからなあ……。せっかくだからちょっと試してみるか」

 

能力もあるし。と心の中で呟いて一つずつ確認していく。

 

(身体を直接操作する形じゃなく、アドバイスとかだけで今俺逆上がりができるようになる?)

 

可能。

 

(マジか。ちょっとやる気出るな。どれくらい練習に時間かかる?)

 

90%以上の可能性で5分から15分程度。

 

(!?)

 

オイオイオイ、とツッコミながら一度試してみる。

けい君の挑戦していた鉄棒の隣の隣の一番高い、成実にとっては胸とへその間程度の高さの鉄棒を握る。

 

「筋トレやるなら懸垂とかやった方がいいのかな。近場にいい感じの無いか探してみようかな」

 

日が当たっているためか多少熱いが猛暑というほどではないのもあって特に問題はない。

 

「パパはできてたよ~」

 

何度か挑戦したが能力抜きでの自力だとやはり無理のようだ。

元ガチ運動部と比べられても困るのだが、成実には能力がある。

 

(できない原因と、できるようになるための手順が最短になるように分解して教えて)

 

技術が無くても筋力があればそれほど苦労せず可能。

ただし体重の影響が大きいため、適切な力の入れ方を覚える必要がある。

具体的には――。

 

「何やってるの?」

「イメージっ、トレーニングっ!」

 

能力に言われた通り、鉄棒から少し離れたところで右足で頭の後ろを蹴るようなハイキックの練習をする。

目に映る理想的なイメージ映像と、自分の姿を横並べで映して差分が徐々に小さくなるように。

 

数分続けた後で、次のステップは架空の鉄棒を握るようにして掴んで一気に腰の方へ引く動作だ。

肘は曲げて固定し、肩でへその方というか地面に向かって引くイメージが重要らしい。

これは1分程度ですぐに能力からOK判定が出た。

成実自身もなんとなく力の入れ方のコツがわかったような気がしたので、実際に鉄棒を掴んで引く動作だけをそのまま試す。

 

「へんなの~」

「まあもうちょい見てなって」

 

能力から最後に示されたのはハイキックと逆の足での踏み切りとお尻を持ち上げるイメージと力の入れ方だ。

これはなかなかコツを掴むのが難しかったが、5分程度でひとまずOKが出た。

 

「よし、いくぞ」

「がんばって!」

 

けい君に応援されながら、ここまで試したコツを組み合わせて挑戦する。

同時にやろうとするとどうしても意識がブレる。

能力のアドバイスに従ってハイキックと肩の動きが最初で最後にお尻を意識してみる。

すると。

 

「できてる!」

 

ぐるりと視野が一回転する不思議な感覚。

重かった身体が重力に引かれながらも一瞬だけ地球から自由になる。

けい君の高い声が響くのが聞こえる。

両足が地面に着くと、少し経ってからじわじわと何かが沸きあがってくる。

 

「できた!」

 

感覚を忘れないように2回目、3回目と続けてみたが問題なくできた。

どうしよう、ちょっと泣きそう。

 

「なるにい、できてるじゃん!」

 

ベンチから立ち上がって駆け寄ってくるけい君。

ちょっと目がキラキラしている。

 

「ぼくもイメージトレーニングする!! なるにい教えて!」

 

自分でやったのを人に教えるのでは少し勝手が違うらしい。

3つのコツを教えたがけい君はすぐにできるようにはならなかった。

能力に聞いたところ、イメージを掴みやすくする4つの言葉に集中させるのが効果的だと返ってきた。

 

「オーバーヘッドペンギン!」

「オーバーヘッドペンギン!」

 

超次元サッカーでオーバーヘッドシュートをイメージした蹴り脚の動き。

 

「変身!」

「変身!」

 

仮面ライダーの変身シーンのようなイメージで力を入れる腕を引くポーズ。

 

「マンマミーア!」

「マンマミーア!」

 

マリオがマグマに落ちた時にダメージで跳ね上がるような飛び上がりとお尻の動きのイメージ。

(元ネタ的には全然違う笑うおたけびという感じだが声に出しにくいので掛け声はこちらにした)

 

「1・2、3!」

「1・2、3!」

 

3つの動きを連動させるためのタイミングをリズムで分かるように声に出す。

そして。何度目かの挑戦で。

 

「「できた!」」

 

ひとしきり喜んだあと、けい君はコツを掴んだのか何度も逆上がりに挑戦してくるくる回っていた。

目的も果たしたしそろそろ帰るかなと思ったところで、けい君が声を上げた。

 

「あっ、パパ! 見てて見てて!」

 

公園の入り口にはいつの間にか亮太さんが来ていた。

 

「ケイ……?」

 

立ち尽くす彼はけい君がきゃっきゃっと何度も逆上がりを成功させるのを啞然とした表情で見つめているのだった。

 




今話も100%手書きです
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