現代社会における万能チートの正しい使い方   作:寸劇の小人

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この作品終わったらエンタメの弱いパラレルワールド現代転生で音楽無双する話とか、この話のIFルート込みの育成シミュレーションっぽいゲーム作成とか、この話とテーマ変えてもっと限定された能力で政治経済に干渉しまくる話とか書きたいのはいっぱいあるんですけど時間が全然足りないすね。


第8話 いいものなら売れるなどというナイーヴな考え方は捨てろ(前編)

墓参りの後はみんなでファミレスに寄り、昼食を済ませて駅まで送ってもらいそのまま電車に乗った。

家に帰ってもまだ一日の終わりというにはだいぶ時間がある。

PCを付けるとディスコードにレニさんから連絡が来ていた。

 

あらたまってのお礼と、この前会って思いついたアイデアから今試していることとかについてだ。

社交辞令的に返信するとすぐにリアクションが来た。

 

「ベンチャー企業やってる社長だとプライベートも何もあったもんじゃないな……。

でもまあ確かにサラリーマンと違って働く時間全部自分で決められるからそこでだいぶストレスを感じにくくはなってるのか」

 

自分も独立という形なのでその道の先輩としてアドバイスを求めてみる。

 

『アプリはええですね。在庫抱えるモノづくりよりずっとリスク低いし。お店やるとかやとたぶんホンマに大変やと思います』

『デザインとか翻訳もこだわらなきゃAIでいけちゃいますからね。外注使おうと思ったら探すサービスもありますし』

『人雇うとまた全然ちゃいますからね……。社会保険料だけはホンマに何とかしてほしい』

 

社会保険料! そういうのもあるのか。

 

『健康保険とか年金って会社が半分負担するんでしたっけ』

『そそ。あれなかったらお給料も結構変わってくると思うんやけどね。医療に携わる立場やと健康保険は総論賛成、各論反対って感じやけども、年金はなあ……』

『所得税とか増えても年金に取られてる分インデックス投資に回せるならプラスっぽいですもんね』

『おー、そのあたりもいけるクチ? ますますウチ来てほしいわ~』

『まあそのあたりは追々(おいおい)。業務委託とかなら前向きに検討しますんで』

『政治家の答弁やないの』

 

能力使えば受託系の仕事はかなり楽に済ませられそうだ。

ツテがなかったのであまり考えていなかったがレニさん経由で開拓するのも悪くないかもしれない。

 

『あ、でも在庫持つとリスクが、って言う割にはレニさんはどっちかというとデバイスの開発がメインですよね』

 

ふと気になったことを聞いてみると、返って来た言葉に思わず考えさせられてしまった。

 

『そりゃまあ、それがウチのやりたいことですから』

 

まあリスクとリターンとかはいっつも計算しとるし、補助金も貰えるもんはいろいろ貰うてるし、最悪ダメやったら医者やればいい言うのはありますけど。と続く言葉はあったがやはり本音の部分はその前のところなのだろう。

 

 

 

 

昨日今日と普段よりもカロリーを摂っているので、少し長く歩くことにした。

いつもの経路を延長して、途中で足を休ませるために座って休憩できる場所を能力で確認してから外に出る。

 

エアロバイクはゲームしたり動画を見たり他のことをしながらダラダラカロリーを消費するのによいのだが、意外にマシンを買ってからも外を歩く頻度は減っていない。

音楽を聴くくらいしか他にできることが少ないからこそ考え事をするにはウォーキングの方がだいぶ向いているように思う。

 

「そうか、平日の日中の時間、株考えなきゃ自由に使えるんだよな。スパ銭とか映画も空いてるのか」

 

旅行にはあまり興味が無いが、温泉に行くのはいい。

能力で良い所を探して自分で体験してから両親にプレゼントっていうのも良さそうだ。

 

「シーズンずらして平日だと宿とかホテルも安いだろうし。

食べ物関係はダイエットあるけど頻度減らしたり調整すればいいか。今の方法だと量自体は少なくていいしな。

あとは恋愛とか婚活考えたら脱毛とか皮膚科とか行った方が良いのかな?」

 

整形なんかだと一生効果がないならお金がもったいなく感じるが、逆にお金で長期間得られるメリットが大きいなら試してみてもいいかもしれない。

目とか歯とかは悪くないのでレーシックとかICLとか歯列矯正は考えなくて良い。

大きな病気は能力で見てて問題ないのでその他で体調に関わる部分だと花粉症の治療くらいだろうか。

 

「アタリの医者は能力消えたとき用に備えて転職先と合わせて定期的にメモ取っておくか」

 

気楽にそんなことを考えていると、ふと背筋に悪寒が走った。

いや、今まで気づいていなかったが……。

 

「……いい仕事見つけるのは楽だけど、今のこのフリーダムに慣れちゃった俺に普通のフルタイムの仕事が耐えられるのか?」

 

給料とかその他の条件は全部気にしなくていいから出社不要の全部リモートでっていう条件でも今と比較したらものすごく制限を受けるはずだ。

フルリモートで1日の実稼働が1時間とかだった先月と有給で全部休みだった今月でも精神的な負荷は全く違う。

そして、もし再就職したその時にはもう能力が失われている。

 

「なんつーか、一度会社辞めたら「普通に働く」って選択肢が俺の生活から消えたと思うんだ。

……ヤバい。これは本気になって考えないとまずいな」

 

能力を得てから、能力を抜きにしても自分の能力は間違いなく上がっている。

それは自信の部分もあるし会社の仕事中に能力でいろいろ調べたことやアプリを作るようになってから重要な部分の勉強を能力で効率よく進めてきたこともある。

 

「本当に追い詰められたらリーマン仕方なくやるんだろうけど、今年に入ってからAIの伸びがヤバいんだよな……。

10年かかってできるかどうかって半信半疑だったのが早けりゃ来年中みたいな感触になってきてるし」

 

AIについては興味もあるので表に出ている情報の他に能力でいろいろ裏側を見ている。

正直、進歩がかなりヤバい。

近い所でのセキュリティ面など問題も無くは無いが人類が滅ぶみたいのは能力に可能性計算させてもほぼ気にしなくて良いし、最悪能力があれば介入もできる。

ただ、もし能力がなくなって再就職を考えるとしたらタイミングによっては影響がとてつもなく大きい。

 

「働きたくねえ~。ナナミンも言ってたもんな。一般企業で働き気づいたことは労働はクソということです。って。でも金が無いとそんなことも言ってられないか……」

 

金、金、金! 騎士として恥ずかしくないのか!

いや、2,3年なら働かなくていいくらいの金はあるのだけれども。

 

「あ~資本主義つらすぎる。シンギュラリティ明日来て人間から創作以外の仕事を全部奪ってくれ」

 

そしたら俺はマサドルディーゴみたいに晴耕雨読の生活を送りたい。

とはいえそんなことも言っていられないので、もう少し金策について考えることにした。

 

 

 

 

 

翌日月曜。

サブのノートPCを持って朝から近所のネットカフェに向かった。

 

一昔前と変わってコンビニでの立ち読みが包装付いたりして難しくなってから、ちょこちょこ漫画雑誌を読むために月数回来ているので慣れたものだ。

普段は普通のブースを使うが今回はPCも持ってきているので鍵付きの部屋を借りる。

 

「たぶんこれは経費で落とせるんだよな。経費サイコー。

せっかくお金払ってるからって脳が言い訳してドリンクバーの誘惑を感じる」

 

ダイエットを意識してここ2か月はほぼカロリーのある飲み物を飲まなくなった。

能力に聞いたところジュースは糖分の関係でかなり身体に悪いらしい。

(これはこの前太山先生と話した時にも確認した)

 

「あんまり使いたくないけどアインズ様みたいに感情抑制というか衝動抑制とか考えた方がいいのかな」

 

ネカフェでは1杯だけ、とかにすると仕事頑張ったから2杯OKとかにしてルールが骨抜きになる予感がする。

 

「うーむ、あいだ取って甘くないお茶系とカロリーゼロ飲料があったらそれだけOKにしよう」

 

そんなことを考えていたが、残念ながらカロリーゼロのコーラなどは取り扱いがないようだった。

 

(鍵付き個室にはドリンクバー持ち込み禁止なのか。法律の関係とか?

専用のブースで飲んでくれってことね。でも店の提供じゃない外からの持ち込みだとOKだし法律良くわからんな~)

 

休憩のときはウーロン茶かお湯を使って入れるパックの紅茶でも飲もう。

部屋に戻って、今日の仕事を始める。

 

 

 

すっかり慣れた株取引の午前の部。

今後旅行の際や何かあった場合のテストも兼ねて店のWi-FiにノートPCを繋いで取引を進める。

ただセキュリティ面は気になるので、昨日能力とAIを使って作っておいた接続元や通信内容を特定できない(100%ではないが一般に知られている技術ではほぼコスト的に無理)ように偽装するプログラムを噛ませている。

 

(悪いことに使うっていうより、使うとしたらハッカーがAIで社会的な大問題起こしたとき用のツールだな。まあ能力で特定して警察に捕まえさせるとかの方が本命だけど手段があって悪いことはない)

 

有線でつないでいる家の回線、パワーのあるマシンに比べると気持ち時間がかかったがいつも通りに取引を終了。

次の取引は昼過ぎだ。

 

時間に余裕があるのでテキストエディタを開いてお金を稼ぐ手段について考えてみる。

 

 

・株とか投資系の金額を増やす、幅を広げる

→総資産の何%みたいなルールを決めての運用は変えたくない。

ただ、一時的にデイトレードなど能力を生かして回転率を上げるのはアイデアとしてはあり。負荷は上がるが。

 

・アプリ制作をもっと頑張る

→現時点で1週間で1個、シンプルなアプリを作っている。

まだストアに公開していないが、能力の見込みでは1つにつき初動で50~200万程度、最終的なそれぞれの総額で1000万前後の売り上げになる見込み。

ここを週2個にするのは今の作業負荷的には有力そう。

1年期待値通りの売上が出れば税金引いても3年もあればお金の問題は終わる。

ネックは能力失ったら数増やした場合にメンテに手が回らない点、まだ具体的にはお金になっていないので半信半疑な点。

 

・レニさん経由で仕事貰う

→これはよく考えたら経由せずとも能力使って業務委託・受託の仕事探す、みたいな方向での応用が可能。

1か月とかでお金が入ってくる上に能力使えば良い案件を探せるし作業負荷自体も能力を使えばかなり楽なはず。

問題は作ったものが自分の資産にならないこと、良いもの作っても貰える金額が増えたりしないこと。

実績を作るのと近いところで現金をすぐ増やすには悪くなさそう。

 

・趣味兼ねて漫画雑誌全部備えたネカフェとかやる

→レニさんが言ってた通りリスクの高さ的に無理。

能力を使えばたぶん能力があるうちはネカフェに限らず「お店をやって利益を出す」こと自体は可能。

ただおそらく自分の時間とか精神的な余裕とかそっちの負荷が大きすぎる。却下。

 

・不動産投資とか

→家賃収入じゃない方向だと転売の一種だけど個人的には別のルールのゲームなのでどっちもアリ。

ただそこまでは種銭がない。種銭ができてる頃にはもうお金には困ってない。

引っ越しとか家買うとかに能力使うのはありだけど投資としてはメリットが少ないので却下。

 

・YouTubeとかでゆっくり解説とかコンテンツ系をやってみる

→市場の広さ考えると英語圏とか中心で日本語以外の方がよいかも?

アニメとか漫画みたいな方向じゃなくて、実務寄りだったりバラエティ寄りの方向を自我出さずに能力主体で淡々と進める感じ。

ネックはアプリ制作と同じでお金になるのがまだ確信持ててない点。候補の一つ。

 

「アプリだけでもだいぶいけるな。

稼いだお金を投資に回して今の利回り維持出来たら1年半か2年くらい?

だけどまだ具体的な金額が入るのがリアルで見えてないのがやっぱ気になるな……」

 

改めて書き出してみると、1年か2年能力が維持できればほぼお金の問題は解決できそうだった。

やはり今気になるのは株以外で資産が増えている、増えるのが確実というのが現実世界で見えていないところだ。

 

「あとはコンテンツ系でインフルエンサーみたいな? でもやっぱ顔は出したくないんだよな……」

 

 

能力にも聞いたが、時間がかかるか名前が売れてしまうもの、社会に大きな影響を与えるものがほとんどだった。

 

(ヤクザの埋めたお金で放置されてるものを掘り返して、生活費をそこからまかなうというのが少し面白いかなと思ったくらい)

 

ソフトウェア等のバグを見つけた報奨金というのもあるが、AIの発達によって脆弱性の報告が急増しており受付自体が停止になりはじめているというのもあった。

 

数百万から億単位の大金・世間一般には匿名を維持・税金の処理をちゃんとする、という条件にすると抜け穴がほとんどない。

 

VTuberやって見ている人のストレスを無くす代わりにスパチャさせて数か月ですぐ引退とかもあったが、それなら合意が取れる相手を探して能力で言動に制限を付けた上で望んだ情報を与えて対価をコンサルティング料の名目でもらうとかの方がまだ自分の好みではある。

 

 

しばらく考えて疲れたので、気分転換に個室を出て漫画雑誌を持ってドリンクバー用のブースに移動する。

 

(漫画は好きだし描く方は無理だけど読むだけでお金になったらいいんだけどなあ……。

……ん?)

 

ふと思いつき開いていた雑誌を閉じ、ウーロン茶を飲み干してグラスを返却場所に置いてから足早に部屋に戻る。

 

(それはたぶん"アリ"だ)

 

学生時代に試したことはあるが全くお金にならなかった。

だが今は能力がある。

ということはつまり。

 

「やっぱりだ。意図的にバズりを起こせる……!」

 

能力に確認した。

 

アルゴリズムを解析し、影響力の大きいユーザーの目につきやすいタイミング、反応の大きい投稿の内容を事前に確認できる。

株と同じで100%ではないが確率で可視化が可能で、回数を重ねるごとに期待値に近づくことを考えれば成功は約束されたようなものだ。

 

匿名が維持でき能力を失っても問題なく、金額的にも自分が欲しいと思うレンジに到達できる可能性が十分にある。

さらに単なるつまらない作業としてではなくある程度自分の趣味を兼ねて取り組めるというおまけ付きだ。

 

今日明日でお金が振り込まれるというわけではないが、意図的にバズらせられるならある程度まではお金なんてどうにでもなるだろう。

 

「広告収入系、試してみる価値はあるな。よし、やろう」

 

 

 

 

 

それから1時間ほどかけて能力と相談しながらアカウント名、どんなジャンルで行くかを詰めた。

ひとまず2つのアカウントを用意。

一般的な漫画を中心としたコンテンツの紹介をするアカウントが「純逢大吟醸」。

成人向けコンテンツの紹介をするアカウントが「純愛大吟醸」だ。

 

一般向けは好きだがイマイチ売れていないものを幅広く紹介し、成人向けは俺がNTRとか女の子が深く傷つく系がダメなのでそうじゃない作品をほぼ趣味で能力のサポートを得ながら紹介する。

炎上も意図的に起こせるので政治系とか芸能系は相性が良いが、そこは俺の趣味じゃないので却下した。

せっかくだから納得できる使い方をしたい。

 

(ドーモ。売れるからってNTRばっかり描く同人作家=サン。NTRスレイヤーデス。なんてな。

売れてほしい作家さんの貯蔵は十分か。無限にいるぞこっちには。

一般向けの方はそのうちサナギ先生のとか、あの小説の子の同人誌とか取り上げても面白そうだしな)

 

 

 

今期のアニメからバズらせやすい作品を能力でランキングにする。

その上で、既に見ている物で気に入っているものをチョイス。

自分の感想、考察を下書きして能力に添削してもらう。

 

「この指摘は俺の感覚とずれるからパス。能力使っても自分に嘘は付けない。別の切り口で再チャレンジ」

 

自分のポストだけでなく、どのポストにいいね・リポスト・コメントしたらアルゴリズムで有利になるのかも適宜能力を使って確認。

自分の感覚と一致している中で最適解を引き続ける。

 

1つ目の投稿。

30いいね、5リポスト。

 

2つ目の投稿。

510いいね、66リポスト。

 

3つ目の投稿。

2258いいね、393リポスト。

 

「SNS上の行動が全部黒閃になるの楽しすぎるだろ……!」

 

お昼時を過ぎ、午後の部の株取引を終えてからアカウントを確認すると、フォロワー数が700人を超えていた。

 

 

「大学時代から10年やってるアカウントを3時間で抜いたぞ、おい……」

 

完全にドーパミン中毒だったが、株取引をはさんで少し落ち着いた。SNS怖すぎる。

さらに2つほど投稿して伸びるのを確認してからメインディッシュとなる作品紹介に移る準備を進める。

 

 

最初に紹介するものを思いつく限りエディタに書き出した上で能力のリストと突き合わせて考えてみた。

 

「人形町先生の打ち切り作品も悪くはないけど、もう売れた作家枠だしな……」

 

一番好きな作家と言われたら間違いなく人形町先生なのだが、今推したいかと言われるとちょっと違う気がする。

人形町先生の『PETボトル高校』もリストの順位としては悪くはない。

ただせっかくだからまだそれほど売れていない作家さんを推したいという気持ちがある。

 

そんなことを考えながらリストを見ると、かなり上位にその作品があることに気づいた。

 

「『天才猫ケイリー』あるじゃん! 好きだったんだよ、これ」

 

ジャンプでは主流から外れた日常寄りでちょこちょこバトルが挟まるタイプのSF強めの作品だ。

センス・オブ・ワンダーが刺激されるドラえもんと往年のクレヨンしんちゃん映画を感じさせるのが好きだった。

まだこなれていない部分や欠点も多いが紙で単行本も買ってたまに読み返すくらいには好きだ。

 

(芦谷先生、今描いてるのも本格的にバトルが始まってそろそろ化けそうな予感があるんだよな。

これはいいタイミングかもしれない。本持って来て読みながら紹介文練るか)

 

 

 

 

 

読み返すたびに毎回読み込んでしまう話数というのがある。

 

『そんなにコロッケが美味しいでありますか? なら吾輩のを1つ分けてあげるであります』

 

閉鎖された空間に敵と閉じ込められて、流れで全員で食事をするシーンだ。

ここで主人公のケイリーが敵キャラのグリントにサブ主人公である男の子キャラ(通称兄者)が作ったコロッケをあげる。

この後脱出時に敵に囲まれるのだが、コロッケの礼を理由にしてケイリーたちを逃がしてくれる。

 

「ベッタベタなんだけどいいシーンなんだよな……。敵をぶっ飛ばす見開きが本当にカッコよくてさ……」

 

ジャンプ掲載時の掲載順はずっと後ろの方で、4巻で打ち切りだった。

打ち切りと言われたら納得できるのだが掲載紙が違えば15巻くらいまで続いた可能性も全然あったように思う。

 

「ハッピーエンドなんだけど最終決戦でグリントは仲間を守るために無茶して帰って来れないんだよな……」

 

単行本加筆でラストシーンに人影だけ追加とかあっても良かったよなあ……、などとも思わなくもないが、そこは作家さんの判断だ。

俺からはどうにもできない。

そういえば、この作品にはもう一つ気になっていたところがあった。

 

「カレンダーの件」

 

熱心なファンだったので単行本を読み返すうちに気づいたのだが、この作品では毎話かならず日付が何らかの形で描写されている。

基本的にセリフではなく、あえて絵の形で。

新聞の日付とかスマホの待ち受け画面とか時計の表示とかパターンは複数あるのだが小さなコマでさりげなく。

 

そして、そんな中で1話だけ日付の描写の無い話数がある。

 

「やっぱり月の形がおかしいよな……」

 

その話は夢の中の話で最初に明示された夢オチなのだが、演出などもかなり凝っていて作品全体から見ても独特の雰囲気があった。

先に触れたように作中では日付が描写されていてそれに合わせる形で夜のシーンは月の形が変わっているのだが、前の話と次の話から逆算するとこの話の月の形は本来逆なはずなのだ。

夢の中の話だから、と言えばそれで終わってしまうが、考察としては気になっていたところでもある。

これを作品紹介にぶら下げておくと面白いかもしれない。

 

 

能力にその考察が合っているかどうかはあえて確認しなかった。

それは形にされなかった以上、先生の内心がどうであれ終わった話だ。

ただ、だからこそ示された材料から考えることも許される気がしたのだ。

 

 

能力と壁打ちしながら紹介文を練り、投稿したところで次の3時間パックの料金が発生しそうになってきたので帰ることにした。

 

 

 

 

 

買い物を済ませて帰宅して、夕食の準備をしていつも通りご飯を炊いている間に風呂に入る。

昼食はプロテインバーだけで済ませたのでお腹が結構減っている。

 

鶏むね肉の照り焼き、レンジで蒸した温野菜、味噌汁。最近良く作るメニューだ。

 

「経費で落ちるならネカフェ行って週1で漫画読みタイム作りたいな~。

リーマン時代の癖で土日を休みにしてたけどどっちかずらしてもいいな。

あーでも株は平日だけか。今日みたいにPC持って株だけやって半休みたいな感じでもいいか」

 

そんなことを考えながら、メインのPCを付けて動画でも見ながら食べようかと思ったが、その前に投稿がどれくらい伸びたか確認。

 

「ほわ!?」

 

アカウントを開いて飛び込んできたのは、万バズと、ケイリーの作者芦谷先生によるリポスト。

そして、投稿したポストについた「祝アニメ化!」というコメントで思わず声が出た。

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