城壁の上で盾と槍持ちの亡者と相対した時、不意に羽音が聞こえて振り返ると、ドラゴンがいた。
ぶわっと、鳥肌が立ち、嫌な予感というか、危険を感じ、俺は全力で走りだし、見えていた階段に飛び込んだ。直後、ドラゴンが火を吐きながら城壁上を飛び、その場にいた亡者を焼き尽くした。
「あっつっ!」
慌ててエスト瓶をあおり、傷を癒す。様子を確認しに階段から、そっと、頭をのぞかせる。
城壁の上に陣取ったドラゴンが、警戒するように首を巡らせていた。もしかして、ここは俺の縄張りだから、侵入者は殺す! ってことか?
階段下を見ると、先へと続いている様子だ。こちらから行くとしよう。仮面ライダードレッドになれば、真っ向からドラゴンが相手でも立ち回れるだろうが、戦闘が回避できるなら、レプリスチームライナーを温存したい。
下へ下へと続いていく階段を降りると篝火があった。
そこに座り一息つき、エスト瓶を回復させていると、あの、レプリスチームライナーを錬成した時の感覚がした。
「いけるのか?」
エスト瓶を取り出し、手をかざして詠唱する。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」
『サスケマル…』
まさかのサスケマル…ドレイン枠だが、どんな効果かわからん。でも、新しい錬成できるようになったのは、心強い。
「よろしくな」
『スチーム…』
『サスケマル…』
俺が努めて明るく声を掛けるも、二体の返事に活気がない。すんごく、テンションが下がります。
外に出てみると、どこか見たことのある景色で、向かってみると、あの商人がいた。
「おう、あんたか」
「よう、あんたから買った投げナイフ、思ったよりも使えたよ」
「そいつぁ何より、また何か、買っていってくれ」
商品を見せてもらい、不死院にて即興で作った盾が大分ガタついてきたので、いい感じの盾と投げナイフを購入した。
「またのお越しを」
独特な笑い声を上げる男に、背を向けて歩き出す。
あんな笑い声をあげて、亡者たちは、反応しないのは何故だろう? 今度会う機会があれば聞いてみるか。
城壁まで戻ってくると、まだドラゴンはいた。
壁の影から顔を出して覗くと、ドラゴンはそれを目ざとく見つけ、炎を吐くモーションに入った為、慌てて首を引っ込めて距離を取った次の瞬間、炎が吹き荒れた。
腰にドライバーを装着した。
「行くぞ、スチームライナー!」
『スチーム…』
ヴェヴェルセッターにレプリスチームライナーケミーカードを
― STEAMLINER ―
『スチーム…』
おどろおどろしい待機音が鳴り始める。
レプリスチームライナーをドライバーに差し込むと、待機音が変わる。両手を胸の前でパンっと音を立てて合わせ、手を前に突き出しながら両方の親指と人差し指で三角形を作り、力ある言葉を口にした。
「変身!」
通路に出てドラゴンが、ブレスのモーションに入るのを見ながら、ネクベトヴォーグを掴んで開く。
― DREAD 零式 ―
ドライバーから身体から黒い霧に包まれたレプリスチームライナーと焔が顕現し、レプリスチームライナーが俺の周りを走り回って炎から俺を守る。焔が俺の身体を包み同時に黒い霧を纏った骨が全身に巻き付き、仮面ライダードレッド零式に変身し、ドラゴンの顔面に拳を叩き込んだ。
殴られたのが信じられないのか、ドラゴンは、殴られたまま呆然としていた。なら、そのまま呆然としていてくれていい。ドラゴンの首を抱え、背負投げの要領で、城壁に叩きつけた。
ダメージに、ドラゴンが悲鳴じみた鳴き声を上げる。
「どうした? 情けない声あげるなよ、それじゃぁ、ドラゴンじゃなくて羽のついたトカゲじゃないか」
俺の言っている言葉が、理解できたのか、目に明らかな怒気が込もり、長い尻尾が振るわれる。脇腹に直撃した。
「がっ!?」
ああ……今俺、調子に乗ってた。仮面ライダーの力に酔ってた。
恥ずかし過ぎる。床を転がり、壁に叩きつけられた。
追い打ちをかけるように放たれた炎を跳んで躱す。そこに再び尻尾が襲ってくるが、肘と膝で挟んで受け止め、そのまま挟み潰す。尻尾が落ちてまるで地切北トカゲのしっぽのように蠢いていた。
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
ダメージにもがくドラゴンを見下ろして、ネクベトヴォーグを閉めて開いた。
― DREAD BREAKING ―
右足に破壊のエネルギーが集まっていく。
「驕った自分に気付けたことには感謝してる。じゃあな」
高く跳び、右足を突き出して、ドラゴンに急降下する。
腹を打ち抜かれ、ドラゴンは、爆散した。
息を吐き、変身を解除すると、色褪せたスチームライナーが排出された。
「あれ?」
自分の身体が、人間のモノではなく、また、干からびた亡者的なモノになっていることに気が付いた。俺自身にもドレッドドライバー使用後の副作用があったらしい。
近くの篝火の場所を思い出しながらドラゴンが爆散した場所を見ると、剣が突き刺さっていた。
しばし考えてから、現在使用している剣と混ぜる事にした。
それから気がついた。ドラゴンの尻尾が転がっていた。
「ドラゴンのテール肉……」
最寄りの篝火にあたって人間に戻り、ソラールのいた所に走るも、彼はもう旅立っていた。次に、商人のもとに走った。
「イヒヒヒ、あんたか」
「単刀直入に聞く。塩とコショウはあるか?」
「は?」
「近くで飛び回ってたドラゴンを倒したら、テール肉が手に入った! 分けてやるから、調味料を寄越せ!」
「近くを飛び回ってたって……あのヘルカイト!? イイヒヒヒっ! コイツはたまげた! あのヘルカイトを倒して、しかも食うのか! コショウはないが、塩ならあるぜ、それもちょっとばかしいい塩だ」
「でかした! 焼くぞ!」
なかなかの量だったが、半分以上食った。想像以上に美味かった! 気分がいいと商人がタダで酒まで出してくれた。
食べきれなかった分は、商人に譲る代わりに、今後、来ることがあれば、優遇してくれるらしい。
しまったドラゴンのテール肉に気を取られて、質問するのを忘れていた。
商人曰くヘルカイトとかいうあのドラゴンが乗っていた塔に入ったが、上に続く道も、どこも封鎖されているが、見れば、レバーがある。何かあったら怖いので錬金術で通れるようにする。亡者たちを蹴散らしながら、進んでいく。途中、ドラゴンじゃないけど、でっかい獣がいたけど、まっすぐ突っ込んできたので、壁から無数のトゲを作り、そこに突っ込むよう誘導したらあっさりと串刺しになって死んだ。
上がって下がって狭い場所で遭遇した亡者を錬金術で操作した壁で押しつぶしたりしながら進んでいくと、金属を打ち付ける音が聞こえた。警戒しながら覗くと、屈強な男が、多分、剣を作っていた。鍛冶師だろうか?
「よぉ、新顔だな」
顔を上げた男と目が合った。どうやら、俺の覗き見スキルは大分低いらしい。
「俺はアストラのアンドレイ。見ての通り、鍛冶話なら、力になれると思うぜ、どれ、そいつを見せてみろ」
有無を言わさず、俺から剣を取り上げ、様々な角度から剣を観察する。
「よくこんなもんで、ここまでこれたもんだな」
何度か、亡者の武器を使って修理してきたが元は錆びた鉄格子だ。それに修理に使った武器も長らく整備されていないような亡者の武器だ。無理をさせてきた自覚はある。正直ここまでこれたのは、錬金術のおかげと言っていいと思う。
「ソウルこれくらいで修理してやる。でもって、これくらい出せるなら、強化もしてやろう。もっと払えるなら、こいつをさらに上の段階に上げてやってもいいぞ」
しばし考える。
「じゃあ、修理だけ頼もうかな。あっ、盾も頼む」
「何だつまらんな、ケチってたら、その代償はあんたの命で払うことになるぞ」
金払いの悪い客への文句ではなく、真剣な忠告だった。
しばらく待ってろというので、近くの部屋で錬金術でセーフティゾーンを作って休む。
一眠りして爽快な気分で、アンドレイのもとに行くと、剣の汚れを落とし、研ぎ、見違えるような状態になった剣と大分ボコボコになっていたのが嘘のような綺麗な盾を渡された。
「どうだ? 箔付けにでも紋章でも刻んでみるか? こんな風のな」
そう言ってなかなか凝ったデザインの紋章を見せてきた。
「へぇ~、カッコイイな」
しばし考え、思い出した仮面ライダードレッドのライダーズクレストを書き出した。
「じゃあ、これで頼む!」
「これまた、変わった紋章だなぁ……いや、やってやるから、そんな目で見るなッ!
……コホン、死ぬなよ。関わったやつの亡者になった姿は、見たくねぇ」
礼を言い、アンドレイに別れを告げた。
足取り軽く進んでいると、城門の前でタマネギみたいな鎧を纏った奴がいた。
「ウムムムムムム…」
考え込む様に唸っているってことは、亡者ではないということだな。ってことで話しかけてみた。
「何を悩んでいるんだ?」
「ム? お、おおっ! すまぬ、考え耽っていた。私はカタリナのジークマイヤー。実は、少し難儀しているのだ」
「難儀?」
「ウム、そこの門が、どうしても開かなくてな。もうずっと待っているのだが…どうにもならん。だから、ここに座って思案している。悩んでるんだよ! ガハハハハ!」
「いや、待ってるだけじゃなんの解決にもならんわ! 行動しろよ、行動を!」
思わず、ツッコミを入れてしまった。
「だが、開けようとここを離れた時に、門が開いたらどうするのだ?」
「他力本願か!」
これ以上話してもしょうがないと判断し、その場を離れた。
俺も、あの門の中に行く必要があるから、門を開けるわけだが、あそこでのんびり座っているだけのやつが、俺の努力を享受すると思うと、なんかムカつく。
しばらく彷徨っていたら、礼拝堂みたいなところに着いた。と思ったら、フルプレートでタワーシールドとモーニングスターを装備した巨漢の騎士がいた。向かってくるので、錬金術で足元にボコッと穴を開けて転ばせ、起き上がる前に背に乗り、首に向かって剣を振り下ろす。怖いくらいスムーズに刺さった。アンドレイ、マジいい仕事してくれたわ! 礼拝堂の奥に行くとなんとエレベーターが、このまま一気に上に行けると思ったら、急降下。
一気に降りて、多分、クソ鴉に連れてこられたスタート地点近くまで戻されたと思う。
なんとなく見たことある地形を歩いていくと、やっぱり、あのストーンサークルがあった。
「よぉ、ビビって帰ってきたのか?」
「エレ…ンン、昇降機に乗ったらここに帰された」
「エレベーター? 不死教会からここまで、そんなもんが繋がってたのか、初めて聞いた」
うぉいぃ! せっかくこっちが、世界観に合わせて言い直したのに、エレベーターで通じんのかぁい!
「ま、まだ挑むにしても諦めるにしても、一休みついでに、ここの下に火防女がいるから、挨拶でもしといたらどうだ。舌を切られているらしくて喋れないがな」
火防女? う〜ん、ここ数年、まともな女を見てない。もしかしたら、亡者として相対していたかもしれないが、あんなん、人として認識出来ないし、何より、アレを女と意識できたら、俺は人としての人生に絶望して亡者になるだろう。
ってことで、目の保養の為に、下に行ってみる事にした。
牢屋の中に顔を隠した女性がいた。フム、出るとこは出て引っ込むところは引っ込んだ素晴らしいボディだと思います。顔は隠れててわかんないけど。
「こんにちは?」
「……」
わずかに顔を上げるも、それ以上の反応がない。年単位でグロいのかムサいのばかり見てきたので、ついつい、体を見すぎてしまって不快感を与えてしまったのかもしれないな。
「えっと、ごめんなさい?」
「…」
火防女さんは、ゆっくりした動作で格子の方までやってくると、俺の腰に下げた木箱を指さした。
中身を取り出して見ると、エスト瓶に反応した。
「これ?」
「…(頷く)」
格子の前にエスト瓶を置くと、火防女さんはその前で手を組み祈り出した。
エスト瓶の色が明るくなったというか、光っているようにも見える。
「強化してくれた感じなのか?」
「…(頷く)」
「ありがとう!」
感謝を告げると火防女さんは、顔を伏してまた、楼の奥へと引っ込んでいってしまった。
お礼がしたいが、舌がないそうなので、食べ物はないな…あ、商人から買ったお香を取り出した。
「こんなのしかないけどよければ。また来るから」
「…」
お香を置いて、立ち去る。
焚かないのかって? 火防女さんが不快に感じるかもしれないだろ。火防っていうくらいなんだし、きっと、火くらい使えるだろうから、試したくなったら、自分で焚くだろうさ。
不死都市への道を再び進み、途中、商人のもとを立ち寄る。
「おう、よく来るな。また買っていってくれ」
「ああ、お香に他の種類はないか?」
「あ? お香?」
「退屈そうな場所にいる女の人にな」
「イヒヒヒ、色気づきやがって……おふざけで置いてあるもんだ。もし、入荷できたら置いといてやるよ」
「わかった今度来る機会があったら頼む」
立ち去ろうとして思い出した。
「そういえば、あんたなんでここにいて平気なんだ?」
「イヒヒヒ……今更かっ、ちょいと聖職者の知り合いがいてな、結界? みたいなもんが張られてんのさ。ただしこの場所のみだ」
「へぇ~」
疑問も解消したし、先へ向かうことにする。脇道を見つけて行ってみると、デカい剣と盾を持った屈強な騎士がいた。狭い場所での戦闘なんてハイリスク過ぎるので、慌てて逃げると追いかけられた。
広い場所まで逃げ、錬金術で近くに有った石像を動かして攻撃する。突然動き出した石像に驚いている所に一発くらわれたが、攻撃されたことご気に入らないらしく、こちらに向かってより苛烈に襲いかかってきた。
ドレッドへの変身が脳裏をよぎるも、まだ、早い気もする。
攻撃をかいくぐり、必死に距離を取って錬金術発動!
落とし穴で転ばせ、剣を突き立てようとするも、ジタバタしやがって失敗。
狭い場所に誘い込んで圧殺しようとするも、石壁破壊。
最後は落とし穴を作り、騎士がそんな物もう、利かんと言わんばかりに乗り越えて踏み出す辺りの足場を崩壊させて倒れたところを即興で作ったハンマーを何度も叩きつけた。
いやぁ、強敵でしたね。変身とまだ行けるの思考が交互に来たよ。
先へ進むと、マントをたなびかせた騎士が普通に出てくるようになった。騎士たちを殺ったと思ったら、今度は司祭っぽいやつ、司祭っぽいやつを殺ったと思ったら、今度は大量の剣を持った裸盲者軍団。長椅子とか錬成して俺に向かって殺到してくる裸盲者軍団の横っ腹から突っ込ませて跳ね飛ばした。その後、一体一体、とどめを刺して回りましたよ、後で起き上がって追いかけてこられても迷惑なので。
細い通路を延々と進んでいくと、牢獄に出た。また、見た目麗しい方が! なぁんて期待してたら、おっさんでした。
「ん? 貴公、まだ、人間だな?」
「まぁ一応、そのつもりではいるが?」
「では、話は早い。助けてくれないか? 見ての通り、閉じ込められてどうしょうもないんだ」
ただでさえ、おっさん率の高い世界におっさんを解き放ってよいのだろうか? そんなことをしばし考えてから、錬金術で鍵を開けた。
「ありがとう、助かった。私はカリムの騎士、ロートレク」
「礼よりもお礼を」
「図々しいな貴公。生憎と今は持ち合わせがない。礼は後ほどさせてもらうよ」
早まっただろうか?
万が一にでも礼というのが、嘘だった時は、ドレッドに変身することも辞さない。
「ッ! 背筋に寒気が…」
身震いするロートレクを放置して歩を進めていく。
はしごを上がって上がってと、上に向かうと屋根に出た。ちらりと横を見ると、悪魔のような石像、ガーゴイルがいた。ホラーと定番から考えて、動くだろうなぁ……先手必勝、錬金術発動! ガーゴイルは可愛いウサギさんになりました。
ゴールの鐘は見えた。まだ、ガーゴイルとは別のボスが現れる可能性があるので、ドレッドドライバー装着。
屋根を進むこと数歩、鐘のある塔に設置されたガーゴイルが動き出した。
「そっちかよ!? 行くぞ、スチームライナー!」
『スチーム…』
ヴェヴェルセッターにレプリスチームライナーケミーカードを
― STEAMLINER ―
『スチーム…』
おどろおどろしい待機音が鳴り始める。
レプリスチームライナーをドライバーに差し込むと、待機音が変わる。両手を胸の前でパンっと音を立てて合わせ、手を前に突き出しながら両方の親指と人差し指で三角形を作り、力ある言葉を口にした。
「変身!」
様子を窺うように、周囲を飛び回っていたガーゴイルが、一斉に突っ込んでくる中、ネクベトヴォーグを掴んで開く。
― DREAD 零式 ―
ドライバーから身体から黒い霧に包まれたレプリスチームライナーと焔が顕現し、レプリスチームライナーが俺の周りを走り回ってガーゴイルを跳ね飛ばした後、焔が俺の身体を包み同時に黒い霧を纏った骨が全身に巻き付く。
体を作り替えられるような痛みと高揚感に包まれて俺は、仮面ライダードレッド零式へと変身した。
「殲滅する」
ハルバードを振りかぶって向かってくるガーゴイルの一撃を掻い潜り、拳を叩き込む。
一撃14.2tのパンチが、ガーゴイルの顎を砕く。
「ッ!?」
気配を感じて追撃を断念し、横に避ける。もう一体のガーゴイルが長い尻尾を振り下ろしてきていた。
俺が離れた隙に、顎を砕いたガーゴイルは飛んで俺から距離を取った。
そこから、火炎放射や建物の一部を剥ぎ取って投げつけてくる徹底的な遠距離戦法。
「クソ、無機物のクセに、頭使いやがって!」
『サスケマル…』
炎を避けて瓦礫を砕いていると、レプリサスケマルが、出てきた。
「自分を使えって?」
『サスケマル…』
頷いたような気配があった。飛んできた瓦礫を蹴り砕き、サスケマルを手に取った。
ヴェヴェルセッターにレプリサスケマルケミーカードを
― SASUKEMARU ―
レプリスチームライナーを差し込んだ場所の隣、コンススティラーにレプリサスケマルを挿入する。
― DRAIN ―
大きな手裏剣が手の中に出現した名付けるならブラッディSMだろうか?
『サスケマル…』
「大丈夫って…わかった、信じる」
大きく振りかぶり、手裏剣をぶん投げる。
「そういうことかい!」
顎が……顎がくだけたのをガーゴイルA、あとから出てきたのをBとする!
ガーゴイルAの羽をばっさりとが斬り落とし、手裏剣が手元に戻ってくる。ガーゴイルAはバランスを崩して俺の目の前に落ちてきた。
「やぁ、待ってた、よっ!」
渾身の力を込めて、ガーゴイルの顔面を砕く、流石、石の化物、頭が無くなったくらいじゃ止まらない。
バックステップしつつ、ネクベトヴォーグを閉じて開ける。
― BLOODY REIGN ―
エネルギーを纏って光るブラッディAMを振りかぶって投げる。ブラッディSMは、俺の手を離れた直後、無数のエネルギーの手裏剣に分裂し、ガーゴイルAの体に突き刺さっていき、覆い尽くし、爆散した。ブラッディSMが俺のもとへと跳んでくるのをキャッチする。
続いて、ガーゴイルBだ。
攻撃してこずにこちらの様子を窺っているようだ。なのでブラッディSMをぶん投げる。警戒されている上に身構えていたんだから、当然、躱す。でも、それでいい。
俺から一瞬でも気をそらすことが目的だったから。
「ッ!?」
ガーゴイルBは、姿が見えない俺に、慌てて周囲を見るが、そこにもいない。
影がガーゴイルBにかかってようやく顔を上げ、俺の位置に気がついたようだがもう遅い。
移動先でキャッチしたブラッディSMを投げ、ガーゴイルBの羽を斬る。屋根に落ちたガーゴイルBは槍を構えて突きを放つ。ブラッディSMで受け流し、そのままガーゴイルBの下をスライディングで通り抜けながら、再びネクベトヴォーグを閉開する。
― BLOODY REIGN ―
手に持ったままの手裏剣でガーゴイルBの尻尾を斬り、その背中を蹴って天高く飛びながら、エネルギーを纏ったブラッディSMを投射する。無数の手裏剣がガーゴイルBに突き刺さり、本体が俺の手元に戻ると同時にガーゴイルBは爆散した。
仮面ライダードレッドの跳躍力は14.2m、数m浮く程度のガーゴイルよりも高く跳べる。最初から跳べば、遠距離戦を強いられることなどないと思われるかもしれないが、向こうは、俺ほど高くないが自由に飛べるのに対して、こちらは跳躍したら着地まで方向転換ができない。
一回だけなら、虚を付けるだろうが、二回三回とやれば、対策される。ましてや複数相手なら狙っていないもう片方からの援護がある可能性が高かった。
さてと、残りのガーゴイル像が動き出しても困るので、ブラッディSMを投げる。とりあえず首を吹き飛ばすも動く気配はない。
「ふぅ……お疲れ様、スチームライナー。サスケマルもありがとな」
『スチーム…』
『サスケマル…』
変身を解除すると、レプリスチームライナーとレプリサスケマルのカードが、色あせた状態でドライバーから排出された。どうやら、ドレインされたカードも失うことはないらしい。