適当に見つけた篝火で身体とスチームライナーを戻し、不死都市まで戻ってきた。
「よぉ」
「イヒヒヒ、あんたか、まだ生きてたのか」
「下層に行ってキモいドラゴン倒してきた」
「そいつはまた……ああ、あんたに頼まれてた香、手に入ったぜ」
「そっか、ありがとな」
「イヒヒヒッ」
減ってきた投げナイフとお香を購入し、商人の場から離れた。
ストーンサークルの方へと向かうと、男が立っていた。
「おお、君か。あの時は不甲斐ないところを見せてしまったな」
突然話しかけられたんだが、こいつ誰だっけ?
「まぁ、お互い無事で何よりだ。それはそうと、君、魔術を学ぶ気はないか? 才能もあるようだし、助けられた恩も返しておきたい」
ああっ、倉庫に閉じ込められてたやつか! やっと思い出した。
「もちろん、それなりに素材は必要だが、簡単なものなら私でも教えられる。興味はないかい?」
「う〜ん、ないな」
だって、錬金術あるしな!
「そうか、それは残念だ。だが、もし、気が変わったらその時は…」
「ああ、その時は頼むよ」
俺に与えられたのが、ウィザードだったら、喜んで聞いていたかも? いや、魔術形態が違いすぎるな。
「最後に“ビッグハット”ローガンの名を聞いたことはあるか? 偉大な魔術師であり、私の師でもある方だ。
不死として共にこの地にやってきたのだが…ある時、書き置きだけを残して、一人で行ってしまった……
未熟な私を危険に伴わない配慮だったのだろう。だが、それではあまりに不甲斐ないじゃないか。
これでも私は、ずっと必死に魔術を学んできた」
なんで、俺はコイツの泣き言を聞かされているんだろう? きっと師匠ってやつも、この、自分に酔っている姿がウザく感じたのではないだろうか?
「それで、あんたはどうしてほしいんだ?」
俺もウザくなって結論を求めた。
「師を見かけたら、教えてほしい」
「ああ、見かけたらな」
師とやらには、探されていることを教えた上で、居場所を言っていいか確認しよう。もしかしたらこいつ、面倒なストーカーかもしれないし……
話を切り上げてその場を離れると、また別のやつに声をかけられた。
「おお、あんた、無事だったか。こっちもなんとか無事さ。俺には大沼の呪術があるから、油断さえしなけりゃ、なんとかなるんだ。おお! そうだ、あんたになら呪術を伝授してやってもいいぜ。あんたには素質がある。材料さえあれば、なんとでもなるからな。俺の感謝の気持さ。
もしかして、あんたも、呪術は気持ち悪いって口のやつか?」
びっくりだ。今世の俺、魔術や呪術の才能があるそうです。
……俺強え!のなろう系かな?
「う〜ん…今身に着けている力ですら完璧じゃないのに他のものに手を出すとか、上手くいく気がしない。だから、辞めとく」
「そうか…気が変わったら、声をかけてくれ。俺はしばらくここにいるつもりだ」
残念そうだが、さっぱりしてくれているところには、好感が持てた。
ストーンサークルの篝火で一晩休み、火防女さんに、お香を渡し、次の場所を目指して旅立った。
下層まで最短ルートで走破し、固く閉ざされていた門を開け放ち、もう一つの鐘があるという、病みの村とやらへと続くハシゴを降りた。降りて早々に、ガーディアンとかほど大きくはないが、ズングリしたヤツ……オークと呼ぼうかが、こん棒を手に襲いかかってくる。
振り下ろされる棍棒を躱して剣を突き立て、斧で頭をかち割る。オークの次は、所々体が膨れて爛れた……何らかの病気にかかったような亡者が襲いかかってくる。
切った後の飛沫が怖いので、通路から蹴り落とす。
なんか、ここの亡者たち、俺を殺して人間性を得ようとしているっていうよりも、自身の病を俺にも移そうとしているように見えた。病が亡者を乗っ取って体を動かせているのかもしれないな。
下へと降りていくごとに、段々と異臭が鼻につく。
不死街のにおいが良かったって訳では無いが、漂ってくるのは、汚物のような臭いだった。
篝火を発見して傍に行って当たるんだが、篝火のそばでは、異臭はしない。まるで、浄化してくれているようだった。
ずっとここにいたい、臭いから帰りたいと思うも、やり始めてしまった以上、途中半端にはできないと、立ち上がった。
オークに亡者、さらにプラスして火を吐くゾンビ犬に壁に張り付いた変な虫とかが出てきた。あまりのウザさから、錬金術で足場を崩壊させて、全部落としてやった。
俺は梯子を使って安全に、降りていくと今度は、人間大の虫登場。
殺虫剤を用意しておくべきだったな。とりあえず、錬金術で即興の火炎放射で焼き尽くす。どうやら虫自体も火を吐けたらしい。で、火を出す燃料が体内にあったってことで、連鎖的に爆発の連続。足場崩壊。錬金術がなかったら俺も巻き込まれてたな。
ブンブン飛び回るデカい羽蟲を叩き切りながらゆっくり降りると、明らかに入ったらヤバそうな地底湖が広がっていた。錬金術を使い、足場を確保して進む。巨大ヒルがうねっていたので、焼却しながら進んでいると、大岩を転がして向かってくるオークがいた。落とし穴を作ると、岩が穴にハマり、盛大にオークはズッコケ、その後頭部に斧を振り下ろした。
途中、篝火を発見して、火にあたる。
不意に、あの、レプリケミーカードを錬成できそうな感覚を感じ、俺は詠唱していた。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」
エスト瓶がケミーカードに変わる。
『バーニング…』
誕生したのは、レプリバーニングネロだった。
「よろしくな」
『バーニング…』
そんなことをしつつ、先へ向かうと、何かの巣だろうか? 虫が作りそうな巣のようなものがあった。
嫌な予感はするが、入らないわけにもいかなそうなので、入ってみる。
開けた場所に出たかと思うと、奥の階段から炎を纏った巨大な蜘蛛が現れた。それもただの蜘蛛じゃない! 蜘蛛に綺麗なお姉さんの裸の! 裸の上半身がくっついていた。
「なんでさああああっ!!」
綺麗なお姉さんが出てきて欲しいとは言ったけど、クリーチャーでなんて欲しくねぇよ!
とりあえず、アラクネと呼ばせてもらおう。
「変身!」
― DREAD 零式 ―
巨体に見合わないスピードで突っ込んでくるアラクネを躱しながら、その足を蹴り砕こうとするも、人の上半身が手に持つ炎を纏った剣を振り回してくる。その上、蜘蛛の口からはマグマが吐き出される。
「アッツイ!」
ドレッドに変身しているから熱いで済んでいるが、生身だったら、たとえ不死者でも、死ぬだろう。いや、死に続けて亡者になって、それでも死に続け不事になるだろう。
100mを6.1秒で駆け抜ける走力と10m超えの跳躍力を武器にアラクネを翻弄し、足を蹴り砕こうとした。
まず一本! そう思った直後、アラクネが爆発した。いや、正確には、全方位に熱風を撃ち出した。
足への攻撃に意思を向けていた俺は、それをモロに受けて吹っ飛ばされていた。
「ぐぅっ!」
壁に手を付いて立ち上がった俺にアラクネが突っ込んできて壁とアラクネに挟まれた。
「ぐあああっ!?」
骨が軋む嫌な音が、自身の身体から聞こえる。アラクネが、剣を振りかざしたのが見えた。
「こんなところで!」
振り上げた腕を振り下ろし、アラクネの蜘蛛の方の頭に肘を叩き込んだ。
そのダメージに怯み、僅かにできた隙間から脱出する。
距離を取ってアラクネを見据える。鼻の下伸ばしている余裕なんてとっくにない。使えるケミーカードは2枚…
『バーニング…』
名乗りを上げたのはバーニングネロだった。
『耐熱性の強化か』
俺はバーニングネロを掴もうとしたが、バーニングネロが勝手にネクベトヴォーグを閉じてヴェヴェルセッターに自らを
― BURNINGNERO ―
そして、スチームライナーに重なるようにドライバーに飛び込んで行った。
「マジか…」
まさかのオリジナルフォーム……こんなタイミングでなければ、喜んでいただろう。
ネクベトヴォーグを掴み開いた。
― DREAD 炎式 ―
体から炎が上がり、全身にファイヤーパターンが浮かび上がる。
マフラーが無くなり、代わりのように両腕の装甲が肥大化して前腕部に、なんか、車のマフラーみたいのが出来ていた。
「いきなり実戦で試す…か……いや、これまでもずっとそうだったわ」
こちらの様子を窺っていたアラクネが飛びかかってきたのに合わせて、拳を振りかぶり、繰り出す。直後、マフラーみたいなのから炎が噴き出し、パンチを加速させた。
「どわぁっ!?」
予想外の機能に振り回されて、アラクネの下をヘッドスライディングで滑り抜けてしまった……恥ずかしい。
この、マフラーみたいなのって、もしかして、ブースターなのか?
引き出されているバーニングネロの力を俺が上手く使う……改めて、フォームチェンジをぶっつけ本番でやってその性能を引き出して戦って勝っていたライダーたちはスゲェと再確認し、パンチを繰り出す。加速のタイミングは、たぶんわかった。
今度は、加速した拳で蜘蛛の足を粉砕した。
アラクネは、悲鳴を上げて俺を弾こうと全方位に熱風を放つが、熱耐性が上がっているらしい俺には利かず、腕を曲げてブースターをアラクネに向けて、炎を点火、その勢いで風を無効化し、逆に熱風を出した事で疲弊したアラクネを持ち上げ、投げ飛ばした。
片側の足がなくなり、身動きが取れない身でありながら、威嚇するように女の上半身は炎の剣を振り回し、蜘蛛の口からはマグマが吐き出される。そのマグマに向かって歩きながら、俺は、ネクベトヴォーグをつかんで閉じる。
俺の全身に火が付く。赤い炎は黄色に変わり、白く、そして青となる。マグマさえ燃やす炎を上げて進んでくる俺にアラクネが剣を振り下ろす。それを片手で止めて、逆の手でネクベトヴォーグを開いた。
― DREAD BREAKING ―
炎が腕に集まり、まっすぐにアラクネの人と蜘蛛の接合部に叩き込む。腕の排出口からこれまで以上の炎が噴き出して、アラクネを打ち抜いた。
蜘蛛と人に分かれたアラクネの人の部分が這って俺に向かってくるも、途中で力尽き、灰となって消えた。
変身を解除して、飛び出してきたスチームライナーとバーニングネロを労い、アラクネが下りてきた階段を上がっていくと、鐘があり、その真下に操作用のレバー…
前回を反省して用意しておいた耳栓を装備し、いざ、レバーを動かす。
感覚の鈍る亡者の状態で、さらに耳栓までしているのに響く鐘の音にもがき苦しみながら、撤退していた為、来た道とは別の道を通ってしまった。敵と出会わなかったのはまさにラッキーである。元の道に戻ろうと思って歩き出そうとした時、自分が今いる少し開けた場所の壁の一部が一瞬、揺らいだ。恐る恐る剣でつついてみると、壁が消えて通路が現れた。
進んでみると、背中には虫の卵を産み付けられた男がいた。
「怪しいやつめ、お主、何者だ? 新しい従者か?」
いや、どう考えても、そっちの方が怪しいやつだろ。
心の中でツッコミを入れる俺の反応なんか気にせずに、男は話し続ける。
「ふん、卵も背負わぬ半端者が」
ここではその格好じゃないと、半端者なんですか……ずっと半端者でいいです。
「進んで姫様に見えるがいい」
通された場所には、篝火があり、体とケミーたちを戻す。ふと視線っというか、気配を感じてそちらを見ると、美人な女性の裸の上半身があった。でも下は蜘蛛で……また、アラクネかよ!
慌てて剣を手にするが、アラクネは動く気配はない。いや、動けないようだ。
「姉さん、来てくれたのね」
「いえ、人違いです」
「それ、エスト瓶? 強化すれば良いの? うん、任せて」
話を聞いてくださぁい。
何? この空間では、好き勝手話すのが正しいんですか?
「できたよ」
「えっと、ありがとう」
「ううん、姉さん、無理しないでね」
なんでお礼の部分だけは聞き取れるんですか?
……もういいや、行こう。
来た道を戻る。毒沼を錬金術で攻略して進んでいると、座り込んでいる人を発見し、声を掛けたらいつの間にか、弟子扱いされていた。なんで? よくわからん人から逃げるように離れると道を間違えたらしく木で組んで作られた塔のようなものを発見した。
おい…なんで、エレベーターまで付いてんだよ。
上がってみると、人間サイズの虫やオークが襲ってくるのを倒して進むと、渓谷に出た。
鴉航空強制便に揺られていた時に、見たところかもしんない。
通れそうな場所を通っていると、建物があり、中に入る。エレベーターを発見して上へ。う〜ん、なんか見覚えあるぞ。
そんなこと思いながら進むと、防火女さんがいる牢があった。ああ、ここに出たのかと思いながら、そろそろ夜も更けてきた頃だが、起きているのなら、一声かけようかと思ってて近づくも、気配がない。防火女どこかへお出かけ中だろうか?
牢の手前になんか落ちていたけど、防火女さんのかな?
上に上がり、篝火に当たろうとしたが、火がついてない。
事態に戸惑う俺に、あのくたびれた男が声をかけてきた。
「あんた、本当に2つの鐘を鳴らしたんだな」
「そっちがくれた情報だろう」
「ああ、だけど、本当にやっちまうとは……いや、本当にスゲェって驚いてんのさ。ただ、変なやつが出てきたんだ」
「変なやつ?」
男は心底不快そうに顔をしかめて、頷いた。
「声もイビキもでけぇし、しかも口は恐ろしく臭ぇし、笑えねぇよ」
男は、はぁ…と、大きくため息をついた。
「クソ、ここまで臭ってきやがる……ここは結構快適な場所だったのになぁ……」
フム…もしかして、病み村に行ったせいで、悪臭に慣れて今の俺、鼻が死んでるのか?
それから、ゆっくりと立ち上がった。
「あんたも、頑張ってるし、俺も少しだけ頑張ってみるかなぁ。あんたに、挨拶できたし、行くわ」
そう言って、歩き出そうとする男を呼び止めた。
「なぁ、下にいた防火女さんどうしたんだ?」
「ん? ああ……頭のおかしな奴が、理由のわからんこと言って、殺しやがった。この暗さじゃ、牢の中見えなかったか。明るくなったら確認してみな、死体が転がってるよ。
はぁ……防火女が死んだせいで篝火は消えて、臭いは漂ってきて、最悪だ……」
去っていく男を見送った。この暗い中、旅立ったんだから、相当参っていたんだろうな……
仮面ライダードレッド炎式…
身長・215.1㎝ 体重・224.4㎏ パンチ力・25t/55t(ブースター点火時) キック力・30t ジャンプ力・10m/25m(ブースター点火時) 走力(100m)・9.1秒
両腕前腕部にブースターが付き、パンチ力及び機動力を強化している。肘をまげて噴出口を相手に向けることで火炎放射としても使用できる。
外見イメージ…肩から先の両腕がバーニングゴリラ。全身の装甲にファイヤーパターン。