消えた篝火の前で夜を明かし、日の出とともに行動を開始する。
いやぁ、マジでイビキがヤバいわ。クソうるせぇ。対鐘用に用意しておいた耳栓が、役に立つとは思わなかった。
最初に、火防女さんの所に行ってみる。本当に死んでた……埋めたりとかしてあげたいけど、鉄格子がどうにもならなくて、断念する。何か手段を見つけたら、丁重に弔うことにしようと思ってたら、なんか黒い玉を見つけた。禍々しいが、火防女さんのっぽくもない。とりあえず、持っておくことにする。
さて、鐘を鳴らした影響は、あるのかを調べるか。
まず、この辺の人から……ソルロンドのペトルスが、仲間(男2女1)と会えたそうだが、俺なんかしたか? 女の子(お嬢様っぽい)……が俺の事、嫌ってるっていうか、避けられてる気がするんですけど。
まさか、臭かったとか? 夜の内に水浴びしたり、洗濯したんだけど……
女の子と縁がないということだろうか?
続いて他のやつに声をかけてみるが、特に変わりなし。
周辺を散策していたら、変なのがいた。なんかデカくて、人じゃないクリーチャー。
しばし考える。
うん、スルーしよう……なんか臭いし。そこそこ距離あるのに臭いし。
気を取り直し、一番変化があってほしい城門に行ってみることにするが、その前にアンドレイのもとに立ち寄り、武器の修繕を頼む。
で、ジークマイヤーがいた城門に着くと、門は開いていて、ジークマイヤーはいなかった。
あいつ、一切苦労しないで通れたと思うと、なんかムカつく。
門をくぐった直後、何か飛んできた。咄嗟に横に跳んで躱したけど、ヒヤッとした。ヘビの首と頭に人の体……ちょっと違うけど、リザードマンと呼ぶか…が襲いかかってきた。
足元に飛び込む。あんだけ視点が高いんだ、足元はお留守だろ? 脛に斧を叩きつけ、堪らず蹲った所に剣で首を落とす。
その奥には細い道に巨大な刃がゆらゆら揺れてる道があった。
「まるでSASUKE…」
『サスケマル…』
「いや、君の話じゃない」
錬金術で振り子を抑えて進むとやっぱり、道の途中にリザードマンがいました。こちらに向かってくるので、錬金術解除。
剣を振り上げたリザードマンが、振り子の刃が錆びてたみたいで、切られることなく、ぶつかり、底の見えない奈落へと落ちていった。10秒ほど待ってみたが、そこに着いた音が聞こえない。どんだけ深いんだ?
上からなんか、チリチリ、降ってくるなと思ったら、四本腕で頭がコブラなリザードマンが、魔法を放っていた。掻い潜って接近、思い切り剣と斧を振るい、腕を落として、下へと蹴り飛ばした。
息をつく間もなく、また、リザードマンが来たかと思ったら、転がって来た鉄球に潰された。
鉄球が来る方に進むか、鉄球が行った方に進むか……
まずは、行った方に行ってみることにした。
なんか見覚えのある玉ねぎのような鎧がいた。
このまま蹴り落としてやろうか?
「う~む、う~む……おおっ、貴公は何時ぞやの、再び見えるとは、驚いたぞ。
む、わかってしまうか? 実はまた難儀しているのだ。あの、鉄球ゴロゴロがな……
ほら、私は、少し、なんとなく、ちょっとだけ、太っているだろう? ゴロゴロが、速すぎるんだ。
だから、ここで思案している。また、何とかなるかもしれないだろう?」
聞いてもいないのに勝手に語るジークマイヤーに殺意を覚える。
ちょっとこいつ、ここから蹴り落としてもいいだろうか? いいよな? いいだろ? 少しくらい人の苦労を味わうべきだろ?
ガハハハと笑うジークマイヤーにさらに殺意を覚えるも、こいつも、不死者だし、やっても意味ないと思い直して立ち去る。
鉄球が来る方に行ってみると、鉄球を落とす方向を操作する場所に出た。
ジークマイヤーのためになることをやるのは、正直、気分的には良くないが、やらないと探索が進まないので致し方ないと、操作し、鉄球が落ちる方向を変えた。それで通れるようになった道を行くと、宝箱っぽい箱を発見。
……罠だな。錬金術で、宝箱のある床を勢い良く上昇させて天井に叩きつけた。なんか、うめき声が聞こえたので、何度も叩きつける。静かになったのを確認して、床を戻すと、宝箱から手足が生えていて、それがぐちゃぐちゃにひん曲がっていた。
罠は罠でもミミックかよ。
さらに探索を進めると、吊り下げられた牢のようなものがあった。こんな狭いんじゃ、座るのがやっとだな。
なんて考えてたら、声をかけられた。
「貴公、まさかまだまともな人か? 珍しい」
展示物みたいになっているやつに、珍しい物を見るような目で見られてます。なんだこれ?
「私はローガン、見ての通り、囚われの身だ。どうだ、貴公、私を解放してくれぬか?
只の老人、碌に礼も出来ぬが、私の知識、魔術ならば、教授出来よう」
「あ、結構です」
自分、自称ですけど、錬金術師なので。
「ここは退屈すぎる。もう飽き飽きなのだよ。頼む」
これまで何人か助けてきたし、この人だけ助けないのもアレだし。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」
錬金術で扉を開けた。
爺さんポカンとした顔で、俺を見てる。
「い、今のは?」
「錬金術です」
「いやいやいや、私の知っている錬金術と違う! アレは一体!?」
「錬金術です」
追いすがってくる爺さんをなんとか撒いた。あ、お弟子さんが探してましたよっていうの忘れた。ま、いっか……で、外に出ると騎士と出くわした。
問答無用に襲いかかってくる騎士を剣と斧で叩き潰し、爆弾を投げてくる巨漢を倒して行く。
途中で、篝火発見。ストーンサークルでちゃんと休めなかったからここで休む。一息ついたら、あの感覚があった。今度はどんなケミーが生まれるのか楽しみになりながら、詠唱する。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」
『ビー…』
誕生したのは、インセクト属性のナンバー8のカイザービーだった。働きバチみたいな姿だけどカイザー。
「よろしく」
『ビー…』
しっかりと休んでいざ出発すると、なんか偉そうな鎧のおっさんがいた。
「あ? なんだ? なんだお前は?
ああ! そうか、不死だな。無謀にもこのセンの古城に挑んだ」
「あ、この城、名前あるんだ」
「なんだ? この地の名すら知らんのか? まぁいい、どうせ、俺や、あの成れの果てたちと同じだ。過信した、自分の力を……」
過信できる力があればよかったんだけどな。ドレッド? デメリット有りきの力を過信できるほど、俺自身が強くないし。
「だが、言っても信じまい……したいのだろう? 悪あがきを……
ああ、わかるぞ。そうだった、俺もそうだった。
だから協力してやる。喜べよ、必要な物を売ってやる」
「いえ、結構です」
即答した俺に、おっさんは固まった。
「喜べ、必要な物を売ってやる!」
「だから、結構です」
「……」
「……」
「買えよぉ!」
「いらねぇって!」
「安くしてやるから!」
縋り付いてくるおっさんに、根負けして、適当に購入した。
「精々、足掻いてみせるんだな」
再び偉そうな態度に戻ったおっさんに、思わずため息が漏れる。
道と呼ぶには細すぎる通路を進み、渡り廊下のような場所に出たら、反対の端っこにいた鎧が動き出した。
また、騎士の亡者かと思ったら近づいてくる事にそのサイズがおかしいと気がつく。デカい。デカすぎる。
下半身に比べて発達しすぎた上半身。そのでかく長い腕が振るわれるのをあえて懐に飛び込むことで回避し、脛に斧を叩きつける。響き渡る音に違和感があった。
「空っぽ?」
脛に衝撃を受けたのにダメージを受けた様子のない巨大騎士はさらに斧を振る。ゴーレムってことだろうか?
ドレッドドライバーを装着し、スチームライナーとバーニングネロを手に取る。
― STEAMLINER BURNINGNERO ―
「変身!」
― DREAD 炎式 ―
明らかにパワー系の敵なので、こっちもパワー系でいく。
巨大な斧を振り上げるゴーレムに、こっちは拳を振り被り、振り下ろされる前に、拳を繰り出す。ブースターが点火されて加速した拳が、ゴーレムに当たるが、それでもゴーレムは怯まず、腕を振るい、斧で薙ぎ払ってくる。
広く見えるけど、それは外だからで、足場は決して広いとは言えない。その上、デカいゴーレムの動向に意識すると、視線が上ばかり向いてしまい、足元が疎かになって、転落のリスクが出てくる。
振り下ろされる斧を下がって躱し、次いでその斧を足場に駆け上がり、ゴーレムの顔面に炎を浴びせる。
「ないな」
ゴーレムの全身を見たが、“emeth”って書かれた札がないか探したけど、見当たらなかった。ゴーレムなら、“emeth”と書かれた札から“e”を取り除き、“meth”(死)にするとこで、機能停止するって聞いたことがあったから、戦いながら、探してみたけど、見当たらなかった。
地団駄を踏むような踏みつけに、振り下ろされる斧や拳を掻い潜り、攻撃を繰り返す。多分、ダメージは蓄積されているはずだが、よろけたり、攻撃された部位を庇ったりとか、ダメージが入っている様子を見せないのが、地味に精神的にくる。いつまで攻撃していればいいのか、本当に倒せるのか、そんな不安がよぎってしまう。距離を取り、一呼吸開けようとした時、ゴーレムが斧をぶん投げた。
咄嗟に躱すも、一呼吸開けようなんて考えたせいか、気が緩んでいたのかもしれない。伸びてきたゴーレムの手に掴まり、そのまま床に叩きつけられ、放り投げられた。
痛みと浮遊感。
腕のブースター点火。ダメだ、加速や一瞬の浮遊ならまだしも、落下を防ぐ出力はない。
DREAD BREAKINGを使う? ダメだ、チャージの時間が足りない。
どうする? どうする? どうする? どうする?
『ビー…』
「ッ!?」
カイザービーの声に、カイザービーのケミーカードを読み込ませる。
― KAISERBEE ―
コンススティラーにレプリカイザービーを挿入する。
― DRAIN ―
右腕に三叉の刃がついたフックショットのような物が生成され、それを撃ち出し、刃が壁に刺さり、落下が止まった。
「助かったよ、カイザービー」
『ビー…』
ゴーレムのいる所まで這い上がる。
追撃がなかったところを見ると、この渡り廊下だけが行動範囲ってことか。
再び、渡り廊下に降り立つと、ゴーレムが、襲いかかってくる。
振り上げた斧に向けてフックを打ち出し、ゴーレムの股の間を走り抜けてブースターを吹かして引っ張る。
斧を振り下ろす勢い+俺の引っ張る力で、ゴーレムは前転するようにひっくり返った。
倒れたゴーレムの上に駆け上がり、三叉の刃で殴りつける。
ガンガン叩くと、鎧がへっこみ、ベコベコになっていく。
大きく腕を振ってゴーレムは起き上がり、斧の刃一撃を見舞ってくる。それを真っ向から受け止める。
足が圧で沈んでいるのが分かる。だが、今の、スチームライナーとバーニングネロとカイザービーが力を貸してくれている今なら、行ける気がした。
「オオオオオオオオッ!」
ブースターを点火。
斧を押し返し、ゴーレムを殴りつける。
ついに、装甲にヒビが入った。
ネクベトヴォーグに手をかけ、閉める。
全身が燃え上がり、炎の色が赤からオレンジ、白、青へと変わる。
右腕を引き、深く腰を落とす。三叉の刃が高速で回転を始め、炎が右腕に集まる。
ネクベトヴォーグを開き、溜め込んだ力を解放した。
― BLOOD REIGN ―
ブースターを全開にしてゴーレムに突っ込む。
ゴーレムのボディを刃が、ギャリギャリと音を立てて削る。
ヒビが広がり、ついにぶち抜いた。
ボディに大穴を開けて、ゴーレムの背後に俺が着地すると同時に、ゴーレムが爆発した。
バラバラになったゴーレムは、パーツが集まりだして再生を開始したとかってことはなく、倒せたらしい。
「ふぅ〜、改めて礼を言わせてくれ、ありがとう。カイザービー」
『ビー…』
フックショット、いや、ブラッディKBだな。
頼もしい仲間ができて嬉しい限りである。
変身を解除し、飛び出してくるケミーカードをキャッチする。
ゴーレムの残骸を見て思いつく。そろそろ、俺の装備も新調するか。
ガッチガチな鎧はダメだ。ある程度軽装で、それでいて守るべきところは守れていないといけない。
……聖闘士星矢の鎧だな。主人公たちのランクである青銅聖衣は、確か最低限の部位を守っているって設定だったと思う。
よし、コンセプトが決まれば後はイメージだ。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」
完成した鎧は、まぁ、素人にしては良くできているんじゃないだろうか? 後でアンドレイの所に行って微調整をしてもらおう。
さて、先へ行こうかと思った時、ゴーレムの体の一部が砕けて光る輪が出てきた。それが何か、見てみようとしたら、突然現れた悪魔みたいなやつらに抵抗する間もなく拘束されて連れ攫われた。
「鴉の次は悪魔かよおぉッ!!」
ブラッディKB…そのまま殴ることにも使えるフックショット。
外見イメージ…G3のアンタレスの先端をデュランダルのカイジスピアにした。
鎧のイメージ…頭部:新生フェニックスのヘッドギア、胸部:新生アンドロメダ、肩部:初期キグナス、腕部:原作初期ペガサス、腰部:アニメ版初期ドラゴン、脚部:新生ドラゴン)