悪魔たちは、半日飛び続けて俺を適当に投げ落とすとどこかへ飛んでいった。
連れてこられた先は、なんか、壮大な神殿? 城? だった。
宛もないので、適当に歩き回っていると、篝火を発見。
休ませてもらおう。
篝火のそばで腰を下ろして、自身とケミーたちを戻し、一息つく。
なんか、部屋の壁に腕を組んで、カッコつけたポーズでいる女騎士っぽい人がいるけど、話しかけずに立ち去ろうとしたら、声をかけられた。
「ほう…久しぶりの巡礼者か。棄てられたアノール・ロンドへようこそ、不死の勇者よ」
「いえ、悪魔に攫われてきた、只の不死者です」
「は?」
俺の返答に女騎士さん困惑気味だ。
「不死者の使命でここに来たのではないのか?」
「なんか使命を知る為に、2つの鐘を鳴らせって言われて鳴らしましたけど、使命なんて分からなかったし」
「フラムトから聞いていないのか?」
「誰?」
女騎士さんは天を仰いでから、大きく息を吐きた。
「ここを出て真っすぐに進め」
「なんで?」
「いいから! 大王グウィンのかつての城館がある。貴公が、本当の勇者ならば、天啓を得ることも適うだろう」
「いや、勇者じゃないんで」
「エスト瓶を強化してやるから、さっさと行けっ!」
なんか、女騎士さんに怒られながらも、エスト瓶を強化してもらい、出発した。
本当に、今世の俺は、女性運が無いらしい。
言われた通りに、篝火があった部屋を出てまっすぐに進み、塔のような建物の下についたが、階段とか見当たらないんですが…
って思ってたら、床が下がりだした。ここにもエレベーターが!?
下に降りたら、通路にガーゴイルがいたが、あれ?って思うほど、弱かった。
俺が強くなった? いやいや、一匹だけだったし、装備も充実してきたから、それでだろう。さぁて、どうしようかと、考えていたら、遠くの建物の窓が割れているのが見えた。
屋根伝いに行けば、向こうまで行けそうである。
……行くっきゃないか。
屋根を渡り、割れた窓から屋内へ。
「お邪魔しまぁッす!?」
ちゃんと挨拶して入ったのに、お家の人は許せなかったらしく、白装束の人がナイフ投げてきた。お返しにこっちも毒の投げナイフを投射。さらに武器を持った白装束が現れたので、撃破する。
ほっそい道を通り、向かってくる白装束の足に向かって、ナイフを投げて転落されること数回、レバー操作すると再びガーゴイル。やっぱり、前よりも弱い。
俺の2倍くらいある巨漢騎士を倒したら、白い悪魔っぽいのが、向かってきた。錬金術で今しがた倒した騎士の盾を引き寄せ、予想外の方向からの攻撃に驚いている悪魔の腹に剣を突き立て、頭に斧を振り下ろして倒した。悪魔を数体倒して先に進もうとしたら、なんかやばい音が聞こえて、錬金術で壁を作りガードする。聞こえる音から方向を捕捉し確認すると、デカい弓を持った騎士がいた。
錬金術発動、狭い通路から押し出す。落ちていく中でも弓を引き続けた騎士の姿に敬礼し、先へ。
建物の中に入り、適当に扉を開けると、篝火とソラールがいた。
また会えたことを喜び合う。
「おお、貴公か、久しぶりだな」
「ああっ! 久しぶりだ!」
「俺のような変人と会えて喜ぶとは、貴公もかなりの変人なのかもな」
「いやいや、変人ではあるけど、お前は常識ある変人だ。ここのところ、常識のない変人とばかり会っていたから、純粋に、常識的なやり取りができて嬉しい」
「貴公、苦労しているのだな…」
ソラールに同情されてしまった。
短いながらも会話を楽しみ、疲れを癒して先へ向かう。
きっちりかっちりな騎士様が襲ってくるのを撃破し、部屋の暖炉から上に上がれないか確認しようとしたら、暖炉の奥に隠し通路があったようで、手をつこうとした壁が急に消えて、転んでしまった。
隠し通路を進むといくつかある宝箱……はい、片っ端からプレスしてみました。
うち一つがミミックで、念入りにプレスしました。潰れたミミックから、なんか、ランタンをゲットした。今いるフロアを見て回ったので階段を上がり、上へ。
適当に目の前の扉を開けたら騎士がした。
「失礼しました」
そう言って扉を閉めようとしたけど、やっぱり、襲いかかってきましたよ。
「こんな狭い場所で長物なんか使うから!」
長槍を振り回そうとするも壁や柱に阻まれてうまく動けない騎士の足を切りバランスを崩した所に剣を突き立てる。またしても通路に宝箱が、プレスするのにも天井が高いので、錬金術で吹き抜けになっている所まで傾斜をつけて滑らせ、高所から落としてみた。2つあって2つともミミックだったよ……
そこから探索を続け、屋上に出て、再び屋内に入ると、悩めるタマネギこと、ジークマイヤーがいた。
「ウムムムムムム、さて、どうしたものか……
おおっ! 貴公か! どうやら同じ境遇のようだな。銀の騎士から逃げてきたのだろう?」
「いや、たまたま通りがかっただけだ」
俺の返答に、ジークマイヤーは、俺の方をポンポンと叩いた。
「なぁに、恥じることはない。私も同じだ。無謀は阿呆の仕業だからな。今、良い案を考えている。協力して何とかしようじゃないか。
さて、どうしたものか……やはり、あと3人、いや5人は必要か……う~む、悩ましい」
お前を囮にしてやろうか?
「この先に騎士がいるのか?」
「ウム」
「部屋の間取りと、騎士がどの辺りにいるか教えろ」
「む? 確か……」
ある程度の情報があれば、錬成するイメージが作れる。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」
床と天井でプレスすること数回、ドンドンっという音が何度か響く。ジークマイヤーが、ビクリとっていたが、まぁ、いいか。
扉を開けると、家具や調度品、そして騎士が潰れていた。
「おおっ! よく分からんが、これで進める!」
ジークマイヤーは、俺に礼だと言って品を渡すと、一人でさっさと行ってしまった。あいつと後を追うと、また、面倒事に関わらないといけなそうだし、別ルートを探すか。
適当に敵と戦いながら探索していると、鉄を叩く音が聞こえた。鍛冶から連想してアンドレイを思い出して、あいつもこっちにきているのか? なんて思いながら行ってみたら……
「でけぇ!」
「誰だお前は? なんだ? 武器、鍛えるか?」
「そんなにデカいのに鍛えられるのか……修繕は頼めるか?」
「話す、苦手。鍛える、得意。修繕、できる」
「じゃぁ、任せた」
待つことしばし、特に手を入れなきゃなと思っていた盾が、新品のような輝きを放っていた。それと素人仕事で錬成した鎧が、別物みたいに動きやすくなっていた。
「ありがとな」
「いい、またこい」
「おう!」
歩いていたら、あの、防火女さんの廊の前で手に入れたオーブが光り、震えだしていた。
どうしたのかと思った次の瞬間、俺はよく分からん場所に来ていた。
何時ぞやか助けた、確か……ロートレクとか言う奴が、仲間と思われる奴らと一緒にいるのが見えたので、そちらに近づいてみると、魔術師が魔術を発動させ、それを避けている間に接近してきた槍兵とロートレクが、襲いかかってきた。
遠距離の魔術師、中距離の槍兵、近距離のロートレクって感じか。
今さら気がついたが、ケミーたちがいない。アルケミストリングもない。
「ほう、貴公か、多少は賢いかと思ったが、そうでもなかったようだな」
「なんで、攻撃してくる? っていうか、ここどこよ!?」
俺の声かけなど無視して、苛烈な攻撃が俺を襲う。
「哀れだよ。炎に向かう蛾のようだ。そう思うよなぁ? あんたたち」
ロートレクが、同意を求めるように仲間を見るが、反応はない。
「質問に答えろよ! っていうか、助けてくれた恩人に、何様のつもりだ、ボケ!」
とりあえず走る。ロートレク団も追いかけてくる。中々広い場所だ、走っていれば、速い遅いが出るのは当然、遅れ始めた魔術師に、毒ナイフを投げ、動きが鈍くなったところを襲ってまず一人。死んだ魔術師は、煙のように消えた。もしかして、これが、前にソラールが言っていた霊としての召喚ってやつか?
槍兵を狭い階段上に誘い込み、突きを盾でいなして、そのまま接近、槍兵自身が邪魔でロートレクが槍兵の援護に入れないまま、喉を一突きして二人目。槍兵も、煙のように消え、ロートレクが襲いかかってくる。
相手の得物はショーテル…大きく湾曲した刃で盾を無視して攻撃できるよう開発された武器……だった気がするから、盾を離してロートレクに向かって蹴り飛ばす。俺の行動は、予想外だったらしく、ロートレクは、反射的に階段を飛び降りて回避した。
ヨシ、考える時間ができた。
俺みたいに軽装な鎧じゃない。おかしな装飾がされているけど、フルアーマーだ。これまでも騎士とかを相手にしてきたけど、あいつらはほぼ、思考能力0で、生前の経験行動をとれているだけの亡者だが、やつは、思考できる……頭はおかしいけど。
見た感じ、あの武器は、片手用の装備で、バフォメットみたいに、両手持ちで、なんてことにはならないだろうけど、やつ自身、腐っても、頭がおかしくても、自称だけど、騎士である。
それ相応の修練は積んできたはずだ。
うん、悲しい事に向こうの方が強いな。今まで、錬金術と仮面ライダーに頼ってきたツケか……
「動くしかないか」
ロートレクに俺から襲いかかる。
マジで腐っても、頭がおかしくても騎士、俺みたいな我流の剣なんざ軽くさばくか。
大げさなくらい下がって逃げる。先ほどのやり合いで、ヤツの中で俺の格付けは終わったらしい。兜越しに下卑た笑みを浮かべて、嬲る気満々で攻めてくる。
何度目かの打ち合いで、俺の手から斧が飛んだ。
「隙ありだ」
「ぐぅっ! わざとだよッ」
振り下ろされるショーテルを肩の鎧で受け、衝撃に取り落としそうになりつつも、ボクシングでいうクラッチングに近い状態に持ち込み、握った投げナイフを鎧の隙間に突き立てる。
硬い感触…楔帷子の類か?
別に良い。だったらただの打撃として打ち込む。
「ぎぃっ、貴様!」
ロートレクが、強引に俺を引き剥がした。引き剥がされた勢いのまま、転がって離れつつ、斧を回収する。
何発か殴っておいた脇腹をかばう様子を見せつつ、こちらを睨みつけてくる。
警戒されたか?
時間をかけて回復されたら意味がない。
ロートレクに向かって走りながら、投げナイフを右手と左手で時間差をつけて投げる。
「鬱陶しい!」
あっさりと両手のショーテルで叩き落されたが、さらに剣を蹴り飛ばす。
「簡単に武器を手放すなど!」
飛んでくる剣を苛立たし気に両手のショーテルで叩き落す。目の前に迫った俺は、両手持ちの斧を振り下ろした。
「チェストオオオオオオオッ!」
気持ちは示現流!
マネするのは、あのバフォメットの一太刀!
全身全霊の振り下ろし。
ガードに掲げたショーテルごと、ロートレクの頭も兜諸共潰す。頭が凹ってなってロートレクは倒れた。
念の為に回収した剣で首に突き立てる。
「降りかかった火の粉を払っただけなんだから、化けて出てくるなよ」
気がついたら元の場所にいた。あの、オーブがなくなっている代わりに、なんかきれいな玉が手元にあった。
何でしょうこれ?
まぁ、後で誰かに聞いてみますかね。とりあえずは、先に進む。
俺の2倍はある巨漢騎士たちが守るように立っていた奥へと足を踏み込むと、デブとヒョロの2人の騎士が、襲いかかってきた。
「この世界の騎士ってのは、
ムカついたので、デブをジャイアン、ヒョロをスネ夫と呼ぶことにする。
スネ夫の突撃を避けて攻めに転じようとしたが、なんとスネ夫のくせに、電撃を放つという遠距離攻撃までしてきやがった。
スネ夫の攻撃を回避してたら、不意に、自分の周りが暗くなり、転がるようにしてその場から逃げると、ジャイアンのヒップドロップが降ってきた。直撃は回避できたが余波で吹っ飛ばされ、そこをスネ夫が強襲してくる。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく!」
距離を取り、錬成を行う。スネ夫の電撃を回避とした頃にジャイアンが、体当たり……いや、アレは相撲のぶちかましだ。それをしようとしてきた一歩目を踏み出す辺りに穴を開けた。
盛大にずっこけるジャイアンに、ぶちかましに合わせるつもりで飛び出したスネ夫は、相方が来ていないことに気づくも、倒れたジャイアンの背に乗り何度も斧を叩きつける俺に気付くのに、若干の間があった。
すぐに、相方を救出する為に、スネ夫は電撃を放ち、俺は慌てて逃げる。だが、魔の悪いことに、ジャイアンも、俺を振り落とそうと、跳んでヒップドロップの体勢に入った。
結果、ジャイアンは相方の電撃をくらい、ヒップドロップの着地点に俺の錬成した三角錐を、モロに当たっていた。三角錐は、粉々に砕けたけどケツから血が出ているようで、ダメージは入っている様子だった。
スネ夫が、俺を牽制しつつ、ジャイアンを気遣う。その優しさの一部をこっちにも分けてほしい。
再び放たれるぶちかまし。だが、俺のやったことを警戒してか、勢いが少し無い。回避して手首を切りつけ、そのでかい体を駆け上がり、首に渾身の力で斧を叩きつける。
首を飛ばすことはできなかったが殺した、そんな感触があった。
倒れ伏したジャイアンにスネ夫は歩み寄ると、その体に触れた。途端、スネ夫が、デカくなった。何だ? スーパースネ夫とか、ネオスネ夫とでも言えばいいのか!? っていうか、殺された相方を思う前に力を吸い取るあたり、こいつもただの亡者かと、分からされて、なんか悲しい。
「ちょぉっと、俺だけじゃ、無理っぽい。力を貸してくれ」
『スチーム…』
『サスケマル…』
― STEAMLINER ―
― SASUKEMARU ―
「変身!」
― DREAD 零式 ―
― DRAIN ―
ジャイアンサイズにデカくなったスネ夫が、巨体に見合わない速さで突撃してくるのを、躱して双刃刀にしたブラッディSMで斬りつける。
浅い。即座にバックステップしてやがった。さらにそこからジャイアンのヒップドロップみたいな全方位攻撃をかましてきた。跳んで、双刃刀を手裏剣に戻して投射。鎧の一部を削るも、即座に電撃を放ってくる。
走って躱し、ブラッディSMを回収して、再び投射。同時に俺自身もスネ夫に向かって走り、その顔面に拳を叩き込んだ。
だが、スネ夫は止まらず、お返しと言わんばかりに、石突で俺を殴り飛ばした。
「ぐはぁッ!?」
吹っ飛ぶ俺に向けて、突撃してくるスネ夫の槍を蹴って、強引に俺の位置をずらして、スネ夫の背中に肘鉄を叩き込む。
直後、スネ夫の野郎が、全方位に放電。モロに電撃を浴びた。変身して無かったら、確実に死んでた。
転がった先に運良くブラッディSMがあってそれを支えに立ち上がる。
ヤベェ、また楽しくなってきてる。
双刃刀にしたブラッディSMで斬りかかる。デカくなったクセに動きも機敏なスネ夫と真っ向から打ち合う。こちらの剣で相手を斬りつけ、あちらの刃が、こちらの装甲を削る。
全方位に電撃を放つモーションに入ったスネ夫から距離を取ろうとした瞬間に、それがフェイントで突撃を受けた。
ギリギリ、槍の一撃は避けられたが、巨体に跳ね飛ばされた。
「いってぇなっ!」
手裏剣に合体させたブラッディSMを大きく振り被って、全力投射する。
飛んでくるそれを、スネ夫が叩き落とそうと、槍を振るった瞬間に、コンススティラーからサスケマルを抜いた。
当然、ブラッディSMが消える。叩き落とそうとした対象の突然の消失に、一瞬だが困惑を見せた。
「さっきのお返しだよ」
― DREAD BREAKING ―
がら空きになった胸目掛けて、必殺のキックを叩き込む。
スネ夫をぶち抜き、着地すると同時に、スネ夫が爆散した。
変身を解いて、篝火を探すために先へ行こうとすると、またしてもエレベーター。
乗り込んだ先には、篝火発見。体とケミーたちを戻し、そのままひと休みしてたら、たまに来るあの感覚が来た。
エスト瓶を取り出し、錬成を開始する。
「万物はこれなる一者の改造として生まれうく」
『デンジィ…』
乾電池型のケミー、アーティファクトタイプで、ナンバーは1。ライデンジだった。
「よろしくな、ライデンジ」
『デンジィ…』
さてと、ゆっくりしたところで、探索を再開して、デカい扉を発見、行ってみますか。
階段を上がり、デカい扉を開けると、デカい……いや、マジで、あの、女性的な部分もだけど、全体的な大きさもデカい人がいた。
「よく参りました。試練を乗り越えし、不死の英雄よ。
さぁ、私の側に…」
どうするべきか分からず、とりあえず跪いておく。
「不死の英雄よ」
語りだしたってことは、この行動で正解だったってことだよな?
「私の名はグィネヴィア。大王グウィンの娘、太陽の光の王女です。父が隠れてより後、貴方を待っておりました。
貴方に王の器を授けます。これがあれば、篝火からあなたが訪れたことのある篝火に、転移することができます。
お願いです。大王グウィンの後継として世界の火を継いでください。
そうすれば、人の世の夜も終わり、不死の現れもなくなるでしょう」
「あの、王女殿下、質問してもよろしいですか?」
「何か?」
「その、世界の火とやらを継いで、不死が現れなくなったとして、すでに不死な者は、どうなるのでしょうか?」
俺の問いに、王女殿下は、しばしの沈黙の後に、口を開いた。
「わかりません。死を得て消えるのか、このまま、不死は不死のままなのか、わかるのは、これ以上の不死の現れはないということだけ」
「そうですか、質問に答えて頂き、ありがとうございました」
「これより後、グィネヴィアは、貴方の守護者です。貴方が望めば、私のすべてを助けとするでしょう。
貴方が、常に太陽の光と共にあらんことを」
「それでは、失礼しました」
深く一礼して、退室する。
うん、王女様だったけど、色々でかい人だったけど、美人と話せてよかった!
さてと、なんか、王女様から頂いたアイテムで、テレポートできるようになったらしいので、早速、いつものストーンサークルへ……って、あそこの篝火、火防女さんが死んで日が消えたんだった。
でも、あそこは、起点って感じにしてたし、火防女さんの亡骸、放置しちゃってたな。
うん、まずは、できるだけ近くに転移して、あそこに戻り、火防女さんを埋葬してあげよう。それが終わったら、次だな。
なぁんて考えていたんですけどね、まさか、火防女さんの亡骸がある牢の前に来たら、ロートレクを殺した時に入手したきれいな玉が、勝手に火防女さんの亡骸に入り、その数秒後、火防女さんが起き上がった。まさか生き返りとかマジですか? いや、俺自身、死んでも死ねない不死者だから、ある意味、生き返り系か。
「あ、ありがとう、ございました」
「え? 誰? 何これ? もしかして、火防女さん?」
「はい」
「お姉さん、喋れたんですか!? うわぁ……すみません、これまで一方的にベラベラと」
「あ、いえ、これまでは、本当に話せなかったので……生き返ったことで、体の破損した部位も戻ったようでして……あの、改めまして、私は、アストラのアナスタシア。貴方のおかげで、火防の任を続けることができます」
いやぁ、感謝してもらえて、名前まで教えてもらえるとか、最底辺を走っていた俺の女運も上がり始めたのか!? これが、王女殿下の加護のおかげだろうか!?
「そして、汚れた声をお聞かせしたことを、お許しください」
「え? アナスタシアさんの声、別に凄いダミ声だとか、滑舌悪過ぎて何言ってんのかわかんないって感じでもないけど……まさか、アナスタシアさんの声自体が、何らかの呪術の媒体になっているとか!?」
「違います」
「なんだ。なら、別にいいじゃないっスか。
思春期の男の子のことを思って、たまにでいいんで、おしゃべりしてください。おっさんばっかとしゃべりたくないんです。たまには、女の子とおしゃべりしたいんです」
「あ、えっと……はい、たまにでよろしければ……」
火防女さん改め、アナスタシアさんと嬉しいお約束を取り付けることに成功し、とてもいい気分で、上の篝火のところに行ってみたら、火が灯っていた。
漂ってきていた悪臭は消えていて、ゆっくりと休めそうだ。