魔法少女まどか☆マギカ [疑編]安息の物語   作:カピバラ@番長

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 叛逆のリバイバル見て書きたくなって書きました。
久々のまどマギなので初投稿です。


前編 招集……?

 私が見滝原中学校に転校してから二週間と少しした日の夜。

明日は学校は休みだし、ナイトメアも出てこないし、……まどかに電話をしてみようかな。なんて考えていたら。

 

 《こんばんは。今時間のある人、誰かいるかしら。もしいるのなら、私の部屋に来て欲しいのだけれど》

 

と、スマートフォンにメッセージのバナーが浮かんで来た。

 

 「巴……さん?」

 

画面をまどかの連絡先から五人のグループに変えて、そのメッセージを改めて読む。

 

 「ナイトメア……?ううん、もしそうなら、こんな書き方はしないよね……」

 

緊急性のある内容では無いんだとは思う。

でも、私達四人にーー魔法少女に来れるだけ来て欲しい、なんてただ事じゃない気もする……。

 

 「……うん、行ってみよう」

 

いずれにしても今日は時間がある。巴さんの要求に答えられるし、行ってみよう。

 

 「そうすれば、私の中のもやもやも晴れるかもしれないし」

 

姿鏡で身なりを確認しつつ、ここ最近膨らみ始めている妙な感覚を思い出す。

忘れているような、覚えているような、重要なような、忘れてていいようなーー。そんな感覚。

 

 ーーもしかしたら、巴さんも同じなのかもしれないし……。

 

眼鏡と前髪の位置を直しながら、ふと浮かび上がった仮説に心が急く。

そう、そうだ。この内容だとしたら、さっきのメッセージに感じた印象も理解出来る。

 

 「……行ってきます」

 

必要なモノを手に、逸る気持ちを抑えながら足早に巴さんの住むマンションへと向かう。

 

 「…我慢出来ないっ!」

 

出来れば歩いて行った方が良いのに思わずしてしまった変身。これなら巴さんの部屋まで直ぐだ。

 

                    ーーーー    ーーーー

 

 心地良い夜風と心の落ち着くような星空の下を駆けて少し。

 

 「あれ、ほむらじゃん。来れたんだ」

 

 「よっ、お疲れ」

 

巴さんの住むマンションの屋上に着くと声を掛けられる。

美樹 さやかさんと、佐倉 杏子さんだ。

そっか。確か二人は一緒に住んでるから、来るのも着くのも一緒になるんだ。

 

 「こ、こんばんは。お二人もメッセージを見て?」

 

きっと私と同じように変身して来たんだろう二人の姿は私服。

学校で会う事が殆どだから見慣れないはずなんだけど、なんて言うか、佐倉さんの姿はすごくしっくりくる。

 

 「そそ。まー急用じゃないんだろうとは思ったんだけどさー」

 

 「家に居ても暇だし、たまにはマミの家に泊まりもアリかなって思ってな」

 

 「嘘つけ!アンタ、宿題やるのが嫌だから『行こうぜ』って言いだしたんだろ!」 

 

 「あ~?そうだったっけ。忘れちった!」

 

 「っとにもう。ま、あたしとしても宿題よりは召集の方が大事だから良いけどさ」

 

 「だろだろ?ってかもし、これで誰も来なかったらマミのヤツ泣いちまうだろーしな」

 

私が変身を解いていると二人はいつもの調子で経緯を教えてくれる。

……ただ、結果的にそうなっただけだから私は蚊帳の外だけど。

 

 「あ、そうそう。どーせだからって、まどかにも連絡入れておいたんだけどね」

 

と、美樹さんに急に話を振られてびっくりする。

そ、そっか。まどかに確認の連絡しても良かったんだ……。

 

 「アイツも来るってよ。けっこーおカタい家だと思ってたんだけど、案外融通キくみたいじゃん?」

 

 「きょーこぉ?それ、ママさん達への悪口?」

 

 「ま、まさか。思い込みって良くねーなーって反省したんだよ」

 

[まどかが来る]ーー。

そう聞いた途端、自分でも驚くくらい嬉しさが込み上げてくる。

 

 ーーそっか。来れるんだ、まどか。……じゃあ。

 

 「っとぉ、随分嬉しそうだね~?転・校・生~?」

 

 「え、へ?そ、そんなに、顔に出てましたか……?」

 

 「なんだぁお前、自覚ねーのか?」

 

余所余所しい呼び方とは裏腹に私の横腹を突いてくる美樹さんと、からかうように笑って私の事を見ながら周りをくるりと一周する佐倉さん。

うぅ。全然そんなつもり無かったのに……。

 

 「ま~良いんじゃん?まどかにはもう、あたしという夫はいないからね。そろそろ新しい所帯を持ってもさ~~」

 

 「……それ、前にまどかから聞いたンだけどさ、さやかが一方的に言ってただけらしいじゃんか」

 

 「うえっ!?あ、アンタいつそんな話……」

 

 「さ~ね~」

 

 「あ、あははは……」

 

私がからかわれていたかと思ったらいつの間にかまた二人だけの世界に。

一緒に住んでるともなればこうなるのが普通なのかな……。

もし、まどかと住めたら……。……住めたとしても私達の性格上、無理かなぁ?

 

 「さて、流石に身体が冷えて来たな。行こうぜ、ほむら」

 

 「え?あ、は、はい」

 

 「ちょぉ、あたしは!?」

 

 「呼ばなくても勝手に来るだろー」

 

 「そりゃあ目的地が一緒だからね!?」

 

何が何だか分からないうちに話が進み、呼ばれたままに佐倉さんに付いていく。

その後をちょっと慌てた様子で付いてくる美樹さん。

 

 ーー嫉妬……かな……?

 

佐倉さんの怒ってるとも取れない不思議な様子に思い浮かんだコトバ。

そう思うと……。

 

 「うん?どーしたのさ、ほむら」

 

 「いえ、別に」

 

 「……の割には笑ってるみたいだけど」

 

 「そ、そうですか?」

 

後ろでちょっと不機嫌そうにしている美樹さんを見てみると、佐倉さんの行動が微笑ましく思えてしまった。

 

                  ーーーー    ーーーー

 

 「あ、杏子ちゃん!それにほむらちゃんも、さやかちゃんも!」

 

 「お、早いな、まどか」

 

 「一番乗りだったわよ?」

 

 「えへへ。実は近くで家族とご飯食べてたんだ。だからそのまま来ちゃった」

 

 巴さんの部屋に入って直ぐ、居間で紅茶を飲んでいる二人と挨拶を交わす。

割りと直ぐ出てきたはずの私や、性格上飛ばしたんだろう二人よりも先に居るなんて思ってなかったから少し驚いた。

 

 「みんなの分の紅茶も用意して来るわね」

 

 「ケーキかクッキーもなー」

 

 「はいはい」

 

なんとなく決まっているそれぞれの定位置に座ろうとすると、代わりに巴さんが立ち上がって紅茶を用意してくれるために台所へと向かう。

 

 「けど、珍しいね。家族の時間とか大切にする人だと思ってたからさ」

 

 「普段はそうだったりもするんだけどね。ママ、今日はちょっとお酒飲んでたから」

 

 「あー、なるほどね。納得」

 

巴さんが台所に消えてからも話を続ける美樹さんとまどか。

その内容は、最近……知り合ったばかりの私には出来無い内容で……。

 

 ーー良いなぁ。私ももっと仲良くなれれば……。

 

嫉妬ーーなんて言えるほど妬いているような気持ちでは無いけど、ついついそんな事を思ってしまう。

これじゃあ、さっきの二人のやり取りを笑えないな……。

 

 ≪えへへ。じゃあ、今度は二人だけで遊ぼっか。一緒に住むのは……その内、なのかな?»

 

  「!?」

 

 「あん?どうしたんだよ、ほむら」

 

 「え!?あ、いえ、別に……」

 

 「???」

 

なんて考えていたらいきなりまどかにテレパシーをされて立ち上がってしまう。

ま、まさか、伝わってたの……?し、しかも屋上での事も!?

 

 「ふふふっ、大丈夫?ほむらちゃん」

 

 「う、うん……」

 

ニコッと笑うまどかに頷き、湧き上がって来る恥ずかしさを抑え込むように慌てて座る。

うぅ、いじわる……。

 

 「相変わらず変なヤツ」

 

 「きょーこに言われたくないんじゃな~い?鞄にリンゴばーっか詰めてさー。たまに八百屋さんみたいな匂いするって噂だかんね?」

 

 「い、今はカンケーねーだろ!」

 

 「あはははっ、たまには教科書とか宿題も入れてきた方が良いよ?杏子ちゃん」

 

 ≪大丈夫だよ。さっきのも私だけにしか聞こえてないみたいだから»

 

 「んな、まどかまで!?」

 

 ≪あ、あははは……»

 

まどかとテレパシーをしつつ佐倉さんと美樹さんのやり取りを目で追う。

……多分、まどかへの気持ちが思ったより強くて、テレパシーだと判断されちゃったんだ……。

 

 ーー……嫉妬、かなぁ。

 

 「ふふ、相変わらず二人が来ると賑やかでいいわね」

 

紅茶の入ったティーカップとクッキーの乗ったお皿をお盆に乗せて巴さんが台所から帰ってくる。

その顔はとても明るく楽し気。きっと今までの、声に出していたやり取りが大体聞こえていたんだろう。

 

 「あ、マミさん!聞いてくださいよ~、杏子の奴、先週一回も鞄に必要な物入れてこなかったんですよ~~」

 

 「え……?そ、それでどうやって授業を受けたの……?」

 

 「そりゃあ基本は置き勉だからな。問題はねーさ。ま、たまに持ち帰ったりして忘れた時は誰かに見せてもらうけど」

 

 「そ、そうなの……。あんまり良い事じゃないわよ……?」

 

 「っと、お説教は勘弁。まずは一息吐こーぜ」

 

困った顔をしながら佐倉さんに返答した巴さんは、私、美樹さんと紅茶を置いて行く。

最後に佐倉さんの正面に置こうとした時、彼女は隣の美樹さんのティーカップの取っ手を掴んで自分の口に運んでしまう。

 

 「あ、ちょぉ!?」

 

 「うん、味はいつも通り、湯加減も丁度良いな。ほら、これなら火傷しないぜ?」

 

 「こ、コイツは……!」

 

まるで美樹さんを心配しているかのような事を言いながらソーサーに戻されたそれ。

けど、美樹さんは巴さんの掴んでいるままの佐倉さんの紅茶を要求したりせず、彼女が口を付けた方を口に運んだ。

 

 「え、えっと……。美樹さんはそのままで大丈夫……?」

 

 「へ?あ、あー、大丈夫です。たまにやるんですよコイツ。私の食べ物にちょっと口付けて返すっていうの」

 

 「そ、そうなの……」

 

疑問は残ったままの表情を浮かべながら佐倉さんの前に置かれる紅茶。

それを佐倉さんはニコニコと笑いながら手にし、美樹さんに睨まれているのも気にせず傾けた。

 

 「ったく、私は将軍かっつの」

 

 「ど、毒見ですね…」

 

 「実際は一食分食べる場合もあったみたいだけどね。一度に何人前も作って、そこからランダムに選んでって」

 

 「へぇ~~!マミさん、物知り!」

 

 「ふふ、戦いの役に立つかと思って調べてた事があったのよね」

 

 「ナイトメアに毒か。それ、元の人間は大丈夫なのか……?」

 

 「戦や近代戦の戦法の方よっ!そっちはおまけ!ていうか、貴女は知っているでしょ!?」

 

 「ん?まーな!」

 

本気なのか冗談なのか分からない佐倉さんの疑問に巴さんがツッコみ、思わずみんなで笑ってしまう。

それから少しの間、紅茶と巴さんお手製のクッキーを楽しんで一息吐いたところで、本題が始まった。

 

 「さて、急に呼び出してしまってごめんなさいね。みんな、予定は大丈夫だったかしら」

 

 「はいっ!」

 

 「わ、私も平気です」

 

 「そーじゃなきゃ来ねーだろー?」

 

 「バカ、分かってても聞くもんなのよ。私達も大丈夫です!」

 

 「ふふっ。それなら良かったわ」

 

ぐるりと私達全員に視線を向けた巴さん。

それから少し真剣な雰囲気に変わると、再び巴さんが口を開く。

 

 「今日集まって貰ったのは他でも無いわ」

 

ごくり、と。

私だけで無く、まどかや美樹さんからも唾液を飲み込む音が聞こえる。

 

 ーーすごい……。流石佐倉さん、動じてない……。

 

巴さんとの昔馴染みだという佐倉さんは落ち着いた表情で紅茶を飲んでいるどころか、クッキーにまで手を伸ばしている。

経験値の高さが、そのまま余裕に繋がっているみたいだ。

 

 「……暁美さんが仲間になってから二週間と少し。戦いにも慣れて、連携も言葉が無くても出来るようになったわね」

 

 「は、はい!その、私の魔法は他の人に簡単に迷惑をかけてしまいますから……」

 

 「そうね。厳しい事を言うようだけれど、どうやってもそういう危険性があるのは否定出来無いわね」

 

 「まー、実際最初の頃はちょいおっかなかったからねー。私の近くに爆弾あったりとかさ」

 

 「そ、そうですよね……。ごめんなさい」

 

 「ああ、いや、責めてるわけじゃ無いよ?むしろ、そのお陰で見極めも早くなったからさ。逆に良かったって言うかさ」

 

 「……責めてんのと変わんなくねーか?」

 

 「……やっぱり、そう聞こえる?」

 

 「うぅ……」

 

 「あ、あはは……」

 

 「ほ、ホントに気にして無いからね!?」

 

美樹さんが慌てて訂正してくれてはいるけど、二人の言っている事は正しい。

どれだけ爆弾を投げるところを選んでも、みんなの動きの予想まで出来無いと誰かの傍にならないようにするのは難しい。

最初の頃でもある程度は出来たけど、でも、完璧とは言えなかった。

それで怪我をさせかけた事も……。

 

 「ううん、それは問題じゃないわ」

 

 「……へ?」

 

 「あの返答しといてか?」

 

 「質問に答えただけよ?そもそも、飛び道具は危険が付き物だもの。私と鹿目さんは遠距離だから気持ちや考えがある程度は分かるし、実際、近くで戦う事になったとしても一度も危険な目には合っていないもの」

 

 「あの位置ならこう撃つのかなーとか、ここに投げるのかなーとか、なんとなくだけどね」

 

 「……そういやそうか」

 

 「思い返してみたら私と杏子ばっかりだ……」

 

 「そ、だから彼女の戦闘面に関しての話では無いわ」

 

 「……それじゃあ?」

 

話の流れから私の事かと思うも巴さんは否定する。

なら、なんだろう……。そう思ってまどかの疑問に合わせて巴さんの方へと視線を向ける。

そしてそれは美樹さんも同じだけど、……何故か佐倉さんは何かに気が付いたような表情を浮かべて脱力していた。

 

 「そう、本題はね……」

 

 「「「ごくり…」」」

 

テーブルの上に両肘を付き、両手を絡めて瞼を閉じる巴さん。

僅かな沈黙。……そして。

 

 「変身ポーズと合体魔法よ!」

 

 「「「!!!!」」」

 

カッ、と巴さんの瞳が開かれた。

その様子は真剣そのもので。

……真剣、そのもので……?

 

 「え、えーっと、マミさーん?」

 

 「何かしら、美樹さん。早速名案かしら。どっちのでもいいわよ?」

 

 「あ、いやぁそのぉ……」

 

巴さんの勢いに圧され、一度は納得しそうになった私達。

けど、少し冷静になって気付く。

とても、その……変な議題、だと……。

 

 「はーぁ。あの返事からてっきりほむらの事だと思って多少身構えていたが、否定されたとなっちゃ、後はこれしかねぇよなぁ~~」

 

巴さんを除く私達三人の中で、唯一察しが付いていたらしい佐倉さんはそう言うと後ろに倒れ込んでしまう。

……どうしよう。見てたら気が抜けて来ちゃった。私も同じ事しちゃいそう。

 

 「きょ、杏子ちゃん、気が付いてたの……?」

 

 「そりゃな。伊達に師弟みたいな関係やって無かったって」

 

巴さんに背を向けるように寝返りを打ち、指先でカーペットを弄り始める佐倉さん。

どうやら完全に集中力が切れてしまったみたいだ。

 

 「あら、私は今でもお師匠様のつもりだけど?」

 

すると、巴さんはにこりとしたまま佐倉さんの後ろ姿をじっと見つめる。

 

 ≪あー、こりゃ完全に怒らせたね»

 

 ≪あ、あはは……»

 

 ≪ま、まぁ、佐倉さんの気持ちも分かりますけどね……»

 

じっと見つめるだけの巴さんと、背中を見つめられるままの佐倉さん。

声を出すと巻き込まれると思ったのか、美樹さんはテレパシーで私とまどかに話しかけてきた。

 

 ≪ま、実際、杏子の悪いところだからね。面食らうのは分かるけど、合体魔法に関しては話し合ってもいいと思うし»

 

 ≪そうだね。変身のポーズは……»

 

 ≪無い、よりは良いんでしょうか……?»

 

 「……あーったく!分かった、分かったよ。真面目に話に参加すっから、圧向けんな!」

 

 「あら、失礼しちゃうわ。可愛い愛弟子にそんな事するわけ無いのに」

 

 「よ、よく言うぜ……」

 

かなりの時間が経ったように感じる中、とうとう佐倉さんは根負けして美樹さんの隣に座り直す。

そうして、本格的に変身ポーズと合体魔法の話し合い……?が始まった。

 

 

 

 

つづく.....

 





 
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