幻想高校の日々   作:ゆう12906

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第二十六話 大妖精は戻るが、二人は戻らない

この異変の一端。いや、もうほとんどといっていいくらい関係している朝霧優斗。彼はいろいろとあって、大妖精と同居している。

 

同居しているということは必然的にいろいろと行動を共にしているということだ。それなのに優斗は大妖精が抱いている好意に気づかないような男である。そんな彼が、

 

「2人ともなんで喧嘩したんだ?そもそも何があったんだ?」

 

2人のやり取りをこう解釈するのもある意味当然のことなのだろうか。

 

「えっ、喧嘩?――いや違いますよ。ここにいる大妖精が……あれ?」

 

依姫が指差した先に大妖精はいなかった。なんと、すでに優斗の目の前に移動している。依姫が視力2.0の眼でじーっとみてみると、もう瞳は元の優しそうな緑眼に戻っていた。つまりもう完全に元の状態に戻っている。

 

(いや正気に戻るの早すぎですよ!てか、こんなんで戻るのなら優斗もっと早く来てくださいよ!)

 

思わず叫びたくなった依姫だが、月人のプライドと誇りを胸にぐっとこらえる。

 

一方、一瞬で正気に戻った大妖精はというと、優斗にきわどい質問をしていた。

 

「ねえ優斗大丈夫だった!依姫にいけないことされてない?」

 

「ちょ、何を言ってるんですか?」

 

思わず依姫も優斗の前に移動する。

 

優斗は大妖精に質問の意味を取り違えたようで、

 

「いけないこと?いや、別に痛いことはされてないけど」

 

「そうじゃなくって~」

 

「大丈夫。依姫は見かけは怖いけど、根は優しいから」

 

「どういう意味だ!」

 

「よかったわね。優斗の好感度アップよ♪」

 

「あんたは話をややこしくするだけだから黙ってろ!」

 

しゃしゃり出てきた豊姫を一蹴する。

 

「ああ、喧嘩してたわけじゃないのか。じゃ、一応……」

 

子供っぽくじゃれる月世界の姫二人を横目に、優斗はごそごそとポケットを探る。何か魔法のアイテムでもあるのだろうか。

 

「はいこれ。2人で使って」

 

優斗がそのものを出した途端、ここにいる誰もが目を見開いた。なぜなら――、

 

「えっ、みんなどうしたんだ?指輪ってなんかおかしかったか?」

 

そう、優斗が取り出したのは、この異変のキーアイテム、ペアの指輪だったのだ。優斗は、そのまま依姫と大妖精の指の人さし指にみんなが正気に戻る前にはめた。

 

「はいこれ仲直りっと」

 

優斗が軽く微笑むと、みんなががほんわかした。そこからは彼独特のカリスマが垣間見えた。

 

「ふう……これで解決ですね。そろそろ時間のようです。すみませんスキマお願いします」

 

依姫がそういうと、どこからともなく大きいスキマが現れた。

 

「じゃあまたね!」

 

「ええ。いつか会いましょう」

 

大妖精が満面の笑みになると、依姫もいつもに真面目な顔を少し崩した。それは、幻想郷と月世界のつながりが強固なものになった象徴でもあった。

 

「よし、みんな帰ろう」

 

優斗がそういうと、ぞろぞろとクラスのみんなが集まった。――ある二人を除いて。

 

「ちょっと待てよ……」

 

「ええ、このままでは終われないわ」

 

遠くから聞こえる怨霊のような声。その声は1デシベル、また1デシベルと近づいてきた。

 

「二人とも……」

 

思わず声を漏らす依姫。この状態の人間を彼女は今さっき見ていた。

 

「なあ、アリス。これって全部依姫のせいだよな?」

 

「ええ先生。彼女が勘違いされなければ……ですよ」

 

死んだ目をして依姫をにらみつける慧音とアリス。

 

「いやちょっと待ってくださいよ!――そうだ、優斗。この二人も説得して……」

 

しかし優斗たちはすでにスキマに喰われていて、そこには存在してなかった。

 

「じゃあ、ぶっ飛ばす」

 

「ちょ……!」

 

慧音とアリスの我を忘れた攻撃は依姫がブチ切れて本気を出すまで続いたとか。

 




第二十六話、月世界編完結です!長かった……

いや~依姫に新たな境地を開けたような気がします!このキャラを好きと言ってくれる人がいたらまた登場するかもしれません……

ではまたお会いしましょう!
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