弾幕ごっこ大会は開会式を迎えていた。と、いっても前回の映姫の長話に苦情が殺到したせいで簡略化したものだったが。前回七月に行ったときは、さわやかな風が吹いていたのだが、今回は真逆。凍えるような風が吹いている。
今回は3学年一斉に行うので必然的に待ち時間が増える。校庭の端の方に座っていた霊夢と魔理沙も例にもれず、無言で座っていた。
しかし、静かな雰囲気が大の苦手の魔理沙。しかもないが不安なことがあったのか、唐突に霊夢に話しかけた。
「なあ、霊夢」
「はい?」
「なんだか背筋に嫌なものを感じるんだが……何か不吉なことが起きる前触れかな?」
「はあ? あんたらしくもないわね。大丈夫よ」
「そうだよな……ハハ! 悪かったな」
(たぶん絶対あの事よね……)
そこを伝えないあたりが霊夢の事なかれ主義を表していた。
「クシュン!」
「あら、風邪?」
「いいえ、大丈夫よ」
先ほどの話で話題に上がったアリスとパチュリーはさっきからほとんど言葉を交わしていなかった。
他のペアは連携の確認をしていたが、2人は一切目線を合わせていない。それだけ相手を知っているのだ。言い換えると、連携をする気などさらさらないということなるが。
「あの~」
「こんにちは~」
何物も近づくことのできない絶対零度の雰囲気を出していたが、小悪魔と大妖精が話しかけてきた。
彼女たちはリーグ戦でアリスたちと対戦する。試合前のあいさつに来たのだろう。しかし、この雰囲気を感じることのできない彼女たちは、場を察知する能力が無いようだ。
「何かしら?」
アリスが彼女たちを鋭い目つきでにらんだ。
「いや、えっと……」
間の抜けた顔の彼女たちに、パチュリーも無表情で続ける。
「あくまで私たちは敵よ。なれなれしくしないで頂けるかしら?」
「は、はい……」
逃げるようにして去っていく彼女たち。少し涙目になっていて、完全にアリスたちは悪役になっていた。
「全くどんな神経しているのかしら」
もちろんアリスたちに悪気は全くなかったのだが、この後手痛い目に合うことになる。
「ちょ、おかしいだろ! お前生徒じゃないだろ!」
魔理沙は先ほどとは違い、大声をあげて抗議していた。その目の前にいたのは、
「あら、ここの校長にちゃんと認めてもらったわよ」
得意げに許可証を見せつけたのはここの生徒ではないのに参加する咲夜。そのペアの美鈴は気まずそうな顔で見守っている。
「しょうがなかったんですよ。だって相手がいなかったんです……」
「つっ、その顔を見せられるとつらいぜ……」
美鈴の申し訳なさそうな顔に思わず声を抑えてしまう。
そんな中で、背後から魔理沙の肩を誰かが叩いた。
「あ? 今取り込み中なんだが」
「時間だ。早く来い」
「す、すみませんだぜ」
慧音だった。時間だったので呼び出しに来たのである。
「と、とにかく絶対私たちが倒すからな!」
そう強がって魔理沙と霊夢は本会場に向かった。
第二十九話でした。
すみません遅れてしまって……――言い訳していいですか?艦これの秋イベが……やっぱだめですよねゴメンナサイ。
次回こそきちんと出します!では!