霧雨魔理沙は好奇心旺盛である。とにかくなんでも興味を持つのが彼女の特徴でもある。
時としてそれは余計なことに首を突っ込むというが、本人は全く自覚していない。
さて、最近魔理沙が興味を持ったことはなんだろう。それは今一緒にいる相手の相談に乗る&茶化すことである。
「はあ~しっかしまだ駄目なのか?」
「はは……いろいろあってね」
魔理沙の嘆息にため息で返す大妖精。目を閉じて軽く首を振っていて、あきらめの様子さえ見受けられる。
「まったく……お前がいつまでもそんなんだからいつまでも伝わらないんだぜ。あいつはばっかみたいに奥手、いや、無自覚っていうのか?」
「それはわかってるけど……」
「まっ、お前にその気がないなら私がもらっちゃうけどな」
「!? それって……」
大妖精の鋭い反応に、魔理沙は新たな面白いことを見つけたとばかりにまくしたてる。
「まったく、今まで気づかなかったのか? いいか、私はあんなに完璧な人間を見たことないぞ。頭脳は明晰だし、だれに対しても優しいし、弾幕ごっこもなかなか強いしな。そりゃお前だけではないさ」
「そ、そんな……」
「まあ、お互い頑張ろうな」
「ふええ……」
魔理沙の迫真の演技に、顔を手に置いてうずくまってしまう。強力なライバル出現、とでも思っているのだろう。
(ありゃりゃ、ちょっとやりすぎたか? こういうとこで幼児だから優斗も気づかないんだぜ。なんかすっごく楽しいな)
魔理沙は自分がものすごく不純な考えをしてると気づいていないだろう。
が、彼女の本当にちっぽけな良心が働いたようだ。わざと声を裏返し、明るい調子で大妖精ににこやかに話しかけた。
「なんてな! 冗談だよ」
「え? でも優斗は確かにすごい人間だし……」
「まあ確かにそれはあるな。けど問題ない、大丈夫だ。みんなお前に幸せになってもらいたいと考えてるから」
「え? それって……」
「みんな気づいてるぞ。知らなかったか? みんなお前らの関係にニヤついてるぜ?」
「そ、そんなぁ……」
大妖精なりに思いの丈を伝えるビジョンがあったのだろうか。それが簡単に打ち砕かれて、また崩れ落ちた。
しかし、彼女にも意地がある。このままいじられ倒されるだけで終われない。彼女のプライドに火が付くと同時に、反撃が開始される。
「ま、魔理沙はどうなのさ……」
「どうなのかって?」
「霖之助との関係のことだよ。ただの友達には見えないけど」
「はあ? ――まったく、お前はまだまだ子供だな。そんなわけあるはずないだろ」
「ほんと? 隠してるんじゃないの?」
「まあ確かに便利なやつではあるけどな。恋愛感情なんてみじんもないぜ。大体あいつ半妖だし」
言葉巧みにかわされてしまった大妖精だったが、ここで終われるわけがない。そのくらいの根性は魔理沙につけられている。すっくと立ち上がって、魔理沙を正面に見上げる。
「わかったよ……じゃあ確かめよう」
「どうやってだ?」
「ついてきて」
眉一つ動かさずに、スタスタ歩き出す。魔理沙もつられて手を頭の後ろに組んで気だるそうにしながらも進んでいく。
「くしゅん!」
「おや、風邪かい?」
「今日は寒いですからね」
唐突に優斗からクシャミが聞こえた。なぜ出たのかなんて彼は知る由もないだろう。
「暇だねー」
「暇ですねー」
霖之助は優斗の顔をちらりと確認した後、覚悟を決めたように向き合った。
眼鏡の奥に光るのは霖之助お得意の気だるそうな半目。はたから見ればやる気がなさそうだが、内心はかなり本気である。
「優斗、ちょっと話があるんだが……」
「なんですかー」
魔理沙と大妖精、優斗と霖之助。2つの場所でそれぞれの考えに沿って勝負の時が始まる。
第三十九話でした。魔理沙が純粋な子供をいじるって書いてて楽しいですね。(犯罪臭がしますね)
次回大妖精が反撃。できるのでしょうか……結局失敗する気配しかしないですよね。僕が一番そう思います。
次回もお楽しみに!