幻想高校の日々   作:ゆう12906

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三学期
第四十三話 文の取材記事


「うむむ……大変困った事態になりました……」

 

 1月末日、射命丸文は1人、教室で頭を抱えていた。

 

 頭を叩いてみたり、こねくり回しているその姿は、彼女にしては珍しく、スキだらけだ。それほど切羽詰まっている状況に追いやられているのである。

 

 その、文を困らせている頭痛のタネとは、

 

(ネタがありませんっ……)

 

 彼女が、よく発刊している文々。新聞。そこに書く、話題がないのだ。

 

 1月の初めはお正月特集として、教師たちに取材した。

 

 そこから1か月間。びっくりするほど何も起きなかった。情報収集能力では、他の誰にも負けないと自負していた文が駆けずり回っても、いいのが全くなかった。

 

(これではさすがに……)

 

 静かに首を振る。手元にあるのは、三枚の取材記事。

 

 1枚目は、『魔理沙の調子がおかしい?』という題名である。3学期の始業式から、魔理沙のボケが少し弱くなったというものなのだが、

 

(テンションが変わることなんていつものことですしねぇ)

 

 無言で、メモを引きちぎる。

 

 続いて、『大妖精、なんだかとっても嬉しそう』。これはその名の通り、始業式から大妖精が、へらへら嬉しそうな顔をしているというものなのだが、

 

(どーせあの人にかわいいとか言ってもらったんでしょ)

 

 一蹴すると、メモを引き裂いて、ゴミ箱に突っ込んだ。

 

 3つ目は、『鬼たち、節分の日には逃走か?』というもの。もうすぐ節分で、本来ならば萃香と勇義が鬼をやるのだが、2人が本当に体が傷つくからやめると、申し出た話だ。

 

(これはもう知られてますしねぇ……後任の鬼も決まってますし)

 

 男たちが鬼に駆り出されることになっている。記事に出すのには、遅すぎるだろう。

 

(って、冷静に考えてても何も変わりません。動かなくては)

 

 沈んでいた顔を上げ、教室の外へと歩いていく。

 

 頭をかきながら、後ろのドアを開けようとするが、

 

「あれっ?」

 

 立てつけが悪いのか、ガタガタいうばかりで開かない。

 

「えいっ……おかしいですね」

 

 両手で取っ手のところを持ち、力を込めて横へスライドしようとするが、やはり動かない。

 

「このっ……!」

 

 少しいらだちながら、思いっきり取っ手をドアを移動させようとしたその時、

 

「お困りのようねー!」

 

「うわっ! ――なんだ、あなたですか」

 

 勢いよくドアが開いた瞬間、上からにゅっと人が降ってきた。空中で静止し、さかさまの状態で文を見つめていた。

 

 その者の足元、つまりドアの上側には、真っ黒な世界が広がっていた。つまり、スキマであるので……

 

「なんですか紫先生?」

 

「あら、不機嫌そうね~。せっかくいいネタを仕入れてきたのに」

 

「なんですか!?」

 

「2月14日にあるイベントなんだけどね……」

 

 紫の入り知恵は、学校全体を巻き込むことになる。

 




第四十三話でした。実は文にはすべて筒抜けであるというお話。

二月十四日といえばあれですが、この高校では少し違った感じになるのでしょうか……

では!
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