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パガンダ降伏から少し時間が飛んで、既に次の戦争に入っています。まぁ二度目のパガンダ沖海戦に横槍入れてきたので、その時点でほぼ戦争状態になってますよね。
「おーい!それ、こっちに持ってきてくれ!!」
「はーい!!」
いつもいつも、こんなに大変なのに給料は少ない。
国のために働けるなら"誇らしい仕事だ"という人もいる。
だが、俺たちの生活はいつも苦しい。
この船を作って得をするのは、蛮族を実際に排除する軍だ。一度に運用する船が増えれば、食料などの物資も大量に必要になるだろう。
そうすれば、それを捻出するためにまた俺達の生活は苦しくなる。
「何とも、ままならないなぁ……」
少し遠くで、俺の息子も働いている。
今は見習いだが、物覚えがよく、みんなから愛されている自慢の子だ。
将来は、俺と同じように船大工になるのだろう。
"父さんと同じ仕事がしたい"って、いつも言っている。
まったく可愛いやつだ。
「この船、どうなると思う?」
同僚のルイスが突然聞いてきた。
珍しいな、いつもは寡黙というか、淡々と作業するタイプなのに。
仲の良い友人でもあるが、仕事中はあまり会話をした記憶がない。
「どうって……そりゃ戦争に使われるんだろう」
「ああ、そうだろうな。そしてその先はどうなる」
「その先?」
さっきから、ルイスが何を言いたいのかが分からない。
「先って言ったって、そのままじゃないのか?こんな大きな船が戦争以外に使われるところは、俺には想像できないけどな」
せいぜい海外との貿易くらいだろうか。それだって、砲をつける必要はないのだし、やはり戦争以外には思い使いつかない。
「使い道の話じゃないんだ。俺は、この船の運命の話をしているんだよ」
「はは、なんだそれ」
こんな哲学的な、運命論的な話をするやつだっただろうか。さっきからずっと、意味を捉えにくいことを真顔で言い続けている。
「なぁタルト。俺はな」
「待て、ルイス。…………何か聞こえないか?」
唸るような音が聞こえる。
「タルト、大事な話なんだ。俺たちはもう、この国にいるべきじゃないかもしれない。あの船は、何もできずに沈むかもしれないんだ」
「待てって言ってるだろ。この音は……何処からしてるんだ……」
船に異常があるなら、即座に確認しなければならない。
「音が遠い……ここじゃないのか?なんでこんな大きな音が……」
「聞いたことがあるぞ。………俺は、この音を知っている。やはり国から出るべきだった!」
「お、おいおい、落ち着けよルイス」
ルイスは顔を青ざめさせていた。いや、さっきから青かったか?どうにも調子が良くなさそうだ。
心配していると、突然両肩をルイスに掴まれた。
「ちょっ……どうした!お前おかしいぞ!!」
「上だ!上から来る!」
「はぁ?」
音が変わる。獣の唸るような音だったそれは、バリバリと空気をきり裂くようなそれになっていた。
………そうだ、ルイスの言うとおりだ。音は上から響いてくる。
「あ………?あれって……」
「飛行機械だ!逃げるぞ!」
「あ、いや……なんでだよ!何がどうなってんだ!?何でムーが……永世中立はどうなったんだ!!」
「ムーじゃないんだ!今戦争中の相手が、飛行機械を持ってるって噂が流れていた!この国は、きっと負ける!!だから逃げるんだ!!」
ルイスに腕を引っ掴まれて走り出す。だが、俺だけじゃ逃げられない。
「待って、待ってくれ!息子がいる!知ってるだろう!それに家に妻だって残してきているんだ!俺一人で逃げられない!」
「言いたいことは分かるが、逃げていることを祈るしかない!ここで止まっていたら、お前も生き残れないぞ!!家族全員死ぬことになる!」
大声で走っているからか、周りの人々から変な目で見られている。……いや、半分くらいの人は、空を見上げている。
「みんな、気づいていないんだ……連戦連勝で、おかしくなっちまったのか?この国は、喧嘩を売る相手を間違えて、もう戻れないところまで来ているってのに……」
「ルイス、俺は造船所にもどる!」
「タルト……わかってくれ、上を見ろ。飛行機械が飛び交ってるってことは、もう竜騎士団が負けたってことだ。奴らは今にも、魔導銃を空から撃ってくるかもしれないんだぞ」
「それでもだ。それでも……」
俺の言葉を遮るように、背後から爆発音が響く。
「ぐっ……すごい音だ……」
「………あ………あっちは………」
「上空から、爆裂魔法を投射できるのか……?やはり、もう勝ち目はない。すぐにでも避難を」
「アルト!!!」
俺は夢中になって駆け出した。まだ、息子のアルトが働いていた。俺はルイスに連れ出されて、少し離れたところまで走っていたから無事だったが、息子までそうとは限らない。
いや……いや、あそこで働いていたんだ。もう……きっと…
「アルト……アルト……!」
街の人達の甲高い叫び声や、野太い怒号が響いているが、俺の耳には雑音のように聞こえている。
ルイスは、後ろから声をかけているのだろうか?
それもよく聞こえない。ただ、息子の無事を祈って、息を切らしながら必死に走ることしか出来ない。
「はぁ……はぁ……ぁぁ………あぁぁぁ………!!」
燃えていた。
建造途中の船は吹き飛び、その周辺は大規模な火災に見舞われている。きっと地面も穴だらけだろう。
あそこにいた人達は、きっと助からない。
俺の、息子も。
「……………なん……で……」
俺は、膝から崩れ落ちた。
俺達が一体何をしたと言うんだ。例え貧しくても、毎日を精一杯生きていただけだ。なんで、こんな事になるんだ。なんで俺の息子は、あの爆発に巻き込まれなきゃいけなかったんだ。
ルイスだって必死だった。いや、あいつはいち早く気づいて、俺を逃がそうとしてくれた。俺は最初から、ルイスの話をもっと真面目に聞くべきだったのか?そうすれば、息子を連れてルイスと3人で逃げられたのか?
「どうすりゃ、良かったんだよ……」
俺はどうすれば良かったんだ。
「父さん!」
「……え」
これは幻聴か?今、確かに俺のアルトの声が……見知らぬ子供の父を呼ぶ声が、俺の息子の声に聞こえたのだろうか。
声の方を見れば、こちらに駆け寄ってくる青年の姿が目に映る。
「アルト………アルト!!」
思わず、自分より小さな体を抱きしめる。
無事だった、無事だった!!幻なんかじゃない!ここにいるのは俺の息子だ!生きている!!
「良かった、探したんだぞ!」
「はい、父さんこそ無事でよかったです!」
2人はお互いの無事を確かめ合いながら、強く抱きしめる。しかし我に返ったタルトは、息子アルトの手を引きながら走り出す。
家に帰って、妻を連れて3人で逃げ出すのだと。
先ほどの造船所の爆発を生き残った事実をかみしめながら
続けて降ってきた爆弾により、肉の破片となった。
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低空を飛行する、一つの影。
帝国には未だ存在しない、上部にプロペラがついた異様な機体だ。
「彼らも、随分と派手にやりますね」
乗員の1人が感想を漏らす。
彼らは重要施設を制圧するための特殊部隊だ。
「まぁ、俺らの精密攻撃とは違うからな。大戦期の兵器は今と比べるとGDP比でもかなり安いし、その分大量に生産して数で押す戦いが主流だ。現代戦とはまるで違うが、壮観ではある」
とは言うものの、連邦は旧世界における超大国である。大戦期と比べて兵器の性能が大幅に向上し、物量よりも効率が優先された現代においても、その量は圧倒的だ。
「まぁ、あの下で人が死んでいると思えば、あまりいい気はしませんが」
「考えても仕方のないことだ。我々が軍隊である以上、動く時には必ず人が死ぬ」
「それにしたって、少しやりすぎな気もしますがね」
「それを帝国人の前で言ってみるといい」
世界平和など、平等など、所詮は戯言である。
そういうかのように、隊長は冷たい笑みを浮かべた。
「躊躇えば、次の瞬間に死んでいるのは我々かもしれない。細かいことは政治家が考えればいいんだ。さ、軍人としての仕事をまっとうするぞ」
多くの人々に恐れられ、多くの国を従えた列強は、既に死に体である。その僅かな息の根さえ、留められようとしていた。
「パガンダより早く終わるかもな」
「当然です。例え列強と呼ばれていたとしても、我々にとっては何ら変わらない相手でした」
ドグラスを捕らえた時の事を思い出しながら、影は煙の上がる街の上を飛んで行く。
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「……なんだ、ここは」
(意識が朦朧としている。たしか、必死に逃げていたところを……そうだ、鋼鉄の羽虫のようなものが突然目の前に現れて、中から現れた蛮族に囚われたのだ)
「ぐっ……頭が痛い。許さんぞ蛮族ども。貴様らには、死よりも酷い苦痛を与えて殺してやる。国民全員皆殺しだ……」
少しずつぼやけた視界が戻ってきて、周囲を見回す。
しかしそこは、何やら狭い部屋のような場所であった。
「おい、おい!!誰かいないのか!!」
大声で呼びかければ、1つ存在した鉄製のドアの向こうから声がかかる。
「おはよう、ドグラス君」
そのあまりの無礼さに、ドクラスは叫ぶ。
「貴様ぁ!様をつけんか!!それよりなんだここは!この儂に何をしておる!さっさとここから」
「うるさいな。その口を閉じろ、猿。状況が分かっていないのか?」
ドグラスは怒号を抑えた。流石に理解している。自分は蛮族どもの捕虜になったのだと。
捕まる前の記憶から、恐らく祖国が敗北しただろう事も理解している。しかし、列強が何とかしてくれるはずだ。レイフォルならあの偉大な列強なら、必ずこの蛮族どもを討ち滅ぼし、この身を救ってくれるに違いない。
「よしよし、大人しくなったな。では説明しよう。お前にはこれから少しの間、ここで生活してもらう」
「……王族である儂に、この薄汚い場所で暮らせと?」
「少しの間さ。すぐに出られる。我々は貴様を"それ相応"に扱うつもりだからな」
何か言葉に含みがあったような気がするが、王族にふさわしい扱いをするとも言っていた。それに、どうやらここを出るまでにそう時間は掛からないらしい。
「いいだろう。このドグラスが、貴様らのもてなしを評価してやろうではないか」
「くっ……はっははは!!それは光栄だな!ドクラス君!!」
(馬鹿にしていられるのも今のうちだ。見ておれ、すぐに地獄を味わうことになる。このドクラスをこき下ろしたことを、死んで後悔するがよいわ)
王族ドグラスは、独房で数ヶ月生活し痩せこけた無様な姿となった後、帝国国民大勢の前で処刑される。
磔になったドクラスの死体には大量の石が投げつけられ、それは酷い有様であったとのことだ。
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大海原を巨艦が進む。
3つの砲を持つ巨大な砲塔は、誇らしげに水平線を向いている。
「パガンダに引き続き、列強の相手までする事になるとはな。しかも単艦で行う事になるなど……ミレケネス将軍は合理的だが、時折よく分からんことをする」
巨大な楼閣は、まるで高層ビル、あるいは鋼鉄の城のようにそびえ立っている。
「まぁ………戦場伝説を創るには丁度いいか。恐怖をその身に刻むと良い」
帝国の巨大戦艦は、この戦いを機に世界にその名を轟かせることとなる。
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兵器性能紹介
六三式機巧ヘリコプター『紅葉』
乗員 2名(+10名)
胴体長 11.8m
胴体幅 2.4m
胴体高 2.0m
動力 4枚複合材製ローター
最高速度 330km/h
巡航速度 270km/h
航続距離 約750km(フェリー)
形状ステルス
メインローター折りたたみ機構
テールブーム折りたたみ機構
兵装ーーーーーーーーーーーーーーーーーー+
・7.62mm 機関銃 2挺
・12mm 重機関銃 1挺
・救難用高速レスキューホイスト 1基(右側)
左右スタブウイング装着時
・対地/対戦車 誘導機巧弾 4発
・70mm 小型ロケット弾ポッド 2基 28発
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー+
日本連邦海軍が運用する半ステルスヘリコプター。
主に強襲揚陸艦で運用され、隠密潜入や救助で活躍する、多目的ヘリコプターに分類される機体。数で分散して輸送を行いつつ同時に戦闘もこなせるため、主に揚陸序盤の交戦の可能性が高い段階において能力を発揮する。ステルス素材の維持コストの削減と実験的実装という理由から、ステルス能力は形状によるもののみを発揮する。
ドグラス本人は多分もう出ません。話の中で存在が登場するくらいですかね。
今までありがとう、ドグラス君。
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第十三話,第13話
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第一章 第一話,第1章 第1話
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Ep.13/2-5