他の方の二次小説の感想欄で見たことのある方にもコメントをいただきました。
まさか自分が書く側になるとは……
他の方の二次小説が更新されるまでの暇つぶしになってくれれば嬉しいですね。
グラ・バルカス帝国 帝都ラグナ
帝王府所有 会議場内
広い会議場の中心に豪華な椅子が置かれ、覇気とも言えるそれを纏った男がそこに座している。
ここは帝都ラグナにある大会議場。今は御前会議の真っ最中だ。
国土の転移という史上類を見ない災害と、それに付随した資源関連の危機への対処のため、国の重鎮達が集まっている。
「では、エネルギー資源に関してはその方針で進めよ」
「承知いたしました、陛下」
帝王府長官カーツは、皇帝グラ・ルークスより最終決定を下された内政方針を受命する。
「ひとまず、転移に際して混乱が起きた国内の沈静化と資源の再配分に関しての会議はこれで済んだな。あとは新たな陸地が見つかるかどうか」
「現在、海軍に周辺海域の捜索を命じております」
「うむ。新たな策源地は帝国の生命線となる。できる限り早急に見つけるよう努めるのだ」
「承知いたしました」
グラ・バルカス帝国は、皇帝の権力が非常に強力な帝政国家である。貴族からなる貴族院と、国民より投票によって選出された衆議院を統合した二院制の議会は存在するが、有事には皇帝の独裁が可能となる法体系を保有している。
史実地球で言うところの、"プロイセン型立憲君主制"に相当する統治形態だ。
今回の転移災害は帝国にとって明確な有事であるため、皇帝が大まかな方針決定と最終的な許可を行い、豊富な知識をもつ政府や軍の重鎮がそれを補佐する形で舵取りを行っている。
そんな国の未来を左右する会議が一段落ついた頃、会議場に外からの声が響く。
「会議中に大変失礼いたします!緊急のご報告がございます!」
話が落ち着き皆の気が緩んだタイミングだったためか、「また厄介事か?」と皆が眉をひそめる。
「入れてやれ」
「承知いたしました。入室を許可する!!」
カーツの大声が響き、扉がゆっくりと開く。
「失礼いたします!ただいま…」
「まて、君は軍人だな。なぜここにいる?侍従武官はどうした」
皇帝には、"侍従武官"と呼ばれる皇帝に常時奉仕し軍関係の報告を行う専門の者がついている。
不埒者による暗殺などを防ぐため、そして皇帝・皇族の神聖さを保つため、誰もが会えるような状態は防ぐべきであるという理論から、それらは侍従武官に一任されているはずなのだ。
会議に参加していた"帝国の三将"カイザルは、たとえ緊急事態であろうともそれを見過ごさなかった。
言葉に詰まる軍人の後ろから、侍従武官が顔を出す。
「申し訳ございません、皇帝陛下。並びにカイザル閣下。一刻を争う緊急のご報告のため、迅速かつ詳細な説明を行うためには彼が直接説明するのが最も良いものと考え、身体検査の後私の独断で彼を通したのです。
処罰は何なりとお受けいたします。今はなにとぞ、彼の言葉に叡聴を賜りますよう、お願い申し上げます」
カイザルは皇帝グラ・ルークスへ向き直り、是非を伺う。
「処罰はよい。よほどの事態なのであろう。だが、次はないように努めよ」
「…陛下の御慈悲に感謝申し上げます。」
「して、報告とは何だ。申してみよ」
軍人の男は、普段皇帝と会うこともないからか、その雰囲気に圧され詰まりながらも言葉を連ねる。
「は……はっ!改めて報告申し上げます!新世界開拓艦隊の内、南方に派遣した艦隊より"不明航空機と接触"との連絡がございました!
不明航空機とは通信が行えず、その速度差から機体制御による合図も難しかったため、明確な意思疎通は行われていないとのことですが、艦隊司令官は数度の接触の後に"攻撃の意思なし"と判断しました。
司令官は、一度艦隊を帰還させ正式な外交使節団を組織し再派遣するか、艦隊に同乗している数人の外務省職員らを簡易的な使節として送り込むか、陛下の御聖断を求めております!」
それは新たな交易相手、もしくは策源地を発見したという、皆が求めてやまない報告だった。
会議場全体が、その喜ばしい報告にざわめく。
「正式な外交団は後でも良いだろう。まずは接触だ。話が通じる相手であれば何とかなる」
「賛成いたします、陛下。洋上を航空機が飛行していたのであれば、所属する基地か母艦が付近に存在するはずです。そこまでの距離であれば、艦隊の燃料にも余裕を持って接触出来ましょう」
「よし、必ず接触を成功させるのだ。帝国の未来がかかっているのだからな。何か他に報告はあるか?」
「はっ!報告は以上でございます!」
「よろしい、では下がれ」
皇帝は男を退室させ、少し口角を上げて話始める。
「光明が見えたな」
「はい。航空機があるという事は、相応に文明が育っているのでしょう。未開の地ではないため帝国の傘下に加えるのは難しいかもしれませんが、我が国が開発せずとも即座に資源を入手できるという点では、今の帝国に即した相手であると言えます」
場内の緊迫した空気は再び緩和しだす。一切の先行きが見えない状態から脱したためか、笑顔も増えてきた。
「南方はそれでよいとして、その他の方角に関しては調査を継続せよ。周囲にある陸地が1つとは限らんからな」
皆が安堵する中、カイザルだけは表情を崩さない。
(だが、まだ安心は出来ない。"不明航空機とは速度差があり、機体制御での意思疎通が難しかった"と言っていたが、本当にそんな事があるのか?戦闘機は最高速度で飛ぶだけが能ではない。意思疎通が取れないと言うことは、速度差を合わせると失速して墜落する危険があるという事だ。
アンタレスが失速する速度域で飛行する航空機と言ったら、それこそ複葉機の中でも低速。帰還も加味したら航続距離はせいぜい200kmくらいだろう。アンタレスの飛行高度なら300kmは見渡せる。その空域なら、必ず陸地が見えるはずだ。
つまり……不明航空機は、アンタレスよりも優速)
「まずいな……」
(彼らは、我々を大きく上回る技術を持っているのかもしれない。時速400km近くで失速の危険性がある航空機……いったいどんな馬鹿げた性能をしているんだ……)
帝国上層部は喜びに包まれている。
しかしそれは、糠喜びかもしれない。帝国が、新たな危機にさらされる可能性もある。
(我々は、相手の善性に期待するしかない、のか)
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「ペガスス級航空母艦」
全長 257m
最大幅 26m
エレベーター3基
排水量 25,600t
速力 最大34kt
兵装 40口径12.7cm連装高角砲8基
25mm3連装機銃12基
搭載機 常用72機 補用12機
グラ・バルカス帝国が開発,運用する最新鋭の航空母艦。
日本帝国海軍の開発した「翔鶴型航空母艦」に酷似した外見、性能を持つ。
現在は一部の艦が新世界開拓艦隊に一時的に編入され、航空機による他文明の捜索の際に海上航空基地として運用された。
新世界開拓艦隊に所属するペガスス級は、攻撃対象が存在しないことから爆撃機を搭載せず、戦闘機のみを搭載している。
諸元の書式はできる限り統一したいという謎のこだわりがあるので、面倒になる端数は切り捨てて記載しています。