第八話までのネタバレを含みます。
次章以降に書く部分も若干入るもしれないですけど、そっちはそんなに気にする必要はないです。
グラ・バルカス帝国→帝国
日本連邦→連邦
《目次》
10.第五話の展開変更について
1.帝国の戦力について
第一話に記載があるように、グラ・バルカス帝国はケイン神王国との決戦に備えて本土に戦力を集結させていたため、転移によって失った戦力はほとんど存在しません。旧世界に取り残されたのは植民地を維持するための地方軍のみです。
2.原作との大きな変更点について
グラ・バルカス帝国は旧世界において、「各国が好き勝手するから争いが起こる。なら全部俺たちが統治すれば良いじゃん!」というトンデモ選民思想で世界制覇を目指していました。
つまりグラ・バルカス帝国が新世界で世界征服を目指したのは旧世界からの気質であり、パガンダとレイフォルの件がなくても最終的に同じような凶行に走ったと考えられます。
今作品には原作を大きく改変している要素がいくつかありますが、グラ・バルカス帝国の理性化はその内の一つです。
他国の侵略に踏み切る国家にはある程度共通点が見られます。
史実の大日本帝国やイタリアのような、資源や植民地を持たないがために、国家の維持に搾取の対象が必要である場合。(この場合恐慌が致命的でしたが)
史実ドイツや現代のロシアのように、周囲を対立する国家に囲まれ、一切の防波堤・緩衝地域がないがために、それを作る(自国の安全を確保する)事を目的としている場合。
これらから帝国は、
・自国内に莫大な資源を持たず(植民地が必要で)
・海に囲われているとは言え強力な国家が身近にある
という理由から侵略を始めたと予想しました。
(無論ユグドが帝国主義時代だったという可能性もあるが)
他国の侵略は帝国にとって、自国の安全を確保するための手段であり、国家の維持に必要な事でした。
しかし新世界転移において、(連邦への)侵略がむしろ国家を危機にさらすこと、侵略せずとも国家を安定させられる方法があることを理由に、方針を転換したという理屈です。
3.帝国海軍軍人の知識について
第三話でストール達がレーダー原理について知っていますが、本来レーダー原理は機密です。(他国に真似されると困るので)
しかし現場の軍人、それも上官ならある程度知っていてもおかしくないだろうという想定です。
4.ストールの考察について
第四話にて、ストールの内心描写があります。
(同じ形状の航空機しか見当たらない……爆撃機や雷撃機は艦内か。しかし戦闘機がこれだけ大型となると、爆撃機もそれ相応の巨体だろう。艦の大きさの割に、搭載機数はそこまで多くなさそうだな)
これは帝国(1940年代の技術を持つ国家)の軍事的常識において、マルチロール機(装備によって戦闘や爆撃など複数の任務をこなせる機体)という概念がないため、制空戦闘と爆撃(雷撃)を別機体で運用しているだろうという予測からです。
現代の空母では、一つの戦闘機が制空戦と対艦攻撃(帝国でいう対艦爆撃)を同時にこなせるため、複数機種に分けるのは補給や整備の上で非効率なので機体を分けないのが普通です。
地球の大戦後期には大型爆弾を搭載できる戦闘機、いわゆる戦闘攻撃機(マルチロール機の先駆け)が生まれましたが、帝国の航空技術の進歩の遅さと次世代技術を開発する能力の低さから、これらの概念はないだろうと想定しました。
『帝国の航空技術の進歩の遅さ』
帝国人は原作において、ムーの航空機を見て20年から30年ほどの技術格差があると評していますが、ムーの"マリン"クラスから零戦クラスに進化するまで地球では5年ほどしか経っていません。つまりユグドでは航空機の発展が遅いと考えられます。
『次世代技術を開発する能力の低さ』
帝国では誘導弾は概念すら生まれていなかった描写があります。
また本作でも描きましたが、帝国はジェット機も構想段階らしいです。
地球では大戦後期に既に実用化されていた。
兵器開発は基本的に
・構想段階
・理論段階
・実証機開発
・実用化
という流れなので、如何に差があるかがわかりますね。
5.連邦航空機の失速について
第二話のカイザルの考察と第五話のカンダルの分析でも話がありますが、現代の艦載機は400km/hではおそらく失速しません。特に艦載機は着艦の際に速度をかなり落とす必要があるため、風を沢山受けられる様に翼が大きく作られており、低速でもある程度安定した飛行ができます。
ただ、「正体不明の航空機に対して、意思疎通のために失速直前まで速度を落とすのって危険だし、普通はやらないだろうな」という理屈から
"技術的にできなくはないが、両者が速度を合わせるのは難しい"
という展開にしました。
6.外交艦隊の戦艦について
第五話にある通り、石油事情の逼迫から帝国は莫大な燃料を喰う戦艦を動かしたがりませんでしたが、皇族が乗艦するのに当時の戦略兵器(現代の核に相当する)を使わないのは国威に関わる(この国威とは帝国の威厳を外部に示すためのものではなく、皇族を守るという姿勢を示す、どちらかと言えば国内向けのもの)ので、ヘルクレス級戦艦を艦隊に加えました。とは言え連邦側に敵意がないことはすでに判明していたため、あくまで象徴としての戦艦であり、追加は一隻のみとなりました。
7.帝国の国土について
帝国の本土は原作にて、"大陸と呼ぶには小さく島というには大きい"と描写されています。
また同時に、ロデニウス大陸は"オーストラリア大陸の半分ほどの大きさ"と描写されています。
これら組み合わせから帝国本土は"ロデニウス大陸より小さいが大陸と比較にはなるレベルの島"であると考えました。
結果、インドネシアやメキシコほどの国土となりました。
8.新世界の地理的状況について
第八話の帝国の会議で、"新世界における主要な大陸は2つ"という描写がありましたが、これは衛星写真に第三文明圏周辺が写っていないためです。
そもそも衛星写真で取れる範囲には限界があり、それは地球において最大14,000kmほどです。
地球が球体である以上向こう側は撮影できないため、最大撮影範囲は半球となり、それ以上は物理的に不可能です。
そして物理的に不可能ならば、半球より広い範囲を撮影する(周りの宇宙空間も大きく写る)カメラを衛星に搭載する理由はないため、地球で運用予定だった衛星の撮影範囲はどう頑張っても14,000kmちょっとが限界だろうと考えましたり。
(地球の半径丁度にならないのは、距離の問題から。
距離で物体の見える大きさは変わるため、離れれば離れるほど半球に近くなるが、衛星軌道からだと大体42%くらいしか見れないらしい)
そして原作のクワ・トイネの会議にて、クワ・トイネ本土からムー大陸まで20,000km以上離れているとの描写があります。
ロデニウス大陸が少し南よりにある関係上、ムー大陸まで若干北方向に進むため少し距離は延びると思われますが、14,000kmを写す衛星写真ならどちらにしろ第三文明圏は映らないだろうと予想しました。
何なら帝国と連邦の国土を中心あたりにして撮影した場合、第一文明圏が写り切るかすら怪しいですが。
9.音速の基準について
感想でご指摘をいただきましたため、こちらでもご説明いたします。
音速は高度によって違います。
高度が高ければ空気は密度が低く、地表に近づくほど密度は高いです。これによって音(空気の振動)が伝わる速さ(音速)は変わりますし、空気抵抗も違うので同じ出力で出せる速さも変わります。
航空機のスペックは最も効率的に速度を出せる高度11,000m以上での速度が記載される場合が多いため、作中で登場する航空機は基本的にこの高度11,000m以上で発揮する速度を記載します。
なお以上の条件での音速(マッハ1.0)は約1062km/hです。
Wikiや原作に性能が記載されている航空機は、それをそのまま記載します。
10.第五話の展開変更について
第五話にて、カンダルが後退翼について説明するシーンがありますが、現代のステルス機は反射断面積の大きさから後退翼を採用していません。採用されているのは台形翼で、後退翼のように衝撃波を受け流すのではなく無理やり切り裂いて飛行します。
そのためステルス機を見て後退翼を連想するのはおかしな話で、その結果速度から話が発展するのもおかしいので、第五話を以下のような内容に修整しました。
修整前
研究中の後退翼を実用化していることに驚く
修整後
帝国から見て歪な形状である直線の多い台形翼を見て、本当に飛行出来るのか怪訝に思う
11.感想欄でご指摘いただいた部分について
4.ストールの考察について という部分で、1940年代にマルチロールの概念が存在しなかったと記載しています。しかし感想欄にて"1940年代には、複数の任務をこなせる万能機が存在した"といったご指摘をいただきました。
おっしゃる通り、これらは実際に存在しました。
しかしなぜ帝国に存在しないのか、具体例を出してご説明させていただきます。
一機で複数の任務をこなせる万能機は1940年代、すでに存在しましたが、その誕生には理由があります。
(以下の登場結果は史実のものです)
日本の場合、アメリカの数に対し同様の数で対抗する国力がなく、空母と艦載機をできる限り効率的に運用する必要がありました。
そのため、一機で爆撃も雷撃もできる機体として「流星」が誕生しました。
「銀河」の場合は、通常の爆撃機ではアメリカの戦闘機にすぐに撃墜されてしまうため、戦闘機に相当する速度を持っていて、なかなか落ちない高防御な機体が求められて誕生しました。
一方アメリカやイギリスの機体は、エンジンの馬力が強力になったことで、戦闘機に爆撃や雷撃の任務を兼ねさせるために誕生しました。
グラ・バルカス帝国の状況を見ると、ケイン神王国戦において優勢であると原作で描かれており、加えて巨大な工業力を持っています。
空母を増産する余裕もありますし、爆撃機に雷撃任務などを同時に熟させなくとも物量で勝利できますね。
戦闘機も大量生産すれば、そうそう爆撃機も落とされないでしょう。
よって日本の銀河・流星と同じ開発理由は存在しません。
補足4にあるとおり、グラ・バルカス帝国、というよりはおそらくユグド世界全体に言える話ですが、航空技術の発達が遅いです。グティマウンは帝国技術者さえ「なぜ開発できたのかわからない」と描写されていますから例外として、おそらく2000馬力級の高出力エンジンは持っていないでしょう。
少なくとも原作で登場したグラ・バルカス帝国の航空機で、単発2000馬力のエンジンは劣勢になるまで登場しませんでした。
(日本本土侵攻艦隊が壊滅した後に、アンタレス改が登場している。アンタレス改は性能から見て2000馬力近い出力を持つと思われるが、当然転移直後は保有していない)
ゆえに"エンジンが高出力化したから戦闘機に複数の任務をこなさせよう"という発想も出てこないはずですね。
よって米英と同様の開発理由も存在しません。
以上の理由から、グラ・バルカス帝国にはマルチロール機の概念がないという理屈です。
もともと補足4は
これは帝国(1940年代の技術を持つ国家)の軍事的常識において、マルチロール機(装備によって戦闘や爆撃など複数の任務をこなせる機体)という概念がないため
といった書き方をしていました。
この"1940年代の技術を持つ国家"という部分には、史実日本やアメリカが当然含まれており、そちらには該当する機体が存在しました。
今回私が言いたかったのは「グラ・バルカス帝国にはないよ」という部分のみですので、修整させていただきました。
ご指摘ありがとうございました。
あの、お願いですからどなたかシエリアさんの日本映画満喫旅を描いてくれませんか。
私読むほうが好きなんです。
この作品を書いてるのは飽くまで暇つぶしなんですよ。
暇つぶし二次小説召喚なんです。